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2020.09.19

美術館に乾杯! 根津美術館 その二

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        国宝‘那智瀧図’(鎌倉時代・13世紀)

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     牧谿の国宝‘漁村夕照図’(南宋・13世紀)

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    李安忠の国宝‘鶉図’(南宋・12世紀)

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    因陀羅の国宝‘禅機図断簡’(元・14世紀)

滝で有名な観光スポットというとすぐ栃木県の‘華厳の滝’と熊野の‘那智の滝’が
思い浮かぶ。2つをくらべると華厳が男性的で荒々しいのに対し那智は女性の
イメージ。趣味が旅行だけなら話はこれで終わりとなるが、絵画に関心がある
ともうひとつ滝の物語が加わる。根津美にある‘那智瀧図’はただ滝の光景を描い
たのではない。滝は神様で崇拝の対象。だからこれは聖画なのである。このこ
とを美術本で知り、それを根津で確認にそして熊野に足を運び、この神秘的な
雰囲気につつまれた滝を眺める。すると、絵画をみたときの感情が思い出され
目の前のリアルな視覚体験が薄められるような気になる。不思議な感覚だった。

牧谿が巻物に描いた‘瀟湘八景図’は切断されて掛物となった。その2幅は国宝に
指定されている。‘漁村夕照図’と‘煙寺晩鐘図’(畠山記念館)。どちらも琴線に
触れる名品だが、‘漁村夕照図’のほうがたなびく霞のなか山々が印象づけられ家
の屋根や小さな舟がみえるので漁村の情景にすっと入っていける。こういう
親しみのもてる牧谿は‘燕子花図’のように何度もお目にかかりたいのだが、思う
ようにはいかない。

日曜美術館が唯一の美術情報源だったころ、高山辰雄が‘鶉図'を最接近してみ
て‘本物の鶉がいるようだ'と言っていた。この絵をみたら画家の大家でなくても
同じような感想をもつのではなかろうか。とくに目が点になるのは緻密に描か
れた羽毛。応挙の孔雀の羽毛もすごいが、この鶉のほうがリアル感が強く、丸く
膨れた胸あたりの羽毛を動かし歩きだすような気配がある。

中国元時代の画僧、因陀羅の‘禅機図断簡'には5つのヴァージョンがあり、根津
にもそのひとつがある。全部国宝に指定されているのはもともと画巻だったか
ら。この人物画の魅力はユーモラスな笑いの表現。描かれている人物同士の会話
の中から相手方あるいは両人が大笑いしている。なにかを理解し腹にストンと
おちたとき(頓悟)には自然と笑いがおきるのだろう。

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