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2021.06.26

Anytime アート・パラダイス! クリムト(3)

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     ‘ダナエ’(1907~08年)

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     ‘金魚’(1901~02年 ゾロトゥルン美)

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     ‘ュディトⅡ’(1909年 ヴェネチア 近代美)

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    ‘水の精’(1899年 オーストリア銀行)

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     ‘水蛇Ⅱ’(1907年)

ギリシャ神話に登場する美女が絵画の画題になることは数多くあるが、ダナ
エは画家の絵心を強くゆするのかティツアーノやレンブラントが絵画化し
ている。この二人よりぶっとぶダナエを描いたのがクリムト。これはゼウス
が黄金の雨に姿を変えて幽閉されたダナエと愛を交わす場面。目を閉じ赤ん
坊のように体を丸めているダナエの生々しく官能的な姿は心臓をバクバクさ
せる。所蔵しているのは個人コレクターなので本物とはこれからも縁はない
が、こういう衝撃的な絵とめぐりあったことをよしとするほかない。

‘ダナエ’は200%諦めているが、同じくエロチックな作品‘金魚’と‘ユディト
Ⅱ’との対面はまだ希望をもっている。座って後ろをふりむく裸体の女性の綺
麗な顔が心をとらえて離さない‘金魚’を飾っているのはスイスのベルンから
北の方向にそう遠くないところにあるゾロトゥルン美。スイス美術館巡りが
実現したときはベルンのあと寄ることを決めている。この絵をみたらクリム
トは済みマークがつけられる。

クリムトは最初のユディトを描いてから8年後にもう一枚完成させいる。これ
はヴェネツィアの近代美にあるが、以前この水の都を訪問した際、近くの美術
館ばかりに関心がいきこの絵との対面を忘れてしまった。自由時間に余裕があ
ったので、このうっかりミスが悔やまれてならない。最初のユディトとはうっ
て変わって冷血なイメージが強く、敵将の黒髪の中に指をつき入れており激し
い憎悪をみてとれる。下半身の装飾的な表現よりもはだけた胸と気の強そうな
顔に視線が自然と集中する。

‘水の精’と‘水蛇Ⅱ’もお目にかかれる可能性は限りなく小さい。夢幻的で怪しげ
な雰囲気の漂う画風をみるとクリムトはやはり天才だなと思う。女性の顔を本
当に柔らかく美しく描く。様々な模様により演出された装飾的なきらびやかさ
が過度に心を刺激しないのは女性たちの顔が同時代の女性を連想させるから。
これがクリムトマジック!

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コメント

ご無沙汰しております。クリムトの話題なので、久しぶりに投稿させていただきます。

私にとってクリムトは近代以降の絵画では最も好きな画家の一人です。かなり前から気になっていましたが、1989年に池袋のセゾン美術館「ウィーン世紀末 クリムト・シーレとその時代展」で「接吻」と「ベートーヴェンフリーズ(複製)」を見てから、特にクリムトにはまるようになり、5年ほど前には長年の念願であったウィーンへやっと行くことができました。(クリムトの接吻を日本まで持ってきてしまうとは、いかにバブル期とはいえ、その当時の西武グループの力は大したものだったと思います。今では接吻を海外に出すなどということは考えられません。そしてセゾン美術館もなくなり、西武鉄道株も上場廃止となって、堤一族のかつての栄光は見る影もありませんが。)

ウィーンへ行った目的の第一はカラヴァッジョ、ラファエロ、ブリューゲルなどの美術史美術館のコレクションを見ることですが、第二がクリムト巡り、ついでに郵便貯金局やマヨリカハウス、エンゲル薬局などの建築巡りもしてきました。
クリムトの絵ですが、今回の記事(1)~(3)で見ていない作品は3割ぐらいでしょうか。ウィーンではベートーヴェンフリーズの実物についてはセゾン美術館で複製を見たので省略し、分離派館は建物外観のみに留め(その後2019年開催の都美クリムト展で複製は再来日)、この他、レオポルド美術館にはクリムト作品は「死と生」の1枚だけなので時間の制約からここも省略しました。これ以外ではウィーンで見ることができる作品はほとんど全て見たと思います。気に入った作品は工芸美術館のストックレ・フリーズ下絵です。ブリュッセルのストックレ邸は今でも個人の家であり非公開なので、完成作のストックレ・フリーズは見ることができませんが、ウィーン工芸美術館の下絵でも十分に完成作の雰囲気は味わえる素晴らしい作品でした。ブルク劇場のクリムト初期の天井画については、1日1,2回開催される劇場内案内ツアーに参加し、英語の説明はさっぱり理解できませんでしたが、天井画の下ではけっこう長い時間説明されたので、じっくり見ることができました。また、「水の精」は銀行所有ということであきらめていましたが、アルベルテイーナへ行ったら19世紀末の印象派などを紹介する特別展を開催していて、その中で「水の精」も展示されていました。アルベルテイーナへ行った目的はデューラーの野兎やブリューゲルの画家の肖像などの素描を見るためだったので、水の精があったのには驚き、とてもラッキーだったと今でも思っています。

ご紹介のクリムト作品で見ていないものとして、ダナエは個人蔵なので、とても見たい絵ですが私もあきらめています。水蛇2も同様です。ただ、ダナエはウィーンのDichand collectionという個人蔵なので、上記の水の精のように、ウィーン市内で開催される何かの展覧会に出品されるかもしれないので、可能性0ではないと思います。タッシェンの大型図録解説によれば、ダナエは2000年以降も2011年までの間にフランクフルト、パリ、ウィーン等で4回貸し出され美術館に出ています。一方、水蛇2は1964年のウィーン以降、貸し出し実績がないようなので、これは将来も無理かもしれません。
スイスの「金魚」は将来の宿題ですが、スイス旅行をするかどうかは他の国の旅行との優先順位によるので微妙です。NYにあるアデーレ1も将来の宿題です。昔NYに行った時はまだウィーンにあったし、ウィーンに行った時はNYに移った後でした。ルネサンス・バロック絵画を目的にMetにも再度行きたいので、近い将来NYには行くつもりです。その時はMetにあるメーダ・プリマヴェージの肖像もしっかり見てくる予定です(メーダの母オイゲニア・プリマヴェージの肖像は豊田市美術館所蔵で2019年都美クリムト展出品。)なお、金色を使わない後期作品のアデーレ2は個人蔵なので、これは無理だと思っています。
国内にある「人生は戦いなり(黄金の騎士)」には何故か縁がありません。2019年都美クリムト展には出品されず、豊田市美限定出品でした。一昨年のカラヴァッジョ展で名古屋へ行った時も、その時点では愛知県美術館では展示していなかったので予定には入れず、名古屋の翌日は三重県総合博物館の仏像の特別展へ向かいました(快慶の阿弥陀如来が初公開だったため)。国内所蔵なのでいつかは見るチャンスもあるだろうと気長に待ちます。(オイゲニア・プリマヴェージの肖像といい、何故愛知県にクリムト作品が2枚もあるのでしょうね。東京には1枚もないのに。)
ヴェネツィアのユディト2はそのうち見る機会もあるだろうと思います。ヴェネツィアへは2回行ってますが、フィレンツェ派の作品(ヴェロッキョの騎馬像とかカスターニョのフレスコ画など)を見るのがメインで、アカデミア美術館やカ・ドーロには入りましたが、まともに教会巡りをしていないので、ティツィアーノの聖母被昇天もまだ見ていません。そのうちまた行くことになると思っているので、クリムトもその時にとっておきます。

私が今まで見たクリムト作品で最も好きな絵は、ウィーン美術史美術館の階段正面の向かって左(西壁)にある15世紀フィレンツェを象徴する「ヴィーナス」です。階段正面の絵は美術書にもよく紹介されていますが、西壁のヴィーナスとダヴィデの写真はあまり掲載されていないようです。これらの絵が15世紀のボッティチェリのヴィーナスと16世紀のミケランジェロのダヴィデを意識して描かれたことは明らかであり、私もクリムトが最もボッティチェリに近づいた作品として、このヴィーナスが特に好きです。ボッティチェリの描く人間離れしたヴィーナスと比べ、はるかに生々しい肉体を持った裸体の女性であり、かと言ってルーベンスの描く裸婦のように肉がダブついてもいない丁度よい肉付きで、上記のダナエや金魚ほどエロチックさを強調していない、初期作品としての品のあるエロさが私のお気に入りです。(下記URL)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/49/Klimt_-_Florentinisches_Cinquecento_und_Quattrocento%2C_1891_%283%29.jpg
https://press.khm.at/fileadmin/content/KHM/Presse/2018/Klimt/PT_Die_KlimtZwickel_Beatrix_Kriller_engl.pdf
美術史美術館の階段を上がった所(正面のクリムト作品の向かい側)には双眼鏡が設置され、これらの絵を望遠で鑑賞できるようになっていたので、正面の作品とともに西壁のヴィーナスを長時間眺めていました。

5年前のウィーン旅行と2年前の都美、国立新美のクリムト関係特別展により、かなり多くのクリムト作品を見ることができたので、宿題としてまだ見ていない作品はたくさんありますが、そろそろクリムトは卒業かなとも思っています。ここ1~2ヵ月で、福富太郎コレクション展に関連して妖艶な日本画に興味を持ち、その元ネタの一つとしてラファエル前派周辺のウォーターハウスやフレデリック・レイトンの人魚とかセイレーン、オフィーリアの絵に関心を持ち、資料を集めているところです。コロナ問題が解決したら、イギリスへ行きたいので、その時はロンドンナショナルギャラリーだけでなく、テートブリテンやロイヤルアカデミーにも行ってこれらの画家の作品を見るつもりです。クリムトとは少し違った妖艶な絵(エロスと言うよりも男を破滅させるファムファタル)であり、これはこれで魅力的です。ウォーターハウスの絵をいくつかご覧になっているなら、今度取り上げてみてください。

投稿: むろさん | 2021.06.27 20:44

to むろさん
ご無沙汰してます。お元気でしょうか。ぼやっと
していてコメントを見落としてました。返事が
遅れて申し訳ありません。

以前お話したことをふりかえり、むろさんがカラ
ヴァッジョ同様、クリムトがお好きだということ
を思い出しました。‘水の精’をみられましたか!
羨ましいですね。NYのノイエギャラリーにはアデ
ーレⅠをはじめ全部で6点あります。そして、メト
ロポリタンに3点(うち1点は未見)。是非お楽
しみ下さい。

ウォーターハウスやレイトンへ好みがシフトですか。
ラファエロ前派のロセッテイ様式の女性画も心を揺
りますから、イギリスの美術館に足を運ぶだけでも
どことなく体がほてってきます。コロナ騒動を乗
り越えた後、どんな国内外の美術館巡りを計画する
か、そろそろ考えてもいいですね。


投稿: いづつや | 2021.07.01 01:48

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