美術館に乾杯! 太田記念美術館 その二
歌川広重の‘日光山華厳ノ滝、霜降ノ滝、裏見ノ瀧’(1851年)
太田記念美は浮世絵専門の美術館なのでこれまで名の知れた絵師たちの回顧
展を次々と開催してきた。お目にかかったものをざっとあげると、葛飾北斎、
歌川広重、歌川国芳、歌川国貞、歌川豊国、菊川英山、月岡芳年。まだ実現
してないのが喜多川歌麿、これをなんとか企画してもらいたいのだが、果た
して。
菱川派の‘隅田川之景’はみせ所が隅田川と富士山とくれば風俗画エンターテ
イメントとしては申し分ない。川に多く浮かぶ舟には舟遊びを楽しむ人が大
勢くりだしている。こういう光景をじっくりみると江戸の人々の生活にふれ
たような気になり親近感が生まれてくる。
伊勢観光の人気のスポットである二見ヶ浦の夫婦石は2度みた。だから、
歌川国貞(1786~1864)の絵には敏感に反応する。この二見ヶ浦が
特別印象に残っているのはご来光の表現にインパクトがあるから。爆弾が
爆発したような直線の発射は惑星の公転図のイラストをみるよう。
日本橋の絵というと歌川広重(1797~1858)の専売特許的なイメー
ジがあるが、渓斎英泉(1791~1848)の‘日本橋雪之曙’も心をとらえ
る傑作。これは‘木曽街道六十九次’シリーズの最初の図。雪晴れの朝、魚を
運ぶ男たちが行きかっている。
広重が描いた日光山の滝の絵によってあの有名な華厳の滝のほかにもう二つ
‘霜降の滝’(右)と‘裏見の滝’(左)があることを教えてもらった。いつかみ
たいと思っているがなかなか現地に行けない。
歌川国芳(1797~1861)の風景画も魅力いっぱいで西洋画の描き方
をとり入れた‘東都名所浅草今戸’は瓦焼きの窯からもくもくとたちこめる煙
の表現が目を釘づけにする。
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