美術館に乾杯! 東福寺
吉山明兆の‘五百羅漢図'(重文 室町時代・1383~86年)
臨済宗東福寺派の大本山、東福寺でまず度肝を抜かれるのは巨大な三門。
応仁の乱を免れることができたこの三門は現存する禅宗寺院三門として最
古のもの。絵でもサイズの大きい作品には圧倒されるが、立体の建築物で
はその圧を体全体でうける感じがする。
ここには禅院額字などをはじめとする国宝の書跡があるが、それよりもっ
と関心が高いのは‘無準師範像'。無準師範(ぶしゅんしはん)は東福寺開
山の円爾(えんに)が入宋したとき学んだ僧。この頂相が描かれたとき
無準は61歳だった。南宋禅林を代表する名僧の肖像画と対面することを
長いこと願っていたが、3年前にようやく実現した。顔の表情がとてもリ
アルに描かれているので目の前にいるようだった。
室町時代の前中期に活躍した臨済宗の画僧、吉山明兆(1352~
1431)の2つの絵も忘れられない。五百羅漢図は大徳寺のものが有名
だが、明兆のものは色が鮮やかなことが特徴。そして、あっと驚く描写も
気を引く。白い大蛇が大きくあけた口のなかをじっとみるとなんと一人の
羅漢がいる。つっかえ棒を立てて座る場所を確保している。これはおもし
ろい!
達磨と道教の蝦蟇仙人(左)と鉄拐仙人(右)が一緒になったものは珍
しい。正面向きになると達磨の動きがまったくなくなってしまうのに、あ
えてこのような姿にしているのはみる者に達磨と一体になることを期待し
ているのかもしれない。
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