魂を揺すぶる‘ルオー展’!
日本の美術館では出光美とともにルオー(1871~1958)のコレクションで有名なパナソニック汐留ミュージアム。ここで9日まで行われている‘ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデル二テ’もムンク展同様、期待を大きく上回る一級の回顧展だった。
日曜美術館で紹介されたことも影響しているのだろうかあまり広くない館内は大勢の人であふれかえっていた。人の多さでいうとここ数年の企画展ではダントツの一位。人々に足を向かわせるのは出品作の質の高さ。ポンピドーセンターからは嬉しい絵がやって来た。再会を楽しみにしていた‘ヴェロニカ’と‘聖顔’、そして‘受難’、宗教風景画の‘エジプトへの逃避’、‘キリスト教的夜景’も飾られている。
ポンピドーのルオーだけでもスゴイのにさらにヴァチカン美からも‘聖顔’、‘パックス(平和)’、‘聖心’、‘秋 またはナザレット’の4点が出品されている。このうち一点は現地でみているはずだが、どの絵だったかは覚えていない。
‘ヴェロニカ’の美しさに魅了され続けている。ひかれる最大の理由は大きな目。どうでもいいことだが、このヴェロニカをみるといつも女優の優香を思い出す。この絵の横に並んでいるのが画面が絵の具の塗り重ねにより信じられないほど盛り上がっている‘サラ’。いい気持でみていた。
ルオーが何点も描いた‘聖顔’、10点もまとめてみれたのは大きな収穫だった。ポンピドーの‘聖顔’はなぜかモローの‘出現’に描かれた洗礼者ヨハネの首が重なってくる。顔の赤がヨハネの首からしたたる血とつながるからかもしれない。
富山県美が所蔵する‘パシオン’はこれまでまったく縁がなかった。思わず足がとまるほどとてもいい絵。上の中央にいるキリストよりまわりの4人の男の存在感が強く印象に残った。国内にあるこんないいルオーと遭遇したのだから回顧展の有り難さに手を合わせたくなる。
キリスト物語を自然の風景のなかに描いた作品が最後にどっと展示してある。‘秋 またはナザレット’が日本でみれたのはこの上ない喜び。汐留ミュージアムがまた好きになった。
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