美術館に乾杯! ポンピドー・センター その二十一
ピカソがキュビスムの誕生をつげる‘アヴィニョンの娘たち’を描いたのは1907年、その10年後、今度はニューヨーク・ダダイズムのデュシャン(1887~1968)が現代美術のシンボルとなった‘泉’を発表する。アートは新しい地平をもとめて加速度的に進化していく。
白い陶器の男性用便器に偽名のサインをして、‘これはどこにでもあるもの(レディメイド)だが、私が選んでアートにした’といきなり言われても、アートの専門家だって‘おいおい、それってあり?’と面食らうのだから普通の美術ファンはとても話の輪のなかに入れない。笑えるのは便器を‘泉’とする表現力。やはりデュシャンのもつパロデイ的な感覚は半端ではない。
ドイツのボイス(1921~1986)は‘グランド・ピアノへの同質の浸透’をはじんめてみたとき、頭をよぎったのはアフリカ象。ピアノを覆うフェルトの色が象に似ていてしかも3つの足とペダルがあるので直感的に象のイメージと重なった。そのため、この作品には親しみを覚える。不思議なのは赤十字のマーク。ピアノと赤十字がどうして結びつくのか。
ヌーヴォー・レアリスムの中心メンバーとしてイブ・クライン(1928~1962)とともに活躍したアルマン(1928~2005)とセザール(1921~1998)。強い衝撃をうけるのがアルマンの作品、木箱にたくさんのガスマスクがびっしり集積されている。ガスマスクには戦争の悲惨さ残虐性がつきまとうので長くはみていられない。
彫刻家セザールは大理石像をつくりたかったが資金がなかったので金属を溶接する作品をつくった。これがきっかけになり廃品を圧縮して形を整えたオブジェが生まれた。一見すると大型の冷蔵庫の感じ。このほかにMoMA
でアメ車のビュイックを押しつぶしてこんな形にしたものをみた。
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