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2019.09.25

美術館に乾杯! 山口県立美術館 その二

Img_0001_20190925221501     高橋由一の‘鴨図’(1878年)

 

Img_0004_20190925221501     北野恒富の‘盆踊り’(1918年)

 

Img_20190925221601     小野竹喬の‘紺糸を干す’(1911年)

 

Img_0002_20190925221601     香月泰男の‘北へ西へ’(1959年)

 

Img_0003_20190925221601     香月泰男の‘デモ’(1973年)

 

美術品が美術館や博物館におさまる物語は美術館での内輪の話なので普通の
美術ファンにはあずかり知らぬところ。だから、どんな絵が美術館に飾って
あったとしても不思議ではなくいいものには素直に感動する。そういうこと
を強く感じるのは知名度の高い画家の回顧展があったとき。通常皆の心を
とらえるいい絵は有名な美術館にあったりその画家の出身地の美術館が多く
所蔵していることが多い。ところが、その二つに属さない美術館がもって
いると、なかなかいい絵を持ってるじゃない!となる。

高橋由一(1828~1894)の写実性を極めた‘鴨図’を東芸大美の大回
顧展でみたとき、山口県美の底力にびっくりした。こういう静物画は香川の
金刀比羅宮にごっそりあるとばかり思っていたので、よくぞ手に入ったなと
いう感じ。すばらしい!

この絵と同じようなことがおきたのが北野恒富(1880~1947)の
‘盆踊り’。日本画は常時展示されてないので、みる機会があるのはほかの
美術館で行われる回顧展とかテーマによって作品を集める企画展。
2年前、贔屓の千葉市美で明治から昭和にかけて活躍した大阪出身の美人画
家、北野恒富展があった。初期に描かれた作品で思わず足がとまったのがこ
の作品。踊り手の体を斜めに倒して描くことにより盆踊りの活気を表現して
いる。

岡山県の笠岡出身の小野竹喬(1889~1979)の‘紺糸を干す’は広重
らの浮世絵が重なってくる風俗画。縦長の画面に描かれている風景の広がり
をみせるのは容易ではないが、干された紺糸をリズミカルに上下、斜めに並
べ視線が横に広がるように工夫している。竹喬は本当に絵が上手い。

この美術館の自慢のコレクションが山口県の日本海側の町、三隅町に生ま
れた香月泰男(1911~1974)。2004年、ここであった回顧展を
みてこの画家に開眼した。とくに言葉を失うほど衝撃を受けたのが香月が
敗戦のあとシベリアの収容所で体験したことを描いた‘シベリア・シリーズ’。

‘北へ西へ’にそえられた香月自身の言葉、‘1945年9月、奉天を発った
虜囚の貨車は行く先も告げられぬまま北上する。人いきれにむれる貨車のわ
ずかな窓にむらがり、なお捨て切れぬ帰国への希いにさいなまれながら、行
き先を知ろうと懸命であった’。

‘デモ’にはこんなことが書かれている。‘ナホトカで初めて私はインターナシ
ョナルを歌わされた。スクラムを組んでラ―ゲリの中を早暁からねり歩いた。
そうすれば早く日本に帰してくれるということだったースクラムを組んで
デモるなど、ソ連邦にはない。それはソ連の指導者にとって外敵よりも恐る
べき力になるからだ’。こういう絵をみると胸が痛い。

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