美術館に乾杯! ルーヴル美 その二十三
‘バビロン王ハンムラビの法典碑’(前1792~前1750年)
ルーヴルには何度か訪れているが、古代文明の彫刻や美術工芸を一通りみた
のは最初と二度目のときだけ。そのあとは絵画の追っかけに専念したので、
今では美術品が展示されている場所や導線の流れがどうなっていたかは記憶
があやふや。
とはいっても、‘ミロのヴィーナス’や‘サモトラケのニケ’のような美術館の
至宝中の至宝などは忘れようがないし、それぞれの古代文明の発掘品のなか
で強い磁力を放っていたものは胸に深く刻まれている。古代エジプトでは目
の前に本人が座っているような感じの‘書記坐像’が強く印象に残っている。
顔がとても写実的なので4500年前のエジプト人は現在の人々とまったく
変わらないなと思ってしまう。一方、唇が厚く馬面の‘アメンヘテプ4世’は
本人をかなりいじくって神格化した姿にうつる。顔だけでなく女性のような
大きな腰にも違和感を覚える。
メソポタミア文明の展示室で思わず足がとまるのは石膏でつくられた‘監督官
エビ・イルの像’。フランス人形を連想させる大きな目が印象的。柔らかく
細工のしやすい石膏に施された綺麗なあご髭や腰から下の衣装の葉のような
模様に視線が釘づけになる。また、分厚い円筒帽を被った石像‘祈る王グデア
の像’にも魅了される。
そして、最大の見どころはメソポタミアを統一したバビロン王ハンムラビが
つくらせた‘ハンムラビの法典碑’。硬い玄武岩の表面に楔形文字がびっしり刻
まれた石柱の上部にはハンムラビ王(左)と神の姿が描かれている。歴史の
教科書にでてくる法典の碑を目の前にするとちょっと歴史力があがったよう
な気がしてくる。
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