美術館に乾杯! 北澤美術館 その一
クルマで長野県の諏訪湖まで行く場合、事故などの渋滞に巻き込まれなけ
れば2時間20分くらいで到着する。この道中、諏訪湖のある位置がどう
いうわけか前から山梨県の甲府からすぐ近くというイメージでクルマを
運転している。でも、実施は諏訪湖は中央自動車道の岡谷JCTのひとつ
手前。だから、遠くの長野まで来ていることになる。
ここ4年くらい諏訪湖ドライブはサンリツ服部美を訪問することが続いた
が、15年前はじめて出かけたときはこの美術館のすぐ先にある北澤美術
館が目的だった。お楽しみはここにある自慢のエミール・ガレ(1846
~1904)のガラス工芸コレクション。ガレのこのアールヌーヴォー調
のガラス作品に惹きこまれるきっかけとなったのは広島にいたときウッド
ワン美でガレをみたから。
日本にはガレにとりつかれたコレクターはほかにも数多くいる。すぐ思い
つく美術館は北澤美、箱根のポーラ美、それからサントリー美。北澤美は
2回にわけてそのすばらしいガレをみたが、最も魅了されたのは‘フランス
の薔薇’。TVの美術番組で詳しく解説してくれた作品誕生物語を知ってい
るから、本物の前では息を呑んでみた。こういうのがまさに心理学者マズ
ローのいう‘最高の瞬間’(ピーク・エクスペリエンス)。
思わず足がとまるモチーフはいろいろある。見ごたえ十分なのが‘ひとよ茸
ランプ’。決め手は成長の違う茸を3つ並べたこと。この発想がなかなかで
てこない。普通は一番大きな茸をひとつもってきて周りを装飾してさあー、
出来上がりだが、成長の過程、つまり時間を表現するというのがガレ流の
創作の真骨頂。
ドーム兄弟(兄1853~1909、弟1864~1930)のガラス工
芸は北澤美ではじめてお目にかかった。刺激的だったのはランプの表面が
風景画のようになっている‘風雨樹林文’。これ以降、ドーム兄弟は繊細な
線描が印象深い森の木々などをあしらったものを中心にみてきた。ガレの
華やかな‘藤文ランプ’と並ぶと‘静’と‘動’の共演が心に響く。
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