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2024.02.29

東博 ‘中尊寺金色堂’!

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  中尊寺金色堂 国宝‘阿弥陀如来坐像’、‘観音・勢至菩薩像’(12世紀)

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    国宝‘六地蔵菩薩立像’(12世紀)

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    国宝‘金銅華鬘’(12世紀)

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   国宝‘金光明最勝王経宝塔曼荼羅図’(12世紀)

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   国宝‘紺地金銀字交書一切経’(12世紀)

東博の賑わいは平成館の‘光悦展’だけでなく本館の正面特別5室で開かれてい
る‘中尊寺金色堂’も大勢の人が押し寄せていた。そのため、入館に20分くら
いかかった。この混雑は予想してなかったが、あの金色に輝く金色堂の国宝
仏像がどどっと東京にやって來るのだから誰しも出かけようかとなる。事前
に織り込むべきだった。

中尊寺を訪問したのはもうずいぶん前のことなので、金色堂の中央壇に安置
されている‘阿弥陀如来坐像’など11体の大きさに抱いていたイメージと実際
が違っていた。現地でみたときの記憶はもっと大きな仏像。でも、よく考え
てみると金色堂自体が一辺約5.5mの小堂なのだから、大きな像であるは
ずがない。気分を鎮めて‘阿弥陀如来坐像’、‘観音・勢至菩薩立像’、‘六地蔵菩
薩立像’、‘持国天立像’、‘増長天立像’をじっくりみた。

日本仏像展とか国宝展でお目にかかる堂内具のなかでとりわけ視線を釘付け
にするのが‘金銅華鬘’。相対する人頭身鳥の迦陵頻伽(かりょうびんが)に
大変惹かれる。こういう人と鳥を合体させた生き物はどういうことがヒント
になって誕生したのだろうか。この金細工の出来栄えの良さにいつも目が点
になる。

2014年東博で開催された日本国宝展に出品された‘金光明最勝王経宝塔曼
荼羅図’はじっくりみていると、この宝塔が仰天のアイデアで描かれているこ
とに気づく。なんと経典の文字で形づくっているのである。この発想は真に
驚かされる。そして、紺地に金字と銀字で交互に書写された‘一切経’も定番の
経典。あまり大きくない部屋に国宝がここにもあそこにもあるというのは有
難い。また出かけるかもしれない。

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2024.02.28

2度目の‘光悦展’!

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  ‘短刀 銘 兼氏 金象嵌 花形見’(17世紀)

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  ‘芦舟蒔絵硯箱’(重文 17世紀 東博)

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  ‘伝松平伊豆守旧蔵謡本 舟橋’(17世紀 法政大鴻山文庫)

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  ‘蓮下絵百人一首和歌巻断簡’(17世紀)

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  ‘白楽茶碗 銘 白狐‘(17世紀 藤田美)

東博で開催されている‘本阿弥光悦の大宇宙’(~3/10)にまた足を運んだ。
館内は予想以上の観客で活気にあふれていたが、この人気はうっかりしてい
て見逃した日曜美術館で紹介されたのが効いているのだろう。事前に出品
リストをチェックし、会期後半の2/14以降に飾られる作品に焦点を絞って
光悦ワールドにたっぷり浸ることにした。そのため、前回みた‘短刀 銘 兼氏
 金象嵌 花形見’などすばらしい出来栄えの短刀はさらっとみて、どんどん
進んだ。

展示の目玉のひとつは蒔絵の名品。東博にはたくさんあるが‘芦舟蒔絵硯箱’に
思わず足が止まった。舟は例によって鉛板で表現されている。光悦がこの
意匠の参考にしたのが‘西本願寺三十六人家集’(国宝)の料紙絵の図様。天才
は天才に学ぶとはこのこと。入ってすぐ迎えてくれる国宝‘舟橋蒔絵硯箱’が頭
にこびりついているので‘伝松平伊豆守旧蔵謡本 舟橋’に敏感に反応しつい長
くみてしまう。

展示の最後のひとつ前のところに書と絵画がコラボする作品がずらっと並ん
でいる。個人コレクターが所蔵する‘蓮下絵百人一首和歌巻断簡’は2/27~
3/10までの展示。運よく鑑賞のタイミングがマッチしたが、はじめてみた
かもしれない。ささっと描かれた感じの蓮のイメージがとても爽やか。大き
な収穫だった。

名品揃いでうならせる楽茶碗のコーナーで2/20~3/10まで披露される
‘白楽茶碗 銘 白狐’が目に入った。じつはこの茶碗をみたくてまた出動した
のである。大阪の藤田美に光悦の白茶碗があることはこの回顧展で知った。
これまで光悦の楽茶碗に関心を寄せ続けているのでこれは見逃せないピース。
お陰で光悦の主要なやきものはコンプリートしたような気がする。ミューズ
に感謝!

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2024.02.27

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ムンク

Img_0002_20240227231901    ‘太陽’(1909~16年 オスロ大)

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オスロ大学 アウラ講堂 ‘太陽’(正面) ‘歴史’(左) ‘母校’(右)

Img_0006_20240227231901   ‘妹インゲルの肖像’(1884年 オスロ国立美)

Img_0001_20240227231901   ‘オースゴールストランの通り’(1902年 ベルゲン ラスムス・メイエル・コレクション)

Img_0004_20240227231901   ‘カール・ヨハン通りの軍楽隊’(1889年 チューリヒ美)

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‘窓辺の自画像’(1940年頃 ムンク美)

2018年念願だった北欧旅行が実現し、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの名所観光とお目当てだったゴーギャン、マティス、そしてムンクの名画を存分に楽しんだ。絵画でとくに思い入れが強かったのはムンク(1863~1944)の代表作‘叫び’。美術本には必ず載っているこの名画をオスロ国立美でみるのが長年の夢だったので、絵の前に立ったときは感慨深かった。

この海外旅行の2年後に予想もしなかった新型コロナウイルスがでてきて世界中に感染が広まり多くの人々の命が奪われた。本当に世の中何が起こるかわからない。もし北欧行きをこのタイミングで計画していたら、ムンクの絵との出会いはさらにのびていたかもしれない。つくづく‘思い立ったが吉日’だなと思う。

ムンクをオスロまででかけてたくさん鑑賞したのだから、コンプリートに近いところまで追っかけてみようという気になっている。一番の狙いははじめてのオスロのため時間のやりくりができず諦めたオスロ大学の講堂に描かれている大作‘太陽’、‘歴史’、‘母校’。ムンクはこの3作をメインとする11枚の壁画を7年の歳月をかけて53歳のとき完成させた。‘叫び’と同様に‘最高の瞬間’が味わえそう。

ほかで関心を寄せているのは美術本で知ったがオスロ国立美には飾られてなかった‘妹インゲルの肖像’、可愛い女の子とその姿を夢中になってみている男の子たちが描かれた‘オースゴールストランの通り’、チューリヒ美にある構図のつくり方にとても惹かれる‘カールヨハン通りの軍楽隊’。そして、日本にたびたびやって來るオスロ市ムンク美のコレクションでまだ姿を見せてくれてない‘窓辺の自画像’も魅了されている。

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2024.02.26

ミューズにとどけ追っかけ絵画! キスリング

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  ‘ジャン・コクトー’(1916年 ジュネーヴ プティ・パレ美)

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  ‘キキの半身像’(1927年 ジュネーヴ プティ・パレ美)

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   ‘ルビンシュタイン、妻、子ども’(1942年)

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   ‘オランダの娘’(1928年 北海道立近美)

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   ‘マルセル・シュタインの肖像’(1935年 名古屋市美)

画家の評価は存在を知ったときからずっと高いまま思い入れが深まっていく
ことがある一方で、はじめはさらっとみていたのに回顧展に巡り合ったのを
きっかけに、画家のイメージがプラスの方向に大きく上昇しそれ以降軽くみ
れなくなるケースもある。エコール・ド・パリ(パリ派)のキスリング
(1891~1953)は後者の画家のひとり。2007年、横浜そごうで
スイスのジュネーヴにあるプティ・パレ美蔵の作品で構成されたキスリング
展に遭遇した。それまで、キスリングとのつきあいは単発的な鑑賞にとどま
り、大変惹かれる花の絵などにより作風はインプットされるものの、気持ち
がキスリングにぐっとむかうことはなかった。

その見方がこの回顧展で一気に変わった。若い頃住んでいたジュネーヴの
美術館にこれほどたくさんのキスリングがあったとは! 魅了される人物画
や風景画、花の絵にぐぐっと引き込まれたが、ほかの美術本に載っていて目
にとまった作品がいくつかこのとき出品されなかった。その絵が‘ジャン
・コクトー’と‘キキの半身像’。懐かしいジュネーブを再訪することがあった
ら、場所はイメージできるプティ・パレに寄ってみるつもり。

キスリングは1941年アメリカに亡命し、翌年旧知の間柄だった有名な
ピアニストで同じポーランド出身のルビンシュタインとハリウッドで再会し
た。そのとき描かれたのが‘アルトゥール・ルビンシュタイン、ネーラ、彼ら
の子ポールとエヴァ’。個人蔵だが、本物をみてみたい。明快な色調により
家族の絆の強さが表現されている。

2019年2度目の回顧展(東京都庭園美)に足を運んだとき、プティ・
パレ、パリ市近美など海外からやって来た作品と同じくらい質の高いキスリ
ングが日本の美術館にもいっぱいあることがわかった。たとえば、北海道立
美、名古屋市美、松岡美、ギャルリーためなが,サトエ記念21世紀美、
熊本県美、、、残念ながら東京では出品されなかった‘オランダの娘’と‘マル
セル・シュタインの肖像’はリカバリーを強く願っている。

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2024.02.25

ミューズにとどけ追っかけ絵画! モディリアーニ

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   ‘黒いネクタイの女’(1917年)

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   ‘ポンパドゥール夫人’(1915年 シカゴ美)

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   ‘新郎新婦’(1915年 MoMA)

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 ‘ジャンヌ・エビュテルヌ 芸術家の妻’(1918年 ノートン・サイモン財団)

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   ‘テーブルに肘をついて座る男’(1918年)

日本の美術館で頻繁に回顧展が開催される近現代絵画の画家はピカソ、ゴッ
ホ、モネ。ほかの画家は美術本に載っているほど有名であっても、2度回顧
展に遭遇するにはだいぶ時間がかかる。たとえば、モディリアーニ
(1884~1920)は2008年、名古屋市美に足を運んだ後、次の大
イベントまで14年かかり2022年ようやく大阪中之島美に再度名画の数
々が結集した。

絵画情報をつかむために展覧会の図録や市販されている画家本を購入すると、
主要な作品がおおよそインプットされる。ここで大事なのは気になる作品を
どこの美術館あるいは個人のコレクター所蔵しているかという情報。もし
、個人蔵の場合は鑑賞の可能性はゼロに限りなく近い。モディの‘黒いネクタ
イの女’はパリの個人がもっている。絵の存在を知って以来長く魅了され続け
ているが、ずっと図版だけで我慢している。そして、セザンヌの‘カード遊び
をする人々’を彷彿とさせる‘テーブルに肘をついて座る男’もみたくてしょう
がない絵だが、これもジュネーブ在住のコレクターのもとにある。

鑑賞を再チャレンジしようと思っているのはシカゴ美にある‘ポンパドゥール
夫人’とMoMA蔵の‘新郎新婦’。ともに1915年に描かれている。2008
年念願のシカゴ美を訪問したとき、ビッシリ書き込んだ必見リストのなかに
当然モディも入っていた。でも、姿をみせれくれなかった。日本で開催され
たシカゴ美名品展で‘ネックレスの女’は運よくお目にかかれたのに2連勝は
ならなかった。こういうこともある。これまで4回でかけたMoMAでは
なぜか‘新郎新婦’に縁がない。手元のモディ本2冊に載っている作品に会え
ないとがっくり気落ちする。

モディの妻、ジャンヌの絵はまだ数点残っているが当面のターゲットはパサ
ディナのノートンサイモン財団にあるもの。アメリカ西海岸旅行が実現した
ら、ここが所蔵するモディとアンリ・ルソーのジャングル画と対面できること
を祈っている。

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2024.02.24

ミューズにとどけ追っかけ絵画! クールベ

Img_0002_20240224224901    ‘チェッーをする人々‘(1844年 アドルフォ・ハウザー・コレクション)

Img_0001_20240224224901    ‘麦をふるう女’(1855年 ナント美)

Img_0003_20240224224901   ‘ハンモック’(1844年 オスカー・ラインハルト・コレクション)

Img_20240224224901    ‘ボート遊び’(1865年 村内美)

Img_0004_20240224224901   ‘レマン湖の日没’(1876年頃 サン=ギャラン美)

画家との距離は美術館で回顧展に巡り合うと一気に縮まるが、その画家の物
語を詳細に記述してくれる美術本を読むとかなり思い入れが深くなる。
クールベ(1819~1879)は岩波書店の‘世界の美術’シリーズに入っ
ているクールベ本(2004年)により画業全般についての理解が進んだ。
さらに、幸運だったのは2008年の1月パリへ行ったとき、グラン・パレ
で開かれていた大回顧展に遭遇したこと。大混雑のため2時間も並んだが、
この想定外の鑑賞は一生の思い出である。

ここではすぐ近くのオルセーが所蔵する代表作‘オルナンの埋葬、歴史
画’や‘画家のアトリエ’をはじめとする主要作品が世界中の美術館から集結し
ていた。そのため、岩波本に載っている作品には数多く‘済みマーク’がつい
た。こういうことがおこるとクールベはコンプリートに一歩も二歩も近づき
たくなる。一番のターゲットにしている‘チェッカーをする人々’は二人の笑顔
がじつにいい。遊びを心底楽しんでいるのがストレートに伝わってくる。

人々の日常の生活が生感覚でとらえられた‘麦をふるう女’、‘ハンモック’は
画面に動きがあり吸い込まれていく。クールベの風俗画は仕事や休息の一コマに時間の流れを感じさせるのが並みの画家とは違うところ。日本の村内美蔵の‘ボート遊び’は今もここにあるのだろうか、ひょっとすると大回顧展に出品された‘樫の木’同様、クールベの故郷オルナンにあるクールベ美に移った?

クールベは人物画、静物画、風景画、いずれも高いレベルで作品を完成させる。風景画ではジュネーブに住んでいたとき出かけたシオン城の絵とパリでお目にかかれたが、亡くなる3年くらい前に描かれた‘レマン湖の日没’に大変魅せられている。果たして、出会えるだろうか。

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2024.02.23

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ルオー

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   ‘老いた王’(1937年 カーネギー協会)

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   ‘ピエロの頭部’(1948年 ボストン美)

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   ‘小人’(1937年 シカゴ美)

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   ‘三人の裁判官’(1913年 MoMA)

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   ‘カルメンチータ’(1947年)

美術館へ出かけて多くの西洋絵画をみようと決めて、まず行ったのが手ごろ
な値段で販売されている画家の美術書の購入。すでに出版されている画家シ
リーズをこれまで4種類せっせと集めた。これにより有名な画家はだいたい
揃った。そして、美術本に掲載されている作品の追っかけがはじまった。

本がでるほど名の知れている画家だから、長い時間かけて鑑賞体験を重ねて
いると多くの主要作品が‘済みマーク’になると期待して内外の美術館に足を
運んでいる。だが、何事も思った通りには行かないもの。作品を所蔵す
る美術館へでかけたのに、どういうわけか展示されてなく残念な思いをした
ことが何度もある。その最たる画家がルオー(1871~1958)。

日本でルオーといえば出光美とパナソニック汐留美が所蔵する質の高いコレ
クション有名。汐留では頻繁にルオー展があり、パリのポンピドゥーなどが
所蔵するいい絵が数多く披露され、目を楽しませてもらっている。その度
購入する図録はもう4冊にもなる。これに対し、アメリカの美術館巡りでは
ルオーとの相性はとても悪い。美術本で知り鑑賞を強く望んでいる‘老いた王’
については、所蔵するのがピッツバーグのカーネギー協会だから、本物との
出会いの可能性が低いのは仕方がないものの、ボストン美にある‘ピエロの頭
部’は3度訪問したのに一度も姿を現してくれないのは一体どうして?という
感じ。アメリカ人にはルオーは人気がないから、展示しないのだろうか。
これは2008年に出かけたシカゴ美でも同じ。画面いっぱいに描かれた丸
顔が印象的な‘小人’はどこにも飾られてなかった。

NYのMoMAにはルオーが2点あり、美術館の図録に載っている‘キリストの
捕縛’はみれたが、‘三人の裁判官’はまだ縁がない。それぞれの美術館には展示
方針があるのだろうが、総じてルオー好きでないと思えてしょうがない。
ヨーロッパにある作品で対面を夢見ているのはミラノのマッティオーリ蔵の
‘カルメンチータ’。2018年、汐留にやって来た‘ヴェロニカ‘(ポンピドゥー)
と同様に、魅了され続けている。

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2024.02.22

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ゴヤ

Img_20240222225601   ‘黒衣のアルバ女侯爵’(1797年 アメリカ・ヒスパニック協会)

Img_0002_20240222225601    ‘フェルナンド7世’(1814年 サンタンデル市美)

Img_0001_20240222225701    ‘アリエータ医師とともにいるゴヤ’(1820年 ミネアポリス美)

Img_0003_20240222225701    ‘マリア・テレサ・デ・ボルボン’(1783年 ワシントン国立美)

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‘三枚の鮭の切り身のある静物’(1808~12年 オスカー・ラインハルト・コレクション)

ヨーロッパやアメリカで美術館巡りをするときは出かけた人気の観光都市で
美術全般を頭に入れて動くことが多いが、ときどき画家を絞って忙しくまわ
ることもある。スペインのマドリードでは一度、ゴヤ(1746~1828
)の名画をずっと追いかけたことがあった。その成果は大きく、ゴヤ本に載
っている作品に次々と‘済みマーク’がついた。

有名な美術館にあるゴヤの絵はプラド美を筆頭にロンドンのナショナル・ギ
ャラリー、ルーヴル、NYのメトロポリタンとフリック・コレクション、
ワシントン国立美などで運よくお目にかかることができた。今、気になって
いるのはアメリカに3点ある。‘黒衣のアルバ女侯爵’は昔からみたくてしょ
うがない絵のひとつだが、所蔵しているNYにあるアメリカ・ヒスパニック協
会に足を運ぶと鑑賞できるのか、そのあたりの情報が皆無。協会のある建物
にどーんと飾ってあれば気軽に楽しめるが、ただもっているだけで非公開だと永遠に縁がなさそう。

ミネアポリス美にある瀕死の病に倒れた73歳のときの自分を描いた‘アリエ
ータ医師とともにいるゴヤ’に心を揺さぶられ続けている。広いアメリカで東
海岸や西海岸の主要都市とは違う内陸部の都市まで足をのばすとなると、
準備や段取りに相当なエネルギーがいる。さて、その機会が訪れるか。ワシ
ントン国立美には若い頃の薬師丸ひろ子を思い出させる‘サバ―テ・ガルシア’
という名画があるが、可愛い少女を描いた‘マリア・テレサ・デ・ボルボン’と
の対面はまだ果たせてない。

スペイン全土でみると、みたい絵はたくさん残っている。あくの強いフェルナンド7世の肖像画が鑑賞欲を強く刺激するのはマドリードの王立サン・フェルナンド美術アカデミーで遭遇した‘オレンジ戦争司令官としてのゴドイ’とどこか同じ雰囲気に包まれているから。こういうのは一度みると内面まで深く表現されているので、ずっと記憶に残りそう。あるTVの美術番組で知った‘三枚の鮭の切り身のある静物’はスイスで美術館をまわったとき、オスカー・ラインハルト・コレクションでのお楽しみの一枚になる。ダリがパンの精緻な絵を描いたのはひょっとするとゴヤのこの絵を意識したから?

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2024.02.21

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ベラスケス

Img_20240221225101    ‘セビーリャの水売り‘(1619~20年頃 ウェリントン美)

Img_0005_20240221225201  ‘キリスト教の魂によって見つめられるキリスト’(1628年頃 ナショナル・ギャラリー)

Img_0002_20240221225101    ‘聖母の戴冠’(1645年頃 プラド美)

Img_0003_20240221225101    ‘アラクネ’(1648年頃 メドウズ美)

Img_0001_20240221225101    ‘縫い物をする女性’(1640年頃 ワシントン国立美)

2年前、ベラスケス(1599~1660)の追っかけで大きな前進があった。東京都美で開催された‘スコットランド国立美 美の巨匠たち’に待ち続けた‘卵を料理する老婆’が目玉の絵として出品されたのである。イギリスの北、エディンバラに旅するのは大変だから、これほど運がいいことはない。この若きベラスケスの傑作をみたら、次のターゲットが同じようにカラヴァッジョの描き方を連想させる‘セビーリャの水売り’になるのは自然の流れ。

この絵の情報は2018年、テレ東の‘美の巨人たち’がとりあげてくれたおかげでたくさん入ってきた。絵が飾ってあるのはバッキンガム宮殿とハイドパークのちょうど中間のところにあるアプスリー・ハウス(ウェリントン美)。大きく横向きで描かれた水売りの男の姿に存在感があるが、目が点にあるのが素焼きの壺の表面についた水滴のリアルな描写。まるでカラヴァッジョの果物の絵をみているよう。ベラスケスは24歳の若さで宮廷画家になる前、ボデゴン(静物画)で腕を磨いていた。ウェリントン侯爵のベラスケスコレクションはこの絵のほかにもいい絵があるので、ロンドンをまた訪問することがあったら真っ先に出かけることにしている。‘キリスト教の魂によって見つめられるキリスト’はまだナショナル・ギャラリーで縁がないが、あの‘鏡のヴィーナス’の隣に展示してあるだろうか。

ベラスケスはプラド美の要であり、ベラスケス作と判明している作品約120点のうち50点がここに所蔵されている。美術館の図録には有名な‘ラス・メニーナス’をはじめとする26点が載っており、これまで運よく全部みることができた。美術本で知り鑑賞欲を刺激される‘聖母の戴冠’はいつもは倉庫の中かもしれないが、なんとしても本物と対面したい。

ベラスケスが描く国王やマルガリータ以外の肖像画は脚色無しの感が強く、しかも近代的。これに大変魅了される。たとえば、アメリカのダラスの美術館にある‘アラクネ’やワシントン国立美蔵の‘縫い物をする女性’はマネとかドガの女性画をみているような感じ。こういう近代絵画を思わせる表現が印象派のマネたちの心を強くとらえたのだろう。

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2024.02.20

‘大倉集古館の春~新春の寿ぎ、春を待つ~’!

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Img_0003_20240220230001    横山大観の‘夜桜’(1929年)

Img_0001_20240220230101    小林古径の‘木菟図’(1929年)

Img_20240220230101    尾形光琳・乾山の‘銹絵寿老図六角皿’(重文 17世紀)

Img_0005_20240220230101    ‘長生殿蒔絵手箱’(重文 13~14世紀)

美術館を一日で4,5館まわるときはそのなかに作品をさらとみれるこじっ
まりとした美術館を入れると忙しさが多少薄められる。今回は大倉集古館に
した。ここでは現在‘大倉集古館の春~新春の寿ぎ、春を待つ~’(1/23~
3/24)が開かれている。

館内を改修し新しくなったからは確か2度目。前回何を見るために出かけた
のはよく覚えてなかったが、2階に上がって目玉の絵となっている横山大観
(1868~1958)の‘夜桜’の前に立ったとき、これを久しぶりにみる
ためのここへやって来た記憶がうっすらもどってきた。そして、連鎖的にそ
のとき横で中国人夫妻がじっと眺めていたことも思い出した。家に帰って鑑賞
メモをみると2020年の9月だった。‘夜桜’をみるのは5度目くらいかも
しれない。いつみても気分がハイになる。燃え盛る篝火のパチパチという音
が聞こえてくるようだった。

小林古径(1883~1957)の‘木莬図’(みみずくず)に会うのは何年ぶりだろう。2005年にあった大回顧展(東近美)でお目にかかって以来か、あるいはローマで開催された日本美術展(1930年)への出品つながりで2020年のとき‘夜桜’と一緒に並んでいたか。そのことはさておき、この木菟は品格のある見事な花鳥画である。古径の描く鳥は静謐な情趣のなかでしっかり生命力が感じられるところがすごい。

尾形光琳(1658~1716)、尾形乾山(1663~1743)の合作により生まれた‘銹絵寿老図六角皿’は不思議な縁だった。出光美でみた池大雅の描いた寿老人とまた出会った。この企画展のチラシは手元にあったが、乾山焼の六角皿は載ってなかったので突然お宝を道で見つけたような気分である。ユーモラスの寿老人を生き生きとした姿でみせる光琳の筆さばきにほとほと感心させられる。2度目の対面となった鎌倉時代につくられた‘長生殿蒔絵手箱’は蒔絵によって扇を華麗に散らす装飾表現が琳派の光琳らとも響きあう。すばらしい!

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2024.02.19

待望の‘池大雅展’(出光美)!

Img_20240219223701    国宝の‘楼閣山水図屏風’(18世紀 東博)

Img_0001_20240219223701    ‘餘杭幽勝図屏風’(18世紀)

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Img_0002_20240219223701    ‘柳下童子図屏風’(重文 18世紀 京都府)

Img_0003_20240219223701    ‘浅間山真景図’(18世紀)

Img_0004_20240219223701    ‘寿老四季山水図’(1761年 出光美)

今年開催される日本画関連の特別展で大きな期待を寄せていた‘池大雅展’をみ
るため、出光美へ足を運んだ。文人画を大成した池大雅(1723~
1776)の回顧展に遭遇するのはこれが3度目。出光にはこれまで数えき
れないほどでかけたので、ここが大雅の絵をいっぱいもっていることはイン
プットされている。だから、生誕300年を記念して主要作品をずらっと並
べるのは即納得だが、果たしてどのくらい集めてくるのか。

今回は展示替えを見逃さなければ全部で40点がみられる。130点が出品
された京博で行われた大回顧展(2018年)には数では叶わないが、国宝
や重文に指定されている主要作品がたくさん揃っているので、大雅を存分に
楽しめる。2011年、ニューオータニ美であった回顧展では重量級が13
点だったから、東京でこれほど多くの大雅がみれるのはひとつの‘事件’といっ
ていい。流石、出光である。

国宝は東博でお馴染みの‘楼閣山水図屏風’(2/10~25)と‘十便十宜図’
(大雅が十便図で蕪村が十宜図、会期中に展示替え)。これは嬉しい展示、
大好きな‘十便図’はなかなかみれないから、また出かけるかもしれない。チラ
シをみて京博のとき出品されてない作品が気になっていた。それはなんと90
年ぶりに展示されるという‘餘杭幽勝図屏風’(通期展示)。時間をかけて堪能した。みてのお楽しみ!

‘浅間山真景図’は俯瞰の視点で描かれた風景は中国の黄山の幽玄的な雲の情景を彷彿とさせる。何度みても惹かれる。大雅に魅了されているのは人懐っこい丸顔で描かれた老人や子供が登場するから。‘十便図’同様、心底好きな‘柳下童子図屏風’では橋の中央で二人の男の子が楽しそうに遊んでいる。本当に可愛い!出光蔵の‘寿老四季山水図’でも頭が異様に大きな寿老人につい口もとが緩む。

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2024.02.18

2度目の‘ウスター美蔵 印象派’展!

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    モネの‘睡蓮’(1908年)

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   シニャックの‘ゴルフ・ジュアン’(1896年)

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   ピサロの‘ルーアンのラクロワ島’(1883年)

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   コローの‘ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所’(1865~70年)

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   クールベの‘女と猫’(1864年)

東京都美で開催中の‘ウスター美蔵 印象派 モネからアメリカへ’(1/27
~4/7)をまたみてきた。お目当ては今度もモネ(1840~1926)
の‘睡蓮’。太鼓橋と睡蓮が描かれたものやオランジュリー美術館にある大作
の睡蓮シリーズを横において、正方形のキャンバスに同じような構図で描か
れた睡蓮の絵でこれまで心を大きくゆすぶられたのは2点あった。国内の
美術館が所蔵するものではアサヒビール大山崎山荘美にある‘睡蓮’
(1914~17年)、そして、海外ではマルモッタン美でお目にかかった
黄色で彩られた‘睡蓮の池’(1917~19年)。今回、アメリカからやっ
て来たウスター美蔵の‘睡蓮’はそれ以上に魅了されている。嬉しくてたまら
ない!

この美しい睡蓮の絵にばかり関心が向きがちだけれども、ほかにも思わず足
がとまる作品が多く出品されている。前回選んだアメリカの画家に加えお馴
染みのフランスの画家もずらっと並び‘印象派‘モードを盛りあげている。
色彩の強さに思わずのけぞりそうになるのがシニャック(1863~
1935)の点描法で描かれた‘ゴルフ・ジュアン’。似たようなシニャックは
いろいろ遭遇したが、これが一番光を感じる。

印象派の兄貴格的な存在であるピサロ(1830~1903)の‘ルーアンの
ラクロワ島’は構図はすごくいいのでつい長くみてしまう。アメリカの美術館
でみたピサロではメトロポリタン蔵の‘ポントワーズのジャレの丘’に次いで惹
かれた。コロー(1796~1875)はアメリカのブランド美術館をまわ
るといい絵にでくわす。メトロポリタン、フリック・コレクション、ワシン
トン国立美、ボストン。そして、日本で公開されたクラークコレクションに
いい絵があった。ウスター美もその例に漏れず‘ヴィル=ダヴレーの牧歌的な
場所ー湖畔の釣り人’を披露してくれた。

クールベ(1819~1877)の‘女と猫’で視線が釘付けになったのは猫の
毛の白さ、これほど白が輝いている猫はお目にかかったことがない。オルセ
ーに横向きに座った裸婦が白の毛の犬としゃべっている絵があるが、クール
ベはこれを意識して白のインパクトを目いっぱい強めたのかもしれない。

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2024.02.17

国立新美の‘マティス展’に乾杯!

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   ‘花と果実’(1952~53年 ニース市マティス美)

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   ‘上祭服のマケット’(1950~52年 マティス美)

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   ‘クレオールの踊り子’(1950年 マティス美)

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   ‘パペーテータヒチ’(1935年 マティス美)

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   ‘ザクロのある静物’(1947年 マティス美)

2/14から国立新美ではじまった‘マティス 自由なフォルム’(~5/27)
をみてきた。昨年春と今年、2年連続でマティスが大当たり。しかも作品の
質はともに上々だから、つくづく日本は美術大国だなと思う。今回の目玉は
切り紙絵の大作‘花と果実’。これを所蔵するニース市マティス美からほかの
切り紙絵と一緒に大挙日本へ特別出張してくれた。すばらしい!

縦4m、横8mの大画面に明るい色彩でシンプルに意匠化された花びらが繰
り返し描かれている。よくみるとまんなかあたりではこのリズムがやぶれ、
そこに果実が自由に飛び回っている。楽しい気分になるのは昨年お目にかか
ったホックニーの大作と同じ。こんな切り紙絵の傑作を日本でみられるなん
て幸せである。

昨年の大回顧展でも南フランスのヴァンスに建てられたロザリオ礼拝堂の室
内装飾を味わせてくれる作品がでていたが、今回はさらに演出がグレードア
ップして、広い会場の一角に礼拝堂を体感できる空間ができていた。これは
見事。そして、上祭服のためのマケット(ひな型)がずらずらっと飾ってあ
る。そのなかで目を引いたのが緑の地に黒と黄色で描かれた模様。そのなか
に‘花と果実’にでてくる花のフォルムも使われている。思わず足がとまった。

切り紙絵を存分に楽しめる作品構成が気分をハイにしてくれるが、初見の
ものでいいのがあった。‘クレオールの踊り子’。これはコペンハーゲン国立
美にある‘ズルマ’(2018年に訪問したが展示されてなかった)と同じ年
に描かれた作品。これまで美術本に載ってなかったので、大収穫だった。
また、‘パペーテータヒチ’と‘赤の室内、青いテーブルの上の静物’を連想させ
る‘ザクロのある静物’にも大変魅了された。マティスに乾杯!  

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2024.02.15

ミューズにとどけ追っかけ絵画! デルヴォー エルンスト

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   デルヴォーの‘人魚の村’(1942年 シカゴ美)

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   ‘月の位相’(1939年 MoMA)

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 エルンストの‘聖アントニウスの誘惑’(1945年 ヴィルヘルム=レームブルック美)

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    ‘ソフトの世界’(1965年)

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    ‘大アルベルトゥス’(1957年 メニル・コレクション)

ベルギーの首都ブリュッセルでの観光は美味しいチョコレートやムール貝
を食べるのとベルギー王立美へ行くのが団体ツアーの定番。だから、絵画
が好きな方は王立美でブリューゲルやルーベンスの絵に感動すること請け
合いである。そして、近現代アートも充実したコレクションに目が釘付
けになる。そのど真ん中にいるのがともにベルギーで生まれたマグリット
(1898~1967)とデルヴォー(1897~1994)。本館のす
ぐ横にあるマグリット美が2009年にオープンするまでは2人の絵は
専用の部屋にどどっと飾られていた。

デルヴォーは王立美を訪問した上、日本でも2012年府中市美で回顧展
に遭遇したので、鑑賞した作品はだいぶ多くなったが、大回顧展にまだ巡
り合ってないため満足度では半分といったところ。狙いを定めているのは
アメリカの美術館が所蔵している作品。ひとつがシカゴ美にある‘人魚の村’。
2008年に訪問したとき、マグリットの暖炉から列車が飛び出してくる
‘貫かれた時間’はみたのだが、どういうわけかデルヴォーの絵は姿を現して
くれなかった。美術館が製作した分厚い図録(英語版)にはシュルレアリ
スム絵画として掲載されているのはマグリットとマッタ。好みにもよる
がマッタよりデルヴォーのほうがいいと思うのだが、ベルギー2人となる
のを避けたのだろう。NYのMoMAにある‘月の位相’とも相性が悪い。アメ
リアで嬉しい対面が叶ったのは2015年メトロポリタンでみた‘セイレー
ン’のみ。諦めず追っかけるしかない。

手元にあるマックス・エルンスト(1891~1976)の美術本にすご
く鑑賞欲を刺激する絵が載っている。ドイツのデュイスブルクにある美術
館が所蔵する‘聖アントニウスの誘惑’は怪奇的な生き物がたくさん登場する
ボスの絵をすぐ連想させる。ボスとシュルレアリストたちが根っこのとこ
ろでつながっている感じ。これまでみてきたエルンストのイメージはこう
した怪人や奇妙な生き物と湿気をいっぱい含んだ苔で埋め尽くされている
森の風景によってつくられている。

でも、エルンストにはそれとはまったく異なるはっとさせるシャープさと
抽象的な美を感じさせる作品もある。それは個人蔵の‘ソフトの世界’とア
メリカ・ヒューストンのメニル・コレクションにある‘大アルベルトゥス’。
ともに絵の前に立つと‘最高の瞬間!’を体験するような気がする。

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2024.02.14

ミューズにとどけ追っかけ絵画! マグリット

Img_0002_20240214225601    ‘初日’(1943年)

Img_0001_20240214225601    ‘魔法使い(4本腕の自画像)’(1952年)

Img_0003_20240214225601    ‘心の琴線’(1960年)

Img_0004_20240214225601    ‘ユークリッドの散歩’(1955年 ミネアポリス美)

Img_20240214225601   

 ‘解放者’(1947年 ロサンゼルス郡美)

仕事以外で好きなことを長く続けていると、その楽しさがだんだん体に沁み
込んでくる。何を元気の源にするかは人それぞれだが、小さい頃から読書や
美術が好きというのはまわりにそう多くはいない。多くの子供はスポーツを
観戦したりやったり、またTVでアイドルの音楽を聴いたりして楽しい時間
をすごす。大相撲は小学生のころからずっとみているから、今も2ヶ月ごと
に6回行われる本場所をTV桟敷でみるのが大きな楽しみになっている。
これに比べると美術鑑賞は30代になってからはじめたので、趣味として
の時間のかけ方は20年くらい少ない。でも、美術に長くのめりこんでいる
のは間違いない。

その長さを実感させてくれるのは関心のある画家、彫刻家、陶芸家などの回
顧展に遭遇する回数。1回目、2回目とだんだん積み重なってくるといい作
品を楽しめる幸せを腹の底から噛みしめるようになる。大好きなマグリット
(1898~1967)のシュルレアリスムに溢れる絵画をたくさんみる機
会は運よく2回あった。ブリュッセルのベルギー王立美で満喫したマグリッ
ト・コレクション(2005年、2011年)と2015年、国立新美で開催
された大回顧展。3回目はもうないかもしれないが、狙いの作品に絞ってまだ
まだ追いかけるつもり。

マグリットに惹かれるのはダリのように深層心理や幻覚的な夢の世界に気分が引きずられなくても意表をつくシュールな表現を気軽に楽しめるから。そういう点からぐっときているのはルノワールの絵をみているような‘初日’と発想がとてもわかりやすい‘魔法使い(4本腕の自画像)’。そして、こんな巨大なパブリックアートがあったら爽快だろうな思う‘心の琴線’。

多くのマグリット作品は‘シュルレアリスムをあまり難しく考えないでね。私の表現したことは日常生活のなかで感じることはたまにあるでしょう’と言われて、そうだなと思うこともあるから安心して向き合える。その一方で、数は少ないがかなり凝ったシュールさが表出された絵もある。風景とキャンバスの絵がダブっている‘ユークリッドの散歩’と謎に満ちた秘密の記号のようにみえる鍵、パイプなどがでてくる‘解放者’。いずれもアメリカの美術館にあるが、‘解放者’はロサンゼルス郡美の所蔵なので鑑賞の可能性はある。スイスのあとはサンフランシスコとLAの美術館巡りを実現させたい。

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2024.02.13

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ミロ

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  ‘アルルカンのカーニバル’(1924~25年 オルブライト・ノックス・アート・ギャラリー)

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  ‘夜と朝の雨にうたうナイチンゲール’(1940年 ぺリス・ギャラリー)

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  ‘恋人たちに未知の世界を明かす美しい鳥’(1941年 MoMA)

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  ‘1750年のミルズ夫人の肖像’(1929年 MoMA)

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  ‘逆立ちする人物’(1949年 バーゼル美)

ミロ(1893~1983)の明るい色彩を使って描かれた漫画チックな人
物や生き物、そして線と丸などにより構成された記号的な抽象表現にとりつ
かれたお陰でシュルレアリスム絵画にのめり込んでいった。だから、シュル
レアリストのなかではミロの回顧展へ出かけることが一番多い。そのなかで
ビッグなイベントだったのが1990年に訪問したバルセロナのミロ美と
2002年運よく巡りあった大規模な回顧展(世田谷美)。

ミロの楽しい絵がどどっと集結し心をふるわせる回顧展だったが、残念でな
らないことがあった。アメリカから出品された‘アルルカンのカーニバル’が
東京には展示されず次の巡回先での公開となったこと。バッファローにある
オルブライト・ノックス・アート・ギャラリーは一度日本でマティスなどの
所蔵作品が披露されたので、その質の高いコレクションは知っていたからな
おさら悔いが残る。リカバリーはあるだろうか。

23点からなる連作‘星座’に魅了されつづけているが、これまでみたのは
ミロ美で遭遇した‘朝の星’のみ。図版で確認したほかの作品は8点。どれも
惹かれるがNYにあるぺリス・ギャラリーが所蔵する‘夜と朝にうたうナイチ
ンゲール’とMoMAにある‘恋人たちに未知の世界を明かす美しい鳥’に望み
をかけている。何度か足を運んだMoMAなのに一度もミロの星座シリーズ
は展示されてなかった。それが気になる。通常は飾らないのだろうか。

そして、MoMAでは1929年に描かれた赤や黄色、緑の組み合わせが気
分をウキウキさせる‘1750年のミルズ夫人の肖像’もまだ縁がない。ヨー
ロッパではミロ美のほかにマドリードのソフィア王妃芸術センターとパリの
ポンピドゥーでも目を楽しませてくれるが、狙っているのはバーゼル美にあ
る‘逆立ちする人物’。これはスイス美術館巡りの必見リストにしっかり入れて
いる。

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2024.02.12

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ダリ

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   ‘聖アントワーヌの誘惑’(1946年 ベルギー王立美)

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   ‘十字架の聖ヨハネのキリスト’(1951年 グラスゴー美)

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   ‘眠り’(1937年 ボイマンス美)

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  ‘水に映る白鳥が象になる’(1937年)

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   ‘セックス・アピールの亡霊’(1932年 ガラ=サルバドール財団)

シュルレアリストで心をとらえて離さないビッグ3はミロ、ダリ、マグリッ
ト。回顧展が開催される回数が多いのはこの順番。ダリ(1904~1989)
については2006年と2016年に行われた大規模な回顧展が強く印象に
残っている。この間隔なら2026年にまたあるかもしれない。そのときの
出品作は勝手な妄想によって決まっている。

対面を一番待ち望んでいるのが‘聖アントワーヌの誘惑’。所蔵しているベルギ
ー王立美(ブリュッセル)を2度訪問したのに、その都度運が悪くお目にか
かれなかった。手に握りしめた必見リストの第一列に載せていたのでガック
リ、ベルギー・オランダ旅行は優先順位がぐっと下がっているため、果たし
て会えるかどうか。

ダリの画風が古典画に回帰した感じが強い‘十字架の聖ヨハネのキリスト’が飾
られているのはイギリス北部の都市グラスゴー。この絵は‘聖アントワーヌ’
同様、なんとしてもみたいという思いが強い。ダリがこういう意表を突く視点
から宗教画を描いたというのが本当にすごい。オランダのロッテルダムにある
ボイマンス美が所蔵する‘眠り’も鑑賞欲を刺激する。まゆげ、鼻、唇が痛そう。

夢にでてくる世界という感じがするのが‘水に映る白鳥が象になる’と小品の
‘セックス・アピールの亡霊’。ダブルイメージやダリの小さい頃の感情が詰まっ
た作品なのでいつかお目にかかりたい。夢は叶えられるか。

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2024.02.11

ミューズにとどけ追っかけ絵画! スーラ シニャック

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  スーラの‘ル・クロトワの眺め、上流’(1889年 デトロイト美)

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  ‘ポール=タン=ベサンの橋と波止場’(1888年 ミネアポリス美)

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  ‘エッフェル塔’(1889年 サンフランシスコ美)

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  シニャックの‘フェリックス・フェネオンの肖像’(1890~91年 MoMA)

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   ‘婦人帽子屋’(1885~86年 ビュールレ・コレクション)

西洋絵画の本をたくさん集めているのはどこの美術館で名画が展示されてい
るか知るため。これをもとにこれまで海外の美術館を巡る旅を続けてきた。
そのなかで普通の訪問とは違う特別な鑑賞体験だったという思いが強いのが
シカゴ美。ここにあるスーラ(1859~1891)の点描法で描かれた
最高傑作‘グランド・ジャット島の日曜日の午後’は所有者の遺言により門外
不出となっている絵。だから、シカゴに足を運ばないとみれない。シカゴ美
にはスーラのほかにもホッパー、モネ、カイユボットなど魅了される名画が
数多くあるから、大きく膨らんだ感動袋は質の高いコレクションによって
もたらされたものだが、そのど真ん中にあったのがスーラ。なんだか、
大仕事をしたような気分だった。

まだ縁がないスーラで狙っている作品は皆アメリカの美術館にある。お目に
かかれる可能性が高い順にあげると、サンフランシスコ美にある‘エッフェル
塔’、‘ル・クロトワの眺め、上流’(デトロイト美)、‘ポール=タン=ベッサ
ンの橋と波止場’(ミネアポリス美)。アメリカの観光旅行で機がだんだん熟
しているのが西海岸。サンフランシスコではスーラとマティスに突進するこ
とにしている。

美術本に載っている作品はかなりの数、アメリカの美術館におさまっている。
シカゴを筆頭にNYではメトロポリタンとMoMAをまわると運が良ければ
5点遭遇できる。そして、フィラデルフィアのバーンズコレクション、ワシ
ントン国立美にそれぞれ2点、中部のインディアナポリスにも1点ある。
全部は無理だが一点でも多くみたい。

先週みた東京都美の‘ウスター美展’で目の覚める色彩が印象的なシニャック
(1863~1935)の絵に200%驚かされた。で、シニャックの点描
にも追っかけの火がついた。狙っているのはMoMAにあるマジックのような
絵‘フェリックス・フェネオンの肖像’とスイスで会えるかもしれないビュール
レ・コレクションの‘婦人帽子屋’。

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2024.02.10

サントリー美の‘大名茶人 織田有楽斎’!

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    ‘大井戸茶碗 有楽井戸’(朝鮮王朝16世紀 東博)

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   ‘唐物文琳茶入 銘 玉垣’(南宋12~13世紀 遠山記念館)

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   ‘緑釉四足壺’(重文 平安9世紀 慈照院)

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   狩野山楽の‘蓮鷺図襖’(江戸17世紀 正伝永源院)

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  仁阿弥道八の‘御本立鶴写茶碗’(江戸19世紀 正伝永源院)

久しぶりに東京ミッドタウンにあるサントリー美へでかけ、開催中の
‘大名茶人 織田有楽斎’(1/31~3/24)をみてきた。織田信長の弟、
織田有楽斎(おだうらくさい 1547~1621)は国宝の茶室‘如庵’を建
てた人物としてインプットされているが、どんな茶人だったのかはほとんど
知らない。だから、この特別展は関心が高く昨年春行われた京都文化博物館
のあと東京に巡回するのをしっかりチェックしていた。

東博で馴染みのある‘大井戸茶碗 有楽井戸’はいい井戸茶碗がどんと並ぶと
きは欠かせないワンピース。織田有楽斎が所持していたことから‘有楽井戸’の
名前がついている。茶入では初見の‘唐物文琳茶入 銘 玉垣’と‘唐物肩衝茶入
 銘 残月’を長くみていた。茶入は小さいのにきりっと主張している形と
茶褐色の美がお気に入りで魅了され続けている。

今回の大収穫は慈照院蔵の‘緑釉四足壺’。一度みると忘れられないのが器面か
らとびでた足のフォルム。こんな強いインパクトをもった壺はみたことがない。
重文に指定されているのは即納得。そして、狩野山楽の絵が出てきたことも
想定外の喜び。正伝永源院にある‘蓮鷺図襖’を息を呑んでみていた。これは山楽
の美術本に載ってないので夢中になった。

2014年、サントリーで開かれた‘仁阿弥道八展’のデジャブがおこったのが、
再会した‘御本立鶴文茶碗’。今回も写しの元となった‘御本立鶴水指’と一緒に
出品されていた。後期(2/28~3/24)に長谷川等伯の山水画や国宝の
‘短刀 無銘 貞宗’が登場するのでまた出かけることになるかもしれない。

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2024.02.08

‘ウスター美術館展’にモネの絶品‘睡蓮’が登場!

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モネの‘睡蓮’(1908年)

Img_0003_20240208222801    コールの‘アルノ川の眺望、フィレンツェ近郊’(1837年)

Img_0002_20240208222801    ホーマーの‘冬の海岸’(1892年)

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カサットの‘裸の赤ん坊を抱くレーヌ・ルフェーヴル’(1902~03年)

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サージェントの‘キャサリン・チェイス・プラット’(1890年)

現在、東京都美でアメリカのウスター美が所蔵する作品を軸によって構成さ
れた特別展‘印象派 モネからアメリカへ’(1/27~4/7)が開催されてい
る。印象派に対する不動の高い人気を反映して会場には大勢の人が集まって
いた。とくに目立ったのが若い中国の男女。昨年の秋から先月末まで行って
いた上野の森美の‘モネ 連作の情景’でも多くの中国人をみたが、西洋絵画好
きの中国の人たちは日本の美術館の展覧会情報をチェックし注目されている
特別展は足を運んでいるのかもしれない。

お目当ては日本で一度も披露されたことのないモネ(1840~1926)
の‘睡蓮’。気品を感じさせるとても美しい睡蓮である。これとよく似た絵がた
とえば、ポーラやアーティゾンにあるが、軍配はこちらに上がる。ミューズ、
そして東京都美に感謝! 睡蓮が好きな方はお見逃しなく。

モネが予想を大きく上回る感動をくれたから、あとは気軽にみるつもりだった
が、アメリカの美術館らしい嬉しい作品が連続して現れた。まずびっくりした
のがハドソン・リヴァー派のトマス・コール(1801~1848)の‘アルノ
川の眺望、フィレンツェ近郊’、そしてホーマー(11836~1910)の
お得意の波の絵‘冬の海岸’も展示されていた。なんだか、メトロポリタンやワシ
ントン国立美やボストン美にいるような感じになってきた。

さらにカサット(1844~1926)の‘裸の赤ん坊を抱くレーヌ・ルフェー
ヴル’とサージェント(1856~1925)の女性の肖像画‘キャサリン・チェ
イス・プラット’も日本へ特別出張してくれた。とくにカサットの母子像にぐっ
と惹きこまれた。2016年横浜美であった回顧展にこの絵が出品されなかっ
たから大収穫だった。

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2024.02.07

2度目の‘鳥文斎栄之展’!

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   ‘貴婦人の船遊び’(1792~93年頃 ボストン美)

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   ‘青楼万歳俄 七月盆おどり’(1791年 江戸東博)

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   ‘名所盃合 高輪’(1794年頃 太田記念美)

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    ‘弓矢を持つ美人’(1788~89年 山口県萩美・浦上記念館)

千葉市美で開催されている‘鳥文斎栄之展’の後期展示(2/6~3/3)を早速み
てきた。千葉への出動がこんなに機敏なのは世界で初めてとなる回顧展に強
く惹きつけられているから。お楽しみのど真ん中にあるのが横に長いワイド
スクリーンに描かれた作品。このスタイルは鳥居清長(1752~1815)
の独壇場と思っていたが、そうではなかった。鳥文斎栄之(1756~
1829)もまた清長と双子かと錯覚するくらいこのワイド画に傑作を連発
しているのである。すばらしい!

会期中出ずっぱりの‘貴婦人の船遊び’を再度長くみていた。この絵が飾ってあ
る部屋では後期にワイド画は全部で8点みられる。これは圧巻!内訳はボス
トン美蔵が‘貴婦人’を含めて4点、大英博、千葉市美、サントリー、東博の
ものが各1点。今、浮世絵好きの知人、友人にこの回顧展を推薦しまくって
いる。

動きのある絵では前期の‘茶屋娘見立雁金五人男’よりさらにスピード感がある
‘青楼万歳俄 七月盆おどり’に思わず足がとまった。つられて踊りたくなる
気分。まるで洛中洛外図の踊りの場面をみているよう。これに対し、‘弓矢を
持つ美人’は緊張感がみなぎる前、肩をほぐすためにちょっと軽口をたたいて
いるところを想像させる。‘前回は全然ダメだったけど、今日は上手く当てる
からね’とかなんとか言っているのだろうか。

‘名所盃合 高輪’はじっとみていると目が点になった。ここにはじつにシュー
ルな表現がある。掛け軸から船に見立てた赤い盃が3つ飛び出してきており、
上では盃が朝日となり立体的に表現されている。鳥文斎がこんな意表をつく
おもしろい絵を描いてたとは、真にすごい絵師である。 

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2024.02.06

ウィーン 極上の美術館巡り!

Img_0001_20240206225401     ウィーン美術史美術館

Img_20240206225401    チェッリーニの‘フランソワ1世の塩入れ’

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クリムトの‘生命の樹(右) 期待(左)’(1905~09年 オーストリア応用美術博 )

Img_0003_20240206225401   リヒテンシュタイン侯爵家の‘夏の離宮’(ウィーン郊外のロッサウ)

Img_0004_20240206225401   ルーベンスの‘二人の息子たち’(1626~27年)

2003年、観光旅行で訪れたウィーンは2度目だったので、途中ツアーか
ら離れお目あてのフンデルトヴァッサーの美術館、‘クンストハウスウィーン’
や有名な建築家オットー・ワグナーの‘カールス・プラッツ駅舎’と‘マヨリカ・
ハウス’などを楽しんだ。タクシーで近くまで行きあとは歩いたのだが、すぐ
見つからなくて結構歩いたような記憶がある。

文化都市ウィーンに大変魅了されている。だから、もう一回は行きたいと思
う。出かけたいところは決まっており、まずは仕上げのウィーン美術
史美。入館したら突進したい作品がある。それは‘彫刻のモナ・リザ’と言われ
ているチェッリーニ(1500~1571)の‘フランソワ1世の塩入れ’
(時価約70億円以上)。この金細工の傑作は2003年の5月に美術館か
ら盗まれたが、3年後の2006年に発見され無事美術館に戻った。でかけ
たのは盗難のあった年の8月だったので、残念ながらみれなかった。このリカバリーをなんとしても実現したい。

ウィーンに行くならクリムトとシーレの絵が展示してある美術館をいろいろ
まわりたい。ベルベデーレ宮だけでなくレオポルト美と‘ストクレー・フリー
ズの下絵’(‘生命の樹’や‘期待など7点’)がみれるオーストリア応用美術博物
館へ是非寄ってみたい。‘ストクレー・フリーズ‘の本物がある‘ストクレー邸’
(ブリュッセル)には入れないから、応用美博では楽しい鑑賞機会になりそう。

過去のウィーンでは頭になかったのがリヒテンシュタイン侯爵家の美術コレクション。2012年国立新美で開催された‘リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝’により、ルーベンス(1577~1640)の傑作‘デキウス・ムス’の連作にお目にかかることができた。その絵画などのすばらしいコレクションの全貌はウィーン郊外のロッサウにある‘夏の離宮’へでかけると楽しめることがわかった。昔から知っているルーベンスの‘二人の息子たち’に会えるとは以前なら思ってもみなかった。‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’は運よく日本でみれたので、この絵にも遭遇したい。

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2024.02.05

お気に入り雪の絵!

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   ブリューゲルの‘雪中の狩人’(1565年 ウィーン美術史美)

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   モネの‘かささぎ’(1869年 オルセー美)

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   ムンクの‘冬の夜’(1900年 チューリヒ美)

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   セガンティ―ニの‘悪しき母たち’(1894年 オーストリア美)

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   ワイエスの‘三日月’(1987年)

2年ぶりの大雪。明日は外に出るのは止めにしたい。雪だるまをつくるのが
楽しかった小さい頃とちがって、雪が降った後の雪かきや凍って滑りやすく
なった歩道にひそむ危険のことを思うと気が重くなる。以前、海外旅行で
一緒になった北海道出身のご夫婦から雪の積もり具合や温度のことを教えて
もらったが、想像以上の厳しさだった。

雪の光景を描いた絵ですぐ思いつく絵が2点ある。ブリューゲルの‘雪中の
狩人’とモネの‘かささぎ’。ウィーン美術史美にでかけるとブリューゲルがた
くさんみれるが、残念ながら日本にはこれまで1点も披露されたことがない。
もし‘雪中の狩人’が出品されたら‘大事件’として話題になるだろう。でも、
国内の美術館は貸し出しをはなから諦めアプロ―チしない?ブリュージュの
美術館では1点みたのだが、ヨーロッパならOK?

モネの‘かささぎ’で驚くのは画面全体が発光体のように白く輝いていること。
雪の積もった光景がこれほど美しく感じられる絵はそうはない。2018年
に念願の北欧旅行をしノルウエーでは氷河をみた。この体験は一生の思い出
だからムンクの‘冬の夜’には前とは異なる感情移入がおこる。

ウィーンのベルベデーレ宮オーストリア美でクリムトやシーレ以外でとても
惹きこまれる絵に遭遇した。それはセガンティ―ニの‘悪しき母たち’。あの
‘アルプスの真昼’を描いた画家がこんな神秘的な作品をてがけていたとは。
そして、ワイエスの‘三日月’では軒先のつららが目に焼き付いている。

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2024.02.04

ミューズにとどけ追っかけ絵画! シーレ

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  ‘座る画家の妻’(1918年 オーストリア美)

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  ‘エーリヒ・レーデラ―の肖像’(1912~13年 バーゼル美)

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   ‘老人の肖像’(1916年 グッゲンハイム美)

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   ‘聖家族’(1913年)

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   ‘沈みゆく日’(1913年 レオポルト美)

関心のある画家の回顧展に3度遭遇するのが理想。エゴン・シーレ
(1890~1918)は昨年のはじめ東京都美でシーレ展が開催されたの
でこれが実現した。そのうち1回は海外の美術館で行われたもの。2005
年の春、アムステルダムのゴッホ美を訪問したら、幸運なことに別館でシー
レ展をやっていた。そこですばらしい絵と出会った。‘シーレで最高の瞬間!’
でもとりあげた‘縞模様の服を着たエディット・シーレ’。こんな優しいシーレ
の絵があったのか!

1年前、東京都美に登場した‘縞模様のドレスを着て座るエディット・シーレ’
もいい気持でみていた。こうなるとウィーンのベルベデーレ宮オーストリア
美が所蔵する‘座る画家の妻’をみてエディットをコンプリートしたくなる。
これはシーレが生前に美術館に収蔵されたはじめての油彩だが、展示室に飾
られていたという記憶がない。クリムトの‘接吻’などに鑑賞エネルギーが注ぎ
込まれ、みているのにみてない状態だったのかもしれない。

スイスのバーゼル美に出かけると会える‘エーリヒ・レーデラ―の肖像’との
対面が待ち遠しい。例外的に明るい色調で描かれており、若々しくてすっき
りした顔にとても惹かれる。バーゼルではゴーギャンとシーレが必見リスト
の第1列に並んでいる。一方、‘老人の肖像’も気になっている作品。この初老
の紳士はエディットの父親。画面の対角線上に倒れるように描かれた細身の
体がずしっと視線におさまる。

クリムトに通じる神話的作品‘聖家族’は強い磁力を放っている。聖母に見立て
られた女性の目力の強さに圧倒される。クリムトの‘ダナエ’を意識したのかな
と、ふと思ってしまう。シーレは人物、肖像、裸婦だけでなく風景のいい絵
をいくつも残している。2003年にオークションで約25億円で落札され
た‘クルマウの風景’をみたくてしょうがないが、個人蔵だから鑑賞は無理だろ
う。当面のターゲットはレオポルト美にある‘沈みゆく日’で決まり。

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2024.02.03

ミューズにとどけ追っかけ絵画! クリムト

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‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅱ’(1912年)

Img_0002_20240203222901   ‘ダナエ’(1907~08年)

Img_0001_20240203222901     ‘金魚’(1901~02年 ゾロトゥルン美)

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‘ユーディットⅡ’(1909年 ヴェネツィア近代美)

Img_0004_20240203222901   ‘ひまわのある田舎の庭’(1905~06年 オーストリア美)

海外旅行がまだ再会してないというのに、プランだけはいろいろ検討してい
る。団体ツアーの途中で皆と別れて希望する美術館へ急ぎ足で行くのがいい
か、それともこれをやめて、たとえば、パリで2012年に新装なったオル
セーをみたり、近現代アートの殿堂、ポンピドゥーにでかけるのを選ぶか。
新規の美術館の発掘とこれまで足を運んだことのある美術館との折り合いを
どうするのか、悩ましい選択である。

ウィーンを再訪してみたいのはクリムト(1862~1918)とシーレ
(1890~1918)の作品をもっと楽しみたいから。ベルベデーレ宮
オーストリア美へ2度でかけたが、クリムトを全部みたわけではない。
2003年に入館したとき会えなかった‘アデーレ・ブロッホ=バウアーⅡ’は
また来るからね、強く思った。ところが、この絵は2006年、美術館から
アデーレの遺族へ返還されることになった。オークションに出された絵は
現在個人が所蔵している。同じく美術館から離れた‘アデーレの肖像画Ⅰ’のほ
うは2013年運よくNYのノイエギャラリーでお目にかかることができた。
‘Ⅱ’もなんとしてもみたいが、回顧展が仮に開かれたとき出品されることが
あるだろうか。

対面を夢見ている‘ダナエ’も個人コレクターのもとにある。鑑賞欲をMAXに
刺激するこの傑作はこれまで展覧会で披露されたことがあるのだろうか。
クリムトの大回顧展がベルベデーレ宮であったら、カラヴァッジョ展のよう
に興奮してでかけるつもりだが、この絵が出ないのならテンションはかなり
下がる。同じくみたくてしょうがない‘金魚’はスイスにあるゾロトゥルン美
の所蔵だから、美術館巡りのなかに含めている。

‘ユーディットⅡ’は悔やまれる一枚。以前ヴェネツィアへいったときほかの
美術館に気をとられ、必見リストから漏れてしまい訪問しなかった。迂闊だ
った!クリムトを忘れてどうする、という感じ。2019年、東京都美であ
ったクリムト展にローマ国立近代美蔵の‘女の三世代’が出品されたように、
この絵と日本で会えると嬉しいのだが。ウィーンでは3つの美術館でクリムト
のターゲットに遭遇することを目標にしているが、風景画の‘ひまわりのある
田舎の庭’への期待が高い。

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2024.02.02

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ホドラー

Img_20240202225001    ‘選ばれし者’(1893~94年 ベルン美)

Img_0003_20240202225001    ‘昼’(1899~1900年 ベルン美)

Img_0001_20240202225001    ‘生活に疲れた人たち’(1892年 ノイエ・ピナコテーク)

Img_0002_20240202225001    ‘全員一致’(1913年 チューリヒ美)

Img_0004_20240202225001   ‘秋の情景’(1892年 ヌーシャテル美術・歴史博)

スイスで‘国民の画家’と呼ばれているホドラー(1853~1918)は若い
頃住んでいたジュネーブでは名前は聞いたことがなかった。当時は美術につ
いての関心はルーヴルへ出かけパリを実感する普通の観光客と同じだったの
で、スイスの画家にはまったく縁がなかった。画家に最接近する機会が訪れ
たのは2008年1月に足を運んだオルセー。ここでホドラーの大回顧展が
開催されていた!美術に目覚めあの画家もこの画家もみたい状態だったから、
別料金を払って夢中になってみた。あれから16年の時が流れたが、手に入
れた分厚い図録をときどき眺めてホドラーを満喫している。

スイス美術館巡りが実現したとき感動袋が大きく膨らみそうなのはベルン美
にあるホドラーの‘選ばれし者‘かもしれない。美術史家のネーベハイが書いた
‘クリムト’(1985年 美術公論社)によってホドラーの採用した絵の描き方‘平行の原理’(パラレリズム)を知り、クリムトもこの手法の影響を受けていることがわかった。ホドラーは類似的な形の反復は視覚の強度を高めると言っている。反復がリズムを生み印象を深めるのである。天使たちに取り囲まれている子どもが目にやきつく‘選ばれし者’と裸婦が同じようなポーズを繰り返す‘夢’をみたら頭がくらくるするにちがいない。

ミュンヘンにあるノイエ・ピナコテークが所蔵している‘生活に疲れた人たち’
はぱっとみると同じ男性が左右に並んでいる感じだから、モデルは真ん中
プラス2人の3人に思える。オルセーでみたのはスイスにある別ヴァージョン。女性のモデルとちがい男性のほうは悲しみ、苦しみがストレートに伝わってくる。大勢の男たちが右手を上にあげて血気盛んな姿を見せる‘全員一致’は垂直にのびる手が生き物のように大きなパワーを表明している。この表現が‘平行の原理’の真髄。

風景画でもいい作品をたくさん描いているホドラーだが、大変魅せられるのが回顧展の図録に載っている。それは‘秋の情景’。誰かの風景画に似ている。そう、エゴン・シーレにこれとよく似たいい絵がある。絵を所蔵しているのはベルンから西へ40kmのところに位置するヌーシャテルの美術・歴史博物館。是非お目にかかりたい。

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2024.02.01

ミューズにとどけ追っかけ絵画! セザンヌ

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   ‘マルディ・グラ’(1888年 プーシキン美)

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   ‘オーヴェール=シュル=オワーズの眺め’(1873~74年 シカゴ美)

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   ‘メダンの館’(1880年 グラスゴー美)

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  ‘腕を組んだ農夫’(1893~95年 バーンズ・コレクション)

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  ‘カード遊びの人たち’(1892~96年)

団体ツアーに参加して海外の美術館を訪問することをこれまでずっとやって
きたので、旅行会社から送られてくる旅行プランは日程の組まれ方や自由
時間の有無を入念にチェックし、美術館に行く段取りをあれこれ思案してい
る。たとえば、同じホテルに連泊する場合なら一日目は思い切って名所
観光を全部パスして美術館まわりを選択するとか。

ロシアのモスクワは一度行ったことがあるので念願のプーシキン美はこのや
り方で訪問しようと思っていた。ところが、ウクライナとロシアの戦争が起
こったため、追っかけ名画の鑑賞が吹っ飛んでしまった。狙いはセザンヌ
(1839~1906)の‘マルディ・グラ’とゴーギャンの絵。残念でなら
ない。

セザンヌの風景画は2点いいのが残っている。‘オーヴェール・シュル・オワ
ーズの眺め’は2008年シカゴ美に行ったとき、必見リストにしっかり載せ
ていたのに、どういうわけか展示されてなかった。これが風景画では一番惹
かれていたのでガックリ。シカゴ美は一部の部屋が閉鎖されていたことや
その後展示室が改造されたことがわかっているから、もう一度出かけてみた
い。グラスゴー美のバレルコレクションが3年くらい前日本で披露されたが、
ドガの絵が目玉で期待していたセザンヌの‘メダンの館’は登場しなかった。

フィラデルフィアにあるバーンズ・コレクションはセザンヌの絵で世界的に
知られている。その多くが1994年西洋美で公開された。西洋絵画ファン
がどっと押し寄せ集めて話題になったが、異様に背の高い男性が描かれた‘腕
を組んだ農夫’は日本出張メンバーから外れてしまった。‘アメリカ東海岸の旅’
に参加したら会えそうだが、果たして。‘カード遊びをする人たち’は5点あり、
アラブマネーが買いとった二人農夫の絵を除いて4点は運よく楽しめた。
最後のピースにお目にかかれるだろうか。

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