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2020.02.10

Anytime アート・パラダイス! 老人は表情で語る

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 カラヴァッジョの‘ユディトとホロフェルネス’(1599年 バルベリーニ宮)

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  カラヴァッジョの‘蛇の聖母’(1605~06年 ボルゲーゼ美)

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 カラヴァッジョの‘聖ペテロの磔刑’(1601年 サンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂)

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カラヴァッジョの‘執筆する聖ヒエロニムス’(1608年 サン・ジョヴァンニ大聖堂)

カラヴァッジョ(1571~1610)の宗教画は風俗画仕立てになってお
り、登場人物は気を引く可愛い少年、若い男女だけでなく、コアな働き手、
老人まで含まれその生感覚に満ちたリアリズム描写はバロックへとつな
がる新たな絵画の地平を切り開いた。なかでも興味深いのが老人の強い
存在感を表した作品。

あべのハルカス美への出品が叶わなかった‘ユディトとホロフェルネス’には
主役のユディトを食ってしまいかねない老婆が横向きで描かれている。断末
魔の苦しみを味わされているホロフェルネスをこの老人はじっとみている。
顔をしかめ大仕事をしているユディとは対照的に表情を変えないところにか
えってスゴ味がある。このあと切り落とされた首を淡々と袋にくるむ姿が目
に浮かぶ。

ローマのボルゲーゼ美が所蔵する‘蛇の聖母’は日本にはなかなかやって来な
い。ここに描かれた聖アンナはダ・ヴィンチの‘聖アンナと聖母子’(ルーヴ
ル)とは天と地ほどの差がある。背が高いのでしゅんとしたところはでてい
るが顔はもうだいぶくたびれている。だから、蛇を踏みつけている聖母と
幼子キリストをただ引き立てているだけ。でも、そこにいるだけで画面に
緊張感が生まれる。

逆さ十字架にかけられたペテロのモデルをつとめる爺さんの表情がじつに
いい。この‘聖ペテロの磔刑’をローマのポポロ聖堂でみたときはこの老人
の立派な演技ぶりにあっけにとられた。うめき声もなく覚悟をきめて身を
まかせている。この絵に動きがあるのは4人がXの字を作るように配置さ
れているから。傑作である。

‘執筆する聖ヒエロニムス’に描かれている聖人はごく普通の年老いた男性。
ぱっとみた印象は大学の先生。学問に生涯をささげると歳を重ねても老い
の疲れや醜さが表に現れてこないようにみえる。脳が活性しつづけている
のがいいのだろう。

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