美術館に乾杯! テイト・ブリテン その十三
ホックニーの‘シャワーを浴びる男、ビバリー・ヒルズ’(1964年)
ホックニー(1937~)に興味をいだくきっかけになった絵はボストン美にある‘ギャロービー・ヒル’(1998年)、2008年にアメリカ美術館巡りをした際、久しぶりにでかけたボストン美の展示案内のパンフレットにこの絵が使われていた。
明るい色彩にあふれる現代的な風景画だったので大変惹かれたが、現代アートの展示室が改築工事のため対面が叶わなかった。そして、3年前に再訪したときはサージェントやホーマーの作品に時間をとられ再度みる機会を逃した。ようやくお目にかかれたのは昨年あったボストン美展。リカバリーに9年もかかってしまった。
イギリスにもポップ・ア―ティストは何人も現われたが、最も関心が高いのはホックニー。親近感をおぼえるのは日本の富士山などを描いていることも大きい。‘シャワーを浴びる男、ビバリー・ヒルズ’はイギリス人がまったく消えてしまうほどのアメリカンポップ調全開といった感じ。
ハミルトン(1922~2011)の‘クライスラー社賛’も黄金のアメリカ文化にどっぷりはまっている。当時はクライスラーだってアメ車の象徴の一端を担っていた。懐かしい大型車をみると、アメリカの生活スタイル、エンターテイメントが日本にもどんどん入って来たことが思い出される。
ベースボールや映画、音楽、ジーンズ、コーラ、マグドナルドのハンバーガー、、ピーター・ブレイク(1932~)の‘バッジをつけた自画像’にはプレスリーが載った雑誌やバッジをたくさんつけたデニムのジャケットが描かれており、イギリスでもアメリカ文化が若者たちに大きな影響を与えたことを物語っている。
ポップ・アートをふたたび蘇らせた感のあるのがギルバート&ジョージ(1943~、1942~)の大きな写真作品‘イングランド’、画面の下では伝統的なイギリススーツでビシッときめた二人がバラをはさんでどや顔で立っている。そして、上では背景を暗くしてユーモアと怒りを体で表現している。
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