美術館に乾杯! 大和文華館 その一
国宝‘婦女遊楽図屏風(松浦屏風)’(江戸時代 1640年代)
日本画でも西洋画でもときどき感激がマックスになる作品に出会うことが
ある。大和文華館でそれがおきたのは‘婦女遊楽図屏風’(六曲一双)と対面し
たとき。ちょうど修復が完成した時期だったので鮮やかな色彩で輝いて
いた。
描かれた遊女たちは等身大の大きさ。だから、三味線を弾いたり文を読ん
だりと思い思いのポーズをとる遊女たちが目の前いるようだった。そして、
目が吸いこまれていくのが身に着けている衣裳の模様。日本の着物が生み
出す晴れやかで生き生きした意匠の凄さをみせつけられた。5年前、
大浮世絵展で再会したが、時間が経ったせいか色の力が少し落ちていた。
12世紀につくられた‘一字蓮台法華経’は印象深い装飾経の名品。金泥で描
かれた円の下に蓮台を彩色しその上に経文が墨書されている。漢字と蓮の
コラボがぴたっときまっているのがすばらしい。右の見返し絵には法会を
とりおこなう僧侶と男女。大勢描かれているので法会の雰囲気がひしひしと
伝わってくる。
ここには国宝の絵巻がもう一点ある。‘寝覚物語絵巻’。これは特別な展覧会
にしかでてこないが、2014年に東博で開催された国宝展に出品された。
画像は一段で右には枝のフォルムが気を引く満開の桜のもとで楽器を奏でる
3人の童子が描かれている。左に視線を移すと角々した屋敷のイメージと
なり建物を高い視点からみた俯瞰の光景に変わる。こういう画面構成はおも
しろい。
‘婦人像’ははっとさせられるほど存在感がある。この武将の妻はおはぐろを
し眉をそり落としている。ふっくらとした顔つきだが前をじっとみつめる目
の鋭いこと。こんないい女性肖像画はなかなかみられない。
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