美術館に乾杯! ルーヴル美 その二十五
ドゥノン翼1階に展示されているイタリア彫刻にミケランジェロの‘瀕死の
奴隷’・‘囚われの身’同様、大きな感動を覚える作品がある。新古典主義の
カノーヴァ(1757~1822)の‘アモルとプシュケ’。目を惹くのは
アモルの翼、体、そして下のプシュケの裸体がX字のように絡む斬新な
造形。これまでカノーヴァはローマのヴァチカン博や現在、クリムト展
(東京都美)に出品されている‘女の生の三段階’を所蔵している国立近代
美でもお目にかかったが、見栄えのする作品ならこれが一押し!
ヘレニズム期につくられた‘ラオコーン’を連想するピュジェ(1620
~1694)の‘クロトーナのミロン’はフランスのバロック彫刻の傑作。
これはルイ14世の依頼で制作されヴェルサイユ庭園に飾られた。宮廷人
たちは度肝を抜かれたにちがいない。ミロンは古代ギリシャのオリンピッ
クのレスリング競技で6回も優勝した強者。老いたとはいえライオンに
敗けられるかと戦ったが手を噛まれ形勢不利。苦痛にゆがむリアルな表情
と切迫感をます動的表現に目が釘づけになる。
クストゥー1世の‘マルリーの馬’も一度見たら忘れられない作品。いきり
立つ野生馬をなんとか制する馬丁の姿がカッコいい。神話などを題材に
とるのとちがい、庶民の生活になかでお目にかかる光景を彫刻にすると
ころが革新的。ピュジェの作品とこれはリシュリュウ翼の半地階の目玉と
して観客の注目を集めている。
フランスの美術工芸品でピカ一なのが‘シュジェールの鷲’。これはサン・
ドニ修道院の院長シュジェールがつくった豪華な典礼用の水差し。赤紫
斑岩でできた壺に金銀細工を施し威厳のある鷲の姿に変容させている。
赤紫と黄金のコンビネーションがすばらしい。
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