美術館に乾杯! オルセー美 その二
今度の日曜(23日)までパナソニック汐留美で行われている‘モロー展’には
モロー(1826~1898)の代表作‘出現’が展示されている。この絵をみ
て画家に嵌った人はオペラ座の近くにある邸宅に足を運びもっとたくさんの
作品と遭遇し感動の袋を膨らませるかもしれない。では、パリ観光にでかけ
た普通の絵画ファンの場合、モローのどの絵が印象に残るだろうか。
多くの観光客が押し寄せるオルセーでもしっかりモローが展示してある。
そのなかでとびぬけていいのが‘オルフェウス’、まずドッキリするのが美しい
女性が無表情でみつめているオルフェウスの首、ギリシャ神話の話がこんな
じっとみずにはおれない大胆な絵画表現に変容したことがスゴイ。
モローのインパクトに較べるとシャヴァンヌ(1824~1898)は分が
悪い。1回目の訪問では確かにこの画家の存在は薄かった。‘海辺の娘たち’は
弱い色調のせいでさらっとみてしまうところがある。音が消えたような世界
を感じさせる‘貧しい漁夫’も同様であまり長くみず次の展示室へ進んだ記憶が
ある。だから、フランス人なら誰もが知っているシャヴァンヌに接近するの
に時間がかかった。
ドーミエ(1808~1879)はオルセーで強く印象に残っている画家の
ひとり。目を奪われるのは粘土でつくった政治家たちの小さな胸像。個性の
ある36人が社会風刺画的に毒々しく表現されている。ドーミエはまさに
人間観察の達人。風俗画でお気に入りは小さな子どもが石段をヨイショと上
がる様がとても可愛い‘洗濯女’。
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