« 2023年10月 | トップページ | 2023年12月 »

2023.11.30

2度目の‘北宋書画精華’!

Img_0001_20231130220701
    徽宗の‘猫図’(北宋・12世紀)

Img_0002_20231130220701
    国宝‘孔雀明王像’(北宋・12世紀 仁和寺)

Img_20231130220701
   李公麟の‘五馬図巻’(北宋・11世紀 東博)

Img_0004_20231130220701
   趙令穣の‘秋塘図’(重文 北宋・11∼12世紀 大和文華館)

Img_0003_20231130220801
   国宝‘古今和歌集序(巻子本)’(平安・11∼12世紀 大倉集古館)

Img_0005_20231130220801
   内藤湖南の‘志那絵画史’(2002年 筑摩書房)

現在、青山の根津美で行われている‘北宋書画精華’(11/3~12/3)
に再度足を運んだ。お目当ては未見の‘猫図’。展示されるのは11/28
~30の3日。これまでまったく縁がなくこれを見逃したら二度とみれ
ないのはわかっているので、国宝‘桃鳩図’(12/1~3)よりもこちら
を選択した。図録を読むとこの猫図は水戸徳川家に伝来し、菱田春草や
岸田劉生も影響を受けており、春草の‘黒き猫’はこれを参考にして描か
れている。久しぶりに単眼鏡を使い猫の目や細い線による体毛の表現、
インパクトのある黒いしっぽをじっくりみた。そして、My好きな猫図
に即登録した。

もうひとつの収穫は仁和寺にある国宝‘孔雀明王像’と再会できたこと。
館内には前回同様、多くの中国人がいてこの傑作を熱心にみている。
威厳のある表情をした明王を乗せた孔雀はゴージャスな羽を目いっぱい
に広げ堂々とした姿をみせている。この安定感のある構図のとり方が心
をとらえて離さない。

この特別展で強く印象に残るのはモチーフとなった動物や鳥の共演。
今回の主役である李公麟の描いた五頭の馬、徽宗の班猫と明日から3日
間展示される胸が大きく膨らんだ鳩、そして、美しさの際立つ孔雀。
単独で登場しても観客の目を釘付けにするのに、みな一緒に飾られるの
だからたまらない。こんな滅多にない‘事件’に遭遇出来て幸せである。

後期(11/21~12/3)に出品された‘秋塘図’は2004年の‘南宋
絵画’(根津美)でみたのでさらっと流し、上の階にある展示室5に急い
だ。11/10に来たとき、どういうわけかこの部屋の展示に気づかず館
を出てしまった。そのリカバリーの目玉が大倉集古館蔵の国宝の‘古今
和歌集序(巻子本)’。見所はなんといっても和歌が書きこまれた色彩鮮
やかな唐紙とそこに描かれた装飾模様。息をのんでみていた。

この特別展がとりあげられた日曜美術館で日本のコレクターに北宋絵画
を指南した内藤湖南がでてきた。中国絵画のバイブルにしている‘支那絵
画史’をひっぱり出し李公麟の記述のところを読み返している。

| | コメント (0)

2023.11.22

お知らせ

拙ブログはしばらくお休みします。

| | コメント (0)

2023.11.21

麻布台ヒルズギャラリーで‘オラファー・エリアソン展’!

Img_20231121224701

Img_0001_20231121224701
   エリアソンの‘星くずの素粒子’(2014年 テート美)

最近、とても気になる展覧会チラシを美術館をまわっていて手に入れた。
それは11/24に開館する麻布台ヒルズギャラリーで開催される‘オラファー
・エリアソン展’(会期は来年3/31まで)。この作家にすぐ反応したの
は‘テート美術館展’(国立新美 7/12~10/2)に出品されたオブジェ
‘星くずの素粒子’に大変惹かれたから。

チラシによると麻布台ヒルズには街の文化発信拠点としてギャラリーが設け
られ、開館記念としてアイスランド系デンマーク人のエリアソン
(1967~)の回顧展が行われる。ここではインスタレーション、絵画、
彫刻など15作品が展示されるが、日本で一番高い高層ビルとなった麻布台
ヒルズ森JPタワー(330m)のオフィスロビーにはパブリックアート作品
としてらせん状の彫刻 ‘相互に繋がりあう瞬間が協和する周期’が吊り下げら
れる。

エリアソンのような現代アートのフロントランナーの作品が常時見れる場所
が東京に出現したことは刺激的なことである。今年はインバウンドが回復し、
美術館でも多くの外国人をみるようになった。たとえば、‘ホックニー展‘
(東京都現美)では入場者の半分くらいヨーロッパやアメリアからの観光客
という感じだったし、上野の森美の‘モネ展’にも大勢の外人がいた。日本は
美術大国で美術館では有名な西洋アーティストの展覧会が頻繁に開催されて
いることがだんだん認知されるようになり、美術館巡りを名所観光の選択肢
のひとつに加えるようになったのかもしれない。

こうした日本の展覧会シーンにおける新たな動きのなかで麻布台ヒルズギャ
ラリーが誕生した。まわりに外国人が多くいて海外の美術館で作品をみてい
るような気分になりそう。

| | コメント (0)

2023.11.20

農民画ベスト5!

Img_0003_20231120225901    ブリューゲルの‘干し草の収穫’(1565年頃 プラハ国立美)

Img_0001_20231120225901    ルーベンスの‘虹のある風景’(1636年 ウォレスコレクションン)

Img_0004_20231120225901    プッサンの‘夏’(1660~64年 ルーヴル美)

Img_0002_20231120225901    ミレーの‘晩鐘’(1857~59年 オルセー美)

Img_20231120225901    ゴッホの‘収穫’(1888年 ゴッホ美)

美術館で開かれる展覧会に足を運ぶ回数が多くなると、そのなかには後から
振り返ってみて日本で目にかかれたことがとてつもなく有難い展示だったな
と思うものがある。たとえば、1990年、はじめて日本で公開された
ブリューゲル(1525~1569)の油彩画‘干し草の収穫’。中央に描かれた仕事を終えて家に帰る3人の農婦たちの姿に大変魅了された。この絵をみて以降、ブリューゲルの農民画をウイーンの美術史美術館などでみる機会があったが、風景の描き方や人物描写の点でいい気分にさせてくれる絵ならこれが一番のポジションを長くキープしている。

ブリューゲルを敬愛していたルーベンス(1577~1640)の‘虹のある
風景’は‘干し草の収穫’に刺激されて描いたことは間違いない。ルーベンスの
スゴイところはこちらに向かってくる女たちや牛の背景に見事な虹を描いた
こと。虹がかかることで一層美しさをました広々とした自然が農村の生き
生きした光景をつつみこむ情景が心をとらえて離さない。ルーベンスのやさ
しい画風にほとほと感服させられる。

プッサン(1594~1665)の‘夏 別称「ルツとボアズ」’は題材から
すると宗教画になるが、農村で汗をかく人々の光景をこれほど実感させてく
れると宗教くささが消え画面のなかにすっと入っていける農民画になる。
2008年、メトロポリタン美で偶然遭遇した大プッサン展は一生の思い出
である。時間をつくって手に入れた英語版の図録をじっくり読むことにして
いる。

西洋絵画の名画セレクションに必ず入る絵としてすぐ思い浮ぶのがミレー(1814~1875)の‘晩鐘’。農民画として最初に記憶されるのがこの絵かもしれない。日本には山梨県美に‘種をまく人’があるから、ミレーとの相性がとてもいい。なかでも真摯に生きる農民の姿が胸に深く刻まれる‘晩鐘’は特別な農民画というイメージを持ちづつけている。ミレーに憧れたゴッホ(1853~1890)の‘収穫’をアムステルダムのゴッホ美で遭遇したときは立ち尽くしてみていた。この絵はまだ日本にやって来てない。次回ゴッホ美蔵の名画展があったら期待したい。

| | コメント (2)

2023.11.19

映画‘マルタイの女’の興味深いシーン!

Img_20231119222501

Img_0001_20231119222501
  映画‘マルタイの女’より

Img_0002_20231119222501
  映画‘トパーズ’より

Img_0003_20231119222501
  映画‘パリは燃えているか’より

ブックオフに足を運び以前観て気に入った映画のDVDを集め出したころ、
予想外に早く手に入ったのが伊丹十三監督の‘マルタイの女’(1997年)
。ほかの作品にも関心があり目にとまったら購入しようと思っていた。
コレクションをはじめて2ヶ月くらい経ったとき、もっともゲットした
かったあの大ヒット作‘マルサの女’がでてきた。値段は8900円。だか
ら、これはちょっと高すぎるなと思い、ひとまずパスと決め込んだ。
このころは名作映画の相場が一体どのくらいなのか、まったく情報がな
かったので、また遭遇するだろうから手ごろな価格のものを買おうとい
う作戦だった。

ところが、これが大きな間違い。あれから3年くらい経ったが、まった
く姿を現してくれない。‘マルサの女’のような一世を風靡したような映画
は市場にはめったにしかでてこないということを思い知らされた。伊丹
映画を軽く見すぎていたのが失敗の原因。悔やまれてならない。運よく
手に入った‘マルタイの女’も2本目に会わない。同じく‘タンポポ’にもぶ
ち当たらない。また運がめぐってくるまで粘り強く待つことにした。

刑事役の西村雅彦の演技に200%嵌っている‘マルタイの女’は終盤の
ところで興味深いシーンがでてくる。殺人事件を目撃した女優(宮本信子)
が証言台に立つことを阻止しようとするオカルト教団の一味が女優と不倫
関係にある経営者(津川雅彦)を脅そうと会社に押しかけてくる。取引
の話を一応聞いた津川雅彦はこう言う。‘君たちは映画をあまり観てないよ
うだね。こういう場面で脅されている方が引き出しに手をやったら何がで
てくるか、映画を観たら誰でも知っているはずだよ’。そして、拳銃を手に
とり前にいる男たちを次々と撃ち殺し、最後自分の頭を撃つ。

このセリフのなかにある‘映画を観たら誰でも知っているはずだよ’が理解で
きる映画にようやく遭遇した。この映画のことを伊丹監督はさしているの
だろうと勝手に確信している。ひとつはヒッチコック監督の‘トパーズ’
(1969年)、この場面はソ連のためにスパイ活動をしているフランス
の組織‘トパーズ’のNO.2が取材にやって来たジャーナリストと話をしてい
るときに机の引き出しを開けるところ。ふたつめはフランスのルネ・ク
レマン監督の‘パリは燃えているか’(1966年)。連合軍によってパリが
解放される直前、パリ占領軍司令官コルティッツ将軍の部屋にヒトラーの
親衛隊が乗り込んできて将軍にヒトラーが所望している品物(タペストリ
ー)を伝える。将軍はパリ爆破を命令するヒトラーに従わず無条件降伏を
きめているので親衛隊にびくびくしている。で、彼らがなにか言うと引き出
しをあける。緊張するシーンだった。

| | コメント (0)

2023.11.18

来年の展覧会情報!

Img_0002_20231118223401

Img_0001_20231118223401

Img_20231118223401

今年の展覧会めぐりは最終ゴールがもうすぐのところに来ているが、その先
の2024年の新たなスタートラインには特別展の情報がちらほら集まって
いる。12月は師走だから、諸行事であっという間にすぎていくので期待の
展覧会については心理的には近く感じられる。その話をいくつか。

☆‘印象派 モネからアメリカへーウスター美蔵’(1/27~4/7 東京都美)
☆‘鳥文斎栄之展’(1/6~3/3 千葉市美)
☆‘キース・へリング展’(12/9~2/25 森アーツセンターギャラリー)

アメリカのウスター美が所蔵する作品で構成される‘印象派 モネからアメリ
カ’は一枚のチラシがあるだけでそこに載っているモネの睡蓮とアメリカ印象
派のハッサムの絵以外はどんな作品がやってくるのかわからない。手元にあ
るアメリカの美術館地図で調べるとウスター美は同じマサチューセッツ州に
あるボストン美から西へ60kmくらいのところに位置している。これまで
この美術館がもっている作品には出くわしたことがない。モネの睡蓮はとて
も気になるから、開幕が楽しみである。

手に入れたばかりでホット々な情報なのが千葉市美で開催される‘鳥文斎栄之
展’。千葉市美の浮世絵師展は定評があり、いつもクリーンヒット。ええー、
あの鳥文斎栄之の美人画をどっと見せてくれるの、嬉しいねェー、という
感じ。好感度がまた上がりそう。
森アーツセンターギャラリーで来月からはじまるキース・へリング展は年内
に行くか年が明けてからにするかちょっと迷う。日本で回顧展が開かれるの
はひとつの‘事件‘みたいなものだから、ホックニー展のように大勢の外国人が
押し寄せるのは間違いないだろう。

| | コメント (0)

2023.11.17

西洋美で大キュビスム展!

Img_0005_20231117224301
 ローランサンの‘アポリネールと友人たち’(1909年 ポンピドゥー)

Img_0002_20231117224301
  レジェの‘婚礼’(1911~12年)

Img_0001_20231117224301
  ドローネーの‘パリ市’(1910~12年)

Img_20231117224301
  クプカの‘色面の構成’(1910~1911年)

Img_0004_20231117224301
   ピカソの‘輪を持つ少女’(1919年)

西洋美で開催中の‘キュビスム展 美の革命’(10/3~1/28)をみる
ため、先週に引き続き上野にでかけた。東博のやまと絵展同様、館内には制
服姿の中学生、中国人を含む外人観光客がここにもあそこにもいた。美術史
における形の革命、‘キュビスム’の美術をポンピドゥーセンターが所蔵する
絵画や抽象彫刻でどーんとお見せしましょう、という感じだから誰にとって
もエポック的な鑑賞体験となるのは間違いない。

お目当ての作品はやはりまだみてないもの。今年はマリー・ローランサン
(1883~1956)の当たり年でポンピドゥーにある‘アポリネール
とその友人たち(第2ヴァージョン)’との対面が叶った。どういうわけか、
パリでこの絵と会った実感がない。常時展示されてない絵なのかもしれない。
真ん中の男性が詩人のアポリネールでその隣にピカソが描かれている。恋人
のローランサンは右の水色のドレスを着た女性。人物とお馴染みの鹿はいろ
いろ曲がり具合を変えた円の装飾表現によって繋がっている。

日本初登場のレジェ(1881~1955)の‘婚礼’は一度お目にかかったこ
とがあるが、今回は長く絵の前にいて大きな画面のなかに一体何人いるのか
チェックした。何度も数えたが、気づいたのは10人。キュビスム様式で描
かれている顔なので‘アハ!ピクチャー’的なところがあり、言われるとそうか、
と顔の輪郭をとらえることができる。みてのお楽しみ!

ドローネー(1885~1941)の‘パリ市’は3人の裸婦の表現がキュビ
スム+マグリット流のシュルレアリスムとなっているのがおもしろい。マグ
リットの絵は‘白紙委任状’(ワシントン国立美)をみた人は同じことをイメー
ジするだろう。クプカ(1871~1957)の‘色面の構成’は背景の明るい
暖色(オレンジと黄色)が後退する暗い寒色(青と緑)で描かれた女性を前
に押し出している。この絵と同じくピカソ(1881~1973)の‘輪を持
つ少女’ははじめてお目にかかった。手元のピカソ本に載っていないので大き
な収穫だった。

| | コメント (0)

2023.11.16

国宝‘桃鳩図’ 根津美で12/1~3に展示!

Img_20231116224101
   徽宗の国宝‘桃鳩図’(北宋・1107年)

Img_0001_20231116224101
   徽宗の‘猫図’(北宋・12世紀)

Img_0002_20231116224101
   国宝‘孔雀明王像’(北宋・11世紀 仁和寺)

先週出かけた根津美の‘北宋書画精華’(11/3~12/3)に特別な中国
絵画が登場するので、その作品と展示期間をお伝えしたい。
☆国宝‘桃鳩図’   12/1~3
☆‘猫図’      11/28~11/30
☆国宝‘孔雀明王像’ 11/21~12/3

北宋展をみ終わったあと購入した図録をみてあっと驚いた。あの‘桃鳩図’が載
っている!ええー、どういうこと?手にもって展示室をまわったチラシにで
てないじゃない。それで出品リストをじっくりみてみると、会期の最後
12/1~3の3日間だけ展示されることになっている。今回の主役は李公麟
なので、徽宗はあまり目立たないように配慮したのかもしれない。

この‘桃鳩図‘にお目にかかったのは2014年の11月。三井記念美で開かれ
た‘東山御物展’に出品されてようやく思いの丈を叶えることができた。まさに
中国絵画で‘最高の瞬間!‘だった。2004年にあった‘南宋絵画ー才情雅致’
(根津美)にこの絵が出品されたが、展示期間がわずか5日と短かったため
広島から上京するタイミングがあわず展覧会はみたがこの絵とは縁がなかっ
た。残念な思いを長く引きずり、10年後ようやくリカバリーが実現した。
今回の展示はそれから9年経っている。

徽宗の絵はもう1点出品される。これも個人蔵の‘猫図’。展示は‘桃鳩図’の前の
3日間。まだみてない斑猫を優先したいところだが、桃鳩ももう一度見たい。
2014年にようやく本物に会えた‘孔雀明王像’(後期:11/21~12/3)
との組み合わせをどちらとするか、悩ましいことになった。

| | コメント (0)

2023.11.15

モーツァルトのピアノ協奏曲!

Img_0001_20231115224001

Img_20231115224001

Img_0002_20231115224001

Img_0003_20231115224001

ブックオフに定期的に足を運ぶのは今も続いているが、購入するものの大半
は映画のDVDに変わってきた。音楽のCDについてはクラシックが終了し、
最近は映画音楽などが多くなっている。クラシックは何度も聴きたい琴線に
ふれる旋律が流れるものがだいだい集まったので、そのなかから図録の整理
やMy画集づくりに没頭しているとき作業効率の上がるものを選んで繰り返し
聴いている。

その選曲のローテーションに頻繁に顔を出すのはやはりモーツァルト。
でも、有名な交響曲はたとえば、第39番、40番、41番などは入ってお
らず、流しているのはもっぱらピアノ、ヴァイオリン、オーボエ、クラリネ
ット、フルート&ハープの協奏曲。モーツァルトの曲がこれほど集まる前に
耳に馴染んでいた協奏曲はヴァイオリンの3番・5番とフルート&ハープの
3つだけ。ところが、今は真にモーツァルトに開眼したというのかピアノ、
オーボエ、クラリネットに心が強く惹きつけられるようになった。

以前NHKのクラシック番組でモーツァルトが特集されるとき、ピアノ協奏曲
を何曲もビデオに収録した。しかし、ベートーヴェンの‘皇帝’やショパンの
1番、ラフマニノフの2番に比べると再生する回数は圧倒的に少なく、気持
ちがモーツァルトに傾いていなかった。それがVDVを集め出してからガラッ
と変わった。クラシックを聴くときに参考にしている‘クラシック音楽鑑賞辞
典’に書かれているモーツァルトのピアノ協奏曲の解説が実感できるようにな
った。

神保氏によると全部で30曲あるピアノ協奏曲のなかで‘20番、21番、
22番、23番、24番’の5曲が最高傑作。たしかに何度も聴くとそう思う
。演奏しているピアニストはペライア、バレンボエム、内田光子。3人とも
知っているが、銀座の山野楽器でピアノ協奏曲を探していたとき内田光子の
モーツァルトがよく目に入っていたが、手にとることはなかった。今漸く
彼女のピアノのすばらしさに目覚めた。

| | コメント (0)

2023.11.14

五島美の‘古伊賀 破格のやきもの’!

Img_0003_20231114224601    ‘伊賀耳付水指 銘 破袋’(重文 桃山~江戸・17世紀 五島美)

Img_20231114224601    ‘伊賀耳付水指’(17世紀)

Img_0001_20231114224601    ‘伊賀耳付花生 銘 聖’(17世紀)

Img_0004_20231114224601    ‘伊賀花生 銘 羅生門’(17世紀)

Img_0002_20231114224601    ‘伊賀擂座瓢形水指’(17世紀 畠山記念館)

やきもの展ならここへ出かければ間違いなしという美術館は根津美と五島美。
その五島美で現在‘古伊賀 破格のやきもの’(10/21~12/3)が行われ
ている。やきもの好きなら五島美にある‘伊賀耳付水指 銘 破袋’が古伊賀の
名品として目に焼き付いているかもしれない。これを所蔵しているからこそ、
きっといい花生や水指がどっと集結しているだろうと期待する。果たして、
予想通り個性的な形や魅力のビードロ釉が心を揺すぶる作品が揃っていた。

展示室に入ってすぐ足がとまる花生があった。‘銘 聖’。この花生は腰に手を当
てた人物のようにみえる。それは耳が手で上の四角がデフォルメした顔をイ
メージするから。愛嬌があるからゆるキャラのプロダクションに登録すれば
人気者になれることは請け合い。やきもので人間を思わせるものはこのほかに
みたことがない。

奥の展示スペースに圧倒的な存在感で迫ってくる‘銘 破袋’とどっしりとした胴
をもつ大振りの水指が並んで飾られていた。まさに破格の水指の共演という感
じ。胴がぷくっと膨れた水指のほうは鮮やかな緑色の幅広ビードロ釉に目が惹
きつけられる。2014年、松屋銀座であった‘古田織部展’で遭遇し度肝を抜
かれたが、再会できるとは思ってもみなかった。すばらしい!

‘花生 銘 羅生門’も強いインパクトをもっている。口部が朝顔のように広がり、胴を歪めた筒形がじつに力強い。そして、厚く掛かったビードロ釉と褐色の火色の深みのある融合が心をとらえて離さない。久しぶりにお目にかかった畠山記念館蔵の‘擂座瓢形水指’の前にも長くいた。この瓢形をみていると正月に飾る鏡餅を連想する。

| | コメント (0)

2023.11.13

根津美の‘北宋書画精華’!

Img_20231113223401    李公麟の‘五馬図巻’(北宋・11世紀 東博)

Img_0001_20231113223401  李公麟の‘孝経図巻’(部分 北宋・1085年頃 メトロポリタン美)

Img_0002_20231113223401    薫源の‘寒林重汀図’(重文 五代・10世紀 黒川古文化研究所)

Img_0004_20231113223501    ‘竹塘宿雁図’(重文 北宋・12世紀 東博)

Img_0003_20231113223501    国宝‘十六羅漢像’(北宋・11∼12世紀 清凉寺)

久しぶりに根津美に出かけ‘北宋書画精華’(11/3~12/3)をみてきた。
最近は美術館で外人を見かけることが多くなったが、根津美もその例にもれ
ない。今回、ヨーロッパあるいはアメリカからの観光客もいたが、その3倍
くらい集まっていたのが中国人。以前は外人と一緒に絵をみる美術館は太田
記念美にきまっていたが、今は東博はもちろんのこと東近美、モネ展を開催
している上野の森美、そして表参道の根津美まで海外の美術ファンが押し寄
せるようになった。この調子だと丸の内に移ってきた静嘉堂文庫美でも同じ
ことが起こっているかもしれない。

日本で北宋の絵画がみれる美術館というと東博と大阪市立美がすぐ思い浮か
ぶが、‘北宋展’と銘打った特別展に遭遇したのは今回の根津しかない。北宋の
絵画がたくさんみれる機会に巡り合ったのに、中国語で感想をしゃべっている人たちがすぐ隣にいるので台北の故宮博物院にいるような感じだった。まず現れたのは以前みたことのある薫源の‘寒林重汀図’。もこっとした岩山の盛り上がりが手前と中景で画面を二分するように描かれている。垂直にのびる木々のとげとげしい細い枝をみるとここには寒々とした重い空気は流れているような感じがする。

‘竹塘宿雁図’は団扇のような丸い画面の上半分が枝が横にでた竹で占められ、
その下に大勢の雁が体を上下に動かしながら歩き回っている。中国の花鳥画
も馴染んでくるとみてて楽しい。思わぬ絵の登場だったのが京都の清凉寺が
所蔵している‘十六羅漢像’のうち2点、この‘第十五尊者阿氏多’で視線が向か
うのは羅漢ではなく横にいる美形の女性。目が美しいこと!

最後の部屋に目玉の作品があった。2019年の初春にみつかった李公麟
(1049?~1106)の‘五馬図巻’とメトロポリタンから特別出品された
白描画の‘孝経図巻’。北宋の文人李公麟の作品ははじめてお目にかかった。チラシのキャッチコピーに‘ーきっと伝説になる’とあるから、色つきの‘五馬’を‘孝経’との違いを解説文で確認しながら人物表現や馬の描き方を1点々目にやきつけた。

| | コメント (0)

2023.11.12

東博の‘京都・南山城の仏像’!

Img_0005_20231112221401

Img_20231112221401
  国宝‘阿弥陀如来坐像’(平安・12世紀 浄瑠璃寺)

Img_0004_20231112221501
  国宝‘広目天立像’(平安・11∼12世紀 浄瑠璃寺)

Img_0002_20231112221501
   ‘地蔵菩薩立像’(重文 平安・12世紀 浄瑠璃寺)

Img_0001_20231112221501
   ‘十一面観音菩薩立像’(重文 平安・9世紀 海住山寺)

Img_0003_20231112221501
   ‘千手観音菩薩立像’(重文 平安・12世紀 寿玉寺)

‘やまと絵’展をみる前に本館の特別5室で本日まで開かれていた‘京都・南山城
の仏像’をのぞいてみた。この特別展の情報を得たとき、‘南山城’ってどこ?と
戸惑った。図録に地図が載っており、京都府の最南部を南山城(みなみやま
しろ)と呼ぶらしい。京博にはよくでかけており、近鉄京都線に乗って奈良ま
で足をのばすことがあるが、大阪、京都、奈良の道路や街の所在地については
立体的な空間配置がほとんど頭のなかに入っていない。

だから、以前からいつか訪問しようと思っていた国宝の三重塔や阿弥陀如来坐
像で有名な‘浄瑠璃寺’がどこにあるのかがこの特別展をみたことでクリアになっ
たのは仏像の鑑賞と共に大きな収穫だった。今回出品された仏像は修理が完成
した九体阿弥陀のうちの一体と同じく国宝の広目天立像・多聞天立像(四天王
のうち)、そして‘地獄菩薩立像’も一緒にやって来た。浄瑠璃寺を半分くらい
体験したような気分である。

浄瑠璃寺から北へ6kmくらい行ったところにある海住山寺蔵の‘十一面観音菩
薩立像’はこぶりだが、とても惹かれる十一面観音。これまでどこかの展覧会で
お目にかかった記憶があるからすっと体が寄っていった。海住山寺にも鎌倉時
代初期に建てられた国宝の五重塔があるから、いつか訪ねてみたい。

寿宝寺は地図によると奈良へのはしごで利用する近鉄線の三山木駅のすぐ近く
にある。ここに飾られている‘千手観音菩薩立像’に大変魅了され、長くみていた。
千手観音とは数多く対面してきたが、美しいお顔と千手の端正で動きを感じさせ
るフォルムにいっぺんに惹きつけられた。この先、京都から奈良をめざすとき、
三山木駅に近づくとこの千手観音を思い出しそう。    

| | コメント (0)

2023.11.11

‘春陽会誕生100年 それぞれの闘い’!

Img_20231111220901
   岸田劉生の‘麗子弾絃図’(1923年 京近美)

Img_0001_20231111220901
   椿貞雄の‘朝子像’(1927年 平塚市美)

Img_0002_20231111220901
   小杉放菴の‘母子採果’(1926年頃 小杉放菴記念日光美)

Img_0003_20231111220901
   三岸好太郎の‘少年道化’(1929年 東近美)

Img_0004_20231111220901
   岡鹿之助の‘魚’(1939年 横須賀美)

JR東京駅の北出口の右手にある東京ステーションギャラリーと今年はすご
く相性がいい。3度目の訪問のお目当ては‘春陽会誕生100年 それぞれ
の闘い’(9/16~11/12)。閉幕2日前にすべりこんだ。チラシを手
に入れたとき、関心の中心は岸田劉生(1891~1929)と岡鹿之助
(1898~1978)だった。まだみてない作品がひとつでも出てくれ
ればもとはとれるという思いで足を運んだ。

劉生は有名な‘麗子弾絃図’や赤が目にとびこんでくる静物画‘竹籠含春’など
11点並んでいた。2019年没後90年記念の大回顧展を実施したステー
ションギャラリーだけあっていい絵を集めてくる。このなかにまだ縁がな
かった‘童女飾髪之図’に遭遇したのは大きな収穫である。‘ピークエンドの
法則’で満足度を測るなら劉生が‘ピーク’で‘エンド’は鹿之助。最後の部屋に
どんと6点でていた。チラシに使われている‘魚’はぺたっとした平板的な
静物画だが、画家独特の点描法風の表現に惹かれる。6点全部2008年
ブリジストン美(現アーティゾン美)で行われた回顧展に出品されていた
が、久しぶりにみてまた感動した。

小杉放菴(1881~1964)の母性愛にあふれる‘母子採果’と椿貞雄
(1896~1957)の‘朝子像’の前では思わず足がとまった。出かけ
る前は図録はパスの予定だったが、この2点をみて気が変わった。小杉
放菴の絵はこれまでなんどもみているが、山形県米沢市出身の椿貞雄は
まだ数点しかみた記憶がない。だから、この黄色の毛糸の服を着た女の
子に200%KOされた。My好きな子どもの絵に即登録。

三岸好太郎(1903~1934)の‘少年道化’は前みたのがいつだったか
思い出せないくらい、久々の対面。シュールな画風がインプットされてい
るのでこういうルオーを連想させるような肖像画には面食らう。お酒を飲
むと三岸をよく話題にする趣味で油絵肖像画を描いている友人はこの展覧
会をみただろうか。   

| | コメント (0)

2023.11.10

話題満載の‘やまと絵展’!

Img_0001_20231110223901
    ‘浜松図屏風’(重文 室町・15~16世紀 東博)

Img_0002_20231110223901
   国宝‘地獄草紙’(奈良・12世紀 奈良博)

Img_0004_20231110223901
   ‘百鬼夜行絵巻’(重文 室町・16世紀 真珠庵)

Img_20231110223901
   ‘病草紙 肥満の女’(重文 平安・12世紀 福岡市美)

Img_0003_20231110223901
   国宝‘花園天皇像’(南北朝・1338年 長福寺)

東博で開催されている‘やまと絵 受け継がれる王朝の美’
(10/11~12/3)をみてきた。今日は断続的に雨が降るという予想
だったが、土日は混むのは必至だからこのタイミングで足を運んだ。
ところが、野外学習か修学旅行かで大勢の中学生がいたりして、朝10時
に入館したのに館内は大変な賑わいだった。出品作に国宝が多いせいかじ
っくりみる人が多く、これだと晴れの週末は身動きがとれないほど混雑し
そう。開幕直後にでかけたほうがよかったかもしれない。

やまと絵展は30年前の1993年に同じような作品構成で行われた。
だから、今回は出品作の展示期間の情報をHPでチェックせず、目の前に現
れた作品をしっかりみようという気持ち。日本美術の教科書の頁をめくる
ようなものだから、どれも存分に楽しめる。東博の平常展示に定期的に
展示される‘浜松図屏風’は手前に視線をあわせるとたくさんの鳥が飛び回っ
ていることに気づく。これほどスピード感あふれる花鳥画はそうはない。
そして、松の木のむこうに目をやると浜では網にかかった魚を漁師たちが
引き上げている。風俗画と花鳥画がうまく絡み合った傑作である。

奈良博所蔵の‘地獄草紙’と再会して一気に心がザワザワしてきた。地獄に
落ちた罪人が怖い鬼たちによって鉄の臼ですりつぶされている。‘人間ミン
チの作業は楽しいねえー‘と軽口をたたいているよう。京都の真珠庵にある
‘百鬼夜行絵巻’にまたお目にかかれたのは幸運だった。道具のお化けたち
がワイワイガヤガヤと行進している。驚くのは色彩の鮮やかさ。赤、緑、
青、黄色、そして薄ピンクまである、さらに白の輝きも目に焼き付く。

今回の大きな収穫はどうしても縁がなかった‘病草紙 肥満の女’とやっと
対面できたこと。このおデブさんは支えてくれるまわりの女たちの2倍の
体重がありそう。食糧事情がよくない平安時代にこれほど太った人間がい
たことが信じられない。国宝の‘花園天皇像’がひょいと姿をみせてくれた。
これは日本画で最後に残った国宝だった。これで国宝追っかけがコンプリ
ートした!

| | コメント (2)

2023.11.09

もっとみたいピカソ!

Img_20231109220501   

1億3900万ドルで落札された‘Femme a la Montre’

Img_0002_20231109220501

1億7930万ドルで落札された‘アルジェの女たち バージョン0’

Img_0001_20231109220501    ‘夢’(1932年 ガンツコレクション)

美術品との関りが深くなると、有名なオークションで巨額の値がついた作品
のニュースが飛び込んでくると俄然エキサイトしてくる。競売大手のサザビ
ーズが8日開催したオークションでピカソの‘Femme a la Montre’が
1億3900万ドル(約209億7200万円)で落札されたとのこと。これ
は今年落札された美術品では世界最高額となった。

この絵は亡くなった慈善家のコレクションが所蔵していたものだが、ぱっと
みてとても惹かれる。手元にあるピカソの美術本や過去に手に入れた展覧会
図録には載ってないから衝撃を受けた。これほど色彩に力があるキュビスム
肖像画がまだあったのか!という感じ。この落札額は2015年、‘アルジェ
の女たち バージョン0’についた1億7930万ドル(当時の新聞記事によ
ると約215億円)に次ぐ高額落札というのも納得がいく。

この絵と‘アルジェの女’は誰の手に入ったのだろうか?名の知れた美術館の
所蔵になったら本物を見る機会が可能性としてはあるかもしれない。たとえ
ば、パリのポンピドーとかNYのMOMAなら期待できる。でも、超富裕層のコ
レクションにおさまったら永遠に縁はない。そうはいってもなにかの間違い
でピカソ展に出品されることを妄想して、My‘もっとみたいピカソ’にリスト
アップすることにした。

もう一点、みたくてみたくてしょうがない絵がある。‘夢’、所蔵しているのは
ガンツコレクション。2013年あるTV番組をみていたら‘高額絵画ベスト3’
というのがでてきた。それによると、
1位 セザンヌの‘カード遊びをする人たち’ 246億円
2位 ピカソの‘夢’            153億円
3位 ポロックの‘N0.5 1948’     138億円 
この絵を夢でなく目が覚めているときにみたい。ミューズに祈り続けるつもり。   

| | コメント (0)

2023.11.08

中国もの映画に加わった‘砲艦サンパブロ’!

Img_20231108222901

Img_0001_20231108222901

美術とのつきあいを長く続けていると絵画や彫刻のモチーフとなった歴史上
の人物とか事件に遭遇し、それによって国の成り立ちや民族の興亡について
の話が点としてインプットされる。昔から歴史好きなので、西洋絵画でも
日本画でも文字による情報では歴史の実相をつかみきれないところをカバー
してくれる歴史画の効用を強く認識している。そして、絵画よりもっと立体
的に歴史のことが心に焼き付けられるのが映画。今年は中国もの映画でひと
つ収穫があった。それはスティーブ・マックイーンが主演した‘砲艦サンパ
ブロ’(アメリカ 1966年 179分)。

これまで中国ものでお気に入りDVDコレクションに入っていたのは、
☆‘北京の55日’(アメリカ 1963年 160分)
☆‘ラストエンペラー’(伊・英・中 1987年 163分)
どちらも映画の良さは音楽によってさらに増幅されている。‘北京の55日’
はアメリカの人気フォークソンググループのブラザース・フォアが主題歌を
唄って大ヒットした。‘ラストエンペラー’は今年亡くなった坂本龍一の作曲
したテーマ曲がアカデミー賞をとった。これは真に映画音楽の宝ともいえる
名曲。

さて、‘砲艦サンパブロ’は情報はまったくなかったが、名優スティーブ・
マックイーンの水兵姿をみて購入した。3時間もある大作。‘北京の55日’
が1900年、激動の清朝時代にあって‘義和団の変’の勃発によって北京の
外国人居留区にいた11ヶ国の居留民が籠城して55日間を戦った物語で
あるのに対し、‘砲艦サンパブロ’は中国人の排外思想が激しくなりデモが
暴徒化した1920年代の中国が舞台。列国は揚子江沿岸の権益と人命を
守るため艦艇を出動させていた。アメリカの砲艦サンパブロもそのひとつ。
スティーブ・マックイーンが扮するのは仕事のできる1等機関兵。仕事が
できるといつものパターンで上官といろいろ衝突する。そうすると仲間う
ちでも浮いてくる。驚いたことにあの美貌の女優キャンディス・バーゲン
が伝導学校の教師役として出演していた。そして、スティーブ・マックイ
ーンの唯一の友人水兵としてリチャード・アッテンボローも大事な役どこ
ろを演じている。最後にスティーブ・マックイーンが敵弾をうけて死ぬ
のは意外な展開だった。

| | コメント (0)

2023.11.07

映画‘クラッシュ’、‘イングリッシュ・ペイシェント’に乾杯!

Img_20231107224201

Img_0001_20231107224201

映画を観たあとはいつものルーチン作業をおこなって、My映画ファイルに
情報をごそっと詰め込んでいる。その情報はウキペディアから得られるその
映画に関するものと世の中にたくさんいる映画好きの人たちが下した評価や
感想記。つくづく思うのはそういう人たちの熱のこもった話がとてもおもし
ろく、レベルが高いこと!本職の映画評論家のブログかと錯覚するほど情報
が詰まっているものがでてきたりするから、それらを集めるとそこそこの内容のファイルが出来上がる。

これは映画をみた後のまとめの話だが、ではいい映画に遭遇するようになに
かいい情報チャネルをもっているかというと、特別の映画情報に定期的に
アクセスしていることはない。かつて観たとか古い映画ならYouTubeでも
たとえば、‘アメリカ映画ベスト50’といったものがいろいろあるからそこか
ら名作にたどりつける。だが、こうした定番のランキングには新しい映画の
秀作が入ってこないことがある。普段映画館に足を運ぶことがないから、
今年のアカデミー賞は‘〇〇‘が作品賞に選ばれたとか、‘△△’が監督賞、主演
女優賞、、を受賞したといった話にまったく入っていけない。そうすると、
どうしていい映画にぶちあたるのか、それはたまたま手に取ってみたら‘〇〇年
のアカデミー賞作品賞’と記されていたので購入した。すると、大当たりだ
った!ことが多い。

今年、それが起こったのが‘クラッシュ’(アメリカ 2004年 112分)
と‘イングリッシュ・ペイシェント’(アメリカ 1996年 162分)。
‘クラッシュ’は刑事ものだが、脚本のつくり方が所謂‘グランド・ホテル様式’で進行していく。舞台はロサンゼルス。刑事役が‘ホテル・ルワンダ’の主人公で出演していたドン・チードルだった。よくできたシナリオに感心した。観てのお楽しみ!‘イングリッシュペイシェント’も秀作で同じくアカデミー賞の作品賞に輝いている。第二次大戦末期のイタリアで看護婦がある患者を世話するが、重い火傷を負った患者が過去の出来事の断片的に甦る記憶を看護婦に伝える。なぜ、この男はこんな大けがをしたのか?、、、サハラ砂漠で何をしていたのか。作品賞受賞は即納得!

| | コメント (0)

2023.11.06

映画‘天国と地獄’・‘巴里のアメリカ人’に使われた絵画!

Img_0001_20231106223001   黒澤明監督の‘天国と地獄’(1963年)

Img_0006_20231106223901   セザンヌの‘休息する水浴者たち’(1896~97年 横浜美)

Img_0002_20231106223001   セザンヌの‘休息する水浴者たち‘(1875~76年 バーンズコレクション)

Img_0005_20231106225201   ミュージカル映画‘巴里のアメリカ人’(アメリカ 1951年)

Img_0003_20231106223001   ロートレックの‘アイリッシュ・アンド・アメリカン・バーで踊るショコラ’(1896年)

Img_0004_20231106223001   ロートレックの絵を再現したバレエシーン

映画のジャンルのなかでもっとも惹かれているのが刑事もの。日本映画には
傑作が3つある。‘砂の器’(1974年)、‘天国と地獄’(1963年)、
‘飢餓海峡’(1965年)。これまで何度もみているが、もういいやというこ
とにならずまたみてしまう。モーツアルトの音楽を何度も聴くのと変わらな
い。だから、登場人物のセリフやしぐさ、その場面はだいたい頭のなかに入
っている。

黒澤明監督の‘天国と地獄’は前半は子どもを誘拐した犯人との電話のやりとり
が続く密室劇だが、スラムである港町を見下ろす丘上に建つこの権藤邸の
居間の壁に一枚の西洋絵画が掛けられている。よくみるとセザンヌの版画‘休
息する水浴者たち’。黒澤明が使ったのはカラーリトグラフだが、映画はモノ
クロなので色はみえない。横浜美蔵のものをみたことがあるが、これが
映画のものかどうかはわからない。アメリカのバーンズコレクションはセザ
ンヌの絵で世界的に知られている。コレクションがごそっと日本にやって来た
とき、油彩の‘休息する水浴者たち’も含まれていた。

ジーン・ケリーの踊りが本当にすばらしいミュージカル映画‘巴里のアメリカ
人’をみたときは大変感動した。ジーン・ケリーの映画というと‘雨に唄えば’
ばかりイメージしていたが、もうひとつ大傑作があった。ラストにびっくり
するほどゴージャスでアートフルなバレエシーンがでてくる。ジーン・ケリ
ーがロートレックの描いた絵画‘アイリッシュ・アンド・アメリカン・バーで
踊るショコラ’に扮してロートレックの世界を再現していく。

これには200%KOされた。シャンソン歌手のブリュアンが右端にいるし、
中央の下にはシカゴ美にある‘ムーラン・ルージュにて’に描かれた緑と黄色の
顔をした女性がみえる。こんなロートレックの絵でいっぱいのシーンが登場す
るとは。パリの楽しい気分を表現するにはロートレックの絵がもってこいだっ
たのだろう。

| | コメント (0)

2023.11.05

歌姫 フィリッパ・ジョルダーノ セリーヌ・ディオン!

Img_20231105223601

Img_0001_20231105223601

Img_0002_20231105223601

行きつけのブックオフが11/1に新装開店したので早速出かけた。売り場
が広くなり、書籍、DVD、CDの数が大幅に増え、品揃えがぐんと向上した
感じだった。以前からブックオフとは書籍で相性が良かったが、2021
年にDVDの再生機を購入したのをきっかけにブックオフに出かける回数が
さらに多くなり、お気に入りの映画と耳に心地いい音楽がどんどん集まっ
て来た。

今年は気になっていた歌姫のアルバムが手に入った。イタリアのシチリア島
に生まれたフィリッパ・ジョルダーノの歌にいつ頃だったか忘れたが、すご
く惹きこまれたことがあった。それは♪♪‘清らかな女神’(ベルリーニの歌劇
「ノルマ」)。はじめオペラ歌手かと思ったが、そうでもなくポップミュー
ジックがメインのフィールドだったらしい。ほかの曲を聴いたことがないか
ら、フィリッパのことがだんだん薄れていきほとんど忘れていた。ところが、
今年そのフィリッパと偶然再会した。ブックオフの音楽CDのコーナーをみ
ていたら、2点並んでいた。
☆‘フィリッパ・ジョルダーノ’(1999年)
☆‘フィリッパ・ジョルダーノ ロッソ・アモーレ’(2002年)

1999年に発売されたのがデビューアルバムだった!‘清らかな女神’のほか
にオペラの定番の名曲などが入っている。♪♪‘歌に生き、恋に生き’、‘私のお父さん’、‘アヴェ・マリア’、その3年後にでた‘ロッソ・アモーレ’もフィリッパのうっとりするような歌声に心がとても癒される。

映画‘タイタニック’の主題歌♪♪‘マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン’で一世を風靡したセリーヌ・ディオンの歌声に完璧にしびれているのに、CDを購入しようというインセンティブが働かなかったのは再生機が家になかったから。そのため、ほかのヒット曲で耳に馴染んでいるのは♪♪‘パワー・オブ・ラヴ’と♪♪‘ザッツ・ザ・ウエイ・イット・イズ’だけ。今年、大変琴線に触れる曲に出会った。それは♪♪‘美女と野獣’。この名曲と巡り合うきっかけとなったのが映画‘美女と野獣’(フランス・ドイツ 2014年)。これを楽しんだ後YouTubeをサーフィンしていると、1991年に制作されたディズニーアニメ映画‘美女と野獣’でセリーヌがビーボ・ブライトンとのデュエットで美しい主題歌を歌っていることを知った。こんな名曲があったのか!いっぺんに嵌った。そして、5月銀座の山野楽器でセリーヌのアルバムを尋ねてでてきたのが‘セリヌ・ディオン~ザ・ベリー・ベスト~’(1999年)。気持ちよく聴いている。

| | コメント (0)

2023.11.04

待望の‘棟方志功展’!

Img_0004_20231104225701    ‘二菩薩釈迦十大弟子’(1939年 日本民藝館)

Img_20231104225701    ‘華厳松’(1944年 躅飛山光徳寺)

 

Img_0001_20231104225701    ‘花矢の柵’(1961年 青森県美)

Img_0003_20231104225701    ‘飛神の柵’(1968年 棟方志功記念館)

Img_0002_20231104225701    ‘弁財天妃の柵’(1965年 棟方志功記念館)

わが家のある展覧会図録で数が多いのは西洋絵画ではモネ、ルノワール、
ゴッホ、ピカソ、ダリ、日本画・洋画では横山大観、上村松園、鏑木清方、
竹久夢二、東山魁夷、岸田劉生、棟方志功。東近美で開催されている‘棟方
志功展’(10/6~12/3)をみたのでまた一冊増えた。東近美が実施す
る棟方展だから期待値がぐっと上がっていたが、果たして‘決定版棟方志功
!‘だった。驚いたのは観客のなかに多くの外国人がいたこと。外国人
なら浮世絵専門館の太田記念美というイメージだったが、新しい入場者の
光景が東近美でも出現している。

世界にムナカタの名前を轟かせたのが代表作の‘二菩薩釈迦十大弟子’。いつ
みても感動する。個性を際だたせた弟子たちの表情やポーズが精神的なも
のを力強いフォルムにして完成させたという感じ。今回の大きな収穫が
棟方が疎開先の富山県の福光で描いた肉筆画‘華厳松’、日曜美術館にこの墨の濃淡と暈しが心を打つ襖絵が紹介されたので俄然本物との対面に気がはやった。これまで肉筆なら大原美にある鯉の絵が目に焼き付いていたが、これも長く記憶に残りそう。

展示会場の最後にでてくる大作‘花矢の柵’と再会できたのは大きな喜びである。本物をみるのはこれで3度目、青森県美を訪問したとき遭遇し息を呑んでみたが、2012年には運よく平塚美にも出品され、今年は東近美で再会。地の黄色がモチーフを引き立て、明るい印象を画面全体に与えている。4人の騎士が乗る馬の体にリズミカルに彫り込まれた模様をみてふとある西洋画家を思い浮かべた。それはシャガールの絵。たとえば、代表作の‘私と村’では牛の顔の中に乳しぼりされている牛がまた描かれている。‘飛神の柵’でも男神、女神の顔には目や鼻、口のほかに花や星のようなものが装飾的に描き込まれている。

‘弁財天妃の柵’も棟方展には欠かせない重要なピース。白いほっぺの赤が女性の魅力を輝かせている。この美人画の大首絵は包装紙の図案にも使われており、横浜のカツレツの名店‘勝烈庵’は棟方に依頼して店名や包装紙のデザインをつくってもらった。横浜市営地下鉄の関内駅でいつも勝烈庵の弁才天妃をみるので棟方とは頻繁に出会っている。

| | コメント (0)

2023.11.03

期待を大きく上回る‘モネ 連作の情景’!

Img_20231103221001
  ‘睡蓮の池’(1918年頃 ハッソ・プラットナー・コレクション)

Img_0002_20231103221101
   ‘積みわら、雪の効果’(1891年 スコットランド国立美)

Img_0001_20231103221001
  ‘ラ・マンヌポルト(エトルタ)’(1883年 メトロポリタン美)

Img_0003_20231103221101
   ‘3艘の漁船’(1886年 ブダベスト国立美)

Img_0004_20231103221101
  ‘チャリングクロス橋、テムズ川’(1903年 リヨン美)

現在、上野の森美で開催されている‘モネ 連作の情景’(10/20~1/28)
をみてきた。手に入れたチラシには作品があまり載っておらず、プラスαが
1点でも2点でもあれば十分という気分だった。日時指定の予約制をとってい
るが当日券もあるから、10分くらい並んで入館できた。平日なのに予想以上
に多くの人が集まってきており、モネの高い人気に今さまながら驚いた。

出品作のなかには、ええー、これが来ているの!と思わず嬉しくなるものが
次々でてくる。だから、目に気合がぐっと入ってきた。最後に登場した‘睡蓮
の池’はもっとも見ごたえのある傑作。これを最初につくられたチラシでみてい
れば、もっと早く出動したのに思った。じつはこれまでみたものに入っている
か、家に帰ってチェックすると熱海のMOAに大変よく似たものがあった。
ドイツのコレクターの所蔵になっているが、MOAが手放した? それとも
別ヴァージョンだろうか。

モネの連作は‘積みわら’からはじまった。1990年、ロンドンのロイヤルア
カデミーでモネの連作に焦点をあてた大規模な回顧展があり、幸運にも海外出
張がたまたま重なり日曜、喜び勇んで出かけた。2時間も並んだが、世界中の
名の知れた美術館から集結した80点に高揚感がMAXになり天にも昇る気持
ちでみていた。‘積みわら’のコーナーにでていた一枚が今回出品されている
スコットランド国立美蔵の‘積みわら 雪の効果’。再会するとは思ってもいな
かった。図録に収録されている埼玉県近美蔵の‘ジヴェルニーの積み藁、夕日’
も日本からやって来ていたが、これは東京では出番がなくこのあと巡回する
大阪中之島美(来年2/10~5/6)に登場する。

嬉しい出会いはまだある。メトロポリタン美の‘ラ・マンヌポルト(エトルタ)
’がなんと目の前に現れた。すごいモネ展になって来たぞ、という感じ。この
奇岩をぐんと接近して描くモネの卓越した表現力によって迫力満点の風景画が
生まれた。すばらしい!海景画でいうと驚きの一枚があった。それは‘3艘の
漁船’、この絵を2003年中欧旅行のとき訪問したハンガリーのブダペスト
国立美でみたのである。モネ好きだから、船の鮮やかな緑と青が目に焼きつい
ている。これだから美術館巡りはやめられない。そして、‘チャリングクロス
橋、テムズ川’にもまた出会った。ロンドン名物の霧を貫く陽光の複雑な効果
によって浮き上がる橋と国会議事堂のシルエットを息を呑んでみていた。

| | コメント (0)

2023.11.01

デイヴィッド・イーグルマン ‘あなたの脳のはなし’!

Img_20231101224301

Img_0001_20231101224301

Img_0002_20231101224301  アングルの‘シャルル7世の戴冠式のジャンヌ・ダルク’(1854年頃 ルーヴル美)

ハヤカワノンフィクション文庫は講談社の‘ブルーバックス’同様、サイエンス
に興味がわき出すとつい何冊も買い込んでしまう。脳関連の本ではいいのが
2冊ある。デイヴィッド・イーグルマンの‘あなたの脳のはなし 神経科学者
が解き明かす意識の謎’(2015年 早川書房)と‘あなたの知らない脳-
意識は傍観者である’(2011年 早川書房)。今年、先入先出法にしたが
って最初に出版された‘あなたの知らない脳’をまず読み、そのあと‘脳のはなし’
に進んだ。

どちらも脳のしくみや心、意識のことがよくわかる名著だが、脳のことは
初歩的な知識がない人は‘脳のはなし’から読み進めるほうがいいかもしれない。
この本は著者が一般視聴者に向けて行ったTV講義(1話1時間ずつ6話)
の書籍版で、写真やイラスト、漫画などがたくさんでてきて用語集までついて
いるので脳のことがトータルでわかるようになっている。アメリカでベスト
セラーになった出世作の‘あなたの知らない脳’同様、この本も本当にわかりや
くて、おもしろい。情報エンターテイメントを味わえてためになるのだから
一読の価値がある。親しい友人や知人に薦めている。

歴史と美術が好きな人にとっては興味をそそる話がでてくる。‘脳のはなし’で
はロシアの画家、イリア・レーピンの描いた有名な絵‘思いがけぬ帰宅’が被験
者にみせてあとで何が描かれていたかを質問する実験に使われている。そして、‘あなたの知らない脳’には‘てんかん’の話があり、あのジャンヌ・ダルクが登場する。

その部分を引用すると、‘てんかんの発作が側頭葉の特定のスイートスポットに集中している場合、本人は運動発作を起こさないが、その代わりにもっと微妙な発作を経験する。その影響は認識発作のようなもので、特徴的なのは人格の変化、異常な信仰心、外界の存在についての錯覚、そしてしばしば神の声を聞くことである。歴史上の預言者、殉教者、そして指導者の一部は、側頭葉てんかんを患っていたようである’。

‘ジャンヌ・ダルクのことを考えてみよう。16歳の少女が百年戦争の流れを変えることができたのは、自分が大天使聖ミカエル、聖カタリナ、聖マルガリタ、聖ガブリエルの声を聞いていると信じていたからだ。彼女は自分の経験をこう説明している。「13歳のとき、自制を助けてくださる神の声が聞こえました。最初は恐怖を覚えました」。のちに彼女は報告している。「神が行けと命令なさったのですから、私は行かなくてはなりません」’。

| | コメント (0)

« 2023年10月 | トップページ | 2023年12月 »