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2024.01.31

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ルノワール

Img_20240131224501   ‘ソファに横たわるモネ夫人’(1874年 グルベンキアン美)

Img_0004_20240131224501    ‘ブロンドの浴女’(1882年)

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 ‘バラ色と青色の服を着た少女たち’(1881年 サンパウロ美)

Img_0002_20240131224501   ‘ワァルジュモンの子供たちの午後’(1884年 ベルリン国立美)

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 ‘大きな花瓶’(1866年 フォッグ美)

これまで出会ったルノワール(1841~1919)の女性の絵で‘最高の瞬間‘
を感じたのはオルセーにある‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’とワシントンの
フィリップス・コレクションが所蔵する‘舟遊びの昼食’。ともに日本でも
披露されたのでルノワール好きの方は海外に飛び出さなくてもルノワールの最高
傑作に遭遇するという願ってもない幸運に恵まれたことになる。こういうこと
があるとつくづく日本は美術大国だなと思う。

作品1点ごとの好みの大きさでいうとこの2点が胸に深く刻まれているが、10年くらい前に三菱一号館美にやって来たアメリカのクラークコレクションの中核をなしているルノワールの名画の数々にも200%驚いた。女性画、風景画、
静物画が全部で13点。こんなすばらしいラインナップでルノワールを楽しめたのは一生の思い出である。

いい絵をみると美欲(My造語)がさらに膨らむ。次のターゲットは片手ほどある。ポルトガルの首都リスボンを再訪すると会えるのがグルベンキアン蔵の‘ソファに横たわるモネ夫人’。個人がもっている‘ブロンドの浴女’は別ヴァージョンにお目にかかったが、2つを比べとこちらのほうが断然いい。でも、鑑賞の機会は限りなくゼロに近い。そして、ブラジルまで行こうかとふと考えさせるのがサンパウロ美にある‘バラ色と青色の服を着たカーン・ダンヴェールの少女たち’。図版でも強く惹きこまれるのだから本物の前では体が震えるかもしれない。

ベルリンへまた行くことがあったら見逃したくないのが‘ワァルジュモンの子供たちの午後’。ほかの画家を含めてみたい絵が多くあるベルリンは旅行先の優先順位がだんだん上がっていく。静物画の傑作‘大きな花瓶’は昔訪問したハーバード大のフォッグ美でみたことになっているのに、どういうわけしかと楽しんだという実感がない。だから、もう一回行かなくてはならない。

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2024.01.30

ミューズにとどけ追っかけ絵画! マネ

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    ‘ナナ’(1877年 ハンブルク美)

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   ‘驚くニンフ’(1861年 ブエノスアイレス国立美)

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  ‘スペイン衣裳で横たわる娘’(1862年 イェール大美)

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  ‘昼食(アトリエにて)’(1868年 ノイエ・ピナコテーク)

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  ‘マクシミリアン皇帝の処刑’(1868年 マンハイム市美)

西洋絵画に関心が深まる前の段階で美術の教科書によって刷り込まれた画家
グループがある。印象派ならマネ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ドガ、
ロートレック、ゴッホ、ゴーギャン、ここにスーラはまだ入ってこない。
マネは画壇で大きなスキャンダルとなった‘草上の昼食’と‘オランピア’がイン
プットされる。この2点はモネの‘印象 日の出’とゴッホの‘ひまわり’とともに
最初に目に焼きつけた絵だった。

でも、マネにぐっと傾倒していったのは普通の女性画。お目にかかった作品
の数が増えるにつれマネの描く女性にどんどん惹きこまれていき、ルノワー
ルとともにMy‘好きな女性画‘のトップの座を占めている。だから、まだ縁の
ない‘ナナ’と‘驚くニンフ’と‘スペイン衣裳を着て横たわる娘’がみたくてしょ
うがない。

南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの国立美に展示してある‘驚くニン
フ’はミューズにどれだけ祈っても難しいことはわかっている。海外旅行を再
開してもメキシコや南米のブラジル、アルゼンチンは大変遠い国である。
これに対し、ハンブルク美蔵の‘ナナ’は何とかなると思うが果たして。団体ツ
アーがたくさんあるフランス、イタリア、スペイン、イギリスに比べると
ドイツの都市は気軽行ける感じがしない。ハンブルクが組み込まれた団体ツア
ーはないから、個人旅行で日程をつくることになる。この調整が大変。

ターゲットにしている絵でドイツの美術館にあるのがもう2つある。ミュン
ヘンのノイエ・ピナコテークが所蔵する‘昼食(アトリエにて)’とハイデルベ
ルクのすぐ近くのマンハイム市美にある‘マクシミリアン皇帝の処刑’。この
2都市ならスイス美術館巡りのとき選択するオプションになりうる。ほかに
はベルリンに滞在してドイツの主要美術館をまわる計画も立てられる。夢が
実現するだろうか。

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2024.01.29

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ドガ

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 ‘カフェ・コンセール レ・ザンバサドゥ―ル’(1876~77年 リヨン美)

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  ‘カフェ・コンセール’(1876~77年 コーコラン美)

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  ‘花束を持った踊り子’(1877年 ロード・アイランドデザイン学校)

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   ‘浴槽’(1886年 ヒル=ステッド美)

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   ‘アイロンをかける女’(1869年 ピナコテーク)

画家の評価がはじめのイメージからぐんと変わり、次第に魅せられてい
くことがよくある。この変化は鑑賞する作品の数が増えていくことによって
起こる。ドガ(1834~1917)の場合、踊り子の画家が強くインプッ
トされていたのでそれほど前のめりになる画家ではなかった。ところが、
酒場にいる男女や洗濯女の姿など都会の日常生活を題材にした風俗画をみて
いるうちに愛着を覚えるようになった。

ドガで感心するのはモチーフの動きを巧みな構図によって瞬間的にとらえる
ことがとても上手いこと。そのため、鑑賞欲を強く刺激する作品になってい
るのがリヨン美にある‘カフェ・コンセール レ・サンバサドゥール’。ダンサ
ーが踊っているカフェ・コンセールはシャンソンを聞かせるカフェ。浮世絵
の影響を受けており、手前の観客を大きくはっきり描いているの対し、遠く
のダンサーはピントをぼかすことにより画面に遠近感をつくっている。フラ
ンスへまた行くことがあったら、リヨン美に足をのばしたい。

同じカフェ・コンセールの賑わいを描いた絵がワシントンのコーコラン美に
ある。この美術館を以前訪れたとき、この絵を必見リストにいれており入館
したら真っ先にみるつもりだった。ところが、なかなか会えない。運が悪い
ことに展示されてなかった。よくあることとはいえ、残念!ワシントンは
4回も行ったから、リヨンでカフェ・コンセールをみることになりそう。
アメリカでは踊り子の絵では広がりのある舞台空間をつくっている‘花束を持
った踊り子’と’コネチカット州のファーミントンにあるヒル=ステッド美が
所蔵している‘浴槽’が見逃せないターゲットになっている。

ドガのお馴染みの画題である洗濯女はオルセーやワシントン国立美にあるも
のに縁があったが、今はミュンヘンのノイエ・ピナコテーク蔵の‘アイロンを
かける女’に関心がむかっている。これはみれる可能性がありそう。

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2024.01.28

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ロートレック

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   ‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットにて’(1898年 シカゴ美)

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 ‘ムーラン街のサロン’(1894年 トゥ―ルーズ=ロートレック美)

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   ‘ソファ’(1894年 メトロポリタン美)

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  ‘ル・アーブル酒場のイギリス娘’(1899年 トウールーズ=ロートレック美)

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  ‘ピアノを弾くミシア・ナタンソン夫人’(1897年 ベルン美)

海外旅行の団体ツアーに参加しその合間をぬってお目当ての美術館を訪問す
るときは、アメリカでもヨーロッパでもツアーが組み込まれる主要都市
にある美術館に限られる。そのため、個人旅行を企画しなければ行けない
都市の美術館の優先順位はどうしても後になる。でも、ツアーに参加して意
気込んでいた追っかけ絵画がいつも々対面できるとはかぎらない。2008
年、待望のシカゴ美では必見リストに載せていたロートレックの‘ムーラン・
ド・ラ・ギャレットにて’はなぜか姿を見せてくれなかった。最も好きな
‘ムーラン・ルージュにて’の横に並んでいると思っていたのに、残念!

ロートレック(1864~1901)が生まれた南フランスの田舎町アルビ
にあるトゥールーズ・ロートレック美へ行ってみたいという思いが強いのは、
ここにある油彩画に遭遇したいから。その一部は過去にあった回顧展に登場
したが、一番見たいのはまだやって来てない。多分これからも無理だろう。
その絵が客を待つ娼婦の姿を描いた‘ムーラン街のサロン’。この絵を含め娼婦
を描いた絵は数点あるがメトロポリタン美蔵の‘ソファ’はどういうわけかいつ
も不発。なぜ展示されてないのだろう?

アルビには人物画のいいのがある。日本でも披露された‘化粧するプープール
夫人’や銃を持った男がどんと描かれている‘モーリス・ジョワイヤンの肖像’、
そして、まだ縁がないもので関心を寄せているのが明るい笑顔にぐっとくる
‘ル・アーブル酒場のイギリス娘’。‘ムーラン街のサロン’は貸し出してもらえな
いだろうが、この絵は期待したいところ。

スイス美術館めぐりでは訪問することになっているベルン美にある‘ミシア・
ナタンソン夫人’にとても惹かれている。ピアノを弾く女性の絵はアルビにも
‘マリー・ディオー嬢’があるが、この2点は娼婦の絵とは対極的な心が鎮まる
肖像画。いろいろなモデルを描けるのは天才の証。

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2024.01.26

ミューズにとどけ追っかけ絵画! バーン=ジョーンズ

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   ‘アヴァロンのアーサー王の眠り’(1881~98年 ポンセ美)

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   ‘欺かれるマーリン’(1874年 レディ・リーヴァ―美)

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   ‘ヴィーナスの鏡’(1873~77年 グルベンキアン美)

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   ‘ヴィーナス讃歌’(1878年 レイング美)

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  ‘真鍮の塔の建設を見るダナエ’(1888年 グラスゴー美)

美術館に対する高い評価が決定的になるのは希望する展覧会に応えてくれた
とき。三菱一号館美は2012年にバーン=ジョーズ(1833~1898)
の回顧展を開催してくれ好感度ポイントがさらに増えるとともに、美術館へ
信頼関係はゆるぎないものになった。そして、美術館と感性の波長が似てい
ることが分かると秘かに願っているほかの画家についてもつい期待してしま
う。果たして、2021年には待望のコンスタブル展が実現した。

ロセッティは‘ダンテの夢’が最大のターゲット。では、バーン=ジョーンズは、
ズバリ‘アヴァロンのアーサー王の眠り’! でも、この絵との対面が叶う可能
性はほとんどない。というのも絵があるのはプエルトリコのポンセ美だから。
こんなすばらしい絵が海外に流失してしまったのである。それは日本画でい
うならワシントンD.C.のフリーア美に俵屋宗達の‘松島図’があるようなもの。
だから、図版で我慢している。

三菱一号館美の大ホームランのお陰で追っかけ作品に‘済みマーク’がたくさん
ついたが、みたい絵はまだいくつも残っている。2007年に訪問したポルト
ガルのリスボンでは自由時間がなくグルベンキアン美へ寄れなかった。ここは
とても惹かれる‘ヴィーナスの鏡’を所蔵しており、ラリックのワクワクする
宝飾品があるので、再訪を夢見ている。

本家のイギリスの美術館では‘ヴィーナス讃歌’、‘欺かれるマーリン’、‘真鍮の塔
が建設されるのを見るダナエ’と巡り合うことを実現させたい。テート美が発行
している本でラファエロ前派はロセッティ本とバーン=ジョーンズ本(ともに
英語版)。時間ができたときすこしずつ読んでいる。

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2024.01.25

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ロセッティ

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    ‘ダンテの夢’(1871年 ウオーカーアートギャラリー)

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    ‘レディ・リリス’(1867年 デラウェア美)

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    ‘青い部屋’(1865年 バーミンガム大美)

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    ‘アスタルテ・シリアカ’(1877年 マンチェスター市美)

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   ‘ベアトリーチェの一周忌’(1853年 アシュモリアン美)

画家の物語が頭に深く入ってくるかはその画家について書かれた本を読んだ
かどうかが強くかかわっている。たとえば、岩波の‘世界の美術’シリーズ
(2001年)選ばれた画家たちについてはこの本のお陰で情報が飛躍的に
増えた。ミケランジェロ、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、ルーベンス、
レンブラント、ゴヤ、クールベ、モネ、セザンヌ、シャガール、ダリ。
ラファエロ前派のロセッティ(1828~1882)もみすず書房からでた
‘D.G.ロセッティ’(1990年)を読み込んだのでこの画家の画業全般や女性
との関係などを知ることができた。

ロンドンのテート美でロセッティの代表作‘プロセルピナ’に遭遇して以来、
圧の強い美の女神の虜になった。惹かれる女性画は一見すると皆同じモデル
ではと思うほどよく似ている。ちょうど浮世絵師歌麿の大首絵に登場する女
にいだくイメージと同じ。みすず書房の本にはロセッティがつきあった女性
たちのことが詳しく書かれているので、それをふまえて一枚々みると微妙に
違っていることに気づくが、それを素人が物知り顔で言ってもしょうがない。

まだ縁がないロセッティの絵のなかでもっとも鑑賞意欲を刺激するのが‘ダン
テの夢’。いつかイギリスの美術館を巡る旅が実現したら、この絵がある
リヴァプール国立美のウオーカーアートギャラリーへ一番に出かけるつもり。
そして、マンチェスター、バーミンガム、オックスフォードにも足をのばし
‘アスタルテ・シリアカ’、‘青い部屋’、‘ベアトリーチェの一周忌’も全部みてし
まう。とにかく、ロンドンに滞在すれば夢は叶う。

‘ダンテの夢’同様、大変惹かれているのが‘レディ・リリス’。所蔵しているの
はアメリカのデラウェア美、アメリカには住んだことがないからこの美術
館があるデラウェア州のウィルミントンの位置関係がすぐイメージできない。
これまで出かけた都市との関係でいうとワシントンD.C.の右でフィラデルフ
ィアからは南に位置する感じ。アバウトに考えているアメリカ美術館めぐり
の筆頭にあるボルチモア美を訪問したとき、‘レディ・リリス’にも会えるかも
しれない。

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2024.01.24

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ブレイク

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 ‘アベルの死体をみつけたアダムとエヴァ’(1826年 テート美)

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   ‘サタン、ヨブを撃つ’(1826年 テート美)

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   ‘ヘカテ’(1795年 テート美)

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   ‘好色の輪’(1824~27年 バーミンガム市美)

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   ‘ペスト’(1805年 ボストン美)

聖書を題材にした絵画は数多くみてきたが、暴力性を強く感じさせる苦痛の
表現や過度に緊張する悲劇の場面がでてくる作品は強く記憶に残っている。
たとえば、モローの代表作‘サロメ’に出会ったときは大きなショックをうけ
た。そして、イギリスの画家ブレイク(1757~1827)にも感情が
ひどくかき乱される絵がある。それは‘アベルの死体をみつけたアダムとエ
ヴァ’。

お目にかかったのは亡くなる1年前に描かれたテンペラ画ではなく1805
~09年に制作された水彩画。この絵とフォッグ美名品展(2002年 
西洋美)で対面したときは、これが弟のアベルを兄カインが殺した恐ろしい
絵か、と息を呑んでみていた。テンペラのほうをなんとしてもみたいと願っ
ているが、テート美には4回も足を運んでいるのに一度も姿をみせてくれな
かった。どうも相性が悪い。

テートにはほかにもみたくてしょうがない絵がある。’アベル‘同様、心をザワ
ザワさせる‘サタン、ヨブを撃つ’、怪物や不気味な生き物がまわりにいる官能
的な‘ヘカテ’。以前テート美が発行しているブレイク本(英語版)を手に入れ、
そこに載っている作品の中で追っかけ作品としてリストアップしているのに
なかなか鑑賞の機会が訪れない。昨年7月国立新美で開催された‘テート美術
館展’に期待を寄せていたが、出品されたのはほかの作品2点だった。残念!

ブレイクはイギリスの美術館ではテートのほかにヴィクトリア&アルバート美
にもあるが、ターゲットにしているのはバーミンガム市美が所蔵する‘好色の輪’。
多くの人々が太いビニール管のようなものにビッシリ詰め込まれぐるぐる回転
している。こんな絵はみたことがない。ボストン美の‘ペスト’は怖さMAXの怪人
につい後ずさりしてしまうが、隠れてこっそりみたい。

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2024.01.23

ミヤケマイ個展 ‘ものがたりがはじまる’!

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   ‘全てのものには時がある’(2023年)

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   ‘知っていること’(2023年)

先週の土曜日(20日)、GINZASIXの蔦屋書店にあるアートスペースで
開催中の‘ミヤケマイ個展 ものがたりがはじまる’(12/28~1/24)
をみてきた。‘美術で最高の瞬間’シリーズでとりあげた女性美術家ミヤケマイ
さんの個展に足を運ぶのは2011年、Bunkamura Galleryでみた‘膜迷路’
以来のことで3度目。鑑賞の間隔が随分空き作風の変化をみてきてないため、
作品のイメージがだいぶ違っていた。

飾ってあった作品は28点、すべて2023年に描かれた最新作である。
ぐるっとみていて、これまでみたミヤケマイさんの作品とは色彩や造形が
大きく変わっていた。そして、これと似ているほかの画家の絵があるか思い
めぐらしてみたが、すぐには作風が重ならなかった。やはり進化したミヤケ
マイさんの個性なのだ。すごくインパクトがあり、1点々足がとまる。

そのなかで長くみていたのが西洋の宗教画を連想させる‘全てのものには時が
ある’。鴉?を手に止まらせている聖母はううーん?、これだけは誰かの絵に
似ている。そう、有元利夫(1946~1985)の描く女性。ミヤケマイ
と有元がコラボするとは。これはおもしろい。下に並んだとてもきれいな花
々がいい感じだから、書斎に飾りたくなる。

もう一点‘知っていること’も気になる絵である。頭を横に傾けた梟が蛇を足
で押さえつけている。ともに存在感のある生き物だが、この勝負は梟の勝ち。
梟も蛇も水墨画の描き方や琳派のたらし込みを思わせる表現が使われており、
激しいバトルの様子をリアルに伝えている。そして、飛び散る墨の線や染み
がみられる背景の演出が冴えている。ミヤケマイさんがまた好きになった。

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2024.01.22

東博の‘本阿弥光悦の大宇宙’!

Img_0004_20240122223201     国宝‘舟橋蒔絵硯箱’(17世紀 東博)

Img_0001_20240122223301     ‘黒楽茶碗 銘 時雨’(重文 17世紀 名古屋市博)

Img_20240122223301     ‘赤楽茶碗 銘 加賀’(重文 17世紀 相国寺)

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Img_0003_20240122223301   光悦・宗達の‘鶴下絵三十六歌仙和歌巻’(重文 17世紀 京博)

Img_0005_20240122223301    ‘蓮下絵百人一首和歌巻断簡’(17世紀 サントリー美)

本阿弥光悦(1558~1637)の二度目となる回顧展(1/16~3/10)を東博でみてきた。チラシには大芸術家に相応しいキャッチコピーが踊っているから、全身に力をこめてみようという気になる。‘始めようか、天才観測。特別展 本阿弥光悦の大宇宙’。2013年、五島美で開催された‘光悦 桃山の古典’によって書籍、漆芸、陶芸をトータルに目を慣らしているので、今回は余裕をもってみてまわれる。

会場に入ってすぐ目にとびこんでくるのが国宝の‘舟橋蒔絵硯箱’。この硯箱との
出会いから光悦とのつきあいがはじまった。高く盛り上った蓋は金地の画面に
斜めに横断している大きな鉛の板のインパクトがずっと残る。みる度にこの鉛
の重量感に釘付けになる。ほかにも‘舞楽蒔絵硯箱’や‘芦舟蒔絵硯箱’などが別の
部屋で漆芸の定番としてどどっと並んでいる。

宗達とコラボした‘鶴下絵三十六歌仙和歌巻’はとても見やすい展示になっている。そのため、14mもある長い巻に描かれた鶴の群れの旅が心ゆくまで楽しめる。光悦の書はとてもじゃないが追っかけられないが、歌仙の名前はわかるので歌を詠んだことにしている。サントリー美蔵の‘蓮下絵百人一首和歌巻断簡’でも書と絵の優雅なむすびつきにぐっと惹きこまれる。

最後にやきもの名品がずらっと飾られていた。これは圧巻!嬉しいのは久しぶり
にお目にかかれた‘黒楽茶碗 銘 時雨’と‘赤楽茶碗 銘 加賀’(ともに重文)。光悦の楽茶碗をみていると本当にいい気持になる。全部で10点披露される。光悦に乾杯!

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2024.01.21

大ホームラン 千葉市美の‘鳥文斎栄之展’!

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    ‘やつし六花撰 喜撰法師’(1796~98年 大英博)

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    ‘新大橋橋下の涼み船’(1790年頃 ボストン美)

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    ‘上野三橋’(1792~93年 平木浮世絵財団)

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   ‘茶屋娘見立雁金五人男’(1793年 ボストン美)

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   ‘三福神吉原通い図巻’(部分 1818~30年 千葉市美)

千葉市美へでかけ期待していた‘鳥文斎栄之展’をみてきた。予想を3倍くらい
上回る大ホームランだった。流石、浮世絵展では定評のある千葉市美、すば
らしい!。会期は前期1/6~2/4と後期2/6~3/3で分けられており、
通期ででているのもあるが、多くの作品は前後期で入れ変わる。だから、もう
一度足を運ぶことになりそう。

もとはサムライだった浮世絵師、鳥文斎栄之(1756~1829)はまず
名前の読み方を正確に覚えるのに時間がかかる。‘ちょうぶんさいえいし’、こ
れまでみた浮世絵展でちょくちょくお目にかかってはいるが、回顧展に遭遇
したことはない。画風は鳥居清長(1752~1815)と喜多川歌麿
(1753~1806)を足して2で割ったような感じ。こういうイメージを
いだいていた浮世絵師の作品が大英博やボストン美など浮世絵で世界的に名が
知られている美術館からどどっと集まって来た。そして、国内にある美術館か
らもこんなにあったのというくらい出品された。名品の数々をみせつられると
鳥文斎栄の格付けはランクが急上昇、清長、歌麿と一緒にクリーンナップを組
むレベルになった。

大英博から里帰りした‘やすし六花撰 喜撰法師’を立ち尽くしてみていた。
画面いっぱいに描かれた大首絵は歌麿の美人画同様、ぐっと惹きこまれる。動
きのある女性の群像表現に思わず足が止まったのが尺八をもった‘茶屋娘見立雁
金五人男’。つい見惚れてしまう。こんな絵も描いていたのか!

以前ここの美術館で開かれた‘鳥居清長展’のデジャブをみているようだったのが
横長ワイド版の‘新大橋橋下の涼み船’と‘上野三橋’。このタイプの絵はほかにも
いいのがたくさん飾られている。後期も見逃せないのはこの賑やかで見栄えの
する風俗画をいっぱいみたいから。最後に登場するのは肉筆画。にやにやしな
がらながめていたのが‘三福神吉原通い図巻’。こんな宴席なら三福神はさぞかし
楽しいだろう。

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2024.01.19

ミューズにとどけ追っかけ絵画! フリードリヒ

Img_20240119230301    ‘山上の十字架’(1807~08年 ドレスデン国立近代絵画館)

Img_0001_20240119230301    ‘帆船の上にて’(1819年頃 エルミタージュ美)

Img_0002_20240119230301   ‘リューゲン島の白亜岩’(1818年 オスカー・ラインハルト・コレクション)

Img_0004_20240119230301    ‘難破’(1824年 ハンブルク美)

Img_0003_20240119230301    ‘霧の海の旅人’(1818年 ハンブルク美)

画家とのつきあいは美術館でみた回顧展がきっかけとなり、だんだん相性が
深まっていく。でも、作品をみる機会があまりない画家の場合はもっぱら
美術本や画集を通じて関心が徐々に強くなる。ドイツのフリードリヒは後者
の画家。この画家の作品と縁があるのはドイツにある美術館の名品展が開催
されるとき。2022年にエッセンのフォルクヴァング美のコレクションが
公開され‘朝日を浴びる女’にお目にかかれた。小品だったが、フリード
リヒの絵だから目に気合を入れてみた。

みてない作品が多い画家だと追っかけ画を絞るのはずっと先なのだが、作品
を展示する美術館へ出向くとなると多くの労力がいるので‘選択と集中’を心得
ておく方が無難。古典絵画の名作がずらっと並ぶドレスデン国立絵画館は
中欧旅行で訪問した。都合がつけば、すぐ近くにある近代絵画を展示する
別館まで足を運べば関心を寄せていた‘山上の十字架’と対面できたが、時間が
なくパスせざるをえなかった。ここにはゴーギャンのタヒチの女性たちを描
いたいい絵もあるので、いつかリカバリーしたい。

エルミタージュ美へ出かけた1999年の頃はまだフリードリヒ(1774~1840)に注目してなかった。そのため、手前のモチーフを極端に大きく描く広重の浮世絵を連想させる‘帆船の上にて’はしかとみたという実感がない。船の先頭にいる男女の後ろにこっそり忍び込み遠くの大き船をながめてみたい。

鑑賞欲を強く刺激されるのはスイスのヴィンタートゥールにあるオスカー・ラインハルト・コレクションが所蔵する‘リューゲン島の白亜岩’。切り立った白亜の崖の光景を上から眺めるのはハラハラドキドキで足がすくむ感じだが、こういうアングルから人物を絡めた風景画を描くというアイデアがすばらしい。そして、北ドイツのハンブルクにある‘難破’と‘霧の海の旅人’にも大変魅せられる。若い頃スイスのジュネーブに住んでいたときクルマでハノーヴァーまで行ったが、その先にあるハンブルクはどんな街だろうか。

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2024.01.18

ミューズにとどけ追っかけ絵画! オキーフ

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    ‘夏の日々’(1936年 ホイットニー美)

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 ‘ラディエータ・ビルディング、夜、NY’(1927年)

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   ‘オニゲシ’(1928年 ミネソタ大美)

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   ‘淡いアイリス’(1924年 ヴァージニア美)

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   ‘青、黒、グレー’(1960年)

2年前からアメリカ映画をブックオフで手に入れた中古DVDでみているが、
物語の舞台になっている街や大自然が広いアメリカのどのあたりかという
のがすぐイメージできないため、もどかしいことがある。ヨーロッパと比
べると足を踏み入れた場所が少なく都市ではNY、ワシントン、ボストン、
フィラデルフィア、シカゴだけ。西海岸の街はまだ訪問してなく、縁があ
ったのはグランドキャニオンとモニュメントバレーの壮大な景観。だから、
ジョン・ウエインの西部劇にモニュメントバレーがでてくると、馬に乗り
遠くに見えている目的地へ向かうとき、そこへたどり着くまでの距離の長
さ、あと一日はかかるとかはおおよそ見当がつく。

西部劇と絵画がすぐくっつくのが女性画家、ジョージア・オキーフ
(1887~1986)の絵。彼女は人生の後半はニューメキシコ州の荒野
に住み、動物の骨や石、山などをひたすら描き続けた。代表作の‘夏の日々’
はまだお目にかかってない。NYへ出かけたとき、これを所蔵するホイット
ニー美を訪問したが、予想に反して展示室をぐるぐるまわったのに姿をみせ
てくれなかった。常時展示されてないの?がっかり。次に行ったとき展示さ
れているだろか、心配になってくる。

オキーフのイメージは動物の骸骨によってできあがっているが、若い頃の
絵には日本画家の横山操の絵を連想させる‘ラディエータ・ビルディング、夜、
NY’というすごく見栄えのする都市景観図がある。これがみれると嬉しいの
だが、果たして。これまでアメリカの美術館、たとえばワシントン国立美や
メトロポリタンなどでお目にかかった絵で強く印象に残っているのは花の絵。
その特徴は画面いっぱいに花が大きく描かれていること。魅了されているゴッ
ホやセザンヌの静物画とはまったくちがう花の生命力をバーンと感じさせられ
る絵である。狙っているのは‘オニゲシ’と‘淡いアイリス’。

晩年の作品に大変惹かれる抽象画が登場する。そのなかで鑑賞欲を強く刺激
するのが‘青、黒、グレー’、この絵のモチーフは見当がつかないが、画家自身
の説明では鳥瞰的にみた川。この青をじっとみているとアーテイゾン美にあ
るザオウ―キーの作品が目の前をよぎる。

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2024.01.17

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ゴッホ

Img_0004_20240117223601    ‘花瓶の12本のひまわり‘(1888年 ノイエ・ピナコテーク)

Img_0001_20240117223601   ‘掘る人のいるアルルの果樹園’(1889年 ノイエ・ピナコテーク)

Img_0003_20240117223601  ‘アルルの病院の中庭‘(1889年 オスカー・ラインハルト・コレクション)

Img_0002_20240117223601    ‘アイリス’(1889年 ポール・ゲッティ美)

Img_20240117223601    ‘夜のカフェ’(1888年 イェール大美)

ゴッホはゴーギャンとはちがい回顧展が頻繁に行われるので、これを見逃さ
ずに美術館に足を運んでいると海外に出かけなくてもかなりの数の主要作品
とお目にかかったということになる。理想的な鑑賞体験とはまさにこのこと。
だから、アムステルダムのゴッホ美やオッテルローにあるクレラー・ミュラ
ー美が所蔵する作品が繰り返しやって来てもまた出かけてしまう。

ゴッホのバイブル的な画集‘ゴッホ全油彩画(Ⅰ・Ⅱ)’(日本語版2010年
 TASCHEN)に載っている作品は‘済マーク’が増えてきて、最終コーナーに入
ってきた。でも、これからは追っかけ画にたどりつくのは大変。今頭にある
5点のうちヨーロッパにあるのが3点、アメリカまで足をのばさないと縁が
ないのが2点。

スイス美術館旅行が実現したとき訪問を計画しているミュンヘンのノイエ・
ピナコテークにはみたくてたまらないのが2点飾られている。ゴッホの代名
詞‘ひまわり’シリーズのひとつ‘花瓶の12本のひまわり’。‘最高の瞬間’が体験
できそう。画集に必ず載っている‘掘る人のいるアルルの果樹園’も期待の一枚。
手前のポプラの幹の描き方が浮世絵風なのがおもしろい。オスカー・ライン
ハルト・コレクションがあるのはチューリヒのすぐ近くに位置するヴィンタ
ートゥ―ル。ここで色彩が鮮やかな‘アルルの病院の中庭‘とブリューゲルの絵
をみることを長年夢見ている。

アメリカにあるゴッホで最大のターゲットはLAのポール・ゲッティ美にある
静物画の傑作‘アイリス’。ゴッホの静物画のなかでこれが一番かなと思ってい
る。日本で公開されるのを秘かに願っているが、たぶん無理。美術館はいい絵
ほど他館には貸し出さない。アメリカ西海岸の旅の機運が盛りあがっているの
で鑑賞の機会は近づいている。東海岸のほうではイェール大美蔵の‘夜のカフェ’
をなんとしてもみたい。

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2024.01.16

2023年 世界の観光都市ランキングTOP10!

Img_0002_20240116224501    1位 パリ

Img_0001_20240116224501   パリの美術館マップ

Img_0003_20240116224501    2位 マドリード

Img_20240116224501    マドリードの美術館マップ

国際的な市場調査会社、‘ユーロモニターインターナショナルが行った世界の
100都市の観光都市としての魅力度ランキングが発表され、‘TOP10’は次
の通りとなった。
1位 パリ(フランス)
2位 ドバイ(UAE)
3位 マドリード(スペイン)
4位 東京(日本)
5位 アムステルダム(オランダ)
6位 ベルリン(ドイツ)
7位 ローマ(イタリア)
8位 ニューヨーク(アメリカ)
9位 バルセロナ(スペイン)
10位  ロンドン(イギリス)

電通総研の解説によると、パリは3年連続で1位。美術好き
にとっては芸術都市パリは即納得。ご参考に載せたパリにある美術館のマッ
プをみてもわかるように、ワクワクする美術館がたくさんある。ご機嫌なの
がルーヴルの近くにいい美術館があって効率的にまわれること。オルセー、
オランジュリー、プティ・パレ美、そして運が良ければグラン・パレで人気
の画家の回顧展に巡り合うこともある。ルーヴルから東に進むと近現代美術
の殿堂、ポンピドゥー・センターとピカソ美がある。到着までにちょっと
時間がかかるが、ルーヴルの北に位置する邸宅美術館のモロー美やエッフェ
ル塔のからそう遠くないところにあるパリ市近美、モネの聖地マルモッタン
美もお薦め。彫刻好きはオルセーの南にあるロダン美やマイヨール美、モン
パルナス駅の近くのブールデル美に真っ先にでかけるかもしれない。

予想外に高い評価だったのが3位のマドリード。前年の4位からひとつラン
クアップ。この街は以前ゴヤの絵をみるため地下鉄に乗ったり歩いたりし
て美術館をまわったので、主要道路や多くの人が集まる広場やショッピング
ストリート、王宮などモニュメンタルな建物の位置関係はおおよそつかめた。

マドリードはパリと同様に芸術の街のイメージが強い。名所観光で最初に行くのがベラスケスやゴヤがみれるプラド美、そのあとがピカソの‘ゲルニカ’が飾られている国立ソフィア王妃芸術センター。もうひとつプラドのすぐ隣にあるティッセン美でもすばらしいコレクションが目を楽しませてくれる。そして、2008年に開館した複合文化施設のアートスポット‘カイシャフォルム・マドリード’も見逃せない。この4つがとても近いところに集まっているので高揚した気分がずっと続く感じ。また出かけたい。

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2024.01.15

ミューズにとどけ追っかけ絵画!ピエロ・デッラ・フランチェスカ

Img_0004_20240115224801    ‘キリストの鞭打ち’(1458~50年 マルケ国立美)

Img_0003_20240115224701    ‘慈悲の聖母’(1445~62年 サンセポルクロ市美)

Img_0001_20240115224801    ‘出産の聖母’(1460年頃)

Img_0002_20240115224801  ‘ソロモン王とシバの女王の会見’(1452~60年 サン・フランチェスコ聖堂)

Img_20240115224801     ‘キリストの復活’(1463~65年 サンセポルクロ市美)

西洋絵画にだんだん嵌っていくのと並行して購入する美術本や画集の数も
増えていく。専門書には手は出さないが一般の画家の本はいくつも揃えた。
そのなかでよく読んでいるのが、‘TASCHENの画家シリーズ‘(日本語版)と
‘岩波 世界の美術’。2004年に出版された‘世界の美術’は画家のタイトル
がついたものは全部(9冊)手に入れた。この本のお陰でピエロ・デッラ・
フランチェスカ(1415~1492)の物語を知ることができた。

フランチェスカに魅了されるのは色彩があざやかなことと独特の静謐な世界。
そして、巧みな遠近法を使って奥行きのある空間をつくり物語性を高め
る技術にも感心させられる。この画家の作品は残念ながら満足のいく数に達
していない。だから、出身地の中部イタリアのサンセポルクロを訪問し本に
載っている作品をみることを夢見ている。

キリストの物語を描いた‘キリストの鞭打ち’は芝居の舞台を観るような感覚に
とらわれる。遠近法により整然と描かれた床のタイルの奥でキリストが鞭打
たれている。前列右にいる三人と後ろとの距離感のとり方がじつに上手い。
これがあるのはラファエロが生まれたウルビーノ。サンセポルクロの市立美
が所蔵している‘慈悲の聖母’は‘ミゼリコルディア祭壇画’の中心に描かれたも
の。一際大きく表された聖母はまるでガリバーのよう。左右対称の威厳のあ
る聖母の姿は忘れがたい印象を与える。

‘出産の聖母’は3人の着た衣装の色がとても目に心地いい。聖母が青で、左右の天使が緑と紫。フレスコ画の色彩の美しさを実感する。同じように人物の群像表現が色彩の力によって明確に心のなかに入ってくるのが‘ソロモン王とシバの女王との会見’。サンセポルクロ市美ではもう一点いい絵に出会える。‘キリストの復活’はキリストが十字架にかけられたあと、今まさに棺から身を起こした場面。手に勝利の旗を持ち堂々としたポーズが奇跡の瞬間を告げている。その肉体は古代彫刻をおもわせる量感にみち力強さを感じさせる。

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2024.01.14

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ジョット

Img_20240114222401   パドヴァのアレーナ礼拝堂

 

Img_0001_20240114222401    ‘最後の審判’(1303~05年)

 

Img_0003_20240114222501    ‘東方三博士の礼拝’(1303~05年)

 

Img_0004_20240114222501    ‘裏切られたキリスト’(部分 1303~05年)

 

Img_0002_20240114222501    ‘キリストの哀悼’(1303~05年)

 

イタリアのアッシジは2006年、2010年と2度訪問した。お目当ては
聖フランチェスコ大聖堂の壁や天井にジョット(1267~1337)によ
って描かれた‘聖フランチェスコの生涯’。長年の夢だったこの有名なフレスコ
画をみたあと、すぐ次の目標が決まった。それはヴェネツィアからそう遠く
ないところにあるパドヴァのアレーナ礼拝堂。ここにもみたくてたまらない
ジョットの壁画がある。描かれているのはキリストの生涯と受難の場面。

 

ルネサンス絵画にのめり込んでいた頃、朝日新聞の日曜版に掲載された
‘世界名画の旅’を集めた本を4,5冊購入した。そこで取り上げられたジョッ
トの絵がアレーナ礼拝堂の壁画の一枚‘東方三博士の礼拝’の話だった。この絵
とからめて取材されたのが西独にある欧州宇宙機関がハレー彗星をとらえる
ため打ち上げた探査機‘ジョット’。探査機にジョットの名前がついているのは
‘東方三博士の礼拝’の中にハレー彗星が描かれているから(上部)。この本を
読んだ1986年からジョットに関心をもつようになった。

 

ジョットの画集、たとえばTASCHEN本(日本語版 2008年)にでている
キリスト物語の表現にとても惹きつけられるのがいくつかある。その一枚が
‘裏切られたキリスト’、大きな黄色のマントにつつまれた裏切り者、ユダをじ
っとみつめるキリストの姿がじつに印象的。このユダの顔をみるたびに思い
出すのがショーン・コネリーが主演した‘薔薇の名前’にでてくる猿のような男
サルヴァトーレ。顔がそっくり、監督はジョットの絵をみたのかもしれない。

 

もう一枚、心にぐっとくる感情表現がみられるのが‘キリストの哀悼’。上で飛
んでいる天使たちは悲しみに体をよじり、両手で顔をおおってすすり泣き、
嘆き悲しんでいる。天使がこんなリアルな悲しみの表情をみせる絵はほかに
みたことがない。以前日曜美術館に出演した画家の絹谷幸二さんがジョットの
この壁画のすばらしさを熱く語っていた。なんとしてもみたい!    

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2024.01.13

ミューズにとどけ追っかけ絵画! カラヴァッジョ

Img_20240113225301    ‘洗礼者ヨハネの斬首’(1608年 サン・ジョヴァン二聖堂)

Img_0001_20240113225401     ‘聖トマスの不信’(1601年 サン・スーシ宮殿)

Img_0003_20240113225401     ‘サロメ’(1608~10年 マドリード王宮)

Img_0002_20240113225401   ‘慈悲の七つの行い’(1606~07年 ピオ・モンテ・デラ・ミゼリコルデイア聖堂)

Img_0004_20240113225401    ‘聖ウルスラの殉教’(1609年 カポディモンテ美)

期待の高かった展覧会は時間がだいぶ経っても会場の雰囲気とかお目当ての
作品の前に立ったときの高揚感が今でも強く記憶に残っている。たとえば、
14年前ローマでみたカラヴァッジョ(1571~1610)の大回顧展、
がっちりした図録をながめるたびに運よく遭遇した喜びが腹の底からこみあ
げてくる。

この展覧会のあと日本でも2016年に西洋美でカラヴァッジョが11点
も登場するという‘大事件’が起きた。これで回顧展は理想の3度が達成され
たことになるので前のめり的な鑑賞は解消される状況になった。とはいっ
ても追っかけをやめるわけにはいかない。ボス、ブリューゲル、カラヴァ
ッジョ、レンブラントは特別思い入れの強い画家なので画集に載っている
作品を1点でも多くみることをいつも胸に刻んでいる。

コロナ禍の前は海外旅行によく出かけ、名の知れた美術館で良い思い出をつくってきた。旅行先のなかには優先順位の関係で外れたが、旅行会社から案内されたツアープランはまめにファイルしていた。そのひとつがマルタ島旅行。目的は名所観光ではなくてカラヴァッジョの‘洗礼者ヨハネの斬首’をなんとしてもみたいから。カラヴァッジョの絵が2点みられるシチリヤ島は旅行会社をいくつかチェックすると、なんとか参加にこぎつけられるが、マルタは個人旅行でないと難しそう。マルタ&シチリヤに上陸しまだみていない作品4点に済みマークをつけることを夢見ている。

通常の団体旅行でもやりくりすれば鑑賞ができそうなのが、ポツダムのサン・スーシ宮殿にある‘聖トマスの不信’、ナポリの聖堂とカポディモンテ美が所蔵する‘慈悲の七つの行い’と‘聖ウルスラの殉教’。わが家はスペイン好きだからマドリードはまた訪問するま可能性があるが、王宮にある‘サロメ’がお目にかかれるかについては確かな情報が今のところない。一般公開されているのだろうか、要チェック。

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2024.01.12

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ブリューゲル

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   ‘ネーデルランドのことわざ’(1559年 ベルリン絵画館)

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   ‘雪中の東方三の博士の礼拝’(1567年 オスカー・ラインハルト・コレクション)

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   ‘怠け者の天国’(1567年 アルテ・ピナコテーク)

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   ‘ベツレヘムの嬰児虐殺‘(1565~67年 英国王室コレクション)

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   ‘農民の婚礼の踊り’(1566年頃 デトロイト美)

2017年、ブリューゲル(1525~1569)好きにとってはたまらな
い大展覧会があった。なんとオランダのボイマンス美が所蔵する‘バベルの塔’
が日本にやって来たのである。日本でブリューゲルの絵がみれるのは滅多に
ないことだから、この展示はまさに‘事件’といっていい。ウィーンの美術史美
が誇るブリューゲルコレクションとの遭遇をきっかけに、画集に載っている
作品をコンプリートしようとヨーロッパを旅するたびにやりくりして、お目
当ての作品を追っかけてきた。運にも恵まれて鑑賞ができ‘済みマーク’をつけ
るときはなんだか大きな仕事をしたような気分になる。

好きな画家はとことんこだわりたい。だから、名画追っかけのための海外旅
行を再開する時期を具体的に検討するステージに入りつつある。ブリューゲ
ルの場合、もっともみたいのは‘ネーデルランドのことわざ’だが、ベルリンは
一度出かけたことがあるので優先順位は少し後になる。わが家の旅行計画は
アメリカ西海岸とアンテロープキャニオンがまずあって、その次がスイス美
術館巡りとなっている。スイスではチューリヒの近くにあるヴィンタートゥ
ールへ行きオスカー・ラインハルト・コレクションへでかけるのが大きな楽
しみ。その目玉の絵がブリューゲルの‘雪中の東方三博士の礼拝’とゴッホ。

チューリヒに滞在する予定なのでドイツのミュンヘンへ飛行機で行くという
オプションも可能。若い頃住んでいたスイスのジュネーブからクルマでミュン
ヘンに行き、アルテ‣ピナコテークではデューラーやルーベンスの傑作を堪能
した。そのため、ここにあるブリューゲルの‘怠け者の天国’をみたという実感
がない。再訪はそのリカバリーをはたすのが目的。さらにベルリンまで飛び、
‘ネーデルランドのことわざ’まで一気にみてしまうというのもありうる。

英国王室コレクションについては気になっているが、展示の情報にふれること
がなく作品との距離が遠くに感じられる。頭にあるのは、ブリューゲルの
‘ベツレヘムの嬰児虐殺’とカラヴァッジョとフェルメールの絵。日本の美術館
が動いてくれてどれか一点でも日本で公開してくれると嬉しいのだが、、
デトロイト美にある‘農民の婚礼の踊り’も鑑賞意欲を強く刺激する。

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2024.01.11

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ホッパー

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   ‘サマータイム’(1943年 デラウェア美)

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   ‘西部のモーテル’(1957年 イェール大美)

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   ‘夏の夕暮’(1947年)

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   ‘海を見る人々’(1952年)

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   ‘二階の日ざし’(1960年 ホイットニー美)

絵画とのつきあいは月に一回とか二回美術館にでかけて本物の絵をみるとい
う点的な体験だけで楽しみが得られているわけではない。家で過去に手に入
れた特別展の図録や一般に売られれている美術書籍をみているときも同じよ
うに心はいい気分になる。だから、展覧会に出かける回数が少なくなった昨
今は毎日図版によって画家と深くつながっており、その図録がとくに感動の
大きかった展覧会のものだと画家への思い入れがより強くなっていく。

2008年、シカゴ美を訪問したとき思いもよらなかった幸運が待っていた。
なんと、ここであのホッパー(1882~1967)の大回顧展が開催され
ていた!シカゴ美で誰もがみたい絵というとスーラの‘グランド・ジャット島
の日曜日の午後’(1884~86年)とポッパーの‘夜更かしをする人たち’
(1942年)。この2点をみるのが長年の夢だったのに、さらにポッパー
が丸ごと楽しめるとは。夢のような巡りあわせだった。この特別展はまず
ボストン美で2007年5月にはじまり、次がワシントンナショナルギャラ
リー、そして最後が代表作があるシカゴ美。

ミュージアムショップで完璧に近いラインナップで主要な作品がどどっと載
っている大きな図版を購入したが、残念なことに展示替えでシカゴにはやっ
て来なかったものがあった。そのなかでこれもみたかったと強く思ったのは
‘サマータイム’、‘西部のモーテル’、‘海を見る人々’、‘二階の日ざし’。‘夏の
夕暮’はこの回顧展には出品されず、参考図版で登場。

ポッパーが描く人物は一人ないし二人が多い。‘サマータイム’と‘二階の日ざし’
は光の描写が印象深いため、人物の内面まで踏み込めないところがあるが、
‘西部のモーテル’はホッパーのイメージとなっている孤独感が色濃くでている。
そして、若いカップルが描かれた‘夏の夕暮’と中年の男女が静かに並んでいる
‘海を見る人々’はどこかドガの作品‘アプサント’の雰囲気を彷彿とさせる。豊か
だけどなにか淋しくく空虚な世界がここにはある。

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2024.01.10

ミューズにとどけ追っかけ絵画! アンリ・ルソー

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    ‘飢えたライオン’(1905年頃 バイエラー財団美)

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    ‘豹に襲われる黒人’(1910年 バーゼル美)

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    ‘滝’(1910年 シカゴ美)

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    ‘異国風景’(1910年 ノートン・サイモン財団)

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    ‘森の散歩’(1886年頃 チューリヒ美)

海外の美術館で開催される展覧会をみるのが目的で申し込んだ団体旅行ツア
ーがいくつかある。たとえば、2010年ローマであった‘カラヴァッジョ展’、
2015年ワシントン・フリーア美の‘宗達展’、2016年マドリードのプラ
ドで開かれた‘ボス展’&‘ラ・トゥール展’。これらは事前に回顧展の情報が入
り、前のめりで出かけたケース。これとは反対に情報がキャッチできず、あ
とから残念な思いがしたものもある。そのひとつが2010年、スイス・
バーゼルにあるバイエラー財団美で行われた‘アンリ・ルソー展’。

人気がどんどん上がっていくルソー(1844~1910)の回顧展にどの
絵が結集したかは詳細には知らないが、この没後100年の記念展を主催した
バイエラー財団美が所蔵する‘飢えたライオン’が目玉作品だったことはすぐ察
しがつく。回顧展は見逃したが、スイス美術館巡りが実現したときはバーゼル
を訪問することは決めているので、対面が叶うだろう。そして、バーゼル美に
ある同じくジャングル画‘豹に襲われる黒人’やチューリヒ美蔵の初期の作品‘森
の散歩’も楽しめそう。

アメリカの美術館を団体ツアーに参加して本格的にまわるようになったのは
2008年から。このとき念願のシカゴ美は名所観光のコースに入っていたの
で、わくわくしながら入館しスーラの代表作‘グランド・ジャット島の日曜日
の午後’を天にも昇るような気持でみた。ほかにも必見名画がメモ帳にビッ
シリ書き込まれていたが、ルソーの‘滝’はどういうわけか飾られてなかった。
これにはガックリ。どかの美術館が久しぶりの‘’シカゴ美展‘を企画してくれ、
これを選んでくれたら言うことないが。果たして?

アメリカは西海岸に縁がなく、LAやサンフランシスコの美術館の訪問が果た
せてない。アバウトな構想ではパサディナのノートン・サイモン財団蔵の‘異国
風景’への関心も高い。日本人コレクターがもっている‘猿のいる熱帯の森’はす
でに鑑賞しているので、同じように猿の姿が印象深いこの絵もなんとか目に中
に入れたい。

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2024.01.09

迫力満点の龍図選!

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   陳容の‘九龍図巻’(南宋1244年 ボストン美)

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   海北友松の‘雲龍図(部分)’(重文 1599年 建仁寺)

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   曽我蕭白の‘雲龍図(部分)’(1763年 ボストン美)

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   円山応挙の‘雲龍図(部分)’(重文 1773年)

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   橋本雅邦の‘龍図屏風’(重文 1895年 静嘉堂文庫美)

干支が辰(龍)の年はつい景気の上昇に期待してしまうが、元旦早々に起き
た能登半島地震によってそんな甘い見通しが吹っ飛んでしまった。まずは
神獣のパワーにすがってでも一日でも早い復興を進めるほかない。その願い
にもってこいの龍図を集めてみた。

2017年に開催された‘ボストン美術館の至宝展’(東京都美)にすごい龍図
が登場した。横9.58mの画面に九匹の龍がダイナミックに飛動する
‘九龍図巻’。描いたの南宋末期に活躍した陳容でとくに引き込まれたのが玉を
持つポーズが決まっている四匹目の龍。東博にも‘五龍図巻’があるが、こちら
のほうが龍の数が多く大きくうねる雲や波とコラボした迫力満点の表現に強く
印象づけられる。

かなり前に京博で‘建仁寺展’があり、海北友松(1533~1615)の度肝
を抜かされるほど大きな‘雲龍図’に遭遇し、声を失ってみた。そして、友松が
‘龍の名手’であることを実感した大回顧展と2017年京博でめぐりあった。
大作の絵には心を奪われるが、龍が主役だとテンションの上がり方が半端で
ない。友松の龍は一生忘れられない。絵の大きさでいうとボストン美が所蔵す
る曽我蕭白(1730~1781)の‘雲龍図’も強烈なインパクトがある。

龍の絵に魅了された順番としては円山応挙(1733~1795)の‘雲龍図’
が一番早い。その特徴が絵の大きさだけでなく、龍の体が墨と金のハイブリッ
ドというのも印象深い。そして、龍図の進化系とし名高いのが橋本雅邦
(1835~1908)の‘龍図屏風’。これは‘虎図’と対になっており、まった
く新しい色彩感覚でとらえた日本画で雅邦の最高傑作。

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2024.01.08

ミューズにとどけ追っかけ絵画! ゴーギャン

Img_20240108223301    ‘マンゴーを持つ女’(1892年 ボルチモア美)

Img_0004_20240108223301    ‘チェロ奏者ウパウパ・シュネークルード’(1894年 ボルチモア美)

Img_0001_20240108223301    ‘いつ結婚するの’(1892年)

Img_0002_20240108223401    ‘市場’(1892年 バーゼル美)

Img_0003_20240108223401    ‘神の子の誕生’(1896年 ノイエ・ピナコテーク)

アメリカのボルチモア美にはマティス同様、見たくてしょうがないゴーギャ
ンの絵が2点もある。ゴーギャンの画集には必ず載っている‘マンゴーを持つ
女’と‘チェロ奏者ウパウパ・シュネークルード’。どちらも画面いっぱいに
人物が描かれているのが特徴で鮮やかな色彩表現に強く惹きこまれる。本物
の前では‘最高の瞬間‘を味わえるのは間違いない。

‘いつ結婚するの’には苦い思い出がある。2015年、ワシントンのフリー
ア美で開催された‘宗達展’をみるためアメリカに出かけた。長年の夢であった
‘松島図’をみたあと、フィラデルフィア、NYをまわり、最後のボストンをめ
ざして列車に乗り込んだ。そして、座席の前の網掛け(前席の後側)にあっ
たワシントンのフリップス・コレクションで開かれている特別展(10/10
~1/10)のチラシが目に入った。そこに載っていたのがその年の2月の
競売で3億ドル(約360億円)で落札されたゴーギャンの‘いつ結婚するの’
だった! 事前にこの情報をつかんでいたら、ワシントンでほかの観光をパス
して足を運んだのに、残念でならない。

スイスでの美術館巡りをいつか実現させようと思っている。どこを訪問する
かはおおよそ決めていて、そのなかにバーゼル美も入っている。だから、
その段取りが整えば古代エジプトの壁画に描かれた人物像を連想させる‘市場’
にぐんと近づく。ちなみにほかで訪問することになっているのはチューリヒ
美、オスカー・ラインハルト・コレクション、セガンチーニ美、ベルン美など。

チューリヒに1週間くらい滞在し、ここからスイスの各都市をまわることにし
ているが、ドイツのミュンヘンにあるノイエ・ピナコテークに足をのばす
オプションもある。若い頃住んでいたジュネーブからクルマでミュンヘンを訪
れたが、当時はまだ美術鑑賞にめざめてなく普通の観光客の気分で古典絵画館
の方だけをみた。近現代絵画館に入館すればゴーギャンの‘神の子の誕生’、マネ
やゴッホの名画と対面できる。なんとしても実現させたい。

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2024.01.07

知恩院の‘阿弥陀二十五菩薩来迎図’!

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   国宝 ‘阿弥陀二十五菩薩来迎図’(13世紀後半 知恩院)

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   国宝 ‘山越阿弥陀図’(13世紀半ば 禅林寺)

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   国宝 ‘山越阿弥陀図’(13世紀後半 京博)

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    ‘十体阿弥陀像’(重文 13世紀後半 知恩院)

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    ‘二河白道図’(重文 13世紀 香雪美)

美術館へ出かけるのは以前と違ってここ数年は月に一度くらいのペースが定
着してきた。まわる美術館の数は1館だけというのはなく2、3館をはしご
する。多いときは4館も忙しく動きまわることがある。そのときは重い図録
のためちょっと疲れる。4月は京博で見逃せない‘雪舟伝説’(4/13~
5/26)があるので、京都・大阪の美術館をいくつも訪問することになり
そう。

一方、フランチャイズでは東博の‘法然と極楽浄土’(4/16~6/9)に心が
向かっている。お目当ては知恩院にある国宝の‘阿弥陀二十五菩薩来迎図’。
チラシなどの情報によると、この通称‘早来迎’は3年にわたる修理が完了し、
制作当初に近い姿を取り戻したとのこと。これは鑑賞欲を強く刺激する。
展示の期間は前期(4/16~5/12)のみだから、開幕したらすぐ出動す
るつもり。

この来迎図はこれまで3回くらいみたが、最初の出会いは1995年奈良博
であった‘日本仏教美術名宝展’。二十五菩薩を率いて斜め上から急角度ですー
っと降りてくる阿弥陀の姿を立ち尽くしてみていた。スピード感が全身で感
じられるのは長く尾を引く雲の動的描写が見事だから。こうやって阿弥陀一
行が死者をお迎えに来てくれのだから、右下の屋内に描かれた合掌して往生
を待つ人物は感涙にむせぶだろう。

来迎図はほかにもいいのがある。禅林寺と京博にある‘山越阿弥陀図’。禅林寺
のものは山の間から現れる巨大な阿弥陀如来はインパクトがあるし、京博蔵は
正面から一行がどどっとでてきて往生者をめざして向かってくる感じ。知恩
院の‘十体阿弥陀像’も同じイメージがする。そして、阿弥陀に連れて行っても
らった極楽浄土は‘二河白道図’の上部に描かれたようなところかもしれない。

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2024.01.06

ミューズにとどけ追っかけ絵画! マティス

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    ‘帽子の女’(1905年 サンフランシスコ近美)

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    ‘桃色の裸婦’(1935年 ボルティモア美)

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    ‘王の悲しみ’(1952年 ポンピドゥー)

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    ‘ズルマ’(1950年 コペンハーゲン国立美)

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    ‘ヴァンス・ロザリオ礼拝堂壁画’(1951年)

今年開催される西洋画関連の展覧会で関心が高いのはマティス
(1869~1954)。同じ画家の回顧展が2年続けてみれるのは珍しい
ことだが、昨年のポンピドゥーのマティスコレクションに味をしめて、国立
新美で2/14~5/27に披露されるニース市マティス美が所蔵する作品に
も期待で胸が膨らむ。ここ2年とりあげてきた‘西洋絵画・日本画で最高の
瞬間!’は過去の鑑賞で大きな感動をもらった名画の話だったが、まだお目に
かかってないが同じようなことが起こりそうな作品はまだまだたくさんある。
そして、その追っかけ絵画に一点でも多く遭遇できるよう常日頃ミューズに
祈りを捧げている。

2018年、北欧の旅でデンマークへ行ったときコペンハーゲン国立美を訪
問し、念願の‘マティス夫人(緑のすじのある肖像)’との対面が叶った。
マティスの本には必ず載っている傑作なので天にも昇るような気分だった。
次に狙ってるのはここにあげた5点。このうち、コペンハーゲンでみる予定
だった切り紙絵の‘ズルマ’はどういうわけか姿をみせてくれなかった。残念!
またデンマークに行くことはないから、これは無理かもしれない。

同じ切り紙絵の傑作‘王の悲しみ’はポンピドゥーを再訪するとみれる可能性が
ある。でも、これまでポンピドゥーには4回出かけたが、この絵は一度も飾
られてなかった。展示の仕方がどうなっているのかわからないのが厄介なとこ
ろ。パリへでかけるときは入念な展示情報のチェックが必要となるから結構
ハードルが高い。

アメリカのサンフランシスコとボルティモアに足を運べば願いが叶えられるの
が‘帽子の女’と‘桃色の裸婦’。旅の順番としては西海岸のサンフランシスコの方
が先。LA同様、旅の機運が段々高まっている。一方、フランスのニースの近く
にあるヴァンスは遠い。でも、ロザリオ礼拝堂の壁画はなんとしても目の中に
入れたい。

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2024.01.05

森鴎外物語と‘猿沢池の歌’!

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 津和野森鴎外記念館のガイドブック
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猿沢池と興福寺五重塔

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関心のある事柄が段々膨らんでいき、それと生涯離れられなくなることはい
ろいろある。たとえば、長く続けている美術鑑賞もそうだし、世界史、日本
史のことをもっと知りたいと思い、歴史の本を数多く読んできた。この歴史
好きの心を強く刺激する番組のひとつがBSプレミアムの‘英雄たちの選択’
(昨年末からNHKのBS放送が一つに集約されたが、この番組が続く?かは未
確認)。

先月の中頃ブックオフにでかけたとき、ちょうど1年前に放送された‘英雄た
ちの選択 森鴎外 37歳の転換~小倉左遷の真実~’で知った‘猿沢池の歌’
が載っている本がひょいと目の前に現れた。それは興福寺貫長多川俊映氏の
著作‘唯識入門’(春秋社刊 2013年)。そして、‘猿沢池の歌’とは‘手をう
てば 鯉は餌と聞き 鳥は逃げ 女中は茶と聞く 猿沢池’。(手をポンポンと
打ったならば、鯉がエサがもらえると思って岸に泳ぎよってくるが、鳥は身
に危険を感じて逃げていってしまう。一方、旅館の従業員は、お客さんがお
茶をほしがっているのだと思う)

多川氏は唯識の考え方をわかり易く説明するためにこの短歌を例に使ってい
る。‘手をたたく’というひとつのきわめて単純な動作、それによって発生した
単純な音にもかかわらず、それを受け取る側の条件の違いによって意味が異
なっていることを述べている。この話は分かりやすく腹にストンと落ちる。
これが唯識仏教のエッセンスで‘唯識所変’のこと。逐語的にいうと‘ただ(唯)
識によって変じだされた所のもの’。

この‘猿沢池の歌’が森鴎外の左遷の話とどう関係しているかというと、番組で
は司会役の歴史学者がこの短歌をもちだして、鴎外が37歳のときに出され
た小倉行きの辞令(手をポンポンと打つ)を左遷と考えて失意に沈んでしま
うか、出世争いに熱をあげて神経を擦り減らすよりは頭を切り替えて小倉で
普通に生きているひとたちと楽しく暮らすか、それは鴎外の心の持ち方次第
と解説している。鴎外ファンにはこの話はとても新鮮だった。

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2024.01.04

謹賀新年 2024年前半展覧会プレビュー!

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今年も拙ブログをよろしくお願いします。雑誌‘日経大人のOFF 絶対見逃せ
ない2024年美術展’のお陰で全国の美術館で開催される特別展が数多く集
まってきた。昨年に引き続き今年も西洋美術、日本美術ともに鑑賞意欲を刺
激する展覧会が年間を通して途切れることなく登場する。前半で気になる
ものをピックアップしてみた。

☆西洋美術
オラファー・エリアソン展    11/24~3/31  麻布台ヒルズギャラリー
印象派       1/27~4/7   東京都美
村上隆展      2/3~9/1    京都市京セラ美
マティス      2/14~5/27  国立新美
ブランクーシ    3/30~7/7   アーティゾン美
デ・キリコ展    4/27~8/29  東京都美

☆日本美術
鳥文斎栄之展    1/6~3/3    千葉市美
本阿弥光悦展    1/16~3/10  東博
中尊寺金色堂    1/23~4/14  東博
織田有楽斎     1/31~3/24  サントリー美
池大雅       2/10~3/24  出光美

福田平八郎     3/9~5/6    大阪中之島美
大吉原展      3/26~5/19  東芸大美
雪舟伝説      4/13~5/26  京博
法然と極楽浄土   4/16~6/9   東博
竹久夢二展     6/1~8/25   東京都庭園美 

(注目の展覧会) 
西洋美術関連では国立新美で開催される‘マティス’ への期待が大きい。
目玉作品の切り紙絵の大作‘花と果実’ には特別の思い入れがある。若い頃、
ニース美を訪問したとき生憎休館日でみれなかった。そのリカバリーが日本
で実現するのだからたまらない。京都市京セラ美で行われる現代アートの
村上隆の個展もワクワクする。

今年は日本美術に楽しみが多い。そのビッグイベントは京博の‘雪舟伝説’、
二度目の大雪舟展なので万難を排して出かけるつもり。これとくっつけてみ
るのは大阪中之島美の‘福田平八郎’と7カ月のロングラン興行の‘村上隆 
もののけ 京都’。そして、久しぶりの‘竹久夢二展’も見逃せない。図録を整
理し竹久夢二物語を深く心に刻み込んだから、お馴染みの夢二式美人との
再会が楽しみ。

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