美術館に乾杯! 茨城県陶芸美術館 その二
やきもの企画展には3つくらいのタイプがある。全国にある昔からの窯で
やかれたものに焦点をあてるもの。例えば、古伊万、鍋島、古九谷、志野
&織部、京焼など。時代の区切りとして明治以降に活躍した陶芸家の作品
をどっと集めてくるものもある。2006年に茨城県陶芸美であったのは
このタイプ。そして、人気のある陶芸家の回顧展もデパートで定期的に行
われる。昨年は日本橋三越で北大路魯山人展があった。
ここのコレクションがスゴイのは名の知れた陶芸家や人間国宝の作品がた
くさん揃っていること。トップクラスの陶芸美術館といっていい。だから、
大きなやきもの展が開催できるのである。ほぼ同じ時代を生きた石黒宗麿
(1893~1968)と民藝派の濱田庄司(の1894~1978)
はともに運よく回顧展に遭遇した。石黒の‘藍彩壺’の青は唐三彩の色の感じ
がして惹きこまれる。‘白釉黒流掛大鉢’は濱田お得意の瞬間芸。ポロックの
アクションペインティングとやっていることは変わらない。
加藤土師萌(かとうはじめ 1900~1968)は愛知県の出身で中国
・明時代の五彩、金襴手などの色絵磁器の技法を追及した。‘紅地金襴手雲
雀迎春花文飾壺’は近代感覚で吉祥の雰囲気をだしている名品。残念なこと
にこの作家の回顧展にめぐりあえてない。そのため、これは貴重な鑑賞
体験となって目に焼きついている。
三輪壽雪(十一代三輪休雪 1910~2012)の‘鬼萩窯変茶碗’と三浦
小平二(1933~2006)の‘青磁飾壺 バザールへ’も思わず足がとま
る一品。荒々しい鬼萩だが手にもつと意外に軽いと隣の方が言っていた。
青磁でお気に入りは三浦小平二と中島宏。同じ青磁だが、三浦の青は柔らか
く温かいイメージがある。
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