美術館に乾杯! ドーリア・パンフィーリ美 その一
ヴェネツィア広場をはさんで建つドーリア・パンフィーリ美とカピトリーニ美
ティツイアーノの‘洗礼者聖ヨハネの首をもつサロメ’(1515年)
ローマは坂が多くあるので歩いて移動するのはちょっときついが、ガイドブックをみるとめざす美術館まで動いた距離はそれほど長くなかったというのが実感。街全体の大きさや道路や建物の位置関係をつかむには自分の足で歩くに限る。
邸宅美術館であるドーリア・パンフィーリ美はヴェネツィア広場の前方にあった。ここでのお目当てはカラヴァッジョ(1571~1610)の初期の絵画2点。‘エジプト逃避途上の休息’と‘悔悛のマグダラのマリア’。目をとじうつむいている聖母とマグダラのマリアのモデルはじつは同じ女性で娼婦。
絵は宗教画なのだが、タイトルを消すと街の女性を描いた風俗画となんら変わらない。このようにどこにでもいるような人物を登場させ宗教画らしくない場面にするのがカラヴァッジョ絵画の特徴であり革新的なところ。これに魅了され続けている。
‘エジプト逃避途上の休息’でしっかり目に焼きつけたのは聖母子の背景に描かれた風景。ダ・ヴィンチやラファエロのように人物の後ろに風景を描く込むのはほかの絵にはみられない。カラヴァッジョはダ・ヴィンチを意識したのだろうか。
目的のカラヴァッジョと対面できたので上機嫌だったが、満足度をさらに上げてくれる作品がひとつふたつと現れるのでこの美術館のスゴさがわかってきた。ティツィアーノ(1490~1576)の‘洗礼者聖ヨハネの首をもつサロメ’は思わず足がとまり瞬間的に体がフリーズ。
‘お父ちゃんにおねだりして私の愛するヨハネの首をいただいちゃったわ、これから部屋に戻るがあなたは中に入っちゃダメよ’、とかなんとかサロメは従者に言っているのだろうか。
ラファエロ(1483~1510)が晩年に描いた‘二人の男の肖像’は大きな収穫だった。この絵でラファエロはルネサンスから離れバロックの世界に踏み込んでいる。男性の内面描写がかなり鋭く2人と今対面しているような感じ。
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