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2019.07.08

美術館に乾杯! オルセー美 その十六

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   ロートレックの‘踊るジャヌ・アヴリル’(1892年)

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   ロートレックの‘ジュスティーヌ・ディウール’(1889年)

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   ロートレックの‘赤毛の女’(1889年)

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   ロートレックの‘寝台’(1892年)

日本の美術館でロートレック(1864~1901)の回顧展が開かれる
ときは作品の多くが踊り子や男優を描いた版画で構成されることが多い。
そのため、ロートレックというと漫画チックな版画や大胆な構図が印象的な
ポスターを描いた画家というイメージができている。では油彩はどうなって
いるのか。

2008年からはじめたアメリカの美術館巡りによって、つくづく思った
のはアメリカのコレクターたちの印象派派やポスト印象派への思い入れが
半端ではないほど強いこと。とくにメトロポリタン、シカゴ、ワシントン
のナショナルギャラリー、ボストン、フィラデルフィアといったブランド
美術館では作品の数が驚くほど多い。もちろん、オルセーには名画がたく
さんあるのでパリへ行って印象派の通になれることはまちがいない。
そして、オルセーだけに満足せずアメリカの街へもくりだすとさらに通を
きわめられることは請け合い。ロートレックの油彩についてはとくにあて
はまる。

オルセーにある油彩の特徴は描かれる人物が一人の場合が多い。アメリカ
の美術館でよくお目にかかるカフェやキャバレーの賑わいを活写した群像
画は2点の大作があるが、漫画チック風な表現のためそれほど惹かれない。
これに対し、人気の踊り子にスポットを当てた版画を彷彿とさせる‘踊る
ジャヌ・アヴリル’はつい乗り出してみてしまう。

日本にやって来た‘ジュスティーヌ・ディウール’はとてもいい感じ。肖像画
というのはおもしろいもので写実的に描いたら見る人の心をとらえられる
というわけでもない。この絵のように顔はまあしっかり描くとしてほかは
ざざっと筆をいれるていどでもモデルの性格の強さまで伝わってくるいい
絵に仕上がっている。

肖像画で顔をみせないものは気がむかないが、‘赤毛の女’が例外扱いとして
いる。ドガの‘アプサント’同様、女の背中にいつも抱えている深い孤独感を
感じてしまう。そして、‘寝台’。こういうベッドのなかで見つめ合う若い
男女を描く発想に感心する。生活のひとこまをこれほど共感できる絵は
そうない。

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