« 2023年11月 | トップページ | 2024年1月 »

2023.12.30

日本映画に使われた名画!

Img_0005_20231230223601

Img_0002_20231230223601

Img_0007
   ルノワールの‘アンリ夫人’(1876年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー)

Img_0004_20231230223701

Img_20231230223701

Img_0001_20231230223701
 ターナーの‘雨、蒸気、速度ーグレート・ウエスタン鉄道’(1844年 ナショナル・ギャラリー)

Img_0006_20231230223701

Img_0003_20231230223701

Img_0008
   橋本明治の‘石橋’(1961年 東近美)

ここ2年映画のDVDの蒐集に多くの時間と資金をつぎ込んできたが、求め
ていた作品がおおよそ揃ってきたので、今は新規作品の購入はペースダウ
ンさせもっぱらお気に入りの作品を繰り返しみて楽しんでいる。いい絵は
みる度に発見があるといわれるが、名作映画でもそれがあることに気づい
た。

今週は定番のMy図録づくりに精を出しているとき、森繫久彌主演の喜劇
‘社長シリーズ’の最初のころの作品を流していた。喜劇映画は笑いが絶え
ないので作業の効力がぐんと上がる。1956年に登場した記念すべき
第1弾‘へそくり社長’ははじめてみたときは気づかなかったシーンが目にと
まった。小林桂樹(秘書)の恋人司葉子(同僚)の自宅の部屋に掛けられ
ていたカレンダーにルノワールの女性画が使われていた。モノクロ映画だ
がワシントン・ナショナル・ギャラリーにある‘アンリ夫人’であることはす
ぐわかった。監督や美術担当がルノワール好きだったのだろうか。

別の監督が2年後に撮った‘社長三代記’でも喜劇映画にこの絵がでてくるの?
という場面があった。三代目社長を演じる加東大介のデスクの後ろをみると
なんとターナーの‘雨、蒸気、速度ーグレート・ウェスタン鉄道’が飾られて
いる。これも前はまったく気づかなかった。ほかの作品で川合玉堂の絵が
でてきたのは記憶しているが、有名なターナーの代表作が選ばれるとは。
これには200%驚いた。

今年は小津安二郎監督の映画を2本追加購入した。‘東京物語’(1953年)
同様、世界的に高く評価されている‘晩春’(1949年)と1962年に
製作された‘秋刀魚の味’。‘晩春‘は能舞台を堪能させてもらったが、‘秋刀魚
の味’では字幕意匠装画をてがけた橋本明治の‘石橋’が笠智衆の友人の重役の
部屋に掛けられていた。この絵ができたのは1961年なので一年後に映画
で採用されたことになる。小津安二郎は橋本明治の絵が気に入っていたのか
もしれない。

今年も拙ブログにおつきあいいただきありがとうございます。
皆様良いお年をお迎え下さい。

| | コメント (5)

2023.12.29

椿貞雄の‘朝子像’!

Img_20231229221801
   椿貞雄の‘朝子像’(1927年 平塚市美)

Img_0001_20231229221801
   椿貞雄の‘冬瓜図’(1925年 豊橋市美)

Img_0002_20231229221801
   岸田劉生の‘冬瓜図’(1926年)

今年行われた日本美術関連の展覧会で大きな収穫だったのが洋画家たちの作品。
3月から5月かけて多くの美術ファンに足を運ばせた‘重要文化財の秘密’
(東近美)では洋画家のオールスターたちの名画がずらっと登場した。嬉しい
対面となったのが小出楢重の‘Nの家族’。この絵を所蔵する倉敷の大原美は
広島にいたとき数回でかけたが、どうもみたという実感がない。当時はこの画
家に関心がいってなかったので、みてるのに記憶に残らなかったのだろう。
だから、はじめてお目にかかったのと変わらなかった。右から差し込む光の描
き方が印象深い。

小出の場合はほかの作品をみたことがあるので画風のイメージができていたの
に対し、山形県米沢市の出身の椿貞雄(1896~1957)についてはこれ
までまったく縁がなかったので、作品が3点出品された東京ステーションギャ
ラリーで開催された‘春陽会誕生100年 それぞれの闘い’(9/16~
11/12)がエポック的な展覧会になった。サプライズMAXの感情を引き起こ
したのは3歳の娘を描いた‘朝子像’。みた瞬間、My‘好きな子どもの絵’への登録
が決まった。

画家のプロフィルを読むと岸田劉生(1891~1929)の個展をみて感動し、
入門しようと自作をもって岸田宅を訪れたとのこと。椿の感動の大きさは劉生
の‘麗子像’を連想させる‘朝子像’にしっかり現れている。でも、この絵は芭蕉の
言葉でいうなら‘劉生に入って劉生を出た!’ということを強く感じさせる傑作。

‘冬瓜図’は劉生が描いていた中国宋元図のモチーフの存在を教えてもらい挑戦し
たもの。師匠と同じように丸みの感じをよくつかみ白い粉の質感が見事に描写
されている。なんだか、円山応挙と長澤芦雪の絵を並べてみているような気分
になった。千葉市美で2017年、‘椿貞雄 没後60年 師・劉生、そして家
族とともに’が開催されていた。見逃したのが悔やまれる。

| | コメント (0)

2023.12.28

マリー・ローランサン ベスト5!

Img_0004_20231228223801
  ‘グールゴー男爵夫人の肖像’(1923年頃 ポンピドゥー)

Img_0003_20231228223801
  ‘マドモアゼル・シャネルの肖像’(1923年 オランジュリー美)

Img_0005_20231228223801
  ‘帽子をかぶった自画像’(1927年頃 マリー・ローランサン美)

Img_20231228223801
  ‘少女と小鳥’(1937年 大谷コレクション)

Img_0002_20231228223801
  ‘花束をもつ婦人’(1942年 ひろしま美)

画家との距離が一気に縮まるのが作品が数多くみられる回顧展との出会い。
今年はマリー・ローランサン(1883~1956)の当たり年で、
Bunkamuraとアーティゾン美で2回も体験した。おかげでMyマリー・
ローランサンベスト5!がほぼ固まった。作品の好みは相対的なものだが、
鑑賞した作品の数が増えてくるといろいろ比較できるのでいい絵は自然と
浮かび上がってくる。

特筆すべきはベスト1の絵が変わったこと。これまではローランサンとい
うとすぐ思い浮かんだのはパリのオランジュリーでお目にかかった‘マドモ
アゼル・シャネルの肖像’だった。でも、ポンピドゥーにある‘黒いマンテラ
をかぶったグールゴー男爵夫人の肖像’をみてしまうと、もうこちらに夢中
になってしまう。徽宗の‘猫図’とともに忘れられない肖像画になった。

ココ・シャネルの肖像画にはおもしろい話がある。シャネルは出来栄えが
気に入らなかったので描き直しを要求したが、パリっ子のローランサンも
譲歩しなかった。そのためシャネルは絵を受け取らなかった。ローランサ
ンは後にこのように語っている。‘シャネルはいい娘だが、オーヴェルニュ
の田舎娘よ。あんな田舎娘に折れてやろうとは思わなかった。’

日本のマリー・ローランサン美が所蔵する‘帽子をかぶった自画像’は
2010年川村記念美で一度みたのだが、そのときはそれほど惹かれなか
った。ところが、アーティゾン美で再会した瞬間、見惚れてしまった。
春Bunkamuraでローランサンの世界に酔っていたから、感じ方が変わった
のかもしれない。日本の美術館には魅了される絵が多くある。たとえば、
大谷コレクション(今もある?)、アーティゾン美、山形美、松岡美、
ひろしま美、中之島美。そのなかでお気に入りは‘少女と小鳥’と
‘花束をもつ婦人’。

| | コメント (0)

2023.12.27

岸田劉生の‘麗子像’ベスト5!

Img_0003_20231227223501
   ‘麗子微笑’(重文 1921年 東博)

Img_20231227223501
   ‘二人麗子図’(1922年 泉屋博古館東京)

Img_0002_20231227223501
   ‘麗子座像’(1922年)

Img_0004_20231227223501
   ‘麗子住吉詣之立像’(1922年)

Img_0001_20231227223601
   ‘麗子弾絃図’(1923年 京近美)

わが家の本棚に収まっているの展覧会図録のなかで数が多い日本画家、洋画
家のグループに入っているのが岸田劉生(1891~1975)。現在5冊
ある。図録が多いのは回顧展がよく行われ、その度足を運んでいるからだが、
今年は東京ステーションギャラリーで開かれた‘春陽会誕生100年 それぞ
れの闘い’(9/16~11/12)に劉生の絵が全部で11点出品されていた。
出かける前図録はパスの予定だったが、劉生のはじめてみた作品がいくつ
もでてきたので購入せざるを得なかった。こういうときはやることは決まっ
ており、関心の高い劉生や萬鐵五郎らの図版だけを残しあとは処分すること
になっている。

この特別展に‘麗子像’ベスト5!に入れている‘麗子弾絃図’が登場した。前回
みたのが2009年だから、14年ぶりの鑑賞である。劉生はこの頃、歌舞
伎や長唄にのめり込んでいたから麗子に三味線を持たせて描いている。重文
の‘麗子微笑’のような顔に視線が集中する肖像画とは異なり演出を加えている。
この横顔の麗子以外の4点は‘麗子微笑’の顔が連続してでてくる感じ。大人の
ような神秘性を秘めた綺麗な表情に大変魅了されている。

‘二人麗子図’は意表を突く肖像画。シュール的なアイデアはどこから生まれて
きたのだろう。双子が生まれ同じ名前を付けて一緒に描こうと夢想した?
紫のセーターとチェックのスカート姿の麗子が描かれている‘麗子座像’も忘れ
られない一枚。確かこれは10年以上前、川村記念美で遭遇し、息を呑んで
みた。‘麗子微笑’と同じくらい感動した。

‘麗子住吉詣之立像’は残念ながらまだ縁がない。ずっと待っているが、ミュー
ズに願いを叶えてもらえない。個人蔵になっているが、これまで美術館に貸
し出されたことがあるのだろうか。この絵と藤島武二の‘芳蕙’、いつ目の前に
現れてくれるのか、諦めずその時を待ちたい。

| | コメント (0)

2023.12.26

徽宗と岸田劉生の猫図!

Img_0003_20231226221401
   徽宗の‘猫図’(北宋12世紀)

Img_20231226221401
   岸田劉生の‘猫図’(1926年)

Img_0001_20231226221401
   岸田劉生の‘長与善郎「或る人々」見返し’(1920年)

Img_0002_20231226221401
   岸田劉生の‘「棋道」表紙原画 後庭春昼’(1929年)

いい絵との出会いの仕方は2つある。その多くは予定通り満を持してお目当
ての展覧会へ足を運び、対面が叶えられる場合。そして、もうひとつ稀なこ
とだが出かけた展覧会でまったく予想してなかった名画に遭遇することもあ
る。今年は根津美で行われた‘北宋書画精華’(11/3~12/3)でそれが
おこった。運よくお目にかかれた絵は徽宗(1082~1135)が描いた
‘猫図’。展示はわずか3日だったので、この機会を逃したら二度と縁はない
ことは容易に想像できる。

この猫と出会ったことは今年一番の収穫だったかもしれない。なにしろ徽宗
の絵がみれるなんてことは一つの‘事件’だから、とても嬉しい。そして、猫図
をさらに横展開させるおもしろい連鎖反応が生まれてきた。ルーティンの
図録整理をして、棟方志功物語、竹久夢二物語を腹にストンと落としたので
次は岸田劉生をスタートさせようと5冊ある図録をざあーとみていた。すると、
そのなかに徽宗の絵がでてきた。一瞬模写かと思った。

正確に言うと劉生は徽宗の猫図を参考にして尾っぽを逆に右から左にむかって
曲げるようにして足の前に持ってきている。そして、猫の顔を真正面から描
いている。原画の構図がすごくいいので、劉生流の猫図も惹きこまれる。この
絵が展示されたのは2007年うらわ美で開催された‘画家 岸田劉生の軌跡’。
16年前の鑑賞なので、この猫のことはすっかり忘れていた。

この展覧会にはもう1点同じような猫がでていた。それは猫図の6年前に描か
れた‘長与善郎「或る人々」見返し’。この猫は体を丸めて寝ている。小品だが
思わず足が止まる猫である。4年前東京ステーションギャラリーであった‘没後
90年記念 岸田劉生展’に日本棋院の機関紙‘棋道’の表紙を飾る絵が出品され
たが、そのひとつ‘後庭春昼’では猫と蝶々が戯れるところが描かれている。この
生気あふれる猫はよく覚えている。

| | コメント (0)

2023.12.25

メリークリスマス!

Img_0001_20231225215601
   ムリーリョの‘聖母子’(1670年代 メトロポリタン美)

Img_20231225215601

Img_0002_20231225215701

昨年からわが家のクリスマスはぐんとクリスマスらしくなった。それまでは
‘メリークリスマス!’をワインで乾杯してちょっと豪勢なステーキを食べる
というごく普通のクリスマスだった。その習慣が変わったのはクラシックの
CDを本格的に揃えだしたことが関係している。24日と25日は終日クリス
マスにふさわしい音楽が流れ、キリスト教の雰囲気を耳からも感じるように
なった。

今年聴いたのはグラモフォンから発売された‘ピエ・イエス’(録音:1959
年1月~1990年4月)。まさに癒しの音楽がずっと流れてくるという感じ。
もう一枚はソプラノ歌手のミレルラ・フレーニが歌った‘わが母の教え給いし
歌’。とくに心に沁みるのがヘンデルの‘オンブラ・マイ・フ(なつかしい木陰)’
とシューベルトの‘アヴェ・マリア’。こういう曲を聴くと親しい友人のひとり
で日曜日はいつも教会に行っている熱心なキリスト教徒が頭をよぎる。いま
ごろは荘厳な宗教音楽が流れるなかキリストの生誕を祝っているのだろうと。

クリスマスにはいつも図録をいくつもひっぱりだして宗教画をみるのがルーテ
ィンだが、今年はスペイン・セビリア出身の画家,ムリーリョ(1617~
1682)の‘聖母子’を長くみていた。これは昨年国立新美で行われた‘メトロ
ポリタン美展 西洋絵画の500年’に出品された。聖母マリアも幼子イエスも
宗教画ぽくなく、ヨーロッパの街を歩いているとみかける優しい母親と可愛い
赤ちゃんと変わらない。マドリードのプラド美ではムリーリョの傑作に何点も
お目にかかったが、どの絵もマリアは柔らかで親しみを覚える姿で描かれてい
るからとても心が安らかになった。ラファエロ同様、ムリーリョの聖母子に魅
了され続けている。

| | コメント (2)

2023.12.23

2023年 心を揺すぶった戦争映画!

Img_20231223222001

Img_0003_20231223222001

Img_0001_20231223222001

Img_0002_20231223222001

今年、第一次世界大戦ならびに第二次世界大戦を題材にした戦争映画は全部
で11本みたが、そのなかでとくに心を揺すぶられたのが次の3本。
☆‘U・ボート’(西ドイツ 1981年 208分)
☆‘ナバロンの要塞’(イギリス・アメリカ 1961年 157分)
☆‘大いなる幻影’(フランス 1937年 113分)

ブックオフへ定期的に足を運びたくさんの映画をチェックしていると、映画
のタイトルがどうもこびりつく作品がある。でも、世の中に大勢いる映画ファ
ンによる評価に関する情報がない場合はそれを購入するかどうかはそのとき
の気分次第できまる。果たして、いい選択だったかは半分々といったところ。
ここに挙げた3本は記憶に長く残るいい映画だった。

第二次大戦中の1941年の秋、ナチス・ドイツの占領下にあったフランス
大西洋岸のラ・ロシェル軍港(地図を参照方)から1隻のUボートが出航す
る。任務は大西洋を航行する連合国護送船団への攻撃だった。3時間以上も
ある長い映画の大半のシーンが潜水艦の中のウナギの寝床みたいな細長い圧
迫された密室。だから、閉所恐怖症の人には無理かもしれない。敵の護送船
団を沈没させるが、駆逐艦から発射された魚雷が命中し、乗組員たちの極限
の恐怖が続く。絶望的な状況を冷静沈着な艦長の的確な判断と指示と部下た
ちのがんばりでなんとか乗り越え、Uボートは奇跡的に浮上していく。この
ハラハラドキドキ感が半端でない。こんないい脚本はそうはない。いい戦争
映画をみた。

グレゴリー・ペックやデヴィッド・ニーブン、アンソニー・クインらが出演
している‘ナバロンの要塞’は以前観てノートに二重丸をつけていた映画なの
に、あらすじはまったく覚えていなかった。エーゲ海はドイツ軍の制圧下に
あり、ナバロン島は強力な大砲2門によって難攻不落の要塞と化していた。
この大砲を爆破する任務をまかされたのがグレゴリー・ペック扮する大尉を
リーダーとする精鋭部隊。最後に大砲が大爆発するのでスカッとする。

‘大いなる幻影’は興味津々でみたが、おもしろかった。1937年につくら
れたモノクロ映画だが、それはまったく気にならない。ジャン・ギャバンの
若い頃の映画ははじめてみた。第一次世界大戦でのフランスとドイツの戦い
を背景にドイツ軍捕虜となったフランス軍人たちの物語。この映画でもお決
まりの脱走作戦がひそかに進行する。スティーブ・マックイーンが主演した
‘大脱走’はこの映画が原点だったのではと直感した。

| | コメント (0)

2023.12.22

2024年 美術展 期待値の高いのはこれ!(2)

Img_20231222220801

今年同様、西洋美術でもお楽しみの特別展がいろいろ開催される。注目してい
るのは、
☆‘モネ 睡蓮のとき’(西洋美 10/5~2/11)
☆‘マティス 自由なフォルム’(国立新美 2/14~5/27)
☆‘デ・キリコ展’(東京都美 4/27~8/29)
☆‘ブランクーシ 本質を象る’(アーティゾン美 3/30~7/7)
☆‘村上隆 もののけ 京都’(京都市京セラ美 2/3~9/1)
☆‘カナレットとヴェネツィアの輝き’(SONPO美 7/27~9/29)

モネ好きとしては秋に西洋美で開かれる‘モネ 睡蓮のとき’がもっとも嬉しい
特別展。オランジュリー美にある睡蓮の大装飾画のひとつ‘朝の柳’の関連作品が
2点(マルモッタン・モネ美蔵)やってくる。睡蓮の絵はアメリカのウスター
美蔵展(東京都美 1/27~4/7)にも登場するので、これも楽しみ。

マティスの絵が来年も目を楽しませてくれる。国立新美の広い展示室を飾るの
はニースにあるマティス美が所蔵する作品。1982年、この美術館を訪問し
たが、残念なことに休館日だった。42年経ってようやくリカバリーのチャン
スがめぐってきた。切り紙絵の大作‘花と果実’との対面が待ち遠しい。

村上隆の大個展が京都市京セラ美で2月から9月まで7カ月のロングラン興行
されることを知りちょっと興奮している。どうやら、‘雪舟’展、‘福田平八郎展’、‘村上隆展’をはしごする美術鑑賞旅行になりそう。SONPO美の‘カナレットとヴェネツィアの輝き’への関心も高い。都市景観図の名手として知られたカナレットをまとまった形でみれることになるとは。ロンドンのナショナルギャラリーで夢中になってみたヴェネツィアの風景画のことが忘れられないから、敏感に反応してしまう。

| | コメント (0)

2023.12.21

2024年 美術展 期待値の高いのはこれ!(1)

Img_20231221215001

クリスマスが近づくともう今年もあとわずかだなという気持ちになってくる。
そして、ここ数年12月に手に入れている来年の美術展が載った雑誌を読ん
で期待の特別展に心が向かっている。いつもは‘芸術新潮’も購入するのだが
、行きつけの本屋では売れ切れていた。これは迂闊だった。で、今回は‘日経
おとなのOFF 絶対見逃せない2024美術展’の情報によって来年の美術館
巡りを構想することにした。

新しく入ってきた日本美術関連の展覧会で心がワクワクするものがたくさん
ある。期待値がとても高い特別展をあげてみると、
☆‘雪舟伝説’(京博 4/13~5/26)
☆‘池大雅’(出光美 2/10~3/24)
☆‘英一蝶’(サントリー美 9/18~11/10)
☆‘竹久夢二展’(東京都庭園美 6/1~8/25)
☆‘福田平八郎’(大阪中之島美 3/9~5/6)
☆‘田中一村展’(東京都美 9/19~12/1)

画聖・雪舟の大展覧会が22年ぶりに前回と同じ京博で開催される。これは
楽しみなので、京都・大阪で開催されるほかの特別展との組み合わせを考え
て日程を段取りすることになりそう。すぐくっつくのが大阪中之島美の‘福田
平八郎’、3回目の回顧展となるが未見のプラスαに期待したいところ。大阪
中之島美は開館してから多くの観客を呼びこむ企画展を連発している。今年
は‘長沢蘆雪展’に行きそびれたので是非再訪したい。

東京ではおおーと、声がでるのがサントリーの‘英一蝶’。‘やっぱりやるね、
サントリーは!’という感じ。出光の‘池大雅’も同じ気持ちで、‘大雅をやって
くれるの!’と好感度がまた上がる。東京都美は日本画でも動いてきた。秋に
登場する‘田中一村展’がすばらしい。千葉市美で心を奪われた作品がまたみら
れる。good jobに拍手!東京都庭園美の‘竹久夢二展’は2015年にアメリカ
で発見された油彩画‘西海岸の裸婦’が楽しみ。

| | コメント (0)

2023.12.20

シャーロックホームズ ‘緋色の研究’!

Img_0003_20231220222301

Img_20231220222301

Img_0002_20231220222301
 Eテレ100分de名著‘シャーロックホームズスペシャル’より

Img_0001_20231220222301

ドイルが名探偵シャーロック・ホームズ物語の第一作として書いたのが
‘緋色の研究’。この話が9月に放送された‘100分de名著’に登場した‘シャ
ーロック・ホームズスペシャル’の第一回目で紹介された。2年前、ホーム
ズの虜になってイギリスのTV映画として製作されたものをBSプレミアムで
前のめりになってみた。そして、すぐ新潮文庫で映画化された作品を読み、
原作と映画との違いなどを確認した。ところが、1887年に発表された
第一作の長編‘緋色の研究’はなぜか映画化されてないので、原作を読むのは
横においていた。だから、タイトルの‘緋色の研究’が一体何を意味している
のか、ずっとわからないままだった。100分de名著にとりあげられたお
かげでようやく疑問が解消され、原作にもすすむことができた。

ホームズは殺人事件を解決に導くことを‘緋色の研究’といい、こう述べてい
る。‘人生という無色のもつれた糸の束には、殺人という緋色の糸が混じっ
ている。それを解きほぐし、緋色の糸を引き抜いて、すみずみまで明るみに
出すことが、ぼくたちの務めだ’。殺人によって流れ出た血の色が緋色のこ
とであり、殺人とかかわることはその人の人生を研究することにもつながっ
てくる。ホームズは名文句を吐く。

犯人のホープが死んだ恋人とその父親の復讐のためようやく見つけたドレッ
パー殺すために使った方法が刺激的だった。ホープはこう喚く。‘神様にどっ
ちが正しいかのお裁きを願おう。さ、この2つの丸薬のうちどっちでも、
好きなほうを一つ飲め!一つは死で、一つには生がある。おれはお前の残し
たほうを飲む。この世に正義があるものか、それとも単なる運だけに支配さ
れているものなのか、これでわかるのだ’。果たして、どんな結末になったか。

ポープの話はこう続く。‘ふたりはむかいあわせに一分余り黙ってつっ立った
まま、結果いかにと待っていました。どっちが死に、どっちが生き残るかの
緊張した瞬間です。いよいよ最初の激痛がきて、毒は自分が飲んだ丸薬のほ
うにあったと知ったときのドレッパーの顔は、死んでも忘れますまい’。
復讐を果たすのに50%の確率でしか殺せないやり方を使うとは!

このシャーロックホームズスペシャルの講師をつとめた廣野由美子氏(英文
学者 京大教授)の本、‘ミステリーの人間学ー英国古典探偵小説を読む’を今、
興味深く読んでいる。

| | コメント (0)

2023.12.19

2023年 感動の日本美術(東洋も含む)ベスト10!(2)

Img_0002_20231219224601
   甲斐荘楠音の‘春’(1929年 メトロポリタン美)

Img_0001_20231219224601
   棟方志功の‘華厳松’(1944年 光徳寺)

Img_20231219224601
   ‘浜松図屏風’(重文 室町15∼16世紀 東博)

Img_0004_20231219224701
   李公麟の‘五馬図巻’(北宋11世紀 東博)

Img_0003_20231219224701
   国宝 ‘阿弥陀如来坐像’(平安12世紀 浄瑠璃寺)

今年後半、日本美術関連の特別展に足を運んだのは全部で7回。そして、
中国美術については前半泉屋博古東京で遭遇した青銅器の名品や陶磁器に
続いて、11月に根津美でスゴイ北宋絵画が登場した。ここに選んだ5点
が飾られた美術館と時期は、
☆‘甲斐荘楠音の全貌’(7/1~8/27 東京ステーションギャラリー)
☆‘棟方志功展’(10/6~12/3 東近美)
☆‘やまと絵’(10/11~12/3 東博)
☆‘北宋書画精華’(11/3~12/3 根津美)
☆‘南山城の仏像’(9/16~11/21 東博)

美術館と数多くつきあっているとそのなかには相性のいい美術館がでてくる。
東京ステーションギャラリーはそのひとつ。ここは今年3回も訪問した。
8月ちょっと緊張気味に足を進めた特別展が大正期から活躍し、京都画壇の
異才を言われた甲斐荘楠音(かいのしょうただおと)。過去観た人物像のイ
メージは岸田劉生のグロテスクな麗子像を連想させる表現。だから、怖いも
のみたさ気分が心の奥底にある。その雰囲気が漂うなかで遭遇したのがメト
ロポリタンからやって来た‘春’、たしかに妖しいが話すとそれを忘れさせる
明るさもある。いい絵をみた。

久しぶりにみた棟方志功の回顧展では大きな収穫があった。それは水墨画の
‘華厳松’。これまで5回くらい回顧展と縁があったが、この大作は一度もでて
こなかった。嬉しい出会いだった。日本画の大イベントにふさわしい名画は
たくさん出品された‘やまと絵’で最後のほうに飾られていた‘浜松図屏風’をい
い気分でながめていた。平常展で何度もお目にかかっているが、やまと絵の
真髄をみる思いだった。

根津美の‘北宋書画精華’は後で日曜美術館で紹介され詳しい解説を聞くと
‘五馬図巻’など北宋絵画の表現が多くの中国絵画ファンの心をとらえているこ
とがよくわかった。出品された書画が全部日本にあるというのがスゴイ。
東博で開かれた‘南山城の仏像’で国宝の‘阿弥陀如来坐像’をみれたことも運の
いい巡り合わせだった。

| | コメント (0)

2023.12.18

2023年 感動の日本美術(東洋も含む)ベスト10!(1)

Img_0002_20231218223101    ‘青銅器 虎ゆう’(殷後期 前11世紀 泉屋博古館)

Img_0005_20231218223101   吉山明兆の‘五百羅漢図’(重文 南北朝1386年 東福寺)

Img_0003_20231218223101

Img_0004_20231218223101   富岡鉄斎の‘阿倍仲麻呂明州望月図’(重文 1914年 辰馬考古資料館)

Img_0001_20231218223101   中村貞以の‘失題’(1921年 大阪中之島美)

Img_20231218223101    ‘青花 蓮池魚藻文壺’(重文 元時代14世紀 大阪市立東洋陶磁美)

中国および日本美術関連の展覧会で大きな感動を得た作品を10点選んだ。
今年前半にお目にかかった5点が出品された展覧会は次のとおり。
☆‘住友コレクション中国青銅器名品選’(1/14~2/26 泉屋博古館東京)
☆‘東福寺展’(3/7~5/7 東博)
☆‘重要文化財の秘密’(3/17~5/14 東近美)
☆‘大阪の日本画’(4/15~6/11 東京ステーションギャラリー)
☆‘安宅コレクション名品選101’(5月 泉屋博古館東京)

今年の美術鑑賞は泉屋博古館東京で開かれた‘不変/普遍の造形ー住友コレク
ション中国青銅器名品選ー’からはじまった。日本の美術館では根津美とと
もに中国青銅器のコレクションで知られている京都の泉屋博古館。噂通り
の視線を釘付けにする青銅器がずらっと並んでいた。そのなかで特別に惹
き込まれたのが‘虎ゆう’。虎の大きく開けた口の下に人の頭が彫られている。
その奇抜な造形に思わず体がフリーズした。これはエポック的な鑑賞体験。
この美術館へは5月‘大阪市立東洋陶磁美 安宅コレクション名品選101’
にも足を運び、‘油滴天目茶椀’・‘飛青磁花生’(ともに国宝)や日本にある
青花では青の発色が一番いい‘蓮池魚藻文壺’を楽しんだ。

東近美の大ヒット企画展‘重要文化財の秘密’は友人知人におおいに薦めてき
たが、国宝と呼んでもおかしくない名品の数々のなかにこれまで情報がまっ
たくなかったのが富岡鉄斎の‘安倍仲麻呂明州望月図’(右隻 上)・‘円通大
師呉門隠栖図’(左隻 下)。ごつごつした岩山を彩る鮮やかな青が強烈に
目にしみた。過去あった回顧展にどうしてこんないい絵が出てこなかった
のだろうか。大収穫だった。

東福寺展の目玉は吉山明兆の‘五百羅漢図’。49点全部みるため3度出動し
た。色彩を際立せることでじつに賑やかな羅漢図が生まれた。まさに‘待て
ば海路の日和あり’である。明兆をみる目が変わった。東京ステーションギ
ャラリーにやって来た‘大阪の日本画’で強く印象に残っているのが中村貞以
の‘失題’。顔の白さ、下半身のボリューム感のある丸みパワーに200%
圧倒された。

| | コメント (0)

2023.12.17

2023年 感動の西洋美術ベスト10!(2)

Img_0004_20231217225001   ホックニーの‘春の到来’(2011年 ポンピドゥー)

Img_0002_20231217225001  ブレットの‘ドーセットサシャーの崖から見るイギリス海峡’(1871年 テート美)

Img_0003_20231217225001   モネの‘睡蓮の池’(1918年頃 ハッソ・プラットナー・コレクション)

Img_0001_20231217225001   ローランサンの‘アポリネールとその友人たち’(1909年 ポンピドゥー)

Img_20231217225101   レジェの‘婚礼’(1911~12年 ポンピドゥー)

残りの5点に選ばれた作品が登場した展覧会は次のとおり。
☆‘デイヴィッド・ホックニー展’(7/15~11/5 東京都現美)
☆‘テート美術館展’(7/12~10/2 国立新美)
☆‘モネー連作の情景’(10/20~1/28 上野の森美)
☆‘キュビスム展 美の革命’(10/3~1/28 西洋美)
☆ 上と同じ

今年西洋美術の特別展でもっとも期待していたのが‘ホックニー展’。西洋美の
‘キュビスム展’同様、日曜美術館で紹介されたこともあり東京都現美には若い
人を中心に大勢のファンが押しと寄せていた。そのなかに多くの外国人がい
たので、ホックニーが世界的に人気の高いアーティストであることを見せつ
けられた思いだった。目を楽しませてくれたのが大作の‘ウォーター近郊の木
々’(2007年)と‘春の到来’(2011年)、そして全長90mもある西洋
版大絵巻‘ノルマンデイーの12ヶ月’(2020~21年)。浮世絵や日本画
が好きなホックニーが四季の風景をモチーフにして描いた傑作をみれたこと
は生涯の喜びである。

心を揺すぶる風景画に‘テート美展’で遭遇した。それはロンドンのテート美に
は数回出かけたのにまったく縁がなかったジョン・ブレットの‘ドーセットシ
ャーの崖から見たイギリス海峡’。光を反射した海の色彩が静謐に美しく表現
されている。こんないい絵がテートにあったとは!上野の森美で開催された
‘モネ展’に大変魅了される‘睡蓮の池’がでていた。これまで体験した回顧展に
これは一度も出品されていない。大収穫だった。

西洋美の‘キュビスム展’で印象深いのは対面を長く待っていたローランサンの
‘アポリネールとその友人たち’と大画面に人物が何人描かれているか時間をか
けて探したレジェの‘婚礼’。レジェの代表作‘余暇’とはキュビスムの濃さが
明確に違う‘婚礼’がパリでなく日本でお目にかかれたのは幸運な巡り合わせ。
ポンピドゥー・センターに乾杯!

| | コメント (0)

2023.12.16

2023年 感動の西洋美術ベスト10!(1)

Img_20231216230001
   シーレの‘エーディト・シーレ’(1915年 レオポルト美)

Img_0005_20231216230001
 シーレの‘カール・グリュンヴァルトの肖像’(1917年 豊田市美)

Img_0001_20231216230001
 ローランサンの‘グールゴー男爵夫人の肖像’(1923年頃 ポンピドゥー)

Img_0002_20231216230001
  マティスの‘グールゴー男爵夫人の肖像’(1924年 ポンピドゥー)

Img_0003_20231216230001
  ルオーの‘二人組’(1948年 ポンピドゥー)

今年出かけた展覧会でとくに印象深かった作品について昨年同様、西洋美術、
日本美術(東洋も含む)のベスト10!を選んだ。いつものように順番はつ
けず西洋美術から。最初の5点が出品された展覧会は上から
☆‘エゴン・シーレ展’(1/26~4/9 東京都美)
☆ 上と同じ
☆‘マリー・ローランサンとモード’(2/14~4/9 Bunkamura)
☆‘マティス展’(4/27~8/20 東京都美)
☆‘ジョルジュ・ルオー展’(4/8~6/25 パナソニック汐留美)

期待の大きかった展覧会はともに東京都美で開かれたシーレとマティスの回顧
展。どちらも日曜美術館に取り上げられたから二人の画業の変遷がよく理解で
きた。シーレのコレクションで有名なレオポルト美のコレクションは過去にも
数回やって来たので、未見のものに関心を寄せていたが、それに応えてくれた
のが‘縞模様のドレスを着て座るエーディト・シーレ’。そして、どういうわけ
か縁のなかった豊田市美蔵の‘カール・グリュンヴァルトの肖像’にお目にかかれ
たのは大きな収穫だった。息を呑んでみていた。

マティスの‘グールゴー男爵夫人の肖像’ははじめてみたが、大変魅了された。
でも、その1ヶ月前目に焼き付けたマリー・ローランサンの出世作‘黒いマンテ
ラをかぶったグールゴー男爵夫人の肖像’とはちがった女性のように思えた。
NYの銀行家の一人娘として生まれた彼女はグールゴー男爵と結婚し、パリ社
交界の中心人物になった。マティスとローランサンが同じ人物をモデルにして
描いたというのがおもしろい。

ルオーの回顧展にもポンピドゥーが所蔵するものがいくつも並んだ。思わず足
がとまったのが‘二人組(二兄弟)’。パナソニック汐留美はルオーをたくさん
みせてくれるので好感度がどんどん上がっていく。

| | コメント (0)

2023.12.15

ショスタコーヴィチの♪♪‘セカンドワルツ’!

Img_20231215223501

Img_0001_20231215223501
   ショスタコーヴィチ(1906~1975)

2日前展覧会をアーティゾン美と森アーツセンターギャラリーでみたが、
その合間に銀座の山野楽器に行ってきた。目的はショスタコーヴィチ
(1906~1975)が作曲した♪♪‘セカンドワルツ’を購入するため。
店員に求めているCDを話すといろいろ調べてくれた。その結果、今年
心に響いた‘セカンドワルツ’は‘ジャズ組曲2番‘(1938年)の‘第6曲:
第2ワルツ’であることがわかった。

そして、もってきてくれたのが‘ショスタコーヴィチ:ジャズ音楽集’(リッ
カルド・シャイー指揮ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団、録音は
1981年、1988年、1990年 アムステルダム)。ショスタコー
ヴィチの音楽は詳しくない。これまで聴いたのは‘交響曲第5番’(1937年)
と‘ヴァイオリン協奏曲第1番’(1955年)だけ。解説文にショスタコー
ヴィチの写真が載っていた。この人物があのショスタコーヴィチか、とい
う感じ。

1934年に作曲された‘ジャズ組曲第1番’、その4年後にできた‘第2番’
はわれわれが知っているジャズとはまったくちがい、映画音楽とか大衆的
なライトミュージックのイメージ。だから、気楽に聴ける。お目当ての
‘第2ワルツ’が入っている‘第2番’のほうはまるでヨハン・シュトラウスの
曲を楽しんでいるよう。おもしろいのが‘第1番’の‘第1曲:ワルツ’のメロ
ディラインが‘セカンドワルツ’に似ていること、この原曲が洗練され琴線
にふれる名曲‘第2ワルツ’となった。

山野楽器とは相性がいい。2021年森繁久彌主演の‘喜劇社長シリーズ’を
全作手に入れたのはここだし、今年の5月は♪♪‘美女と野獣’が入っている
セリーヌ・ディオンのベストCDを購入し、今回も探していたCDにヒット
した。出かける回数が増えそう。

| | コメント (0)

2023.12.14

ご機嫌な‘キース・へリング展’!

Img_0001_20231214225501
   ‘モントルー、1983’(1983年 中村キース・へリング美)

Img_20231214225501
   ‘イコンズ’(1990年)

Img_0004_20231214225501
   ‘回顧’(1989年)

Img_0002_20231214225501
   ‘アンディ・マウス’(1986年)

Img_0003_20231214225501
   ‘無題’(1989年)

六本木ヒルズにある森アーツセンターギャラリーで12/9からはじまった
‘キース・へリング展 アートをストリートへ’(来年2/25まで)をみて
きた。このビッグな回顧展を知ったのは1ヶ月くらい前。どこかの美術館に
置いてあったチラシを目ざとく見つけた。でも、昨年の12月に発売され
た‘日経おとなのOFF 絶対見逃せない2023美術展’には載ってなかった
から、大変驚くとともにワクワクした。

会場は久しぶりの森アーツセンターギャラリー。入館するとみんな作品を
スマホでばんばん撮っている。図録は作成しないので自分で好きなように
撮って下さい、ということだろう。現代アートの回顧展では図録が高いの
が常識だから、この方式は納得。エイズによる合併症で31歳の若さで亡
くなったキース・へリング(1958~1990)は画風の特徴がわかる
くらいの数は作品をみているが、いかんせんその機会が少ない。だいぶ前
NYのホイットニー美名作展で遭遇してからずっと気になるアーテイストだ
ったが、ようやく本格的な回顧展に巡りあうことができた。作品のほとん
どは中村キース・へリング美が所蔵するものだが、この美術館一体どこに
あるの、日本、アメリカ?

へリングの描く人物は先史洞窟遺跡で発見された象形文字のような形が
特徴。くっきりした黒い線によってシンプルに描かれた漫画のような赤ん
坊や男女、吠える犬がリズミカルに動いている。‘モントルー、1983’
は有名なジャズフェスティバル、手と足の間の胴体が腸のようのぐるぐる
回っているのがおもしろい。赤ちゃんがハイハイしている感じの‘イコンズ’
もとても可愛い。24点が長方形に中におさまっている‘回顧’を1点ずつみ
ていると楽しい。手を伸ばす人がハサミや手の指になったりする、、また
胴体に空いた穴からほかの人物が通りぬけている。

アンディ・ウォーホルとミッキー・マウスが合体した‘アンディ・マウス’
は奇抜なアイデアがとても新鮮で刺激的。また、アルミニウムにペイント
した立体作品‘無題(踊る3人のフィギュア)’も思わず足がとまる。年が
明けたらもう一回でかけるかもしれない。

| | コメント (0)

2023.12.13

3度目の‘マリー・ローランサン’!

Img_0001_20231213224201
   ‘帽子をかぶった自画像’(1927年頃 マリー・ローランサン美)

Img_0005_20231213224201
   ‘若い女たち’(1910~11年 ストックホルム近美)

Img_0002_20231213224201
   ‘手鏡を持つ女’(1937年頃 アーティゾン美)

Img_20231213224201
   ‘プリンセス達’(1928年 大阪中之島美)

Img_0003_20231213224201
   メッツァンジェの‘円卓の上の静物’(1916年 アーティゾン美)

今年西洋絵画で注目していたのはマリー・ローランサン(1883~1956)。
2月Bunkamuraで‘マリー・ローランサンとモード’があり、ポンピドーから
やって来た‘黒いマンテラをかぶったグールゴー男爵夫人の肖像’に200%
KOされた。そして、今も西洋美で開催されている‘キュビスム展 美の革命’
(~1/28)に‘アポリネールとその友人たち’が登場し、長年の思いの丈を
叶えることができた。

ローランサンをみる楽しみが3度目となる舞台はアーティゾン美。ここで
現在‘マリー・ローランサン 時代をうつす眼’(12/9~3/3)が行われて
いる。全部で26点でている。多く出品されているのは日本のマリー・ロー
ランサン美が所蔵するもの。入館してすぐ会える‘帽子をかぶった自画像’に
魅了されている。ローランサンらしい淡いピンク、ブルー、グレーの色調が
かよわくでおとなしい心情を表している。

2018年北欧旅行で足を踏み入れたストックホルムにある近代美蔵の‘若い
女たち’はローランサンがキュビスムから大きな影響を受けたことがよくわか
る群像画。1907年に発表されたピカソの‘アヴィニョンの娘たち’を彷彿と
させ女性たちの体が多視点で表現されている。この特別展ではキュヴィスム
作家の絵がいくつも並んでおり、2年前とても惹かれたメッツァンジェの
‘円卓の上の静物’を長くみていた。

1920年代に描かれた作品にはぐっとくるものが多い。お気に入りは美形
で大変華やかな印象を与える‘手鏡を持つ女’と白の輝きとお馴染みの淡いピン
ク・ブルーが見事に融合し完成度の高い‘プリンセス達’。そして、横に並んで
いる‘5人の奏者’(1935年 吉野石膏コレクション)や‘三人の若い女’
(1953年頃 マリー・ローランサン美)にも惹きこまれる。

| | コメント (0)

2023.12.12

映画‘プライベート・ライアン’と‘リンカーン’の関連性!

Img_20231212222901
   ‘プライベート・ライアン’(アメリカ 1998年)

Img_0001_20231212223001

映画の楽しみ方は絵画鑑賞と同様で作品の数が増えていくと関心のある映画
が別の映画とひょんなことでつながってきて、映画の見方がすこしレベルア
ップしたかな思えるようになる。そして、それが同じ監督によるものだとそ
の関連性の理解が深まる。今年観たスピルバーグ監督の‘プライベート・ライ
アン’(1998年)と‘リンカーン’(2012年)には心に響くつながりが
あった。

トム・ハンクスが主演した‘プライベート・ライアン’は一度観たはずなのに
あらすじがしっかり記憶されてなく、‘プライベート’はどういう意味なの?が
ずっと続いていた。映画をみたあとのルーテイン、ウキぺディアのチェック
と映画ファンの感想記サーフィンにより、ようやく意味がわかった。プライ
ベート(Private)はアメリカ陸軍の階級名称で‘二等兵’のこと。だから、この
映画は‘ライアン二等兵’をめぐるお話。

ライアン家の4人兄弟のうち3人が第二次世界大戦のノルマンディー上陸作
戦中に戦死した。だが、4男のジェームズ・ライアンだけはノルマンディー
上陸作戦の前日、パラシュート部隊として上陸したまま、行方が分からなく
なっていた。その情報がアメリカ陸軍参謀総長の元に届き、参謀総長は帰り
を待つ母の心情を思い、ライアン二等兵の保護、帰還を軍に命じた。そして、
その任務を遂行するためにミラー大尉(トム・ハンクス)は7人の部下を連
れてライアンの救出に向かう。

参謀総長が命令するとき16代大統領エイブラハム・リンカーンが登場した
ので、この映画の1ヶ月前に観た‘リンカーン’がすぐ重なって来た。映画の
冒頭に名優ダニエル・ディ=ルイスが扮するリンカーンが北軍の兵士たちを
ねぎらうシーンがでてくる。ユーモアをたやさず黒人を含めたすべての兵士
たちと気さくに接し彼らの話をよく聞いている。こういうリンカーンをみる
とアメリカでもっとも愛された大統領というのが腹にストンと落ちる。この
リンカーンの兵士を思いその家族たちの気持ちをしっかりうけとめる姿勢を
参謀総長は受け継いでいるのである。いい映画を観た!

| | コメント (0)

2023.12.11

大谷翔平 ドジャース入りを決断!

Img_20231211221101

エンゼルスからFAになっていた大谷翔平はドジャースに入ることを決断し
た。ここ数日、TVの‘モーニングショー’(テレビ朝日)や‘ひるおび’(TBS)
に元メジャーリーガーや大リーグジャーナリストが出演し、大谷翔平の
移籍先をいろいろ予想していたので、ドジャースに行って欲しいなとは思
っていたがそうなるかはまったくわからなかった。

ウインターミーティングでほかの有力球団の関係者が口をつむいでいたの
に、ドジャースのロバーツ監督だけは大谷翔平と会って話したことをフラ
ンクにしゃべっていたのは後からふりかえると、ドジャースはうちにくる
と確信していたからだろう。まあ、大方のファンが心の中で予想していた
通りの結果となったのではなかろうか。

ドジャースは大谷翔平にプロスポーツ史上最高となる10年総額7億ドル
(約1014億円)を支払うが、この金額は決して高い買い物ではない。
球団にはこれまでより大きく上回るスポンサー料が入ってくるし、ドジャ
ースタジアムには毎試合大勢の観客が足を運ぶことが見込まれ、大谷関連
グッズもとぶように売れるだろう。また、日本やアジアにいる大谷ファン
がLAに観光旅行で押し寄せると街も活気づきホテルやサービス業や飲食
業の売り上げも増加していく。

わが家でも2020年の春予定していた西海岸旅行が新型コロナの感染拡
大で中止になったので、来年あたりがそのリカバリーのタイミングとなる
かもしれない。でも、報道によるとドジャース観戦チケットはもう完売に
なったとのことだから、大谷翔平の活躍を生でみるの無理。だから、まだ
足を踏み入れていないLAでは大谷翔平の帽子を被ったり、Tシャツを着
ている人たちをみて羨ましがることになりそう。

大谷翔平はワールドチャンピオンを3度体験することを夢見ているらしい。
来シーズンは打者として今年以上の成績をあげてバッティングの奥義をき
わめ、2025年からは二刀流を復活させて投打の進化を加速させる道を
歩んでいく。その姿を全力で応援したい。

| | コメント (0)

2023.12.09

西洋の馬図ベスト10! その二

Img_20231209230001   スタッブスの‘ウィッスルジャケット’(1762年頃 ナショナルギャラリー)

Img_0002_20231209230001   クレインの‘ネプチューンの馬’(1892年 ノイエ・ピナコテーク)

Img_0001_20231209230001   セガンティー二の‘ギャロップで走る馬’(1886~87年 ミラノ市近美)

Img_0003_20231209230001   ゴーギャンの‘白い馬’(1898年 オルセー美)

Img_0004_20231209230101   マルクの‘青い馬Ⅰ’(1911年 レンバッハハウス)

イギリスの画家の絵はロンドンのナショナルギャラリーとテートブリテンへ
足を運ぶとその画風のイメージができてくる。テートのほうはターナー、
コンスタブル、ブレイク、ラファエロ前派らをたっぷり楽しめるが、ナシ
ョナルギャラリーではゲインズバラ、レノルズ、スタッブスたちの絵に目が
慣れてくる。なかでも強く印象に残るのがスタッブス(1724~1806)
が描いた18世紀有名な競走馬ウィッスルジャケットの肖像画。無地の背景
によく知る騎馬像の彫刻のイメージが重なり、馬の気高さが立体的に伝わって
くる。

リヴァプール出身のクレイン(1845~1915)の‘ネプチューンの馬’は
神話画のなかでも衝撃度の大きい作品。海神ネプチューンは専用の凱旋車を
引く海馬ヒッポカンポスを巧みに操り疾走している。目が点になるのが逆ま
く波頭が白馬に変容するところ。シュルレアリスム絵画を連想させるダブル
イメージのアイデアがおもしろい。ダリがこれをみたら裸足で逃げるにちが
いない。

セガンティーニ(1858~1899)の‘ギャロップで走る馬’も目に強烈
の焼きつく。ボリューム感のある馬が今にも額縁から飛び出し駆けて行きそ
う。この空中を力強く走る躍動感、動物画としてはトップランクに位置する
作品である。すばらしい!ドガやマネの競馬の絵に惹かれるが、迫力ではこ
の絵にかなわない。

タヒチで現地の人たちを色彩豊かに描いたゴーギャン(1848~1903)にもいい馬の絵がある。‘白い馬’はどこか神話的な世界を感じさせる作品で画面の中央に白馬が前足を開け首を大きく曲げて水を飲んでいる。ぱっとみると平板的な表現だが、手前に大きな花を描き視線がだんだん奥にむかうように空間構成している。色彩の力がとても強く、馬が自然の生命力を象徴するものとして描かれたマルク(1880~1916)の‘青の馬Ⅰ’に大変惹かれている。

| | コメント (0)

2023.12.08

西洋の馬図ベスト10! その一

Img_20231208223001   ティツィアーノの‘カール5世騎馬像’(1548年 プラド美)

Img_0001 ベラスケスの‘皇太子バルタサール・カルロス騎馬像’(1634~35年 プラド美)

Img_0004_20231208223001 カラヴァッジョの‘聖パウロの改宗’(1601年 サンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂)

Img_0003  ダヴィッドの‘サン・ベルナール峠のナポレオン’(1801年 マルメゾン宮殿)

Img_0002    ジェリコーの‘競馬’(1821年 ルーヴル美)

西洋の騎馬像というとすぐイメージするのは彫刻作品。強く胸に刻まれ
ているのはローマのカンピドリオにある‘マルクス・アウレリウスの騎馬像’。
この形が絵画でも意識されティツィアーノ(1485~1576)はこの
彫刻をベースにしてカール5世の見事な騎馬像を描いた。皇帝は実際の戦闘
用の甲冑を身に着け愛馬にまたがり堂々とした雄姿をみせている。

ベラスケス(1599~1660)がのちの国王となるバルタサール・カル
ロス皇太子のために描いた騎馬像に魅了され続けている。視線はなかなか
可愛い皇太子にむかうが、同時に前脚を曲げて跳び上がる姿勢をとっている
馬にも長くとどまる。何年か前、日本にやって来たときベラスケスの皇太子
の未来を祝福するかのようなこの憎い演出を感心しながらみていた。

カラヴァッジョ狂にとって、ローマの聖堂めぐりはMUSTのイベント。運よく
サンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂を訪問し‘聖パウロの改宗’と‘聖ペテロの
磔刑’にお目にかかった。どちらも見慣れているこの画題の宗教画とはだいぶ
異なる。とくに仰天したのは馬が画面全体を占めている‘聖パウロの改宗’。光
のあたる馬の尻がリアルに迫ってきて、地面に横たわり手を大きくひろげて
いる聖パウロの存在感が薄れてしまうほどだった。

ナポレオンと強く結びついているダヴィッド(1748~1825)の‘サン
・ベルナール峠のナポレオン’は忘れられない絵。この絵はフィクションで
ナポレオンがイタリアに向かう途中のアルプス越えで実際に乗ったのはラバ
だったが、ラバではナポレオンの偉大さを示せない。それをダヴィッドは
完璧に承知し、荒馬にまたがったナポレオンとして描いた。
ジェリコー(1791~1824)も馬の名手で、幼少のころから馬に魅せ
られてきた。イギリスのエプソンで開催されるダービーを見に行き、ギャロ
ップする馬の姿を見事にとらえている。

| | コメント (0)

2023.12.07

東洋の馬図ベスト10! その二

Img_0003_20231207222401
   狩野元信の‘細川澄元像’(重文 1507年 永青文庫)

Img_20231207222501
   長谷川等伯の‘牧馬図’(重文 16世紀 東博)

Img_0002_20231207222501
   ‘泰西王侯騎馬図’(17世紀前半 神戸市美)

Img_0004_20231207222501
   歌川国芳の‘近江の国の勇婦於兼’(1831年)

Img_0001_20231207222501
   東山魁夷の‘白馬の森’(1972年 長野県信濃美東山魁夷館)

日本の武将の騎馬像ですぐ思い浮かぶのが狩野元信(1477?~1559)
の‘細川澄元像‘。目白にある永青文庫へよく通っていた頃、お宝コレクション
のなかで関心の高かった作品のひとつで、武将のかっこよさと馬の美しさに
見惚れながくみていた。

長谷川等伯(1539~1610)の若い頃の作品、‘牧馬図’は東博の平常展
で定期的にでてくる。視線が集中するのは野山に戯れる群馬とそれを調教する
武人の動きだが、馬の生命力や躍動感は山水や花木の穏やかな表現によって
中和されているためどこか安心してみられる。

イエズス会の神学校セミナリオで洋画を学んだ日本人画家が描いた‘泰西王侯
騎馬図’にはじめてお目にかかったとき、その画力に驚愕した。モデルのキリ
スト教の王と異教の王を世界地図に描かれたものを手本にし、桃山絵画風の
金地をバックに華やかな騎馬像として浮かび上がらせている。すばらしい!

浮世絵師歌川国芳(1797~1861)の‘近江の国の勇婦於兼’に登場する
暴れ馬も目に焼きついている。馬が暴れているのに誰も止めることができず
オロオロしていると、怪力の宿場女郎のお兼が馬の端綱を下駄で踏み止めた。
いっぺんで魅了された。東山魁夷(1908~1999)の‘白馬の森’をみる
と、なぜかディズニー映画を連想する。

| | コメント (0)

2023.12.05

東洋の馬図ベスト10! その一

Img_20231205224801
    韓幹の‘照夜白図’(唐8世紀 メトロポリタン美)

Img_0001_20231205224801
    李公麟の‘五馬図巻’(北宋11世紀 東博)

Img_0003_20231205224901
   国宝‘随身庭騎絵巻’(鎌倉13世紀 大倉集古館)

Img_0002_20231205225001
   ‘蒙古襲来絵詞’(鎌倉1293年頃 三の丸尚蔵館)

Img_0004_20231205225001
   ‘厩図屏風’(室町15世紀 三の丸尚蔵館)

根津美の‘北宋書画精華’は12/3、わずか1カ月の会期が終了した。NHKの
日曜美術館に取り上げられたり、最後の3日間に国宝の‘桃鳩図’が出品され
るなど話題の多い特別展だった。流石、根津美という感じ。チラシのキャ
ッチコピー‘ーきっと伝説になる’をかみしめることになりそう。
はじめてみた李公麟の‘五馬図巻’に大変魅了されたので、中国や日本で描か
れた馬の絵でとくに印象深いものを10点選んでみた。

2010年、奈良博で開催された‘大遣唐使展’にメトロポリタン美からすご
い馬の絵がやって来た。中国唐時代に描かれた‘照夜白図’。照夜白は玄宗皇
帝の愛馬で蹄を跳ね上げけたたましくいなないている。その躍動感あふれる
姿がじつに美しい。NYで縁のなかったこの馬と日本で対面できるとは幸運な
巡りあわせだった。

大倉集古館には大観の‘夜桜’があるのでよくでかけていた。なんども通うう
ちに国宝との嬉しい出会いもあった。そのひとつが‘随身庭騎絵巻’。これは
東博の‘やまと絵’(12/3で終了)にも展示された。随身は宮廷のガードマ
ンで騎馬に巧みな男たち。だから、馬が鋭い目をして思いっきり体を前後を
ゆすぶったり、後足でふんばり大きく跳ね上がっても落馬せず乗りこなす。
この一連の動きを夢中になってみてしまう。

馬の激しい動きが目に焼き付いているのは‘蒙古襲来絵詞’も同じで、蒙古軍
から射られた矢が馬の体に突き刺さり血が噴き出る場面に大きな衝撃を受け
た。映画‘マッケンナの黄金’でも金鉱探しにむかう保安官マッケンナたちが
インデイアンの襲撃を筏に乗って逃れ際、矢が馬に当たり血が飛び散る
シーンがある。これに対し、室町時代に描かれた‘厩図屏風’は右隻では馬は
落ち着いた‘靜’で表現されている。

| | コメント (0)

2023.12.04

猫図ベスト10! その二

Img_0004_20231204224801
   歌川国芳の‘鼠よけの猫’(1841年 東博)

Img_20231204224801
 河鍋暁斎の‘惺々狂斎画帖 化猫’(1870年以前 河鍋暁斎記念美)

Img_0003_20231204224801
   竹久夢二の‘黒船屋’(1919年 竹久夢二伊香保記念美)

Img_0001_20231204224801
   藤田嗣治の‘争闘(猫)’(1940年 東近美)

Img_0002_20231204224801
   バルテュスの‘地中海の猫’(1949年)

時代的に猫とのつながりが強い画家で最初にでてくるのが浮世絵師の
歌川国芳(1797~1861)。猫好きの国芳が描いた‘鼠よけの猫’は
猫よけのお札として売り出されたもので、壁などに張られた。猫の迫真ぶり
に人々の財布の紐はゆるんだにちがいない。国芳は猫が人間世界を演じる
戯画をいろいろ描いている、たとえば、‘猫の百めんそう’、‘流行猫の曲手ま
り’。どれもおもしろい。

小さい頃国芳に絵を教えてもらった河鍋暁斎(1831~1889)にも
師匠譲りのギョッとする猫が登場する。それは‘惺々狂斎画帖’のなかの一枚
‘化猫’。草むらから現れた巨大な猫に男たちはびっくり仰天、体が後ろに倒
れるくらい怖がっている。この強烈さはひと目みたら忘れられない。

犬や猫を家で飼ってはいないが、竹久夢二(1884~1934)の代表作
‘黒船屋’の大きなコピーを書斎に飾っているので、猫と一緒に暮らしている
ようなもの。この黒猫は顔をみせてくれないが、色白で目がくりっとした
夢二式美人の女性に大きな手でやさしく抱かれているのでとても癒されてい
るだろう。

猫たちの激しい争いの場面を描いた藤田嗣治(1886~1968)の‘争闘
(猫)’の前ではいつも緊張する。画面の中から興奮度MAXの猫がばばーんと
跳んで出てくるかと過剰反応が続く。猫の体は小さいが虎のような獰猛さで
喧嘩するからうかつに近づけないという気分になる。バルテュス(1908
~2001)の‘地中海の猫’はすごく劇画チックでパワフルな絵。海から立ち
昇る虹が魚に変わり猫の前の皿に舞い降りてくる。目が点になった。バルテ
ュスはシュルレアリストだった!

| | コメント (0)

2023.12.03

猫図ベスト10!

Img_0001_20231203223501     徽宗の‘猫図’(北宋11世紀)

Img_20231203223501    毛益の‘蜀葵遊猫図’(南宋12世紀 大和文華館)

Img_0002_20231203223501    竹内栖鳳の‘班猫’(重文 1924年 山種美)

Img_0003_20231203223501    菱田春草の‘黒き猫’(重文 1910年 永青文庫)

Img_0004_20231203223601    加山又造の‘華と猫’(1973年)

日本の絵や伝来した中国の山水画や花鳥画とのつきあいが長くなるとを、
ときどきエポック的な鑑賞体験となる絵画との出会いがある。11/29、
根津美で‘北宋書画精華’に出品された徽宗(1082~1135)の‘猫図’に
遭遇したのもそのひとつ。今その余韻をしみじみ味わっている。猫を飼う習
慣がないのでこういう丸々した姿をよくみせるのかわからないが、圧倒的な
存在感があり人を寄せ付けないほどの神秘的なパワーさえ感じさせる。風流
天子といわれた徽宗の凄さを真に見せつけられた。

2004年に開催された‘南宋絵画’(根津美)でお目にかかった毛益の‘蜀葵
遊猫図’も忘れられない猫の絵。親猫と4匹の子猫がいるが、右にいる大きな
白い親猫とその右隣にいる子猫の目がじつに印象的。この目力の強さにちょ
っと驚く。画面左上に視線を移すと蝶がひらひら舞っているのに気づく。

明治以降に活躍した日本画家で有名な猫の絵を描いた画家は二人いる。竹内
栖鳳(1864~1942)の‘班猫’と菱田春草(1874~1911)の
‘黒き猫’。ともに重文に指定されている。栖鳳は沼津の八百屋でこの猫をみた
とき、一瞬徽宗皇帝の猫を思い浮かべたといい、もらい受けて帰って京都で
この絵を描いた。春草は猫の絵を全部で15点くらい描いているが、もっと
もいいのが永青文庫にある‘黒き猫’、鋭い目とふわふわした毛に視線が釘付け
になる。

大の動物好きだった加山又造(1927~2004)はなかでもとくに猫が
好きだった。そのため、自宅でシャム猫、ペルシャ猫などを長年飼い続けて
いた。これまで5点くらいみたが、牡丹の花と猫の組み合わせが多い。お気に
入りは‘華と猫’、猫と牡丹のダブル主役で仕上げるのが加山流。

| | コメント (0)

2023.12.02

日本の農民画ベスト5!

Img_0004_20231202230101  ‘月次風俗図屏風 五月の田植え’(重文 室町16世紀 東博)

Img_0003_20231202230101   久隅守景の‘四季耕作図屏風’(江戸17世紀 東博)

Img_20231202230101    川合玉堂の‘早乙女’(1945年 山種美)

Img_0002_20231202230101    村上華岳の‘二月乃頃’(1911年 京都市立芸大)

Img_0001_20231202230101    近藤浩一郎の‘雨期’(1951年 山梨県美)

歴史の話は西洋、東洋、日本を問わず貪欲に吸収しようと心がけているが、
これに絵画の鑑賞がおおいに役立っている。それは関心の向かっている時代
や場所の様子をリアルに伝えてくれる風俗画の色合いの濃い風景画。日本の
農村の光景を描いたものは室町時代の頃から登場する。東博の‘やまと絵展’
(12/3まで)に出品された‘月次風俗図屏風’には‘五月の田植え’がでてく
る。左の大勢の女性が小気味よく田植えをする姿をみるといつも映画‘七人の
侍’(黒澤明監督)の最後のシーンを思い出す。

久隅守景(17世紀頃)が何点も描いた四季耕作図は中国の風俗画をベースに
しており、農作業の流れが季節にそって左から右に進行していく。牛による
田起こし,田への水入れなどに男たちが精を出している。こういう場面は
すごく愛着を覚えるからつい画面の隅から隅までみてしまう。

明治以降に活躍した日本画家たちのなかで農民画ですぐ思いつくのは川合
玉堂(1873~1957)。西洋画でいうとブリューゲルの絵がダブって
くる。心に沁みる作品がいくつもあるが、お気に入りは1945年に描かれた
‘早乙女’。田植えに励む早乙女たちを鳥瞰構図で大胆にとらえている。ひと
りが立ち上がり一息いれる仕草がとてもいい。

村上華岳(1888~1939)が23歳のとき制作した‘二月乃頃’に魅了され続けている。これぞ日本の農村という感じ。構図が本当よくできており、誰もが描けそうだがどうしてどうして華岳にしかこの田んぼの広がりは表現できない。近藤浩一郎(1884~1962)の‘雨期’は‘昭和の日本画100選’(1989年 朝日新聞社)に選ばれた傑作。印象派の影響を受け、光と陰を墨で巧みに表現することで田植えの光景を強く印象づけている。

| | コメント (0)

2023.12.01

2023年 心に響いた名曲!

Img_0002_20231201225801   ショスタコーヴィチの♪♪‘セカンドワルツ’

Img_20231201225801   

ディズニー映画‘美女と野獣’の主題歌♪♪

Img_0003_20231201225801   ディズニー映画‘ライオンキング’の主題歌♪♪‘愛を感じて’

昨年から本格化した映画の中古DVDとクラシックやポップスのCDの収集
は量・質ともにほぼ満足のいくレベルになってきた。映画のほうはまと
まった時間が必要なのでほかとのバランスを調整してホームシアターで
楽しんでいるが、音楽は毎日のようにお気に入りの曲を流して定番の軽
作業の効率を高めている。その中で今年はじめて耳にし即My名曲選に
登録したものを選んでみた。

☆♪♪‘セカンドワルツ’
☆♪♪‘美女と野獣’
☆♪♪‘愛を感じて’

ショスタコーヴィチが作曲した‘セカンドワルツ’はYouTubeで知り、今年
前半は毎日のように聴いていた。こんな名調子のワルツをあのショスタ
コーヴィチがつくっていたとは!必死になってこの曲が入っているCD
を探したが、まったくぶち当たらない。ワルツの定番の名曲を集めたCD
があるはずで、そこに収録されていると思うのだが、、ブックオフはあき
らめて銀座の山野楽器で探すことにしている。

歌姫セリーヌ・ディオンがピーボ・ブライソンとデュエットしたディズニ
ー映画‘美女と野獣’の主題歌に巡り合ったのが嬉しくてたまらない。好き
なセリーヌが歌っていたことをうかつにも知らなかったから、いっぺんに
嵌った。そして、同じくディズニー映画‘ライオンキング’の主題歌‘愛を感
じて’も気持ちよく聴いている。ミュージカル‘ライオンキング’は知ってい
たが、この‘愛を感じて’が琴線に触れたのはクラシックフルート奏者のジェ
ームズ・ゴールウェイのアルバム‘フルートで聴くポップス・ヒッツ’を流
したとき。ええー、‘ライオンキング’にこんないい曲があったの!?、と
いう感じで耳に大変心地よかった。この美しいバラードを作曲したのは
エルトン・ジョンだった。本当にいい曲。

| | コメント (0)

« 2023年11月 | トップページ | 2024年1月 »