美術館に乾杯! 京都国立博物館 その八
中国絵画に興味がわくきっかけとなったが南宋の画家牧谿の描いた‘瀟湘八
景図’。京博にある‘遠浦帰帆図’は右から左へとたなびく強風にのって岸辺
にむかう小さな帆舟とこれと呼応するように今にも枝が折れそうなほど曲
がった木々が描かれている。墨の濃淡で光や大気の調子を表現する牧谿の
描き方が室町時代の足利家におおいにもてはやされた。
二年前、府中市美で渡辺崋山(1793~1841)の‘市河米庵像’をやっ
とみることができた。東博にある国宝の‘鷹見泉石像’とともに人物肖像画の
傑作として早くからインプットされていたが、頬のこぶが印象的な書家
との対面は予想以上に時間がかかった。鷹見泉石のほうは斜めを向くポーズ
で描かれているのに対し、こちらは正面向き。今本人の前にいるような気が
してくる。
いつか渡辺崋山の回顧展に遭遇したいと願っているが、まだその気配がない。
日曜美術館でとりあげられた崋山については今度の日曜日にみることにして
いるが、なにか特別な理由があるのだろうか。待ち望んだ久隅守景
(1614?~1703?)の回顧展は五年前サントリーがやってくれた。
そのときここから出品されたのが‘海棠に山鵲図’。山鵲(さんじゃく)はかさ
さぎのこと。そのサントリーは今休館中。秋?それとも来年再オープン?
原在中(1750~1837)は18世紀から19世紀にかけて京で活躍し
た絵師、広々とした海の風景画が特徴で三保の松原からみた富士山などもあ
る。この絵は伊勢の朝熊山の山上から伊勢湾をみた光景が描かれている。
こういう遠方まで広がる絵はヘリコプターに乗ってリポーターをやっている
ようで気持ちがいい。
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