美術館に乾杯! テイト・モダン その十四
フレイヴィンの‘タトリンのための記念碑’(1966~69年)
SF映画ではよく時空をつきぬけて進んで行くシーンがでてくるが、ステラ(1936~)の‘ハイエナスタンプ’はこの無限に続く迷路がぴったりくる作品。遠近法でつくられた奥行きのある空間は床、天井そして左右の壁に塗られた明るい色面が直角に折れ曲がりながら渦となって焦点にむかっていく。明快な色彩の組み合わせが強く印象に残る。
ミニマル・アートやコンセプチュアル・アートの代表的な作家ジャッド(1928~1994)がつくる作品はとても簡単、底と蓋のない箱が壁に下から均等な間隔でいくつも張り付けられている。この箱には色のヴァリアーションがあるが使われているのは一色のみ。テイトにあるのは青だが、ほかには赤であったり、また一つの側面に緑だけ塗ったものもある。
ジャッドと同じ年に生まれたルイット(1928~2007)は作品のスタイルはジャッド同様シンプルそのもの。‘2つのモジュラーキューブ’はジャングルジムを連想させる格子状の立体作品。こういう遊び器具があると幼児は喜ぶ。でも、つくっている作家は感情や想像力は極力抑えて物が発する力に美がうまれるよう精巧に作り上げていく。余計な感情を入れないほうがかえって心を打つものができるのかもしれない。
プレイヴィン(1933~1996)は蛍光管を使ったライト・アートでその名を知られた。芸術のとらえ方はどんどん多様化し、色彩は絵画からだけから受けとよめるものではなく蛍光管から発せられる薄緑がかった光の色によっても見る者に刺激を与えられる。‘タトリンのための記念碑’はポンピドーにあるものの別ヴァージョン。その形は宇宙観測衛星を打ち上げるロケットの発射台のよう。
| 固定リンク
コメント