美術館に乾杯! 岡田美術館 その二
美術品の蒐集がオールラウンドの分野にわたってなされていると東博や京博
のような国が誇る美術館や博物館ができる。でも、そこまで大きくない美術
館は好みの作品を選択し資金とエネルギーを注ぎこみ自慢のコレクションを
つくりあげる。室町時代以降の日本美術で愛好家が関心を寄せるのは雪舟、
桃山絵画、琳派、江戸絵画、浮世絵、近代日本画、そして洋画。岡田美は
若冲とともに琳派の名品が目を楽しませてくれる。
箱根に岡田美術館ができるまではそのコレクションはほかの美術館で開かれ
る展覧会に散発的に個人蔵として出品されていた。あとから岡田美蔵という
ことがわかったものでもっとも目に焼きついているのが尾形乾山(1663
~1743)の‘色絵紅葉図透彫反鉢’。何年か前に重文に指定されたがいく
つも違った絵柄のある独創的な反鉢のなかでこの紅葉が群を抜いて輝いて
いた。美術館を訪問して驚かされたのが乾山のやきものの多さ。兄光琳
(1658~1716)とコラボした角皿や‘色絵春草図’など全部で8点飾
られていた。こんなにあったとは!
さらに本阿弥光悦(1558~1637)と俵屋宗達の合作が‘花卉に蝶新古
今集和歌巻’など3点、そして誰もが欲しがる宗達の‘源氏物語図屏風断簡
明石図’、‘白鷺図’が目の前にさらっと現れる。宗達はまだあったのか!
というのは率直な印象。古美術の世界はやはり奥が深い。美術商はいろんな
ところから探してきてコレクターに売り込んでくる。
尾形光琳については以前から知っていたなかなかいい‘菊図屏風’がここの所蔵
だというのがわかり、未見の‘雪松群禽屏風’に遭遇した。この絵は川村記念美
にある(もう手放した?)‘柳に水鳥’(二曲一双)を連想させるが、ちょっと
ビジーな感じ。
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