Anytime アート・パラダイス! ブルトン ボヌール
ブルトンの‘アルトワ地方の小麦の祝別祭’(1857年 アラス美)
ボヌールの‘二ヴェルネ地方の耕作’(1849年 オルセー美)
トロワイヨンの‘シュレンヌの丘の眺め’(1859年 オルセー美)
海外の美術館でも東博のように何度も足を運べるようになると美術鑑賞がた
まらなく楽しくなるのだが、そう簡単には事は進まない。もし、そんな夢が
叶ったらどの美術館を定番にするか。それはもう決めてある。気軽に行ける
国で好きな絵がたくさんある美術館というと、やはりパリのルーヴル、オル
セー、そしてNYのメトロポリタン。このなかで順番を一番にしたいのは新
しくなった展示スタイルをまだみてないオルセー。
ときどきみる美術館の図録には過去の鑑賞では目に力が入ってなかったが、
今ならたぶん熱心にみる絵が載っている。その筆頭がブルトン(1827~
1906)の‘落穂拾いの召集’。ミレーも同じ落穂拾いを描いているが、こち
らは大勢の女性たちが集団で作業にとりくんでいる。視線が集中するのは
中央の前向きの3人。集めた落穂の束を頭の上に置いたり脇に抱えている女
たちはに宗教画にでてくる天使のように思えてくる。
‘アルトワ地方の小麦の祝別祭’はイギリスのフリスの‘ダービーの日’とか
レーピンの‘クールスク県の十字架行進’がすぐむすびつく大作。こういう絵は
農村の生の感覚はよくでているので、なんだか行列のすぐ近くでみているよ
うな気になる。‘泉にて’も息を呑んでみてしまう。岩からあふれでる水を汲み
水瓶を頭にのせるこの女性はギリシャ彫刻でよく目にする女神像のよう。
牛の力強い姿がどんと目に入ってくる‘ニヴェルネ地方の耕作’を描いたのは
女流画家のローザ・ボヌール(1822~1899)。彼女は動物画を得意
としていたが、この時代、女性が一人で外を出歩くことは許されなかった。
パリ郊外で開かれた馬の市を描きたくなったローザはズボンをはき男装をし
てでかけ思いをとげた。トロワイヨン(1810~1865)の‘’シュレンヌ
の丘の眺めはコンスタブルが頭をよぎるが、広々とした青空の構図と日に照
らされた人物や馬の写実的な描写がなかなかいい。
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