2018年 感動の西洋美術 ベスト10!(2)
ゴーギャンの‘花をもつ女’(1891年 ニュー・カールスベア美)
マティスの‘緑のすじのある肖像’(1905年 コペンハーゲン国立美)
ヴィーゲランの‘おこりんぼう’(1926~33年 ヴィーゲラン彫刻公園)
5月に出かけた北欧は2つの目的があった。ノルウェー観光の目玉であるフィヨルドとムンク(1863~1944)の有名な絵‘叫び’をみること。イタリアやフランス、スペインと較べると訪問の順番がなかなか上がらなかったが、ようやく実現した。
メインデイッシュは氷河がつくったフィヨルドだったが、コペンハーゲンでの自由時間のとき駈けずりまわった美術館で遭遇した名画の数々も忘れられない。オスロでの美術鑑賞を含めて‘ベスト10’のなかに特別枠として4つ選んだ。
デンマークのビール会社カールスベアの創業者が蒐集したフランス絵画コレクションを展示しているニューカールスベア美は予想以上にすばらしい美術館だった。ここの一番の自慢はゴーギャン(1848~1903)、彫刻をいれて26点展示してあった。そのなかでゴーギャン本にどんと載っているのが‘花をもつ女’、大原美の‘かぐわしき大地’同様、タヒチ時代に描かれた傑作のひとつである。ゴーギャン作品の主要ピースがまたひとつ増えた。
コペンハーゲン国立美でのお目当てはマティス(1869~1954)の‘緑のすじのある肖像’、この絵の存在を画集で知ったときは実際にみれるという気がしなかった。コペンハーゲンはそれほど遠かった。マティスの妻の顔に塗られた緑のすじ、当初この色使いは強烈すぎてはかなり違和感を覚えた。だが、その後マティスの肖像画に慣れフォーヴィスムの真髄がわかるようになるとこの絵に熱が入りだした。対面できたことを腹の底から喜んでいる。
さて、オスロ国立美に飾られている待望のムンクの‘叫び’、絵の前では絶えず人垣ができ絵をバックに思い々に写真を撮っている。NYのMoMAでピカソの‘アヴィニョンの娘たち’をみたときと同じ心の高揚感があり、教科書に載っていた絵を今まさにみているのだ!という感じ。この‘叫び’をみないと西洋絵画には‘済みマーク’をつけられないという思いがあるから大きな仕事をしたような気になる。
ノルウェーの彫刻家ヴィーゲラン(1869~1943)の野外彫刻をたくさんみれたのは大きな収穫だった。これまでヴィーゲランの作品はまったく縁がないので、その力強い作品群はとても新鮮だった。とくに目に焼きついたのが人気者の‘おこりんぼう’、現地でしかみれないヴィーゲランの彫刻に遭遇したのは生涯の思い出である。
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