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2019.07.07

美術館に乾杯! オルセー美 その十五

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    ドガの‘アプサント’(1876年)

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   ドガの‘アイロンをかける女たち’(1885年)

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    ドガの‘エトワール’(1877年)

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   ドガの‘観覧席前の競走馬’(1872年)

印象派・ポスト印象派のオールスターメンバーの面々はみな最初から同じ
関心度があったわけではない。例えば1回目のオルセーのときドガ
(1834~1917)への注目度は高くなかった。どうしてもマネの物議
をかもした‘草上の昼食’とかモネの風景画や睡蓮、ルノワールの‘ムーラン・
ド・ラ・ギャラレット’、セザンヌの‘りんごとオレンジ’、そしてこれからで
てくるゴッホやゴーギャンの絵に大多数の鑑賞エネルギーが使われる。

そのため、ドガの印象深い絵は風俗画の‘アプサント’と‘アイロンをかける女
たち’だけ。ほかの絵もみたはずなのにみたという実感がない状態だった。
踊り子を描いたものや競走馬を熱心にみるようになったのはアメリカの美術
館などをまわり、ドガの絵の関心がだんだん膨らんだころから。また、
2010年横浜美で開かれたドガ展も大きく貢献している。

この回顧展に出品されたのがバレエの主役の踊り子を天井から眺めている
ように描いた‘エトワール’。踊り子の絵はたくさんあるがこの上からの視点
で描く効果は大きい。手や足の動きがダイナミックになり踊り全体が生き生
きしている。踊り子がまるで美の女神の化身のよう。この絵と秋にやって来
るコートールド美蔵の‘舞台の2人の踊り子’がもっともいいかもしれない。

もともと風俗画をみるのが好きなので冷え切った男女の関係がカフェとい
う馴染みの場所で表現されている‘アプサント’には敏感に反応する。そして、
隣に飾ってある‘アイロンをかける女たち’は思わずにニヤニヤしてしまう。
辛いアイロンかけの仕事の手をやすめるとついつい大あくびがでる。この絵
にはドガの鋭い観察眼が発揮されているだけでなく画家自身の優しい心根が
反映されている。

ドガとマネは競馬の光景をよく描いた。‘観覧席前の競走馬’は地面に映る馬
の影がなかなかいい。この娯楽が強い日差しのなかで行われていることが
いっぺんにわかる。どうでもいいことだが、競馬の絵は何度もみているの
に馬券を買う習慣がないので本物の競馬を体験していない。

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