« 2018年11月 | トップページ | 2019年1月 »

2018.12.31

2018年 My‘好きな女性画’に加わったニューフェイス!

Img     ムンクの‘画家の妹、インゲン’(1892年 オスロ国立美)

Img_0005     ドランの‘シミーズの女性’(1906年 コペンハーゲン国立美)

Img_0001     藤田嗣治の‘座る女’(1921年)

3日くらい前、新聞に現在東京都美で開催中の‘ムンク展’(1/20まで)が来館者数40万人を達成したという記事が載っていた。‘叫び’は美術ファンの心を予想を以上にとらえているようだ。わが家は今年‘ムンクイヤー’だったので素直に嬉しい。

昨年からはじめたMy‘好きな女性画’に加わったニューフェイス!今年はみな西洋絵画になった。5月に出かけた北欧ではお目当てのフィヨルド観光とともに気分がぐっと盛り上がったのが美術館めぐり。運よくいい絵にたくさん出会えたが、ムンク(1863~1944)とドランの(1880~1954)がMy‘好きな女性画’に加わった。

‘画家の妹、インゲン’は画集で知っていたが、本物は等身大くらいの大きな絵。男性でも女性でもムンクの描く肖像画は大きいのでも本人と対面しているような感じになる。この妹、どうでもいいことだがタレントの橋本マナミを連想する。

コペンハーゲン国立美に飾ってあったドランの‘シミーズの女性’には200%やられた。ドランの後期の作品ではパリのオランジュリー美に‘大きな帽子を被ったポール・ギョーム夫人の肖像’という魅力的な作品があるが、初期のフォーヴィスム真っ只中にこんなインパクトのある絵を描いていたとは! ドランは風景画だけではないことがわかったのは収穫。

東京都美であった‘藤田嗣治展’でもっとも惹かれたのが‘座る女’。これは初期の肖像画で所蔵しているのは日本のコレクター。乳白色の肌と黒い目と黒髪、そして黒の衣装のコントラストが強烈。思わず引きずり込まれた。

今年も拙ブログにおつきあいいただきありがとうございます。
皆様良いお年をお迎え下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.30

You Tubeで大学の物理講義を聴講!

Img     京大春秋講義 ‘極限の宇宙’(理学研究科田中教授)

Img_0001     慶大理工学部講義 ‘数理物理’

最近は読んでいる本の8割方がサイエンス本になっている。サイエンスの森に入りこむきっかけになったのが科学雑誌NewtonとBSプレミアムの‘コズミックフロント’。そのおかげで宇宙や素粒子の話がだいぶわかってきた。

といっても峰の高いテーマに首を突っ込んだので、各理論の理解がどんどん進むというわけにはいかず大学クラスの数学に悪戦苦闘中。もやもや感はいつもあるがそれはあまり気にせず、時々おこる‘小さな理解のジャンプ’を信じてブルーバックスやそう難しくない専門書を読み続けている。

高校生の頃から‘求めよ、さらば与えられん!’を心に刻んでいるが、3ヶ月ほど前嬉しいことに遭遇した。なにかの拍子にYou Tubeにサイエンスや数学の話をしてくれる動画がたくさんあることに気づいた。 大学の講義が居ながらにして聴けるじゃん、これは有難い。これを求めていたのだ!で、片っ端から‘お気に入り’に登録した。

京大の市民講座に関心のあるサイエンス話が続々でてくる。画像は今年9月にアップされた春秋講義‘極限の宇宙’、アクセス数は3200ほど。よくわかるスライドで説明してくれるので理解が進む。京大は流石、物理のメッカだけあって定期的に市民に対して最新の物理の話を行っている。すばらしい。ほかにも静岡大や東北大が‘サイエンスカフェ’を開講している。

大学で学ぶ数学の講義を映した動画もいろいろある。京大、慶大、筑波大、講義の数が最も多いのが慶大の理工学部、ここに紹介したのは‘数理物理’、ときどき大阪弁でしゃべる先生の教え方がとても上手い。2012年5月頃のものだが、現在アクセス数は18万3千。理系の学生だって数学につまずく人もいるはずだから、試験にパスするためにこういうYou Tubeを熱心にみているのだろう。われわれの頃と違って今はYou Tubeで勉強できるのだから本当にいい時代!

来年はこのYou Tube講義と本を両輪にしてサイエンスの森をどんどん進んでいきたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.29

わくわくワールドツアー! ベリーズの‘ブルーホール’

Img_0003    中南米を合わせると35の国と地域が取り囲むカリブ海

Img_0002_2 BSプレミアム ‘体感!グレートネイチャー’(2018年10月)より

Img     ベリーズの‘ブルーホール’ 

Img_0001     バルバドスの‘褶曲’

10月に放送されたBSプレミアム‘体感!グレートネイチャー’ではカリブ海の絶景が登場した。大リーグに親しんでいるので名選手を多く輩出しているキューバやドミニカ、ジャマイカなどの国はアバウトにカリブ海に浮かぶ島だということは知っている。でも、この番組をみるまで島々の正確な場所は頭の中に入っていなかった。

カリブ海をとりかこむ国や地域は中南米を合わせると35もある。そのカリブ海の西の端にあるのがベリーズ、中米に属するこの小さな国はその人口36万人に対して観光客は年間100万人以上。白いビーチと穏やかな波を求めて世界中からやってくる。

静かな海が続いているのはサンゴ礁の広がるバリアリーフ(世界2番目)が外洋の荒波から守ってくれているから。ここにあるのが濃い青色をした直径300mの穴、‘ブルーホール’、小さい頃海で泳いでいたとき、こういう濃い青の海に出くわし不安なったことがある。

穴のまわりは水深2mくらいの透明度の高い海なのに、ここだけは100mをこえる深さになっており、鍾乳洞が残っている。ここはもともとは海の上にあり、海面が低かったころ鍾乳洞がつくられた。その後地殻変動などにより天井が崩落し巨大な穴になった。そして氷河期が終わると海面が上昇し穴が海に沈み‘ブルーホール’となった。

ほかの科学番組でもこの‘ブルーホール’はとりあげられたことはあるが、どのようにして出来上がったかまでは掘り下げていなかった。‘グレートネイチャー’はチャレンジ精神が旺盛なところが番組を売りだから、好感度は高くなる。われわれにとって中米は遠いパラダイスの国だがアメリカにとっては自分の庭みたいなところだから、ベリーズの海岸でのんびりバカンスをすごすアメリカ人は多いのだろう。羨ましい!

番組にはもうひとつ目を見張らせる自然の光景がでてきた。それはカリブ海の東の端にあるバルバドスで紹介された‘褶曲’。地学に詳しいタモリ同様、地層が大きな圧力をうけていろんな形に不規則に曲がっている褶曲に強い関心をもっている。ぐにゃっと曲がり大きなパワーを感じさせる地層はカリブプレートによる地殻変動によってもたらされた。カリブ海の島々にこんな荒々しい光景があったとは思ってもみなかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.28

わくわくワールドツアー! トルクメニスタン ヤンギカラ

Img_0002NHKのBSプレミアム‘体感!グレートネイチャー’(2018年6月より)

Img_0003     カスピ海の近くにあるヤンギカラ(炎の城塞)

Img_0001

Img   目を奪われる交互に重なりあう紅白の地層

ここ数年NHKのBSプレミアムの‘コズミックフロント’と‘体感!グレートネイチャー’(月一回)を欠かさずみている。毎週木曜放送の‘コズミックフロント’については宇宙の話にだいぶ慣れてきたので熱の入るテーマが連続するということもなくリラックスしてみれるものがでてきた。

これに対し1時間半と長い‘体感!グレートネイチャー’(土曜)のほうは毎回目の前に映しだされる絶景を息を呑んでみている。今年200%感動したのはトルクメ二スタンにある‘ヤンギカラ’(炎の城塞)、赤と白の地層が交互に重なる光景はまるでアメリカのグランドキャニオンを彷彿とさせる絶景だった。その衝撃はマグニチュード7級で潜在的に大きな観光資源となる可能性を秘めている。隣の方とは即‘行ってみたいね!’で意見が一致。

この‘ヤンギカラ’があるのは豊富な天然ガスで発展している‘謎の国’トルクメニスタン、首都のアシガバード(人口100万)から北西800㎞のところに位置しカスピ海のすぐ近く。こういう赤と白の地層が100㎞にわたって広がっている。番組スタッフも‘スゴイ々’を連発し感動を抑えきれない様子。

ここはまだ一般の人は入れてない感じだが、旅行会社はトルクメニスタン側の受け入れ態勢が整えばツアーを組みたいと思っているかもしれない。われわれだって現地へ出かけようという気になっているのだから、ここの存在を知ったら同じように旅心をいたく刺激される人は多いはず。

ひょっとしたらグランドキャニオンより感動する?望みが実現する可能性は低いが旅先のオプションにしっかり登録しておいた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.27

♪♪サクソフォンが奏でる台湾演歌!

Img     台湾の演歌‘深情海岸’

Img_0001      ソプラノサックス奏者 凡人

Img_0002      凡人&淑昭(テナーサックス)

昨年クラシック音楽をたくさん聴いたYou Tubeで今年存分に楽しんだのは台湾の演歌、といっても歌手の動画ではなくサクソフォンの演奏。そのなかで数え切れないほど聴いたのが凡人(ソプラノサックス)&淑昭(テナーサックス)がコラボする‘深情海岸’。

この動画は2014年8月に登場し現在のアクセス数はなんと385万回! こんな心に響くいい曲が台湾にあったのか、という感じ。日本のサックス奏者ですぐ思い浮かべるのはジャズの渡辺貞夫、通称‘ナベサダ’、今何歳になったのだろうか、85歳くらい?若い頃高音のアルトサックスの音色が美しい
‘パストラル’をよく聴いた。

この凡人というサックス奏者は台湾のナベサダといった存在かもしれない。年恰好からすると50代?演奏の動画以外情報がないのでよくわからないが、アクセス数の多さをみれば台湾では誰もが知っている演奏家にちがいない。

‘深情海岸’で吹いているのはソプラノサックスだが、ほかの曲はほとんどがアルトサックス。断トツにアクセスの多い‘深情海岸’はほかの人物が歌ったり楽団が演奏しているのもあるから多くの台湾人に愛されている曲なのだろう。一度聴いてすぐ嵌った。ほかにもいい気持にさせてくれるいわゆる‘台湾演歌’が続々でてくる。最近は日本のいい演歌に出くわさないので、こういう曲がとても新鮮に感じられる。

台湾の歌手が日本の演歌を歌う動画がいくつもあるが、例えば美空ひばりの‘裏町酒場’、都はるみの‘大阪しぐれ’、、、凡人も‘旅笠道中’や映画‘非情城市’のテーマ曲、三橋美智也の曲などを演奏し喜ばしてくれる。台湾の人たちが日本の歌謡曲や演歌を想像以上に聴き、歌ったりするのをみると嬉しくなる。

台湾はまだ2回しか行ってないが、また出かけることがあったら‘深情海岸’や日本の演歌のことを聞いてみようと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.26

名作‘ニュー・シネマ・パラダイス’!

Img     ジュゼッペ・トルナトーレ監督‘ニュー・シネマ・パラダイス’

Img_0001

Img_0002

中国では今上映がOKとなった宮崎駿監督の‘となりのトロロ’が大ヒットしているという。名作はどこの国でも人々の心をとらえ長く記憶にとどまる。わが家でも今年は映画館で見たのは一度もなかったが、You TubeやBSプレミアムシアターで何本かいい映画を楽しんだ。

何年にもわたって毎月TVガイドを購入しビデオ収録する番組の計画をたてているが、これまではBSプレミアムで放送される映画はほとんどみることはなかった。ところが、My好きな映画のリストに入っているものが9月と10月立て続けに登場した。‘ニュー・シネマ・パラダイス’(1989年)と‘天国と地獄’(1963年)。

忘年会でお酒を酌み交わした二人の友人に勧めたのがイタリアのジュゼッペ・トルナトーレ監督がつくった‘ニュー・シネマ・パラダイス’。みたのは映画館ではなくレンタルビデオ、だから27,8年前のこと。あらためてみてみると映画の魅力がつまったいい映画だなとつくづく思う。

内面深くまでとらえるメランコリックな人物描写が心にぐさっとくるとともについ大笑いしてしまうのが役者たちのユーモアあふれるしゃべりと仕草。そして、2時間の上映中合間々に何度も流れてくるテーマ曲(エンニオ・モリコーネ作曲)の琴線にふれるメロディ。映画好きにはたぶんいっぺんにその魅力の虜になるはず。

まだ見ていない人のためにネタばらしはしないが、ショートガイダンスをしておくと、舞台はシチリアの小さな村でそこにある唯一の娯楽施設である映画館にまつわるお話。映写技師アルフレードと映画好きの少年トトの年の差をこえた熱い友情物語が心を打つ。とくに子役のトトの演技が秀逸、その愛くるしい笑顔が目に焼きついている。

TSUTAYAに直行すべし、信じる者は救われる!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.25

黒澤明 VS 伊丹十三!

Img_0002    黒澤明監督 ‘天国と地獄’(1963年)


Img     伊丹十三監督 ‘タンポポ’(NHKの‘8人の伊丹十三’より)

幅広いジャンルのある映画のなかでとくに熱をあげてみているのが‘刑事もの’、日本で作られた映画でお気に入りは‘砂の器’(1974年)、‘天国と地獄’(1963年)、‘飢餓海峡’(1965年)、TVで放送されたとき収録したビデオがあるのでこれまで数え切れないほどみてきた。

このうち黒澤明監督の‘天国と地獄’は嬉しいことに10月にBSプレミアムで放送された。で、TV本体にビデオどりしたので画質の向上したニュー‘天国と地獄’をこの2ヶ月繰り返しみている。2週間前の忘年会で会った映画好きの友人もこの映画を見たというので話が盛り上がった。

未見の作品も含めて久しぶりに何本もみた伊丹映画、そして‘世界のクロサワ’と‘世界のミフネ’がタッグを組んでつくった刑事ものの傑作‘天国と地獄’。ふたつをクロスさせてみているうちにいくつか共通することに気づいた。

世の中に数多くいる映画狂、監督や俳優をはじめとする映画の製作に携わる人たち、映画評論家からするとまったくの素人話なのだが、直感的‘黒澤明 VS 伊丹十三’を少しばかり。

黒澤明(1910~1998)より一年前に死んだ伊丹十三(1933~1997)は黒澤監督を敬愛していたのではないかと思う。作品の中にオマージュともいえることがでてくる。例えば、‘マルサの女’で山崎努が演じた脱税王の事業家の名前が‘権藤’、そして‘天国と地獄’でお抱え運転手の子どもを間違って誘拐した犯人に3000万円の大金を支払うことになる靴メーカーの重役(三船敏郎)の名前が‘権藤’。

もうひとつ、黒澤映画の‘生きる’では誰もがジーンとするシーンがでてくる。名優志村喬が雨のなか公園のブランコに乗って♪♪‘命短し、恋せよ乙女、、、’を涙顔で唄う。この公園のブランコが伊丹十三の‘ミンボーの女’の最後のほうにも出てくる。ブランコに隣り合わせで乗っているのはホテルの暴力団対策の若手担当者とミンボー専門の弁護士(宮本信子)。

女弁護士は東京の下町で医者をしていた父親が傷ついたヤクザの親分をかばったおかげ対立しているヤクザに殺されたことを話している。と、そのときにちょっと前ヤクザの威しに屈せず強い態度にでた担当者にめがけてチンピラが突進してきた。寸前でそれを体を張って阻止する弁護士、そのため鋭いナイフが腹に突き刺さった。一命はとりとめたものの大けがをしてしまった。

黒澤も伊丹も音楽の使い方が天才的に上手い。しかも、使う音楽はアメリカ映画やヨーロッパ映画並み。その一例が画像のシーンに流れる音楽。‘天国と地獄’は誘拐犯(山崎努)がはじめて姿をみせる場面。川の側の道を左の方に♪♪モーツアルトの軽快なメロディにのって歩いていく。

一方、伊丹の‘タンポポ’(1985年)、この場面はラーメンづくりの指南役を務める大型トラックの運ちゃん(山崎努)が女店主(宮本信子)にラーメンのできあがった時間をストップウォッチで計っているところ。ここで使われているのがなんとあのマーラーの大強音が響く♪♪‘交響曲一番(巨人)’。

モーツァルト、マーラーが流れてくれば外国人だって日本人がつくった日本映画でもすっとスクリーンのなかに入っていける。NHKの‘8人の伊丹十三’で知ったのだが、2016年に‘タンポポ’は全米60館以上で上映されたとのこと。今世界的にラーメンブームだからこの映画はおおいにうけたにちがいない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.23

映画は楽し! 伊丹映画

Img      伊丹十三監督(NHK ‘8人の伊丹十三’より)

Img_0002    伊丹映画(‘8人の伊丹十三’より)

先週BS1で放送された‘8人の伊丹十三’をみた。この40分くらいの番組は偶然目にとまった。制作したのはNHKの松山放送局、松山には伊丹十三記念館があり局のスタッフは伊丹十三(1933~1997)の没後20年とからめて伊丹映画に迫ってみようと思ったのかもしれない。

この番組はとてもタイムリーだった。というのは、今年の後半伊丹映画の魅力に再度とりつかれ昔ビデオ屋でレンタルしてみた作品などをYou Tubeで何本かみたところだった。3ヶ月くらい前、津川雅彦が亡くなったとき民放が追悼番組で伊丹映画の最高傑作‘マルサの女’(1987年)を流してくれるかなと期待したが、これはなかった。

伊丹監督がメガホンをとった映画は全部で10本、このなかで最初の‘お葬式’(1984年)とこれに続く‘タンポポ’、‘マルサの女’、‘マルサの女2’は劇場ではなくレンタルビデオでみた。でも、15年以上前だからどんな内容だったか記憶が薄れている。

こういうとき有り難いのがYou Tube、‘お葬式’はないがほかの3本はしっかりみれる。エンタメたっぷりの伊丹映画にまた嵌りこんでしまい、隣の方からは‘またみているの!’と笑われてしまう有り様。

嬉しいことにまだみてなかった宮本信子主演の‘ミンボーの女’、‘スーパーの女’、‘マルタイの女’もYou Tubeに流れているのでこちらも何回もみた。新規の伊丹作品がMy好きな映画に追加されるにつれ、伊丹映画の魅力を再認識させられた。

とにかくどれもよくできている。キレのいいストーリーの展開、見る者の心をぐっとつかむ台詞、ディテールへのこだわり、耳に強く残る音楽。とくに感心するのが役者のしゃべる台詞がびしっと決まっていること、伊丹は脚本を全部自分で書いた。

‘8人の伊丹十三’で最も長くしゃべっていた女優で妻の宮本信子は‘てにをはは絶対間違ってはいけない。台本の通りでないとOKがでないから台詞はもう徹底的に覚えた’と語っている。練りに練りこまれた台詞の力が映画では最も大事だということなのだろう。

すでに近くのTSUTAYAでチェック済みの‘あげまん’と‘大病人’を年が明けたらみるつもり。ランキング的にはどの位置に入るのだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.22

2018年 感動の日本美術 ベスト10!(3)

Img_0002     歌川広重の‘鯛 鯉 鰹’(1830~44年 太田記念美)

Img_0001         長澤芦雪の‘降雪狗児図’(18世紀 逸翁美)

Img     ‘耳付水指’(17世紀)

日本美術関連の展覧会で楽しみのひとつが浮世絵展。今年は太田記念美の‘歌川広重展’(9/1~10/28)と横浜高島屋で開催されたアメリカ人コレクターの浮世絵名品展(10月)にでかけた。浮世絵の魅力は不動だが、後半にはわが身にとてもいいことがおこったためさらにのめりこむようになった。

太田記念美に限らず東博の浮世絵展示室でも、作品保護のため照明を落としているのが常。そのため、これまではちょっとみにくいところがあった。でも、7月に白内障の手術をし視力が1.5まで上がったお陰で作品がよくみえるようになった。だから、今は浮世絵でも西洋絵画でも作品をみるのが楽しくてたまらない。

歌川広重(1799~1858)の没後160年を記念して太田記念美は広重コレクションをどどっとだしてくれた。ここには数え切れないほど通っているが、まだお目にかかってない作品がぞくぞく登場する。そのなかで思わず足がとまったのが‘鯛 鯉 鰹’、見事な魚の絵。鯉を口にすることはほとんどないが、飲み会となると鯛と鰹はよく食べる。ここ3週続いた忘年会でもまずは刺身の盛り合わせを注文し、鯛や鰹のたたきを美味しくいただいた。

五島美の‘東西数寄者の審美眼’(10/20~12/9)で長澤芦雪(1754~1799)の‘降雪狗児図’に遭遇できたのは幸運なめぐりあわせというほかない。この可愛い仔犬の絵をはじめとして今年は動物の絵が当たり年、府中市美は‘リアル 最大の奇抜’(3/10~5/6)で日本画に描かれた虎や鯉、鴛鴦などをみせてくれ、ホテルオークラが主催する恒例のアートコレクション展‘動物たちの息吹’にも黒猫、虎、猿、仔犬、孔雀などが集結。

浮世絵同様、これはと思った展覧会には必ず出かけているやきもの展。根津美の‘新・桃山に茶陶’(10/20~12/16)では大きな収穫があった。どっしりとした丸みのある形に圧倒的な存在感を感じさせる伊賀焼の‘耳付水指’、200%参った!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.21

2018年 感動の日本美術 ベスト10!(2)

Img_0002     ‘佐竹本三十六歌仙絵 山邊赤人’(鎌倉時代 13世紀)

Img_0001    国宝‘紅色地龍宝珠瑞雲模様衣裳’(18~19世紀 那覇市歴博)

Img     河井寛次郎の‘流し薬瓶子’(1927~28年 兵庫陶芸美)

もうすぐ新年を迎えるが、小さいころ正月は百人一首のかるたとりをよくやった。そのおかげで今でも歌人が詠った和歌をいくつか覚えている。こういう和歌はその深い意味まで理解できなくても‘五七五七七’の31文字のリズミカルな音の響きに惹かれて気持ちよく口ずさむようになる。だから、十八番の札を両親や姉、兄にとられると悔しくてたまらなかった。

出光美で行われた‘歌仙と古筆’(6/16~7/22)にあの‘佐竹本三十六歌仙絵’のまだみてなかった‘山邊赤人’(個人蔵)が出品されていることをみどりがめさんに教えてもらい、喜び勇んででかけた。初見のものに遭遇するとたとえ一枚でもすごく充実した気分になる。来年は秋に京博でまさかの‘佐竹本三十六歌仙絵展’(10/2~11/24)が開かれる。京都行きの前に一通り和歌をみておこうと思う。

展覧会のベスト10にサントリー美の‘琉球展’(7/18~9/2)を入れたのは紅型の国宝‘紅色地龍宝珠瑞雲模様衣装’が登場したから。どんな美術品でも長年待ち続けたものに会えると最高に感動する瞬間を体験する。日本美術で‘ピーク・エクスぺリエンス’だったのがこの紅型。鮮やかな紅色と生き生きした龍の姿を目に焼きつけた。

今年はパナソニック汐留ミュージアムに2度でかけた。河井寛次郎(1890~1966)の回顧展(7/7~9/16)とそのすぐ後行われた‘ルオー展’(9/29~12/9)。

河井寛次郎のやきもの展はこれまで何度も足を運んだのでパスしてもよかったが、‘三色打薬双頭扁壺’の緑の赤の誘惑に勝てず訪問した。大好きな三色打薬に新たなヴァージョンが加わっただけでなく、もう1点大きな収穫があった。モダンな模様にハッとさせられた‘流し薬瓶子’。こんないいものが兵庫陶芸美にあったとは!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.19

2018年 感動の日本美術 ベスト10!(1)

Img_0002           横山大観の‘彗星’(1912年)

Img_0003     池大雅の‘嵐峡泛査図屏風’(右隻 18世紀)

Img     渡辺崋山の‘市河米庵像’(重文 1837年 京博)

Img_0001     尾形乾山の‘八橋図’(重文 18世紀 文化庁)

明治以降に活躍した日本画家で今年回顧展が開かれたのは横山大観(1868~1958)と東山魁夷(1908~1999)の二人。ともに人気の高い画家なのでいつも大勢の人が押し寄せる。

春の大観展(4/13~5/27 東近美)は充実した作品がずらっと並んでいたが、はじめてお目にかかる作品でおもしろいのがあった。大観は1910年に地球に近づいたハレー彗星を描いていた!西洋絵画をよく研究していた大観のことだから画面のなかに彗星を描き入れたジョット(1267~1337)の‘東方三博士の礼拝’を知っていたのかもしれない。

展覧会のベスト10に選んだ‘池大雅展’(4/7~5/20 京博)はぐっとくる絵が多すぎてどれを選ぶかで悩むが、新鮮さの点から‘嵐峡泛査図屏風’に決めた。大雅にこんな琳派風の絵があったとは!才能豊かな絵描きというのはいつの時代でも先人の絵を貪欲に吸収している。嵐山の川下りを洒落た流水文で表現する軽やかさ、真に池大雅はスゴイ画家である。

出動が遅れた‘リアル 最大の奇抜’(3/10~5/6、府中市美)は運よく後期に出品された渡辺崋山(1793~1841)の‘市河米庵像’をみることができた。ずっとこの顔にこぶのある書家の肖像画を追っかけてきたがこれまでまったく縁がなく、まさか府中美に出品されるとは思ってもみなかった。運よく情報が入ってきてのは市河米庵が呼んでくれたのだろう。‘何してんだ、早くみにこい!’と。

根津美の‘光琳と乾山’(4/14~5/13)も1点買いで出かけた。その絵とは長いこと待たされた尾形乾山(1663~1743)の‘八橋図’、この絵は以前は個人がもっていたが現在は文化庁が所蔵している。この絵に加え根津美蔵の‘定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 九月’も飾ってあったので言うことなし。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.18

2018年 感動の西洋美術 ベスト10!(3)

Img  藤田嗣治の‘フルール河岸 ノートルダム大聖堂’(1950年 ポンピドー)

Img_0001 ルーベンスの‘エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち’(1616年)

Img_0002     ルオーの‘秋またはナザレット’(1948年 ヴァチカン美)

画家の回顧展は2回遭遇するのが理想。これがまだ果たせてない画家も多いが、逆に3度以上もみた画家もいる。東京都美で開催された‘藤田嗣治展’(7/31~10/8)は5度目を数える。そのため、プラスαがどのくらい楽しめるか不安な面もあったが、いざふたを開けてみると初見の作品がいっぱいでてきた。これは嬉しい誤算。

そのなかにはトリッキーな人魚の絵(香港に住む個人の所蔵)もあったが、最も惹かれたのが藤田が再びパリに戻ったあと描いた‘フルール河岸 ノートルダム大聖堂’。このパリの風景はユトリロを彷彿とさせる。パリに一週間くらい滞在してこういう静かな通りをぶらぶら歩いてみたいのだが、、、夢は叶うだろうか。

年があけて20日まで行われる‘ルーベンス展’(西洋美)、日本ではなかなか実現しないルーベンスのバロック絵画を質、数とも予想を上回るラインナップでみせるのだから西洋美の企画力は流石というほかない。出品作の軸となるリヒテンシュタイン侯爵家のコレクションは2度目の公開となるが、またまた傑作を貸し出してくれた。とくに目を奪われるのが最後の部屋に飾ってある‘エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち’。こんないいルーベンスがみられるのはこの先ないかもしれない。

パナソニック汐留ミュージアムの‘ルオー展’(9/29~12/9)も印象に強く残る展覧会だった。目玉の‘聖顔’や‘ヴェロニカ’(ともにポンピドーセンター)はすでにお目にかかっているのでここではとりあげないが、ヴァチカン美からやって来た‘秋またはナザレット’に心を揺すぶられた。中央に描かれた太陽の赤の輝きがなんとも神々しかった。これまでみたルオーの宗教風景画では一番感動した。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.17

2018年 感動の西洋美術 ベスト10!(2)

Img_0001 ゴーギャンの‘花をもつ女’(1891年 ニュー・カールスベア美)

Img_0003 マティスの‘緑のすじのある肖像’(1905年 コペンハーゲン国立美)

Img     ムンクの‘叫び’(1893年 オスロ国立美)

Img_0002ヴィーゲランの‘おこりんぼう’(1926~33年 ヴィーゲラン彫刻公園)

5月に出かけた北欧は2つの目的があった。ノルウェー観光の目玉であるフィヨルドとムンク(1863~1944)の有名な絵‘叫び’をみること。イタリアやフランス、スペインと較べると訪問の順番がなかなか上がらなかったが、ようやく実現した。

メインデイッシュは氷河がつくったフィヨルドだったが、コペンハーゲンでの自由時間のとき駈けずりまわった美術館で遭遇した名画の数々も忘れられない。オスロでの美術鑑賞を含めて‘ベスト10’のなかに特別枠として4つ選んだ。

デンマークのビール会社カールスベアの創業者が蒐集したフランス絵画コレクションを展示しているニューカールスベア美は予想以上にすばらしい美術館だった。ここの一番の自慢はゴーギャン(1848~1903)、彫刻をいれて26点展示してあった。そのなかでゴーギャン本にどんと載っているのが‘花をもつ女’、大原美の‘かぐわしき大地’同様、タヒチ時代に描かれた傑作のひとつである。ゴーギャン作品の主要ピースがまたひとつ増えた。

コペンハーゲン国立美でのお目当てはマティス(1869~1954)の‘緑のすじのある肖像’、この絵の存在を画集で知ったときは実際にみれるという気がしなかった。コペンハーゲンはそれほど遠かった。マティスの妻の顔に塗られた緑のすじ、当初この色使いは強烈すぎてはかなり違和感を覚えた。だが、その後マティスの肖像画に慣れフォーヴィスムの真髄がわかるようになるとこの絵に熱が入りだした。対面できたことを腹の底から喜んでいる。

さて、オスロ国立美に飾られている待望のムンクの‘叫び’、絵の前では絶えず人垣ができ絵をバックに思い々に写真を撮っている。NYのMoMAでピカソの‘アヴィニョンの娘たち’をみたときと同じ心の高揚感があり、教科書に載っていた絵を今まさにみているのだ!という感じ。この‘叫び’をみないと西洋絵画には‘済みマーク’をつけられないという思いがあるから大きな仕事をしたような気になる。

ノルウェーの彫刻家ヴィーゲラン(1869~1943)の野外彫刻をたくさんみれたのは大きな収穫だった。これまでヴィーゲランの作品はまったく縁がないので、その力強い作品群はとても新鮮だった。とくに目に焼きついたのが人気者の‘おこりんぼう’、現地でしかみれないヴィーゲランの彫刻に遭遇したのは生涯の思い出である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.16

2018年 感動の西洋美術 ベスト10!(1)

Img_0001 セザンヌの‘赤いチョッキの少年’(1888~90年 ビュールレコレクション)

Img_0002     デルヴォーの‘ヴィーナス’(1944年 テートモダン)

Img     アンリ・ルソーの‘豹に襲われる馬’(1910年 プーシキン美)

長いこと美術鑑賞を続けていると、展覧会そのものに関心がいくというより見たい度の大きい作品を目当てに出かけることが多くなってくる。だから、今年最も嬉しかった絵や彫刻との対面を振り返ってみるのはとても楽しい。まずは‘西洋美術のベスト10!’から(みた順で3回にわけて)。

今年の前半、西洋絵画好きの人にPRしまくったのが‘至上の印象派展 ビュールレコレクション’(2/14~5/7 国立新美)に出品されたセザンヌ(1839~1906)の‘赤いチョッキの少年’。セザンヌの追っかけが最終ゴールに近くなってきたのはフィラデルフィア美と2度縁があり念願だったセザンヌの‘大水浴図’と‘サント・ヴィクトワール山’をみることができたから。

残るはスイスにある‘赤いチョッキの少年’とモスクワのプーシキン美蔵の‘マルディ・グラ’、でもここに到達するのは時間がかかるだろうなと思っていた。ところが、幸運なことに‘赤いチョッキの少年’がわざわざ日本に出張してくれた。絵がわかるようになったころセザンヌのイメージはリンゴの静物画とこの絵でできあがっていた。その絵が目の前にあるのだから興奮する。

横浜美の‘ヌード展’(3/24~6/24)はずばり!デルヴォー(1897~1994)の‘ヴィーナス’の1点買い。この絵の存在を知ってからずいぶんと時が流れ、ロンドンのテートモダンにも何回か足を運んだのにどういうわけか姿を現してくれなかった。ようやくフランス人形のようなヴィーナスに会えた。

プーシキン美の作品は今年の展覧会を含めて3回みる機会があった。自慢のコレクションはなんといっても印象派とポスト印象派だが、近年どんどん人気が高まっているアンリス・ルソー(1844~1910)も4点くらい所蔵している。ルソー本で目をつけていた‘豹に襲われる馬’が出品されたのはありがたい。プーシキン美を訪問する計画がだんだん煮詰まってきたが、現地で残りのルソーもみれることを念じている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.15

2018年 感動の展覧会 ベスト10!

Img

Img_0001

今年足を運んだ展覧会は35、このなかからとくに良かったものをいつものように10選んだ。

★ビュールレコレクション展  2/14~5/7    国立新美

★池大雅展          4/7~5/20    京博

★プーシキン美展       4/14~7/8    東京都美

★琉球展          7/18~9/2     サントリー美

★藤田嗣治展        7/31~10/8    東京都美

★歌川広重展        9/1~10/28    太田記念美

★ルオー展         9/29~12/9    汐留ミュージアム

★ルーベンス展       10/16~1/20   西洋美

★東山魁夷展        10/24~12/3   国立新美

★ムンク展         10/27~1/20   東京都美

年のはじめに目をつけていた展覧会はだいたい出かけているが、その数は年々減ってきている。これは日本美術に関しては、絵画にしてもやきもの・彫刻にしてもみたいものはだいたい目のなかにいれたので鑑賞意欲が以前ほどは高くないことが関係している。

そのため、五島美の‘東西数寄者の審美眼’(10/20~12/9)のように追っかけリストに載せている芦雪の仔犬の絵をみるために訪問するというケースが多くなっている。こういう1点買いの展覧会では図録は買わないので財布からでていくのは入場券と数枚の絵葉書分だけ。だから、一度に4,5の美術館をまわっても前ほど散財しなくなった。

日本美術関連の展覧会は20回出動したが、ダントツの収穫は京博であった池大雅展。前から京博へ行くたびにアンケート用紙に‘池大雅展を強く希望!’と書き続けていた。その願いが叶ったので半端じゃない嬉しさがこみあげてきて会場では落ち着きがなかった。これで江戸絵画も一区切りつけられる。

サントリー美に200%感謝なのが琉球展で長年追い求めていた国宝の紅型の龍模様の衣装を展示してくれたこと。これはなかなかでてこない紅型のお宝中のお宝で2014年の‘日本国宝展’(東博)にも登場しなかった。だから、天にも昇ような気持でながめていた。

今年は西洋絵画の当たり年!春はビュールレコレクション展とプーシキン美展が目を楽しませてくれ、後半は藤田嗣治、ルオー、ルーベンス、ボナール、デュシャン、そしてムンクと一級の回顧展が開催された。これに加えまだ出かけてないので、ここにはあげてないが上野の森美ではフェルメール展が多くの観客を集めている。

ムンクの最初に描かれた‘叫び’を5月オスロ国立美でみて11月には再び別ヴァージョンに遭遇したのだから、わが家は1年中‘ムンク祭り’。忘年会の席では‘ムンク展行った?’を連発している。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.14

来年秋 京博で‘佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美’展!

Img_0001     ‘佐竹本三十六歌仙絵 清原元輔’(重文 13世紀 五島美)

今年出かけることにしていた展覧会はすべて終了し、今は感動した展覧会や作品を思い出したり恒例のベスト10にどれを入れるかと思案しているところ。と同時に、来年行われる展覧会についても各種媒体から情報を集めている。

2ヶ月くらい前、みどりがめさんから大変嬉しい情報をもらった。来年の秋、京博があの‘佐竹本三十六歌仙絵’をどどっとみせるという。流石、京博!期間は10/2~11/24。すでにわが家では京都旅行を決定している。この話を知ると嬉しさのあまり日本美術好きの人についしゃべりたくなる。それほどスゴイ企画なのである。

もとは‘佐竹本三十六歌仙絵巻’(全二巻)だったものが37枚に切断され一枚々の‘歌仙絵’になった。今年は京博の展覧会の前触れなのか6月出光美で開催された‘歌仙と古筆’展で‘柿本人麻呂’(出光美)、初見の‘山邊赤人’(個人)、‘僧正遍照’(出光美)、‘住吉大明神’(東博)と遭遇し、五島美の‘東西数寄者の審美眼’にも‘清原元輔’(五島美)と‘藤原高光’(逸翁美)が登場した。

‘山邊赤人’を含めこれまでみたのは全部で18枚、まだ半分にすぎない。最終ゴールには天国でしかたどり着けないと思っていたが、京博が強いブランド力を発揮し普通ではみられない個人蔵なども集めてくれそうなので37枚の四分の三くらいまでいけるかのしれない。

春の‘池大雅展’で江戸絵画ファンをうならせ、秋は‘京のかたな展’で多くの女性たちを熱狂させる。そして、来年は不可能と思っていた‘佐竹本歌仙絵’をみせてくれという。京博のチャレンジ精神には本当に頭が下がる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.13

何度見ても心を打たれる‘東山魁夷展’!

Img

Img_0001     ‘唐招提寺御影堂障壁画 濤声’(1975年 唐招提寺)

Img_0003      ‘フィヨルド’(部分 1963年 兵庫県公館)

Img_0002     ‘白夜光’(1965年 東近美)

Img_0004    ‘緑響く’(1982年 長野県信濃美 東山魁夷館)

パソコンがダウンしたため展覧会の会期中にアップできなかった‘東山魁夷展’(10/24~12/3)は10年ぶりに国立新美で開かれた。

大きな東山魁夷展に遭遇するのは今回が4度目。近代の日本画家で回顧展が何度も開かれるのは横山大観と東山魁夷。二人とも生涯つきあっていくことを決めている画家なので見逃さずに出かけてきた。前回の東山魁夷展は東近美、今度は国立新美。出品作は定番のものがずらっと並んでいるが、今回の目玉は唐招提寺御影堂の障壁画を再現展示し全部(1975年の一期と1980年の二期)みせていること。

オール障壁画のなかで一番惹かれているのが‘濤声’、描くのが大変難しい波をこれほどリアルに詩情性豊かに表現できるのだから東山魁夷の画業は神業的な高みに達している。TV東京の‘美の巨人たち’で2回にわたって障壁画を取り上げていたが、つくづくスゴイ画家だなと思う。

今年は5月に北欧を旅行したので‘フィヨルド’に熱く反応した。ノルウエーのソグネフィヨルドをクルーズしたとき、ガイドさんがこの絵に描かれた場所が‘サーグ滝(のこぎり滝)’であることを教えてくれた。東山魁夷とこの滝の迫力と美しさを共有できたことを喜んでいる。

フィンランドのクオピオの湖と森林を東山は2枚描いている。出品されている‘白夜光’と回顧展ではみたことがない泉屋博古館分館蔵の‘スオミ’。この2枚と国立劇場にある‘雪原譜’に魅了され続けている。同じ光景がどこまでも広がる静かで神秘的な北欧の大自然、また現地でみているような錯覚にとらわれる。

誰れもが知っている‘緑響く’は鏡のような湖面に映りこむ木々の風景が完璧に美しい。そして、そのひんやりとした自然のなかにとけ込む白い馬。ノルウエーで湖にできた鏡面対称風景をたくさんみたので、この絵がぐっと身近なものになった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.12

五島美の‘東西数寄者の審美眼’!

Img         長澤芦雪の‘降雪狗児図’(18世紀 逸翁美)

Img_0002     円山応挙の‘嵐山春暁図’(18世紀 逸翁美)

Img_0001     本阿弥光悦の‘黒茶碗’(17世紀 逸翁美)

Img_0003     尾形乾山の‘銹絵染付流水文手桶水指’(18世紀 逸翁美)

10年くらい前大阪の池田市にある逸翁美を訪問したことがある。でも、どの電車(阪急電鉄だろうが)に乗ってどこで降りたかは記憶が消えている。ここは阪急電鉄や宝塚歌劇団などをつくった小林一三(1873~1957)の屋敷だったところ。一三の雅号が逸翁(いつおう)だったため逸翁美という名がついている。

3日前の9日までこの逸翁のコレクションが五島美で披露されていた。特別展のタイトルは‘東西数寄者の審美眼’(10/20~12/9)、西のとびぬけた数寄者が小林一三なら東は東急電鉄をつくった五島慶太(1882~1959 雅号は古経楼)。二人が集めた絵画、書跡、茶道具などは並みのコレクターの財力と美意識なら手の届かないものばかり。とにかくスゴイ美術品が並んでいる。

五島美のものはこれまで何度も足を運んだからほとんどみている。そのため、お目当ては池田でみれなかった逸翁美の作品。もっともみたかったのが長澤芦雪(1754~1799)の‘降雪狗児図’、円山応挙(1733~1795)と芦雪の描いた可愛らしい仔犬の絵はたくさんみたが、どういうわけかこの降り注ぐ雪に遊ぶ仔犬には縁がなかった。やっと対面することができた!

応挙の‘嵐山春暁図’は情報ゼロだったので思わず‘こんないい応挙があったのか!’と小さな声でつぶやいてしまった。春桜のシーズンに京都に行くとこんなすばらしい光景に出会えるのだろうが、今は外国人が爆発的に増えているので新幹線に乗る元気はない。

本阿弥光悦(1558~1637)の‘黒茶碗’は運よく現地でお目にかかれたが、尾形乾山の‘銹絵染付流水文手桶水指’は展示なし。美術本のどこかに載っていたような気もするので目が釘づけになる。手桶に流水文の文様は豪華すぎるきらいもあるが、馴染んでしまうと心を軽やかにしてくれる。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018.12.10

根津美の‘新・桃山の茶陶’!

Img_0001     ‘鼠志野茶碗 銘山の端’(重文 17世紀 根津美)

Img     ‘黒織部茶碗 銘冬枯’(重文 17世紀 徳川美)

Img_0002     ‘織部松皮菱形手鉢’(重文 17世紀 北村美)

Img_0003     ‘耳付水指’(17世紀)

根津美で行われている‘新・桃山の茶陶’(10/20~12/16)をみてきた。過去の経験から根津美と五島美で開催されるやきもの展は決して見逃せない。予想通り、この展覧会も二重丸。集めてくる桃山期のやきものは流石と思わせるものばかりだった。

日本の美術館にある鼠志野茶碗でとびぬけていいのは根津美にある‘銘 山の端’と五島美の‘峯紅葉’(共に重文)。薄い青がじつに美しい‘山の端’にはやさしさと優雅さが満ち々ている。12/4まででていた国宝の‘志野茶碗 銘卯の花墻’とこの鼠志野があれば志野はもう満腹になる。

現代アートを思わせるモダンな模様が目を惹く‘黒織部 銘冬枯’にも魅了される。17世紀、美濃でやきものをつくっていた陶工は頭にはちょんまげをつけていたが、美に対するセンスは現代のア―ティストと変わらないほどの前衛芸術家。ちょっとやそっとでは叶わない。

昨年京都へ行ったとき、北村美へ出向き長年の思いの丈をはたしたのが‘織部松皮菱形手鉢’、また出会うとは想定していなかったが、Myカラーの緑に心が弾みそのユニークな菱形の造形に目は釘づけになった。隣にいたやきもの通は連れの女性に‘これが一番いい織部’と解説していた。その通り!

今回の収穫のひとつが伊賀焼の‘耳付水指’、下の方がぷくっと膨れた形は心地よいボリューム感がある。この力強さと伊賀特有の緑のビードロ釉が強く印象に残った。こういう個人が持っているいい茶陶をさらっと並べておくところが根津美のブランド力。満足度200%のやきもの展だった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.09

マルセル・デュシャンと日本美術!

Img_0002     ‘デュムシェル博士の肖像’(1910年 フィラデルフィア美)

Img_0001   ‘階段を降りる裸体No.2’(1912年 フィラデルフィア美)

Img ‘彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも’(1915~23/1980年 東京ヴァージョン)
Img_0003     ‘泉’(1917/1950年 レプリカ フィラデルフィア美)

東博では今日まで‘マルセル・デュシャンと日本美術’が開かれていた。10/2から2ヶ月の会期だったこの展覧会は東博とフィラデルフィア美による交流の一環として企画されたもの。チラシの入手が遅れたのでデュシャンと日本美術がどういう風にコラボするのかイメージできなかったが、そのことにこだわらずデュシャン(1887~1968)にだけ専念してまわった。

デュシャンの聖地ともいえるフィラデルフィア美へは2度足を運んだので、デュシャンへの思い入れは相当強い。最初に訪れた2013年は展示室が改築中だったため、数点しかみれず肩透かしを食った。そのコレクションの全貌に接したのは2015年のとき。あの‘与えられたとせよ:(1)落ちる水(2)照明用ガス’もしっかり目に焼きつけた。

今回そのときみたものがほとんどやって来ている。これは太っ腹。ただ、‘与えられたとせよ’と有名な‘彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)’はなく、‘大ガラス’については1980年に制作された東京ヴァージョン(東京大学博物館)が代役をつとめていた。

初期の‘デュムシェル博士の肖像’はぱっとみるとシャガールの画風と似ている。隣に飾ってある‘芸術家の父親の肖像’は以前あったフィラデルフィア美展に登場した。横浜美のデュシャン展(2005年)にも出品された‘階段を降りる裸体N0.2’は明らかにイタリアの未来派を意識している。初登場の‘急速な裸体たちに囲まれるキングとクイーン’も同じタイプの作品。未来派にのめりこんでいるので反応はとてもいい。

絵画以外の作品は‘大ガラス’をはじめとしてよく目にするものがずらっと展示されている。歴史的な作品‘泉’、‘自転車の車輪’、‘瓶乾燥機’、‘櫛’、目がまわりそうになる‘ロトレリーフ(光学円盤)’、、、

まわりに若い外国人がたくさんいた。欧米ではデュシャンの人気は群を抜いて高いことを再認識した。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.08

リヒテンシュタイン侯爵家自慢のルーベンスコレクション!

Img_0001 ‘エリクトニオスを発見するケプクロスの娘たち’(1615~16年 リヒテンシュタイン侯爵家) 

Img ‘マルスとレア・シルウィア’(1616~17年 リヒテンシュタイン侯爵家)

Img_0004 ‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’(1615~16年 リヒテンシュタイン侯爵家)

Img_0002 ‘ヴィーナス、マルスとキューピッド’(1630年代 ダリッジ絵画館)

上野の西洋美では現在‘ルーベンス展’(10/16~1/20)が開催されている。日本でルーベンス(1577~1640)の回顧展をみるのははじめてのこと。ルーベンスの作品は元来大きなものが多くこれらをもってくるのは大変なことだとわかっているので、これまでは日本の美術館でルーベンスをみることははなから期待していない。

ところが、6年前国立新美にリヒテンシュタイン侯爵家が所蔵するルーベンスの傑作が8点もやって来たあたりから流れが変わってきた。今回西洋美がチャレンジしてくれたルーベンス展には2度目の公開となるリヒテンシュタイン侯爵家のルーベンスコレクションを軸にして海外の美術館などから40点が集結している。

ここはヨーロッパの美術館かと錯覚させるほどすばらしい作品が並んでいるのが最後の部屋。最も魅了されるのがリヒテンシュタイン侯爵家の‘エリクトニオスを発見するケプクロスの娘たち’と再登場した‘マルスとレア・シルウィア’。まさに一級のルーベンス。いろんな事情で日本ではルーベンスの傑作はほとんどお目にかかれないが、ようやくルーベンスの真髄をみてとれる絵が披露された。本当にすばらしい!

そして、ロンドンのダリッジ絵画館から出品された‘ヴィーナス、マルスとキューピッド’の完成度の高さにも惚れ惚れする。ヴィーナスの肌の輝きをみて2010年にプラド美で遭遇したルーベンス展で味わった感動が蘇った。この絵は以前からマークしていたが、ロンドンに行かずにみれるのだから言うことなし。流石、西洋美!

入館してすぐ出迎えてくれるのが‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’、この愛らしい少女の絵も再度お目みえ。じつはリヒテンシュタインのコレクションにはもう一枚みたい肖像画がある。‘ルーベンスの息子アルベルトと二コラ―ス’(1626年)、クララよりこちらを望んでいたが叶わなかった。どうやらウィーンにある館へ足を運ぶしかなさそう。

ほかにもエルミタージュ美やローマのボルゲーゼ美の画集に載っている作品やマドリードからやって来た大作‘聖アンデレの殉教’などが飾られている。もういちど出かけるかもしれない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018.12.07

魂を揺すぶる‘ルオー展’!

Img     ‘ヴェロニカ’(1945年 ポンピドーセンター)

Img_0001_2     ‘聖顔’(1933年 ポンピドーセンター)

Img_0002     ‘パシオン’(1943年 富山県美)

Img_0003     ‘秋 または ナザレット’(1948年 ヴァチカン美)

日本の美術館では出光美とともにルオー(1871~1958)のコレクションで有名なパナソニック汐留ミュージアム。ここで9日まで行われている‘ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデル二テ’もムンク展同様、期待を大きく上回る一級の回顧展だった。

日曜美術館で紹介されたことも影響しているのだろうかあまり広くない館内は大勢の人であふれかえっていた。人の多さでいうとここ数年の企画展ではダントツの一位。人々に足を向かわせるのは出品作の質の高さ。ポンピドーセンターからは嬉しい絵がやって来た。再会を楽しみにしていた‘ヴェロニカ’と‘聖顔’、そして‘受難’、宗教風景画の‘エジプトへの逃避’、‘キリスト教的夜景’も飾られている。

ポンピドーのルオーだけでもスゴイのにさらにヴァチカン美からも‘聖顔’、‘パックス(平和)’、‘聖心’、‘秋 またはナザレット’の4点が出品されている。このうち一点は現地でみているはずだが、どの絵だったかは覚えていない。

‘ヴェロニカ’の美しさに魅了され続けている。ひかれる最大の理由は大きな目。どうでもいいことだが、このヴェロニカをみるといつも女優の優香を思い出す。この絵の横に並んでいるのが画面が絵の具の塗り重ねにより信じられないほど盛り上がっている‘サラ’。いい気持でみていた。

ルオーが何点も描いた‘聖顔’、10点もまとめてみれたのは大きな収穫だった。ポンピドーの‘聖顔’はなぜかモローの‘出現’に描かれた洗礼者ヨハネの首が重なってくる。顔の赤がヨハネの首からしたたる血とつながるからかもしれない。

富山県美が所蔵する‘パシオン’はこれまでまったく縁がなかった。思わず足がとまるほどとてもいい絵。上の中央にいるキリストよりまわりの4人の男の存在感が強く印象に残った。国内にあるこんないいルオーと遭遇したのだから回顧展の有り難さに手を合わせたくなる。

キリスト物語を自然の風景のなかに描いた作品が最後にどっと展示してある。‘秋 またはナザレット’が日本でみれたのはこの上ない喜び。汐留ミュージアムがまた好きになった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.12.06

待望のムンク展!

Img     ‘叫び’(1910年)

Img_0001     ‘生命のダンス’(1925年)

Img_0002     ‘青いエプロンをつけた二人の少女’(1905年)

Img_0003     ‘自画像、時計とベッドの間’(1940~43年)

パソコンの想定外の故障により1ヵ月もお休みしてしまいました。本日から再開しますのでまたおつきあい下さい。

東京都美で開催中の‘ムンク展’(10/27~1/20)は予想以上の人気でおおいに盛り上がっていた。わが家は今年はムンクイヤーなので期待の回顧展。2007年にも西洋美で公開されたオスロ市にあるムンク美のコレクション、今回は真打の‘叫び’が含まれているのでぐぐっと前のめりになる。

5月オスロに行ったとき、オプションでムンク美鑑賞に参加した人たちの話を聞くと‘叫び’はみられなかったとのこと。これは意外でこの絵は常時展示しているわけではないらしい。だから、日本でお目にかかれるのは特別の出来事かもしれない。

オスロ国立美にいつも飾ってある‘叫び’が描かれたのは1893年、このときムンク(1863~1944)は30歳、それから17年後に再度描かれたのが今回登場した‘叫び’、国立美にあるものと較べて一番目立つ違いは人物の顔の描き方。この人物には目ん玉がなく目のまわりが緑でまるく輪郭されているため幽霊のイメージがより強くなっている。

2つの‘叫び’を同じ年にみれたのは大きな喜び。ミューズに感謝!念願の絵との対面が果たせたのであとは気軽にみれるかなと思っていたら、チコちゃんではないが‘ボーっとはみてられない’作品が続々現れてテンションは上がったまま。西洋美にも出品された‘生命のダンス’や‘絶望’、‘赤と白’が‘叫び’と一緒に展示されているのだから予想を大きく上回る豪華なラインナップであることはまちがいない。

しかも、はじめてみる作品で思わず足がとまるものが多い。こんないい絵があったのという感じ。とくに目を奪われるのがムンクの画業人生の後半に描かれたもの。色彩が明るくなりまるでマティスのフォービスムやドイツ表現主義のイメージ。

お気に入りは‘青いエプロンをつけた二人の少女’と‘庭のリンゴの樹’、そして‘自画像、時計とベッドの間’。こうした絵をみるとムンクの色彩には力があるなとつくづく思う。心をこめてムンクに乾杯!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2018年11月 | トップページ | 2019年1月 »