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2024.04.30

映画‘ドクトル・ジバゴ’!

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現在、手元に揃った映画のDVDは全部で340本を超えた。ブックオフで
関心のある作品や価格の安いものはみつけたらすぐ購入しするので、気がつ
いたら結構な数になっていた。でも、お目当てのものがだいたい集まってき
たからピークは見えてきた感じ。そこで今は時間をとって,たとえば1週間
かけてまだみてないものを集中的にみている。60本近くあるうち、グル
ーピングしていくつかに括り観ていく作戦だが、2週間前はロシア関連の
映画を続けて楽しんだ。

そのひとつが1965年に製作された‘ドクトル・ジバゴ’。これは25年く
らい前、広島で仕事をしていたころレンタル店のビデオでみたが、どんな話
だったか記憶がまったく残ってない。唯一覚えているのが美しいメロディが
心の琴線にふれるテーマソングの‘ラーラのテーマ’。監督は‘アラビアのロレン
ス’のイギリスのデヴィッド・リーン。主演は医師ユーリ・ジバゴ役を演じた
オマー・シャリフ。上映時間は3時間30分。昔の大作映画は軽く3時間を
こえるから、途中に休憩が入る。これが懐かしい!

このオマー・シャリフは‘アラビアのロレンス’にも出演していたから知っては
いるが、これまで抱いていたイメージはあくの強い顔をした人物。だから、
この映画ではイメージががらっと変わり医者という役柄にぴったりな誠実で
信念の人に映った。この俳優がもっとも目に焼きついているのが数限りなく
みている西部劇の‘マッケンナの黄金’(1968年)。この映画でオマー・
シャリフは保安官マッケンナ(グレゴリー・ペック)を捕らえ黄金探しに躍
起になる悪党の役で出演していた。

ユーリ・ジバゴが生涯愛した女性ラーラに扮したジュリー・クリスティはこ
の映画でしかお目にかかったことがない。イタリア人の感じがするが、あた
っている?ほかにどんな映画に出演しているのだろうか、一方、意外な男優
がでていた。若いラーラに惚れてしまうやり手の弁護士コマロフスキー役の
ロッド・スタイガー。嫌な奴だが、‘夜の大捜査線’で主演のシドニー・ポワ
チエと共演したロッド・スタイガーがこんな役ででていたとは。南部の州で
働くでっぷりした警官役の姿がこびりついているので、エンドロールで名前
を確認するまで気がつかなかった。

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2024.04.29

歌麿の最高傑作、‘吉原の花’の楽しみ方!

Img_20240429224401   ‘吉原の花’(1793年頃 ワズワース・アテネウム美)

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拡大図 ‘腕に鼠を乗せて遊ぶ禿‘(1階)

Img_0002_20240429224401   ‘花魁の登場’(1階)

Img_0003_20240429224401   ‘指先を後ろにむけてお辞儀する女性‘(2階)

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‘笑うお多福’(2階)

好きな画家が描いた傑作をみることほど楽しいことはない。今それを東芸大
美で開催中の‘大吉原展’に飾られている歌麿の最高傑作‘吉原の花’で200%
感じている。この肉筆美人画の大作は会期中出ずっぱりで終了日の5/19ま
でいつ出かけてもお目にかかれる。こんなすばらしい浮世絵が日本に里帰り
することは滅多にないので、絵画の好きそうな友人や知人に会うたびに鑑賞
を薦めている。

歌麿本で知ったこの絵との対面が叶ったのは2017年。場所は箱根の岡田
美。同じく肉筆画で幻の絵といわれた‘深川の雪’をコレクションに加えた岡田
美がアメリカにある‘吉原の花’と一緒に並べて展示するという願ってのない
企画を実現させてくれたのである。そのとき、いつか東博で同じペアリング
で公開されたらもっともっと大勢の浮世絵ファンがいい気持になれるだろう
なと思った。

その予想は半分あたり、また‘吉原の花’は東博ではなく目と鼻の先の東芸大美
に姿を現してくれた。これほど嬉しいことはない。だから、2回足を運び、
長く時間をかけ大画面の隅から隅までじっくりみた。‘名画は会うたびに新発
見がある!‘といわれるようにあらたにみえてきたものがいくつもでてきた。

1階の中央で座敷に座っている赤い着物を着た禿(かむろ)は右手になにか
黒いものが描かれていることに気づいた。単眼鏡でみるとなんと鼠!
岡田美の図録にもこれが出ており、18世紀後半、鼠をペットとして可愛が
ることが流行ったらしい。白いハツカネズミならすっと腹に落ちるが、普通
の灰色の鼠だとちょっと違和感がある。

この絵で一番華やかなところは花魁が振袖新造を従えて登場する画面。頭の
上の桜をみてさらにその向こうの青の暖簾に目をやると、部分的にひらひら
揺れている。箱根ではここまでしっかりみなかった。風の動きまで描いてた
とは。そして、気になったのが6人の新造のなかにひとりだけ真正面を向い
ていること。この絵には全部で52人の女性が登場するが、もうふたりこち
らをじっとみている女性がいる。さて、どこだろう?

視線を2階に移すと、おもしろい仕草がでてくる。主客の青い着物の婦人の
前で女性が手の指先を後ろに向けてお辞儀をしている。これは武家の座礼
‘折手礼’で応じているとのこと。もうひとつ思わず口元がゆるむ女性がいる。
右端のおでこと頬がふくれた丸顔の‘お多福’。2階にもうひとりいるが、、

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2024.04.28

今年は浮世絵展の大当たり!

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先週の24日(木)にみた2つの浮世絵展、‘大吉原展’と‘浮世絵の別嬪さん’
で味わった感動の余韻に今浸っている。みどりがめさんから教えてもらった
‘別嬪さん’が加わったので今年は浮世絵展の大当たり!という思いを強くし
ている。で、このほかにも浮世絵や風俗画にスポットをあてた特別展がどこ
かの美術館で開催されるか確認してみると、いくつかでてきた。

最初から並べてみると、こんな感じ。
☆‘鳥文斎栄之展’(1/6~3/3 千葉市美)
☆‘大吉原展’(3/26~5/19 東芸大美)
☆‘浮世絵の別嬪さん’(4/9~6/9 大倉集古館)
☆‘北斎と広重’(4/13~5/26 中之島香雪美)
☆‘広重ー摺の極’(7/6~9/1 あべのハルカス美)
☆‘英一蝶’(9/18~11/10 サントリー美)

大坂の中之島香雪美で4/13から行われているのは江戸東博のコレクション
で構成されており、このあと岡山県美(6/7~7/7)と大分県美(7/26
~9/8)に巡回する。そして、気合が入っていそうなのが開館10周年を記
念して開催するあべのハルカス美の広重展。サブタイトルに‘摺の極’とつけて
いるのは出品される約330点のなかにヨーロッパの美術館から里帰りする
極上の摺の作品がどどっと含まれているからだろう。こう書かれると出かけ
たくなる。サントリー美の英一蝶展は‘布晒舞図’など肉筆画の傑作と久しぶり
に対面できそうなので、秋の美術館巡りの楽しみのひとつになっている。

浮世絵展の場合、作品が数多くでてくるためだいたい前期・後期で作品が大
きく変わる。そのため2度出かけると首都圏だけでも全部で8回出動するこ
とになる。2014年に江戸東博で‘大浮世絵展’と銘打ったイベントみたいな
スゴイ特別展があった。これに相当するのが大吉原展。今年はこのほかにも
浮世絵ファンを喜ばせるいい絵がたくさん登場する。浮世絵展でこれほど全
国的に盛り上がるのははじめてかもしれない。

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2024.04.27

ベートーヴェンのピアノ・ソナタに嵌った!

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ポリーニが亡くなってから行きつけのブックオフの4店を定期的に訪れ、彼
が演奏したベートーヴェンのピアノ・ソナタを探してきた。はじめは人気のピ
アニストだから、CDは中古市場にはなかなか出てこないと思っていた。とこ
ろが、その思いとは逆に辛抱強く追っかけていたら求めるものが徐々に手に入
るようになった。値段も手ごろなので満足のいくコレクションができつつある。

現在揃ったのは3つ
☆ピアノ・ソナタ 第5番、6番、 7番、8番‘悲愴’(録音:2003年6月)
☆ 々 第17番‘テンペスト’、 21番‘ワルトシュタイン’ 、25番 、26番‘告別’(録音:1988年6月)

☆ 々 第28番、29番‘ハンマークラヴィーア’、30番、31番、32番(録音:1975~77年)

このなかで頻繁に聴いているのが17番‘テンペスト’と後期ピアノ・ソナタの
30番、31番、32番。上の3番目のCDは24日秋葉原のブックオフでみつ
けたもので値段は720円。2つのCD(28・29番と30~32番)に後期
ピアノ・ソナタが全部入っているのですぐとびついた。願ってもないものが手
に入ったのですでに買っていた30~32番は処分した。結局、30~32番
は単独のCDとしては3度目でようやく落ち着いた。はじめに見つけたのはアシ
ュケナージの演奏したもの、レコードアカデミー賞をとった作品というのでず
っと聴いていたが、ポリーニのものが出てきたのですぐこちらにスイッチした。
ポリーニのパワフルでテンポのいい演奏を聴いたら、もうアシュケナージは聴
けない。それほどポリーニのベートーヴェンはスゴイ。

ポリーニの演奏はピアノ協奏曲5番‘皇帝’だけだった頃、聴く度にいい気持にな
っていたのはポリーニの奏でるピアノが‘歌っていた!’から。それまでヴァイオ
リンに比べるとピアノが‘歌っている’という感じはしなかったが、ポリーニは違っていた。これを今たくさん聴いているピアノ・ソナタでも強く感じている。

ホロヴィッツの‘月光’、‘悲愴’、‘熱情’も存分に楽しんでいる。CDに入っている
曲の順番は購入の決め手になる。ポリーニにもこの有名な3曲が入っているの
があったが、‘悲愴’が最初だったのでレジにもっていくのをやめた。しばらくは
ホロヴィッツにしておくつもり。

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2024.04.26

待望の‘ブランクーシ展’!

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   ‘接吻’(1907~10年 アーティゾン美)

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   ‘眠れるミューズⅡ’(1923年)

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   ‘空間の鳥’(1926年 横浜美)

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   ‘雄鶏’(1924年 豊田市美)

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   ‘レダ’(1926年 ブランクーシ・エステート)

今年西洋美術で関心の高い特別展はあまり多くなく、頭にあるのはマティス
展(国立新美 終了)とアーティゾン美のブランクーシ展の2つ。3/30
から行われている‘ブランクーシ 本質を象る’(7/7まで)をみるため雨が
降る中、最後の美術館をめざした。ルーマニア人彫刻家のブランクーシ
(1876~1957)と直に結びついている美術館は日本では以前の名前
でいうとブリジストン美と川村記念美、そして海外ではもちろんパリのポン
ピドゥー・センター。

アーティゾンに来るたびに対面するのが楽しいのが‘接吻’。ぱっとみると幼児
たちの最接近を思い浮かべるが、互いに腕をのばして愛を確かめあう姿はじ
つに温もりがあって生きる喜びにみちあふれている。ピカソが影響をうけた
アフリカの彫刻との関連にも思いがいくのは目ではなく唇。これに対して、
ブロンズのつややかな表面が心をとらえて離さないのが‘眠れるミューズⅡ’。
卵型の頭だけがゴロンと横たわっているのでちょっと不気味。目があるよ
うでないような感じだから、なんだか目をつぶった女神の深い精神性にふれ
るよう。川村ではじめてこのヴァージョンにお目にかかったとき、ブランク
ーシの魅力に一気に惹きこまれた。

ポンピドゥーでのブランクーシで感動したのは今回でている‘空間の鳥’より
もっと大きなヴァージョンだったような記憶がある。これが‘抽象彫刻の美’か
と強く思った。鳥の形が抽象化され骨太だがシンプルなフォルムになって
飛翔のイメージを生み出している。以前横浜美によく出かけていた頃は、こ
のブランクーシの黄金の作品をみて気分をシャキッとさせてもらっていた。

ブロンズシリーズをこれほど多くみれるのは生涯の思い出になりそう。写真
撮影もOKだから、展示空間の雰囲気を残すためバチバチ撮りまくった。
ノコギリ形の形態が印象的な‘雄鶏’や磨き上げられた金属の質感が光の輝き
を放つ‘レダ’にもとても惹かれる。

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2024.04.25

2度目の‘大吉原展’!

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  勝川春章の‘竹林七妍図’(1789~92年 東芸大)

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 喜多川歌麿の‘扇屋十二美人張見世’(1806年 たばこと塩博)

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 歌川国貞の‘三ヶ月お仙つぼね見世之図’(1804~18年 静嘉堂文庫美)

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   菊川英山の‘花魁図’(1804~18年 千葉市美)

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  歌川広重の‘江戸名所 雪’(1848~49年 神奈川県歴博)

大倉集古館の帰りは楽な坂を雨に濡れないように下り、次の目的地に向かっ
た。これも今話題の浮世絵展の‘大吉原展’。後期(4/23~5/19)の展示
がはじまったのでウキウキして東芸大美をめざした。雨にもかかわらず大
勢の人がいた。そのなかに外国人観光客がかなりいる。みな事前にSNSでこ
の展覧会の情報をゲットしてるのだろう。これまででかけた浮世絵展とは観
客の風景がだいぶ変わってきた。大倉でも‘別嬪さんを’楽しんでいた10人く
らいのなかに二人の外国人カップルがいた。

前回手に入れた出品リストをチェックしながら後期の作品をみていった。
図録でみているからすぐこれだと気づく。嬉しいのは勝川春章(1726~
1792)の肉筆画が2点もみれたこと。‘竹林七妍図’と‘遊女と燕図’(東博)、
前期に東芸大と出光美のものがでたので全部で4点。春章の肉筆美人画をみる
のは版画の歌麿の大首絵と同じく生涯の楽しみだから、嬉しくてたまらない。
‘竹林七妍図’で中央にいる孔雀模様の打掛を羽織っているのが花魁。まわりの
芸者や遊女たちも色が白く‘別嬪さん’揃い。

数多く飾られている喜多川歌麿(1753~1806)はどれも頭がくらく
らするほど魅了されたが、後期で印象深かったのが大勢の遊女が集まった
‘扇屋十二美人張見世’。夢でこの場にいることをイメージして楽しんだ。映画
や芝居でみる遊女の感情や振る舞いを勝手に妄想すると、それに一番近いのが
歌川国貞(1786~1864)の‘三ヶ月お仙つぼね見世之図’。部屋から手
をのばして門口を掃除している女の姿に視線が釘付けになる。

歌麿が亡くなった後美人画で人気の絵師となったのが菊川英山(1789~
1867)。‘花魁図’に思わず足がとまった。打掛の模様がなんと烏。黒の
衣裳に白く輝く顔が浮き上がっている。歌川広重(1797~1858)は
前期に収穫があったが、‘江戸名所 雪’もはじめてお目にかかったもの。浮世
絵師のオールスターで本当にいい気分にさせてもらった。東芸大美に感謝!

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2024.04.24

大倉集古館の‘浮世絵の別嬪さん’!

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   菱川師宣の‘馬上若衆図’(1688~94年)

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   勝川春章の‘青楼遊宴図’(1788年頃)

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   喜多川歌麿の‘蛍狩り美人図’(1801~04年)

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  鳥文斎栄之の‘立美人図’(1804~18年 摘水軒記念文化振興財団)

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   歌川広重の‘三美人図’(1818~30年 似鳥美)

今日は予定していた美術館巡りのほかに1館が加わったので忙しくまわって
きた。最初に向かったのはその追加となった大倉集古館。ここで今‘浮世絵の
別嬪さん’(4/9~6/9)が開催されており、展覧会情報でいつもお世話に
なっているみどりがめさんから新たに発見された歌麿の絵が展示されている
ことを教えてもらった。この展覧会のことはアバウトにインプットされてい
たが、関心の外にはじき出されていたので、この話にすぐとびついた。

出品されているのはすべて肉筆画。喜多川歌麿(1753~1806)は
前期(4/9~5/6)に‘嶋台持つ娘立姿図’と新発見の‘蛍狩り美人図’、その
あと後期(5/8~6/9)にもう2点でてくる。この4点はいずれもまだ縁
がないのでMy歌麿図録にとって貴重なピースになりそう。なんだか降って
わいたような幸運に遭遇した気分である。

ところで、この特別展につけられているタイトル‘別嬪さん’(べっぴんさん)
のことを若い方はわかるだろうか?シニアから高齢者にとってこの言葉は
すごく響きがよくて美人を話題にするときはピッタリの感じがして、話が
弾むのだが。その別嬪さんが続々登場する。大きな収穫だったのが菱川師宣
(?~1694)の‘馬上若衆図’、なかなかみれない師宣が今回会期中に3点
でてくる。

肉筆の美人画でもっとも人気があったのが勝川春章(1726~1792)。
今は‘青楼遊宴図’と‘立姿美人図’だが、後期になると傑作中の傑作が飾られる。
それはMOA美が所蔵する‘雪月花図’(重文)。運がいいことに全部お目にか
かっているが、‘雪月花’は2016年出光美であった肉筆画に絞った‘勝川春章
展’に出品されなかった。まさか、大倉集古館で再会が果たせるとは。本当に
楽しみ、お見逃しなく!

今年は鳥文斎栄之(1756~1829)の当たり年!千葉市美で開かれた
回顧展は最高にすばらしかったし、現在、東芸大美の‘大吉原展’にも大英博か
ら回顧展に里帰りしたものがずっと日本に居残り出品されている。そして、
大倉に集結した‘別嬪さん‘のなかで‘立美人図’が強い輝きを放っている(前期)。
サプライズの肉筆美人画は歌川広重(1797~1858)。まったくイメ
ージできなかった‘三美人図’を息を呑んでみていた。広重がこんな菊川英山風
の美人画を描いていたのか!

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2024.04.23

東博に興味深い相撲絵!

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  勝川春章の‘赤沢山の相撲’(18世紀 東博)

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  ‘谷風 小野川 木村庄之助’(18世紀 東博)

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  ‘日本一江都大相撲土俵入後正面之図’(18世紀 太田記念美)

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  勝川春英の‘柏戸 錦木’(18世紀 名古屋テレビ放送)

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    ‘雷電 滝ノ音’(18世紀 ギメ美)

東博の平成館で開かれている‘法然展’をみたあと、本館に移動して平常展を久
しぶりにじっくりみた。以前は東博のHPで出品作を事前にチェックして頻繁
に通っていた。絵画は正面に向かって左の展示室で一階(明治以降の日本画
と洋画)と二階(日本画)をみて、最後に二階の正面側に飾ってある浮世絵
をみるのはお決まりのルーティン。

今回浮世絵を楽しんでいたら、とても興味深い三枚続きの相撲絵‘赤沢山の
相撲’に遭遇した。描いたのは勝川春章(1726~1792)。説明書きを
読んでいたら、おもしろいことになってきた。白い肌の男が浅黒い男の首を
左手で力強くブロックし、背後から体をもちあげ土俵の外に出そうとしてい
る相手の足に自分の左足を絡ませて後ろに倒そうとしている。この技は相撲
好きの人にはすぐわかる‘河津掛け’(かわづがけ)。

これは赤沢山で源頼朝(左の後ろでみている)を前に行われた余興相撲。
不利な体勢になっているのが‘曽我物語’で知られる曽我兄弟の父、河津祐泰
(かわづすけやす)。相撲の決まり手‘かわづがけ’があの曽我兄弟が仇討ち
をなしとげた父親の苗字からきていたとは。こういう話を知ったことにわけ
もなく興奮している。

家に帰り2016年に開催された勝川春章展(太田記念美)の図録をひっぱ
りだしてみると、この絵もしっかり載っていた。でも、解説は読んでないの
で‘かわづがけ’の由来には気づかなかった。頁をぱらぱらめくっていると春章
が本格的にはじめた相撲絵がいくつもでてきた。年六場所開かれる大相撲を
TVでいつも前のめりになってみているので、‘谷風 小野川’ 、‘錦木 
柏戸’、‘雷電 滝ノ音’や力士の土俵入りを描いたものに敏感に反応する。
‘錦木’(にしきぎ)と‘柏戸’は伊勢ノ海部屋の伝統の四股名で春場所2度目の
小結になった錦木は七代目。来月12日からはじまる本場所が待ち遠しい。

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2024.04.22

大収穫の‘北欧の神秘’(SOMPO美)!

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  ラーションの‘滝のある岩場の景観’(1859年 スウェーデン国立美)

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  マルムストゥㇽムの‘踊る妖精たち’(1866年 スウェーデン国立美)

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  エークマンの‘イルマタル’(1860年 フィンランド国立アテネウム美)

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  ムンクの‘フィヨルドの冬’(1915年 ノルウェー国立美)

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  ムンクの‘ベランダにて’(1920年 ノルウェー国立美)

新しくなったSOMPO美が2度目の出動を促したのは‘北欧の神秘’(3/23
~6/9)。展覧会の情報はインプットされていたが行くかどうかちょっ
と迷っていた。北欧の画家たちの絵が果たして心にヒットする? 知らない画
家の場合、いつもこういう戸惑いが生じる。でも、でかけることにしたのは
2018年デンマーク、ノルウエー、スウェーデンを旅したときの思い出が背
中を押したから。この判断は大吉だった。

まず知っているムンク(1863~1944)から。‘フィヨルドの冬’と‘ベラ
ンダにて’の2点がやってきたが、ともにノルウェー国立美が所蔵しているもの。
オスロではお目にかかってなく、購入した美術館の図録にも掲載されてないの
で大きな収穫。遊覧クルーズ船に乗ってソグネフィヨルドを観光したから絵に
すっと入っていける。これは写真OK。‘ベランダにて’は強い赤、青、黄色、緑
が目にとびこんでくるとやはりムンクを200%実感する。

はじめてお目にかかる画家たちの作品ではロマン主義の流れをくむ風景画に惹
きこまれた。思わず足がとまったのがスウェーデンのラーション(1825~
1864)の‘滝のある岩場の景観’。イギリスのマーティンやアメリカのハドソ
ンリバー派の風景画が頭をよぎった。そして、ノルウェー美でみたファーンラ
イの名がでてきたので‘旅人のいる風景’もしっかりみた。

今回一番の収穫はスウェーデンのマルムストゥㇽム(1829~1901)の
‘踊る妖精たち’とフィンランドのエークマン(1808~1873)の大気の
女神‘イルマタル’。こんないい絵が北欧にあったとは!一見の価値がある。みて
もお楽しみ!

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2024.04.21

‘法然と極楽浄土’(東博)!

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  ‘法然上人像(足曳御影)’(重文 鎌倉13世紀 二尊院)

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 国宝 ‘阿弥陀二十五菩薩来迎図’(鎌倉14世紀 知恩院)

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  ‘地獄極楽図屏風’(重文 鎌倉13~14世紀 金戒光明寺)

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   ‘二河白道図’(重文 鎌倉13世紀 光明寺)

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  狩野一信の‘五百羅漢図 六道地獄’(江戸19世紀 増上寺)

4/16からはじまった東博の‘法然と極楽浄土’(~6/9)は平日にもかか
わらず館内には大勢の人がいた。多くの人の期待の高さがうかがえる。同じ
タイミングで京博では‘雪舟伝説’(4/13~5/26)、奈良博でも‘空海 
KUKAI’(4/13~6/9)と国立の博物館がビッグな特別展で共演すること
になった。

法然(1133~1212)の物語に焦点をあてた宗教関連展は2011年
に同じく東博で‘法然と親鸞 ゆかりの名宝’をみたので、今回は前のめりと
いう感じではない。足を運んだのは修復が終了した‘阿弥陀二十五菩薩来迎図
(早来迎)’と再会するため。お目にかかるのはたしか4回目。前回どこでみ
たかはすぐ思い出せないが、絵の前に立つと大きな感動が腹の底から湧き上
がってきた。一目で画面全体が明るくなったことがわかる。

正方形の画面の左上から阿弥陀が二十五菩薩を率いて斜めの対角線にそって
急角度で降りてくる。このスピード感がすごいので阿弥陀や菩薩たちが乗っ
ている白い雲がまるで飛び散る火の粉のようにみえてくる。また、上手なス
キーヤーが猛烈な勢いで滑空してくる場面も重なる。だから、視線はずっと
金色と白が輝く来迎の光景にはりついていて、右下の邸宅で待つ往生者の存
在感が薄くなるのは仕方がない。

特別な来迎図をみれたのであとはオマケ感覚で気軽にまわった。すでにみて
いるものでも思わず足がとまったのは色彩がよく残っていて夢中にさせる
‘地獄極楽図屏風’、阿弥陀様に励まされて一本の白い道を通り極楽浄土に向
かうという話がおもしろい‘二河白道図’。最後に登場した狩野一信
(1816~1863)の‘五百羅漢’は久しぶりの対面。今回増上寺にある
100幅のうち24幅が展示される。みてのお楽しみ!

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2024.04.20

‘上村松園 松篁 淳之-文化勲章 三代の系譜’!(2)

Img_0001_20240420222701    上村松篁の‘熱帯花鳥’(1963年 松伯美)

Img_20240420222701    ‘青柿’(1947年 松伯美)

Img_0002_20240420222701    ‘蓮’(1981年 松伯美)

Img_0004_20240420222701    上村淳之の‘雁金’(1988年 京都市美)

Img_0003_20240420222701    ‘月の水辺’(1990年 大分市美)

Img_0005_20240420222701    ‘花の水辺Ⅱ’(2007年 松伯美)

上村松篁単独の回顧展は名古屋で仕事をしていた1996年に運よく巡り合
った。場所は懐かしい名古屋三越栄本店(今もある?)。そのあとは奈良市
にある松伯美の訪問や日本橋高島屋での三代展をみたので主要な作品はだい
たい目のなかに入った。今回出品されている13点はすべて松伯美が所蔵す
るもの。以前訪問したときは奈良近鉄線の学園前駅で下車してタクシーで
10分くらいで着いたが、この前に駅のすぐ近くにある大和文華館も訪問し
た。ともに名画がたくさんみれる人気の美術館だから、満ち足りた美術散歩
になった。

再会した‘熱帯花鳥’を夢中になってみた。目にとびこんでくるのは緑の背景に
浮き上がる赤い花。いかにも熱帯に咲く花という感じ。そこに体を丸めてと
まっている極楽鳥が視線を釘付けにする。実際にみた光景を描いているので
ないのに絵のタイトルが腹にすとんと落ちるのだから、すごい絵である。
松篁はこういう抽象画のもっている美を感じさせるところが大きな魅力。
‘青柿’や‘蓮’は余白をたっぷりとりモチーフをシンプルに表現する画面構成に
心は深く沈潜させられる。

松篁の息子の淳之さんはずっと応援しており、文化勲章を早くあげて!と思っていた。2年前受賞したので一安心。今回は20点でている。父の松篁と同じ花鳥画を描き続けているが、淳之さんの鳥や生き物の絵は動きやスピードがあるのが特徴。最高傑作は‘雁金’、これをはじめてみたとき、瞬時に歌川広重の‘東都名所 高輪之名月’を思い浮かべた。

鳥たちへの限りない愛情が表現されている‘月の水辺’もつい長くみてしまう。
おおげさにいうと自然讃歌の気分を画家と一緒に共有しているようでいつま
でもこの光景をみていたくなる。そして、‘花の水辺Ⅱ’は肩の力がすっとぬけ
て心が安まる。毎日鳥たちの動きを見続けているので、親鳥の子鳥を気遣う姿
をこんなに上手く描けるのだろう。画家の優しい心根がそのまま表れている。

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2024.04.19

‘上村松園 松篁 淳之ー文化勲章 三代の系譜’!(1)

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  上村松園の‘鼓の音’(1940年 松伯美)

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   ‘初雪’(1940年頃 大川美)

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   ‘伊勢大輔’(1929年)

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   ‘花がたみ’(1915年 松伯美)

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   ‘羅浮仙女図’(1926年頃)

日本橋高島屋で‘上村松園 松篁 淳之ー文化勲章 三代の系譜’
(4/17~5/6)が開催されるのを知ったのは開幕の前日。ここ数年デ
パートでの展覧会が遠のいているため、情報のアンテナにひっかからずう
っかり見逃すところだった。優しいミューズが教えてくれたのかもしれな
い。急遽、予定していた美術館にこれも加えた。

‘上村松園 松篁 淳之 三代展’は2009年にも同じく日本橋高島屋で
開かれた。また同じ企画でやることになったのは2022年に上村淳之
(あつし 1933~)が文化勲章を受章したから。このめでたいニュー
スが入ってきたとき、また三代展があるなと直感した。果たして松園
(1875~1949)、松篁(しょうこう 1902~2001)、
淳之のよりすぐりの作品が50点くらいずらっと並んだ。こんなすばらし
い日本画の展覧会は滅多にない!この土日は大勢の日本画ファンが押し寄
せることだろう。

女性ではじめて文化勲章を受章した松園はお馴染みの傑作が続々登場する。
全部で24点。そのなかで目を惹くのはチラシに大きく使われている‘鼓の
音’。My‘好きな松園のベスト5’に入れており、安定した三角形の構図、着
物のうっとりする色彩と優雅な意匠、緊張感をみなぎらせて鼓を打つ美し
い手。もう完璧に心に響く美人画である。

ほかにもこれがでているの!と思わず体が寄っていくものがいくつもある。
2度目に対面となった‘初雪’は雪の白と女性の着物の赤が鮮やかなコントラ
ストをつくっている。息を呑んでみていた。まるで源氏物語絵巻をみてい
るよう気分になる‘伊勢大輔’は精緻な描写に目が点になる。この絵は大観の
‘夜桜’などと共にローマで披露されたが、観客は酔いしれたにちがいない。
そして、気がふれた女性を描いた‘花がたみ’やはじめてお目にかかった梅の
精の‘羅浮仙女図’も足をとめて長くみていた。

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2024.04.18

二度目の‘池上秀畝展’!

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   ‘劉女’(1915年)

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  ‘蓮香・梨花九官・海棠鸚鵡’(20世紀)

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   ‘深山鳴鹿図’(20世紀 長野県美)

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   ‘渓かん野雉・威震八荒’(1934年 横浜美)

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   ‘桐に鳳凰図’(1923年 伊那市常圓寺)

時間が経つと出かけた展覧会がエポック的な鑑賞体験となって長く記憶に残
ることがよくある。現在、練馬区美で開催されている‘池上秀畝展’は確実に
そうなる。後期(4/2~4/21)に登場する作品を楽しむため、再度出動
した。今回の特別展を高く評価したいのはいい絵をたくさんみせてくれたこ
とであるが、もうひとつすごくいいなと思うことがある。それは立派な図録
が青幻舎の出版物としてつくられていること。図版の色がよくでていて気の
利いたデザインを随所にちりばめ極上の美術本に仕上げているので、何度も
手にとってみたくなる。すばらしい!

後期に出品される絵にも思わず足がとまるのが続々現れる。1階の部屋に飾
ってあった‘劉女’を興味深くみた。中国の女性が白い鵞鳥(がちょう)に乗っ
て空を飛んでいる。龍や鯉に乗った弁天は橋本雅邦や葛飾北斎の絵でみたこ
とがあるが、この組み合わせはすぐには思い出せない。女の顔はちょっとと
ぼけた感じで漫画チックなところがおもしろい。鸚鵡(おうむ)や九官
(きゅうかん)を左右にして描かれている蓮香は本来は美人のはずだが、
うっとりするほどの美貌ではなく内気な女のイメージだから気軽にみられる。

前期同様、黄色や橙色の木々の情景からどこか川合玉堂を連想させる作品が
飾られていた。長野県美が所蔵する‘深山鳴鹿図’。右下で小川を下る水の白の
輝きが目に焼きつく。日本画では胡粉が生み出す白のインパクトに遭遇する
とつい夢中になってみてしまう。池上と川合の関連性についてははっきりつ
かめてないが、池上はほかの画家からも描き方を貪欲に吸収したのだろう。

大きな収穫だったのは横浜美でこれまでみたという実感がまるでない‘渓かん
野雉・威震八荒’。ここに描かれた鳥たちをみると池上秀畝は真に鳥の描くの
が上手い。ほとほと感心する。そして、その姿が美しい。こんな見ごたえの
ある花鳥画はそうはない。もう一点、最後の部屋に傑作があった。六曲一双
の‘桐に鳳凰図’。すぐサントリー美にある狩野探幽が描いた鳳凰図が目の前
をよぎった。探幽は秀畝のこの屏風をみたら裸足で逃げるかもしれない。
今、日本画好きの人にこの展覧会をPRしまくっている。

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2024.04.16

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ウェイデン メムリンク

Img_0004_20240416231401   ウェイデンの‘最後の審判’(15世紀中頃 ボーヌ施療院)

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‘聖カタリーナ’(1430~32年 ウィーン美術史美)

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メムリンクの‘バテシバの湯浴みを盗み見るダビデ王’(1485~90年 シュツトガルト美)

Img_20240416231401   ‘聖母の七つの喜び’(1480年 アルテ・ピナコテーク)

Img_0002_20240416231401   ‘父なる神の奏楽の天使たち’(1489年 アントワープ王立美)

フランドル絵画の画家の名前は今ではなんとかでてくるようになったが、
西洋絵画の鑑賞にのめり込みだした頃は知っているダ・ヴィンチやラファエ
ロらに比べると遠い存在で画風をはっきり確認するのはとても無理だった。
そのため、海外の有名な美術館にでかけても作品が目にとまることがなく、
‘見れど見ず’の状態だった。それが解消されるのは何かが作用して心を奪われ
る傑作と遭遇する機会が生まれたとき。‘最高の瞬間!’が訪れ画家との距離が
一気に縮まっていく。

ウェイデン(1399~1464)に仰天したのはプラドで代表作の‘十字架
降下’をみたとき。気絶した聖母マリアの迫真の人物描写が衝撃的で息を呑ん
でみていた。ウェイデンはこんなスゴイ絵を描いていたのか!以後、軽々に
はみれなくなり、美術本に載っている作品への思いが強くなった。もっとも
みたいのが大作の‘最後の審判’。そして、ウィーン美術史美ではみたという
実感がない‘聖カタリーナ’のリカバリーも叶えたい。

第二世代のメムリンク(1435~1494)に開眼したのはベルギーのブリュージュを訪れたことが大きく関係している。この美しい街に2度目の縁があったとき、ハンス・メムリンク美にでかけた。そこで出会った代表作‘聖カタリーナの神秘なる結婚’に200%KOされた。優しくて品のある聖カタリーナをみてしまったら、どうしてもドイツのシュツットガルトにある‘バテシバの湯浴みを盗み見るダビデ王’にも心が奪われてしまう。

ミュンヘンのアルテ・ピナコテークにでかけたのはかなり前のことだが、1480年に描かれた‘聖母の七つの喜び’は記憶のどこにもない。当時はメムリンクって誰れ?なので、有名なルーベンスやデューラーに全部の鑑賞エネルギーが注がれていた。今、この絵を図版でみるとブリューゲルの風景画を連想させるほど魅力に溢れている。そして、アントワープ王立美にある‘父なる神と奏楽の天使たち’はファン・エイクの‘ヘントの祭壇画’を彷彿とさせる傑作。メムリンクはまだまだ終わらない。

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2024.04.15

ミューズにとどけ追っかけ絵画! デューラー クラナハ

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デューラーの‘ヒエロニムス・ホルツシューファー’(1526年 ベルリン絵画館)

Img_20240415230201   ‘エルスベト・トゥ―ハーの肖像’(1499年 カッセル絵画館)

Img_0001_20240415230201   ‘野兎’(1502年頃 アルベルティ―ナ・コレクション)

Img_0005_20240415230201   クラナハの‘横たわる泉のニンフ’(1518年 ライプツィヒ造形美)

Img_0004_20240415230301   ‘楽園のアダムとエヴァ’(1530年 ウィーン美術史美)

Img_0003_20240415230301   ‘エジプトへの逃避途上の休息’(1504年 ベルリン絵画館)

ドイツ・ルネサンスを牽引したデューラー(1471~1528)とクラナハ
(1472~1553)は同時代を生きた大画家であるが、関心はデューラー
のほうに長くむかっていた。二人の絵をみれる美術館でまず思い浮かぶのは
ウィーンの美術史美とミュンヘンのアルテ・ピナコテーク。美術史美で印象深
いのはデューラーは‘皇帝マクシミリアン一世’、クラナハはとても怖い‘ホロフ
ェルネスの首をもつユディト’。一方、アルテ・ピナコテークはデューラーの
イケメン自画像が目に焼きついているが、クラナハは印象が薄い。

クラナハに勢いがでてくるのはボルゲーゼやクレラー=ミュラー、ベルギー王立美などで遭遇した‘ヴィーナスと蜂の巣をもつキューピッド’。ちょっと艶めかしいヴィーナスにだんだん嵌っていった。そして、予想だにしなかった日本で開催されたクラナハの回顧展(2017年 西洋美)。目玉はあのユディト。これは強烈なインパクトがあるから、クラナハ恐るべし!と思った人が多くいるのではなかろうか。

今、狙っているデューラーは肖像画2点、55歳のときに描いたニュルンベルクの市長とそれよりずっと前に仕上げた同じくニュルンベルクの名家の人物の妻。そして、長く鑑賞意欲を持ち続けているのがウィーンのアルベルティーナ・コレクションの‘野兎’。この兎をはじめてみたとき、デューラーの迫真性のある描写に目を奪われた。ウイーンにでかけることがあれば、なんとかしようと思っている。

クラナハはまだ縁がない傑作がたくさんある。その筆頭が‘ヴィーナスとキューピッド’同様心をザワザワさせる‘横たわる泉のニンフ’。10点以上のヴァージョンがあるとされるこの絵はワシントン国立美蔵のものをみたが、回顧展にも出品された。デューラーとの画風の違いでいうと、クラナハで興味深いのは馴染みの画題の背景に風景が描かれていること。‘楽園のアダムとエヴァ’や‘エジプトへの逃避途上の休息’にとても魅了されており、本物をじっくりみてみたい。

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2024.04.14

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ヤン・ファン・エイク ホルバイン(子)

Img_0001_20240414224601   ヤン・ファン・エイクの‘ルッカの聖母子’(1435年 シュテーデル美)

Img_0003_20240414224701   ‘教会の聖母子’(1438~39年 ベルリン国立絵画館)

Img_0004_20240414224701   ‘ボードワン・ド・ラノワの肖像’(1436~38年 ベルリン国立絵画館)

Img_0002_20240414224701  ホルバイン(子)の‘商人ゲオルク・ギーゼ’(1532年 ベルリン国立絵画館)

Img_20240414224701    

‘家族の肖像’(1528年 バーゼル美)

イタリアやフランスにある美術館にくらべると訪問の回数がぐんと落ちるの
がドイツ。そのため、追っかけ絵画のリストをつくるとドイツの美術館にあ
るものが多くなる。訪問の優先度をつけると1位がベルリン国立絵画館、
これにミュンヘンのノイエ・ピナコテーク、フランクフルトのシュテーデル
美が続く。

ベルリンは一度出かけたことがあるが、国立絵画館にはまだ縁がない。ここ
にはビッグネームの傑作がたくさんある。そのひとりがヤン・ファン・エイ
ク(1390~1441)。この画家の美術本(たとえば小学館の‘西洋絵画
の巨匠’)に載っている作品は23点しかない。これまで運よくお目にかかれ
たのは16点。コンプリートに残り7点となった。そのうちベルリンの
絵画館が教会の聖母子’と肖像画‘ボードワン・ド・ラノワ’、‘アルフィルフィ
ーニ’の3点を所蔵している。これにシュテーデル美にある‘ルッカの聖母子’が
加われば、ヤン・ファン・エイクは‘済みマーク’がつけられる。

ルーヴルの‘ロランの聖母子’でファン・エイクとのつきあいがはじまったが、
最初はそれほどのめり込まなかった。ところが、ベルギーで‘ヘントの祭壇画’を
みて、この画家の見方ががらっと変わった。ファン・エイクは別格扱いの
大画家になった!そして、有名な絵を全部みようと思った。そのモチーフ
の精緻な描写を一度みたら、もう虜になる。

ヤン・ファン・エイクの超リアリズムを彷彿とさせる画家がもうひとりいる。ホルバインの子どものほう(1497/98~1543)。みたくてしょうがないのがベルリンの絵画館にある‘商人ゲオルク・ギーゼ’。金属製の容器や金貨、花を活けているガラス瓶の徹底した細密描写に目が点になる。それらについ触りたくなりそう。バーゼル美蔵の画家の妻と子を描いた‘家族の肖像’は生身の人間がすぐ近くにいる感じ。

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2024.04.13

ミューズにとどけ追っかけ絵画! グリューネヴァルト

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   ‘イーデンハイム祭壇画 磔刑’(1512~15年 ウンターリンデン美)

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   ‘キリストの復活’

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   ‘奏楽の天使’

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 ‘聖パウルスを訪れる聖アントニウス(左) 聖アントニウスの誘惑(右)’

スイスで美術館めぐりが実現したとき、ドイツのミュンヘンにも足をのばす
ことを計画しているが、もうひとつ頭にあるのがフランス・アルザス地方の
コルマール。この街になんとしても行きたいのはウンターリンデン美に飾っ
てあるグリューネヴァルト(1470/75~1528)の‘イーデンハイム
祭壇画’がみたいから。

スイスのジュネーブに住んでいた頃手に入れたヨーロッパの地図でみると、
コルマールはバーゼルから北へ65kmくらいのところに位置する。だから、
バーゼル美でお目当ての作品をごそっとみたあと、タクシーを使って行けば
1時間半もあればウンターリンデン美に到着できそう。飛行機に乗ってでか
けるミュンヘンに比べれば気軽にいける。‘イーデンハイム祭壇画’はかつて
コルマールより南、20kmにあるイーデンハイムの教会の主祭壇におかれ
ていたが、フランス革命の騒乱から救われて、18世紀末にコルマールの保
護のため運ばれ、半世紀後出来たばかりのウンターリンデン美に移された。

パリの美術館を別にするとウンターリンデン美はフランスでもっとも多くの
人が訪れる美術館らしい。祭壇画の‘磔刑’の前に立ったら体がフリーズするの
はまちがいない。ワシントン国立美で遭遇した縮小版の‘小磔刑図’により目が
少し慣れているとはいえ、凄惨きわまりないイエスの死の表現は緊張感を
MAXにする。痛々しい荊冠や釘でとめられた足からは血が流れ落ちている
のはあまり長くはみてられない。

ほかでは黄色に輝く色彩が心を晴れやかにする‘キリストの復活’、‘奏楽の天使’、
シュルレアリストのエルンストの画風を彷彿とさせる‘隠修士聖パウルスを訪
れる聖アントニウス’、‘聖アントニウスの誘惑’にも視線が釘付けになる。

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2024.04.12

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ドラクロア ジェリコー

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  ドラクロアの‘天使と戦うヤコブ’(1854~61年 聖スルピス教会)

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   ‘神殿を追われるヘリオドス’(1854~61年 聖スルピス教会)

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  ‘墓場のハムレットとホレーショ’(1839年 ルーヴル美)

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  ‘タンジールの狂信者たち’(1837年 ミネアポリス美)

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  ジェリコーの‘羨望偏執狂’(1822年 リヨン美)

パリの主要な建築物に描かれた壁画で注目しているのは昨日とりあげた
シャヴァンヌのほかにもうひとりいる。あのロマン派の帝王、ドラクロア
(1798~1863)。ルーヴルへ出かけたとき数多くある絵画の傑作の
なかで印象に強く残るのはやはりダ・ヴィンチの‘モナ・リザ’と大展示室に
ドーンと飾られているドラクロアの代表作‘民衆を導く自由の女神’。もし
パリに住んでいたら、この大作にたびたびお目にかかれる。だから、ふと
パリに3ヶ月くらい滞在してみたくなる。

ルーヴルにある絵でまだみてないのは‘墓場のハムレットとホレーショ’。
どういうわけかまだ縁がない。大きな部屋には飾ってなかったので通常は倉
庫の中にある?たまには展示されるのだろうか。コンプリートしたいが、
どうも確信がもてない。そのため、関心はドラクロアが描いたルーヴルの
アポロの回廊の壁画やブルボン宮の王座の間の装飾、そして聖スルピス教会
の礼拝堂の装飾にむかっている。これまでルーヴルやオルセーといった定番
の美術館を徹底的にみようと躍起になっていたから、こういうローマで実現
したような教会巡りに時間がさけなかった。

いずれも楽しみであるが、真っ先にでかけたいのが聖スルピス教会。‘天使と
戦うヤコブ’とか‘神殿を追われるヘリオドス’はドラクロアが得意とする躍動
感のある表現が心を揺すぶる。じっくりながめるとドラクロアの物語性のあ
る作品にどっぷり嵌ってしまうかもしれない。動きのある人物描写ではアメ
リカにある‘タンジールの狂信者たち’にも大変惹かれる。

ドラクロアの兄貴分のジェリコー(1791~1824)については、ルー
ヴルにあるものはだいたい目に入ったので、狙いはリヨン美にある‘羨望偏執
狂’1本に絞っている。果たして、運よく遭遇できるだろうか。

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2024.04.11

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ドンゲン シャヴァンヌ

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  ドンゲンの‘黒い帽子の女’(1908年 エルミタージュ美)

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   ‘赤い踊り子’(1907年 エルミタージュ美)

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   ‘スフィンクス’(1925年 パリ市美)

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   ‘道楽者たち’(20世紀初頭 トロワ近美)

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   シャヴァンヌの‘希望’(1872年 ウォルターズ美)

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    ‘聖ジュヌヴィエーヴ’(1898年 パリ パンテオン)

国内にある美術館へ入館すると作品を見終わったあとは大きな美術館では思
い出を残すため、美術館が作成するガイドブックを購入する。一方海外にで
かけたときは、どこの美術館でもガイド本があればミュージアムショップに
寄ってゲットするのがいつもの習慣。これがあると鑑賞した作品で味わった
感動が甦りその余韻に長く浸れるので、重い荷物になったとしても必ず手に
いれることを決めている。しかし、ときどき残念な思いをひきずるものにな
ることがある。

エルミタージュ美で購入したものをみていて、驚いたことがあった。そこに
本籍地オランダ・ロッテルダム、現住所パリのドンゲン(1877~
1968)のとてもいい絵が2点載っていた。竹久夢二が顔の描き方に刺激
を受けたことを容易に想像させる‘黒い帽子の女’と強烈な赤の衣装が目に焼き
つく‘赤い踊り子’がその絵で一目見て大変魅了された。画家ははじめて聞く
キース・ヴァン・ドンゲン?ぐるぐるまわった展示室でみたという実感がな
い。必見リストに入ってないので‘見れど見ず’状態だったのか、それとも展示
されてなかったのか? 惜しいことをしたという思いがずっと続いている。

エルミタージュと同じことがパリ市美でもあった。このときはフランス語版
の図録には載っていなくてほかの美術本で確認したオーラがバリバリでてい
る女性の肖像画‘スフィンクス’を見逃してしまった。これほど存在感のある
女性が記憶から消えることは考えられないから、おそらく飾られてなかった
のだろう。またパリが楽しめたら、リカバリーしたい。ドンゲンはマティス
がはじめた色彩革命フォーヴィスムのメンバーのひとり。強い色彩の力と動
きの描写で画面に引き寄せられる‘道楽者たち’にも大きな関心をよせている。

19世紀フランスを代表する壁画家と知られるシャヴァンヌ(1824~
1898)は壁画の傑作をパリのパンテオンなどでみたことが一度もない。
これまで縁があったのはオルセーやメトロポリタン、ワシントン国立美、
フィラデルフィア美にあるタブローだけ。たとえば有名な‘貧しき漁師’とか
‘夢’(ともにオルセー)、アメリカのボルチモアの美術館が所蔵する‘希望’に
も遭遇したいが、‘眠れるパリを見守る聖ジュヌヴィエーヴをはじめとする
パリの主要な建築物に描かれた壁画の数々をぐるっとまわってみたい。

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2024.04.10

ミューズにとどけ追っかけ絵画! レーピン クラムスコイ

Img_20240410231301    レーピンの‘ヴォルガの船曳き’(1870~73年 国立ロシア美)

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‘サトコ’(1876年 国立ロシア美)

Img_0002_20240410231301  ‘1581年11月16日のイワン雷帝と息子イワン’(1885年 トレチャコフ美)

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クラムスコイの‘トルストイの肖像’(1873年 トレチャコフ美)

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トロピニンの‘レースを編む女’(1823年 トレチャコフ美)

海外の美術館を訪問したときの感動は特別な思い出として長く心のなかにと
どまる。1999年念願のエルミタージュ美(ロシア・サンクトぺテルブル
グ)が実現した。事前に必見美術品のリストをつくり、それをもとに館内で
の昼食タイムをパスして4時間かけめぐり、お目当ての名画や宮殿の各部屋に施された豪華な調度品や装飾の数々を夢中になってみた。気分がこれほど高揚する美術館はほかにない。

サンクトペテルブルグにはもうひとつ立派な美術館がある。2007年日本
でもそのすばらしい絵画コレクションが公開された(東京都美)。二度目の
エルミタージュがあるときはここも是非訪れようと思ったのはレーピン
(1844~1930)の有名な絵‘ヴォルガの船惹き’が展示されているから。
記憶がだんだん薄れているのだが、日本で一度披露されたという話を聞いたことがあり、レーピンという画家とこの絵がロシア絵画として一番最初にインプットされた。この美術館にはもうひとつ大変惹かれる作品がある。リムスキー・コルサコフのオペラ‘サトコ’と同じタイトルがつけられたディズニー映画を思わせる幻想的な絵。

モスクワの国立トレチャコフ美の入館は当時団体ツアーの名所観光に組み込まれていて、大変いい思いをした。でも、今みたくてしょうがないレーピンの‘1581年11月16日のイワン雷帝とその息子イワン’の前は通らなかった。ミュージアムショップで手に入れた美術館図録にもこの絵は載っていない。普通のツアーだから、強烈なインパクトがありみる者を一瞬でフリーズさせる絵は避けて見ごたえのある作品などを熱心を解説してくれた。

トレチャコフ美の名画も2009年、Bunkamuraにやって来た。目玉の作品はクラムスコイ(1837~1887)の傑作‘忘れえぬ女’。モデルはトルストイの‘アンナ・カレーニナ’。200%感動したこの絵は昨年ビビアン・リーが主演した同名の映画をみたので、いっそう愛着を覚えるようになった。クラムスコイが何度も説得を試みやっと描かせてもらったトルストイの肖像画もみてみたい。また、‘忘れえぬ女’を彷彿とさせるロシア美人を描いたトロピニンの‘レースを編む女’も一見の価値がありそう。

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2024.04.09

ミューズにとどけ追っかけ絵画! アンソール フレデリック

Img_0003_20240409224301   アンソールの‘キリストのブリュッセル入城’(1888年 J.ポール・ゲティ美)

Img_0005_20240409230101    ‘仮面の中の自画像’(1899年 メナード美)

Img_0002_20240409224301   ‘アトリエの中の静物’(1889年 ノイエ・ピナコテーク)

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フレデリックの‘湖ー澱み’(1897~98年 ベルギー王立美)

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‘朝’(1901年)

19世紀ベルギーの前衛芸術をクノップフとともに先導したのがアンソール
(1860~1949)。これまで回顧展には運よく2度めぐり合った。
美術館はたしかはじめて足を運んだ東京都庭園美(2005年)と損保ジャ
パン東郷青児美(2012年)、そしてベルギーの首都ブリュッセルにある
ベルギー王立美でも2点みたので、仮面や骸骨などをモチーフに強烈な色彩
と戯画チックにデフォルメされたフォルムによって生み出される不気味で
怪奇的な世界に目がだいぶ慣れてきた。

アンソールの代表作である‘キリストのブリュッセル入城’はずいぶん前に知っ
た。なにしろ縦2.58m、横4.31mの大きな画面にキリストの存在感
が薄れてしまうほどの大勢の人間が描かれているから、鑑賞欲を強く刺激す
る。でも、この絵があるのはロサンゼルスのJ.ポールゲティ美。まだLA
やサンフランシスコなど人気の街があるアメリカ西海岸には足を踏み入れたことがないから、美術館が心理的に遠い。質の高いコレクションであることは承知しているが、これまでこの美術館の名品展は一度の遭遇したことがない。おそらく、他館に貸し出さないのが内規になっているのだろう。LA訪問の機運は熟しつつあるから、アンソールとの対面は実現するかもしれない。

愛知県の小牧市にあるメナード美が所蔵する‘仮面の中の自画像’は2012年の回顧展のとき、東京では展示されなかったのでいまだに縁がない。これほどみごたえのあるアンソールが日本にあるのだからなんとかしたい。思いを叶えたいのはミュンヘンのノイエ・ピナコテーク蔵の‘アトリエの中の静物’も同じ。どの絵も赤や黄色、緑、青が強い磁力線を放っておりすごく惹きこまれる。

フレデリック(1856~1940)もブリュッセル生まれのベルギー人。この画家の作品はびっくりするほど多くの人物が画面に詰め込まれているのが特徴。しかも丹念な筆づかいで精緻に描写されいるので、思わず‘うぁー!’と声がでるほど圧倒される。狙っているのは白鳥と裸の幼児たちがいっぱい登場する‘湖ー澱み’。どういうわけかベルギー王立美には2回とも飾ってなかった。そして、‘朝’にも魅了される。

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2024.04.08

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ココシュカ ノルデ

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  ココシュカの‘風の花嫁’(1914年 バーゼル美)

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  ‘聖女ヴェロニカ’(1911年 ブダぺスト美)

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  ‘ダン・デュ・メディ山’(1919~20年)

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  ノルデの‘仮面とダリア’(1919年 ノルデ美)

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   ‘海B’(1930年 テートモダン)

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   ‘失楽園’(1921年 ノルデ美)

音楽が耳で聴いて楽しむのに対し、絵画は目で見て楽しい気分や深い感動が
生まれてくる。だから、本物であろうと図版であろうと視覚体験がベースな
ので、これを数多く積み重ねることにより絵を存分に楽しんだという気分が
だんだん強くなっていく。本好きにとって読書が欠かせないように、美術本
や図録を毎日眺めているのが今やお決まりのルーテイン。名画や気になる絵
がすぐ思い浮かぶように、My図録を時間をかけてつくり、本棚にある美術本
についても記憶が薄くならないように定期的にぱらぽら頁をめくっている。

どの図録や本にお気に入りの画家や作品が載っているかは回顧展にまだ縁が
ない画家のほうがモネやゴッホなどよりクリアな記憶が保たれている。たと
えば、ココシュカ(1886~1890)なら代表作の‘風の花嫁’はすぐでて
くる。作品ファイルが少ないから当たり前の話ではあるが、本物をみてなく
ても図版を何度もみているのでもう対面したような感じ。この絵があるのは
スイスのバーゼル美。ジュネーヴに住んでいた頃はまだ美術鑑賞は名所観光
でルーヴルへ行く人と変わりなかったので、ここにもチューリヒ美にも行っ
ていない。だが、今やバーゼル美は必見リストに載る作品が一番多い美術館
になったので気がはやる。

2003年に訪問したブダぺスト美では刺激的な‘聖女ヴェロニカ’をみる予定
だったが、どういうわけか飾られてなかった。2回目の中欧旅行はなさそう
だから、夢のままに終わりそう。ココシュカは注目のまとは人物画だが、
風景画にもなかなかいいのがある。個人蔵の‘ダン・デュ・ミディ山’はとても
気になる一枚。

ゴッホのような強い色彩が印象的な作風となっているノルデ(1867~
1956)は過去に行われたドイツの美術館の自慢のコレクションが公開され
たとき、お目にかかる機会がよくあった。当面のターゲットはアンソールを
彷彿とさせる‘仮面とダリア’とロンドンのテートモダンで縁がなかった‘海面B’、
この海景画は一級品。そして漫画チックな‘失楽園’も見逃せない。

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2024.04.07

ミューズにとどけ追っかけ絵画! フォーゲラー ルンゲ

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フォーゲラーの‘夢Ⅱ’(1912年 ゲルマン国立美)

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 ‘春’(1897年)

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ルンゲの‘朝’(1807年 ハンブルク市美)

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‘エジプト逃避途上の休息’(1805~06年 ハンブルク市美)

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‘ヒュルゼンベック家の子どもたち’(1806年 ハンブルク市美)

日本で開かれる西洋絵画関連の展覧会は海外の美術館が所蔵する名画を軸
に構成されるものと人気のある画家にスポットをあてた回顧展が大半を占め
る。もうひとつテーマをつくってそれにあう作品を集めてくるものもあるが、
この場合昨年の‘キュビスム展’のようにポンピドゥーのコレクションをベー
スにして企画されることが多い。もっとも楽しいのは回顧展だが、絵画の幅
を広げるのに役立つのは美術館名品展。たとえば、昨年はドイツの美術館が
久々に登場し、ケルンのルートヴィヒ美とベルリン国立ベルクグリューン美
のコレクションが披露された。

こういう機会にめぐりあったとき、もしかしたら出品されているかなと密か
に期待しているのが、名前は知っているが鑑賞した作品がとても少ないドイ
ツの画家。ブレーメン生まれのハインリヒ・フォーゲラー(1872~
1942)もそのひとり。美術本で知った‘夢Ⅱ’はみたくてしょうがない絵の
リストの第一列に並んでいる。イギリスのラファエロ前派を連想させるが、
装飾性に満ちメルヘンチックな作風は目に心地いい。この絵を所蔵している
のはロマンティック街道の街、ローテンブルクから東にそう遠くないところ
にあるニュルンベルクのゲルマン国立美。旅心をゆすぶられる。

白樺の林が印象深く横向きに立つ美しい女性に魅了される‘春’も大変惹かれ
る。フォーゲラーの芸術を民藝運動の柳宗悦(1889~1961)は讃え
‘愛と春の画家’と呼んでいた。そして、雑誌‘白樺’の表紙絵にでてくる白樺の
図案は柳の依頼でフォーゲラーによってつくられた。こういう話があるから、フォーゲラーの本物に数多く遭遇したいと思っているが、なかなかそのチャンスがめぐって来ない。これまでドイツはイタリアやスペインのように数多く出かけてないから、気分を変えてヨーロッパ旅行での優先順位をあげたほうがいいかもしれない。

以前よくみていたNHKの美術番組に‘世界の美術館巡り’いうのがあり、北ドイツのハンブルクの市立美術館がとりあげられた。スイスに住んでいたときクルマでハノーファーまではクルマを走らせたが、ブレーメンやハンブルクは縁がなかった。ハンブルク美市が所蔵する作品で画家の存在を知ったのがフィリップ・オットー・ルンゲ(1777~1870)。イタリアの宗教絵画を思い起こさせる‘朝’や‘エジプト逃避途上の休息’に視線が釘付けになった。そして、‘ヒュルゼンベック家の子どもたち’では肩の力がすっとぬけた。この美術館にはルンゲと同時代を生きたフリードリヒの有名な絵もある。いつか日本で名品展を開催してくれたら嬉しいが、果たして。東京都美とかBunkamuraに期待したい。 

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2024.04.06

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ヒュースリ

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‘夢魔’(1781年 ゲーテ博)

Img_0003_20240406225801   ‘驢馬の頭を愛撫するタイタニア’(1793~94年 チューリヒ美)

Img_0001_20240406225701   ‘ケートの狂気’(1806~07年 ゲーテ博)

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‘魔法の指輪を見つけるタイタニア’(1804~05年 チューリヒ美)

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‘息子をののしるオイディプス’(1786年 ワシントン国立美)

ここ数年映画を楽しんでいる時間が長くなった。現在DVDが380本くら
いたまり、まだ観てないものを連続的にみる週を意識的につくっている。ジャンルとしてはサスペンスや刑事物のように夢中になってみるものがある一方で、あまりみないのもある。それはホラー映画。‘ミザリー’や‘シャイニング’は手元にもっておくつもりで購入したが、恐怖の余韻が尾をひき観たあと売却した。だから、今あるのはエドガー・アラン・ポー原作の‘アッシャー家の末裔’だけ。

西洋絵画にもホラー映画を連想させるものがある。すぐ思い浮かぶのは
ブレイク(1757~1827)。‘羊たちの沈黙’にブレイクの絵が出てく
るので、この画家はいつも緊張してみるようになった。ほかにはベックリーン
やシュトゥックもかなり怖くて不気味。そして、もうひとりいる。本籍スイス、現住所イギリスのヨハン・ハインリヒ・ヒュースリ(1741~1825)。生まれたのはチューリヒで父親は画家だった。はじめは聖職者をこころざしていたが、やがて画家に転向し、24歳のときロンドンに渡り以後の生涯はイギリスで過ごした。当時の画壇の大御所レノルズに画才を認められ、ロイヤル・アカデミーのメンバーにも選ばれている。

ブレイクにも影響を与えたヒュースリは生まれながらの幻想画家で恐怖、絶望、不安、苦痛などをモチーフにしてイギリス絵画に新風を吹き込んだ。これまでお目にかかった作品はきわめて少ない。はじめてみた‘短剣を奪い取るマクベス夫人’(テート美)ですぐ頭をよぎったのはブレイク、そのあと縁があったのは‘タイタニア’と‘羊飼いの夢’(ともにテート美)。これだけではヒュースリはまだまだ遠い存在。

怖いもの見たさの気分があり、本物をいつかこの目でと願うのはホラー映画とちがって、少しは長くみれるという思いがあるから。でも、恐怖度MAXの‘夢魔’の前では思わず後ずさりすることになるかもしれない。同じくフランクフルトのゲーテ博にある‘ケートの狂気’も怖いし、‘驢馬の頭を愛撫するタイタニア’では下でうごめくブレイクの絵にでてくるような怪人に足がすくむ感じ。これらに比べれば‘海辺で魔法の指輪を見つけるタイタニア’やワシントン国立美ではまったく姿をみせてくれない‘息子をののしるオイディプス’は心はザワザワするものの画面のなかに入れそう。   

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2024.04.05

ミューズにとどけ追っかけ絵画! マーティン ライト・オブ・ダービー

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マーティンの‘忘却の水を探すサダク’(1812年 サウサンプトン市美)

Img_0001_20240405225501    ‘ケルトの吟遊詩人’(1817年 レイング・アート・ギャラリー)

Img_20240405225501   ‘エジプトの7番目の呪い’(1823年 ボストン美)

Img_0004_20240405225501  ライト・オブ・ダービーの‘サンタンジェロ城の花火’(1775年 バーミンガム市美)

Img_0003_20240405225501   ‘空気ポンプの実験’(1768年 ナショナル・ギャラリー)

Img_0005_20240405225501   ‘鍛冶場の仕事場’(1771年 イェール英国美術センター)

昨年の夏、国立新美で開催された‘テート美術展’には過去に披露された作品に
はほとんど含まれていなかったイギリスの画家が登場した。マーティン
(1789~1854)とライト・オブ・ダービー(1734~1797)。
イギリスでは有名な画家でも、日本では馴染みがないから二人がヴェスヴィ
オ山の噴火という同じテーマで描いた壮大な作品を息を呑んでみた人が多く
いたにちがいない。

崇高な世界を描いたマーティンの絵の本物をみたのはほんの数点。大きな衝撃
を受けたのはテートブリテンに飾ってあった縦1.96m、横3.02mの大画
面に描かれた‘神の怒りの日’。この絵に一発でKOされてしまい、ほかの作品
をもっと見たいと強く思うようになった。でも、鑑賞の機会は限られていて
テートでもう1点、ワシントン国立美で1点お目にかかっただけ。だから、
国立新美で2点でてきたときはつい‘マーティンがあるの!’と唸ってしまった。

作品の数をもっと増やさないとその崇高で神秘に満ちた表現の凄さに近づけな
いので、イギリスの美術館をいろいろまわることを夢見ている。当面のターゲ
ットは燃えさかる炎に目が釘付けになる‘忘却の水を探すサダク’と‘ケルトの吟遊詩人’。アメリカではボストン美に何度行っても遭遇しない‘エジプトの7番目の呪い’。こんなインパクトのある絵をどうして展示しないのだろう。

ライト・オブ・ダービーにはマーティンがこの画家を意識したのではないかと思わせる作品がある。日本で披露されたヴェスヴィオ山の噴火もそうだが、‘サンタンジェロ城の花火’のすさまじい炎が大音響とともに飛散する光景。バーミンガム市美はすでにラファエロ前派の追っかけ画を登録しているから訪問する計画になっている。ライト・オブ・ダービーのイメージで先行していたのはラ・トゥールの光の表現を彷彿とさせる夜景画。ただし、描かれているのは実験部屋とか鍛冶屋、鉄工場。狙っているのはナショナルギャラリーでなぜかみたという実感がない‘空気ポンプの実験’とアメリアにある‘鍛冶場の仕事場’。

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2024.04.04

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ミレイ ウォーターハウス

Img_0001_20240404225801   ミレイの‘シャボン玉’(1886年 ユニリーバ)

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‘メヌエット’(1886年 エルトン・ホール・コレクション)

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‘落葉’(1856年 マンチェスター市美)

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ウォーターハウスの‘シャロットの女’(1916年)

Img_0004_20240404225801    

‘オフィーリア’(1894年 プレラファエライト・トラスト)

イギリスのラファエロ前派に焦点をあてた展覧会はこれまで国内ではいろい
ろな美術館で開催された。ざっとあげてみると西洋美、Bunkamura 、
森アーツセンターギャラリー、三菱一号館美。このほかにもテート美名品展
としては東京都美や国立新美でも行われたから、ここでもラファエロ前派
を楽しむことができた。図録を並べてみるとイギリスへ出かけなくとも、
こうした機会を見逃さなければロセッティ、ミレイ、バーン=ジョーンズな
どの名画がかなりの数みれることがわかる。日本はたいした美術大国だから、
西洋絵画が好きになれば鑑賞の楽しみは頻繁に生まれてくるといっても過言
ではない。

2008年、渋谷のBunkamuraでミレイ(1829~1896)の回顧展が
開かれ、主要作品がずらっと飾られた。この美術館は期待する画家によく応
えてくれるので高い満足度がずっと続いている。美術館との相性がいいこと
は夢をみれることだから、こういう美術館がいくつもあると絵画の楽しみは
尽きない。出品作に可愛い女の子の絵がいくつもあった。そして、図録に
参考作品として大変惹かれる子どもの絵が2点掲載されていた。男の子
の‘シャボン玉’と女の子の‘メヌエット’。子ども絵のトップランクにしている
のがこの‘シャボン玉’。モデルはミレイの孫でのちに海軍大将になったという。
この絵は大人気を博し、石鹸の広告にも使われた。いつか本物をみてみたい。

もう1点狙っているのはマンチェスター市美にある‘落葉’。描かれている少女たちの顔の表情はどこか沈んでいる。山のように積み上がった落葉を燃やしており煙がでている。綺麗な子たちなのにそこに流れている空気は味気なくその違和感が気になる。マンチェスター市美にはロセッティの‘アスタルテ・シリアカ’などもみれるので気がはやる。

ミレイの20年後に生まれたジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849~1917)はミレイとは違った表現で‘オフィーリア’を制作した。気がふれたオフィーリアの感じがでており、物語性のある画面に引き込まれる。ウォーターハウスの代表作‘シャロットの女’は以前テート・ギャラリーと呼ばれていた頃お目にかかり、200%心を奪われた。当時は‘アーサー王の物語’はよく知らなかったが、今は映画をみたりテニスン詩集を読んだので絵にぐんと入っていける。3つヴァージョンがある‘シャロットの女’のうち最後の1916年に描かれたものに関心を寄せている。

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2024.04.03

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ホイッスラー サージェント

Img_20240403230101   ホイッスラーの‘黒と金のノクターン:落下する花火’(1875年 デトロイト美)

Img_0001_20240403230101   ‘ピアノ’(1858~59年 タフト美)

Img_0002_20240403230101   ‘リリアン・ウォークス嬢’(1890~91年 フィリップス・コレクション)

Img_0003_20240403230101   サージェントの‘レディ―・アグニュー’(1892~93年 スコットランド国立美)

Img_0004_20240403230201    ‘滝、トロニア邸(1907年 シカゴ美)

好きな美術館は思い出に残る展覧会をみたのがきっかけとなって生まれるこ
とが多い。横浜美の場合、大好きなゴッホ展に巡りあい好感度が一気に高ま
った。そして、この10年のスパンでみると拍手を送りたくなるような画家
の回顧展を2つも開催してくれた。2014年のホイッスラー(1834~
1903)と2016年のメアリー・カサット(1844~1926)。
ともに日本ではじめて開かれる本格的な回顧展だった。

本籍アメリカ、現住所イギリスのロンドンといったイメージのあるホイッスラーとのつきあいは日本で披露されたテート美のコレクションではじまり、そのあとはNYのメトロポリタンやワシントンのフリーア美などに出かけることにより画家の距離を少しずつ縮めていった。そして、仕上げの大イベントが横浜の回顧展。おかげでジャポニスム全開の‘時磁器の国のプリンセス バラ色と銀’(フリーア美)や‘白のシンフォニーNo.2&No.3’とお目にかかることができた。

主要な作品に運よくかなり会えたので満足度は相当高いが、みたい作品はまだまだある。その筆頭が作品の評価をめぐって裁判沙汰にまでなった‘黒と赤のノクターン:落下する花火’。この絵を所蔵しているのはアメリカのデトロイト美。一見すると抽象画風だから,絵の前ではどんな気分になるだろうか。ボストン近郊に生まれ画家だから、アメリカのいろいろな美術館がもっている。気になっているのはシンシナティのタフト美にある‘ピアノ’とワシントンのフィリップス・コレクション蔵の‘リリアン・ウォークス嬢’。

ホイッスラー同様、アメリカ人のサージェント(ボストン生まれ 1856~1925)は肖像画の名手でパリやロンドンの社交界では人気の高い画家だった。日本で回顧展が開かれるのを待ち望んでいるが、まだ実現しない。METとボストン美にいい絵がたくさんあるのでこれらを軸にしたサージェント展を夢見ている。そのとき、スコットランド国立美から‘レデイ―・アグニュー’、シカゴ美から‘滝、トロニア邸’が出品されたら理想的。帆は高く掲げたい。あとはいい風は吹いてくれるようミューズに祈るばかり。

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2024.04.02

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ターナー コンスタブル

Img_20240402224401    ターナーの‘吹雪’(1842年 テート美)

Img_0001_20240402224401   ‘吹雪ー アルプスを越えるハンニバルのその軍勢’(1812年 テート美)

Img_0002_20240402224401      ‘海上の漁師’(1796年 テート美)

Img_0003_20240402224401    

コンスタブルの‘跳ねる馬’(1826年 ロイヤル・アカデミー)

Img_0004_20240402224401    ’ブライトンの浜‘(19世紀 ヴィクトリア&アルバート美)

Img_0005_20240402224401  

 ‘コルオートン・ホールのレノルズ記念碑’(1833~36年 ナショナル・ギャラリー)

ロンドンにある美術館で日本との相性がいいのは質の高い浮世絵をよく里帰
りさせてくれる大英博物館、過去3回自慢の印象派のコレクションを披露し
てくれたコート―ルド美、そして定期的に名画の数々を出品してくれるテー
ト美。テートは昨年国立新美でブレイクやターナー、モネ、カンディンスキ
ー、現代アートなど多彩な作品により目を楽しませてくれた。

現在、テートのもっている絵画はテートブリテンとテートモダンでみること
ができるが、昔はテートブリテンのところに全部あり‘テートギャラリー’と呼
ばれていた。今の展示スタイルになってからブリテンのほうは2度足を運ん
だ。そのため専用の展示室がつくられているターナー(1775~1851)
は主要作品はだいぶ目の中に入った。そして、これに2013年、東京都美
で開催された‘ターナー展’や昨年のテート美展に飾られた作品が加わる。これ
により現地で購入した美術館製作の分厚いターナー本に掲載されている作品
はかなりの数が‘済みマーク’つきになった。

ところが、もっともみたい絵がどういうわけかずっと縁がない。それは有名
な‘吹雪’と‘吹雪ーアルプスを越えるハンニバルとその軍勢’。代表作の‘雨、蒸
気、スピードーグレート・ウエスタン鉄道’(ナショナルギャラリー)に感激
したのだから、‘吹雪’2点ともお目にかからないとターナー物語が完結しない。
‘海上の漁師’も加えてどうか願いを叶えて下さい、ミューズ様!である。

コンスタブル(1776~1837)は2021年三菱一号館美で開催された
回顧展に巡りあったので、その画風が目にぐんと馴染んできた。当面の一番の
ターゲットは以前訪問したロイヤル・アカデミーで修復中のため思いの丈を実
現できなかった‘跳ねる馬’。次がヴィクトリア&アルバート美でお目にかか
れなかった‘ブライトンの浜’。この絵はケネス・クラークの本に載っていたか
らなんとしても遭遇したい。ナショナルギャラリーでみたという実感がない
‘コルオートン・ホールのレノルズ記念碑’も期待の絵。

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2024.04.01

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ゲインズバラ レイトン

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ゲインズバラの‘デボンシャー公爵夫人ジョルジアーナ’(1787年頃)

Img_0001_20240401224301   ‘ブルーボーイ ジョナサン・バトールの肖像’(1770年 ハンティントン美)

Img_0003_20240401224301  ‘ジェイムズ・クリスティーの肖像’(1778年 J・ポール・ゲティ美)

Img_0004_20240401224301   レイトンの‘音楽の稽古’(1877年 ギルドホール・アート・ギャラリー)

Img_0002_20240401224301     ‘燃える6月’(1895年 プエルトリコ  ポンセ美)

一目見て惹かれる絵はいろいろなきっかけで遭遇する。その多くは美術館で
開かれる展覧会、これは本物にお目にかかれるから強く印象に残る。そして、
TVで放送される美術番組でも名画は登場するし、書店に足を運べば美術本を
手に入れることもできる。イギリスの画家、ゲインズバラ(1727~
1788)が絶世の美女を描いた‘デボンシャー公爵夫人ジョルジアーナ’を知
ったのはNHKの迷宮美術館という人気番組だった。

3年前から名作といわれる古い映画をたくさんみているが、このジョルジア
ーナの美貌はあの有名なイングリッド・バーグマンとかグレイス・ケリーを
思い起こさせるほどとびぬけている。だから、一度でいいからお目にかかり
たい。所蔵しているのはデボンシャー公爵家となっているが、公開されてい
るのだろうか?イギリスへ行く機会ができたら事前にチェックするつもり。

アメリカのサンマリノの美術館にある‘ブルーボーイ ジョナサン・バトール
の肖像’もすごくカッコいい少年貴族に仕上がっている。ここより入館の可能
性の高いJ・ポール・ゲティ美(ロサンゼルス)で関心を寄せているのが‘ジェ
イムズ・クリスティ―の肖像’。この人物はサザビーズと並ぶ世界的な美術品
競売会社クリスティーズの創立者。ゲインズバラが競売店の隣に住んでいた
のが縁でこの肖像画が描かれた。

ロンドンで美術館巡りすることがまたあったら、バッキンガム宮殿王室コレ
クションの一枚であるフェルメールの‘音楽の稽古’との遭遇を強く願っている
が、とにかく展示の情報は入念に調べておかないとこの願いは叶わない。
一方、絵のタイトルが同じレイトン(1830~1896)の絵はギルドホ
ール・アート・ギャラリーに出かければみられそう。プエルトリコのポンセ
美にある‘燃える6月’はこれからも図版で楽しむほかないが、ロンドンではレ
イトンを一番のターゲットにしている。

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