美術館に乾杯! 島根県立美術館 その二
昨年東京都美で藤田嗣治(1886~1968)の大規模な回顧展があった。
海外からはパリの市立美などから多くの作品がやって来たが、国内の美術館
や個人コレクターが所蔵しているものもどっとでた。ビッグネームの‘フジタ’
となると、日本のどこの美術館に作品がおさまっているのか詳しく知りたく
なる。
東近美、京近美、大原、ブリジストン、ポーラ、平野政吉美術財団、、、、
そして島根県美もそのなかに入っている。所蔵する作品は‘サーカスの人気者’。
藤田は猫だけでなく犬にも愛情を注いでいた。ここには争いはなく犬たちは
皆マイペースという感じ。この作品の翌年、今度は猫たちの大喧嘩、‘争闘’が
描かれた。
来年1月、ブリジストンが名前をアーティゾン美と変えて新たに開館する。
どんな企画展が登場するのだろうか。勝手な予想だが、2021年は青木繁
(1882~1911)の没後110年にあたるのでまた回顧展に遭遇する
気がする。そのときは‘犬’にもお呼びがかかるかもしれない。
現在、東京ステーションギャラリーで開催中の‘岸田劉生展’は29日放送の
日曜美術館でとりあげられたので、来場者の増加に拍車がかかるにちがいな
い。今回、島根県美の自画像は出品されないが、これは感想記で紹介した
豊田市美のものとよく似ている。
岡鹿之助(1898~1978)の‘古港’と松本竣介の‘鉄橋付近’は画風の違
いはあるものの、音のない風景という点では同じイメージに映る。鹿之助は
スーラを連想するのに対し、竣介は色を明るめに塗り替えるとアンリ・ルソ
ーがダブってくる。静かな絵と動きのある絵、好みは夫々だが自分の置かれ
た状況次第では逆のほうがぐっとくることもあるから、先入観にとらわれる
ことはない。
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