メトロポリタン美 VS ワシントン国立美!(3)
ヴァトーの‘メズタン’(1718~20年 メトロポリタン美)
ヴァトーの‘イタリアの喜劇役者たち’(1720年 ワシントンナショナルギャラリー)
ブーシェの‘ヴィーナスの誕生’(1751年 メトロポリタン美)
フラゴナールの‘読書する娘’(1775年 ワシントンナショナルギャラリー)
フラゴナールの‘恋文’(18世紀 メトロポリタン美)
ダイナミックで壮大な画風が目を見張らせるバロックのあとは優美さや軽快
な感じをだしたロココ絵画が一世を風靡する。このロココ様式の作品に目が
慣れるのは時間がかかる。まずみておきたいのはルーヴルに展示されている
作品だが、展示されている場所は人気のドラクロアやジェリコーの大きな絵
があるドゥノン翼の2階の大広間からだいぶ離れたシュリー翼の3階。はじ
めてのルーヴルではここへ寄る時間はなかなかとれない。だから、ヴァトー
(1684~1721)やブーシェ(1703~1770)やフラゴナール
(1732~1806)の絵をじっくりみるのは2回目以降に持ち越される
ことが多い。パリにそう度々行けないし、日本の美術館でロココにスポット
をあてた特別展はほとんどみないから、どうしてもロココ美に開眼するには
長い年月がかかってしまう。
今年の展覧会の見どころをいろいろみてみると、‘メトロポリタン美展’(国立
新美)に登場するロコロ絵画は貴重な鑑賞機会であることはまちがいない。
なにしろ愛用しているMETのガイドブックの表紙に使われているヴァトーの
‘メズダン’が出品されるのだから、嬉しい話である。メズダンはピエロ(フラ
ンスではジルと呼ばれる)と同様イタリア喜劇のキャラクター。これはワシ
ントンのナショナルギャラリーの‘イタリアの喜劇役者たち’、ルーヴルの‘ピエ
ロ’とともにヴァトーの画集には必ず載っている傑作。
ブーシェの‘ヴィーナスの誕生’にお目にかかれるのも幸運なこと。再会したら
クラクラして立っていられないかもしれない。パリに生まれたブーシェは
ルイ15世の愛人ポンパドール夫人に気に入られた。この絵は夫人のために
描かれたものだが、夫人はロココの理想とする女性美をつくりあげるのに
協力したと言われている。ルーヴルにある‘水浴のディアナ’と一緒にMyブー
シェベスト1に登録している。
フラゴナールは今回はお休みだが、METはこちらをふりむく女性の強い目力
が印象的な‘恋文’を所蔵している。そして、これよりもっと魅了されるのが
ワシントンにある。もうたまらないくらい好きな‘読書をする娘’。また、ナシ
ョナルギャラリー展が企画されるときはこの横向きの娘さんを目玉にしても
らいたいと思っている。
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