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2018.09.02

美術館に乾杯! ポンピドー・センター その十一

Img_0002     ベーコンの‘風景の中のファン・ゴッホ’(1909~1992)

Img     バゼリッツの‘オルモの娘Ⅱ’(1981年)

Img_0001  アロヨの‘脱獄したジャン・エリオン、ポモジェからパリへの道のり’(1974年)

Img_0004     アダミの‘レーニンのベスト’(1972年)

20世紀になると多くの画家は抽象絵画が絵画の本流になることを直感的につかみ、独自の表現方法を主張していく。だが、アートは幅が広いので全部が抽象表現に染まることにはならない。わかりやすい作品というのは人々の心をとらえるから具象的なものが新しいアイデアによって力強く生き残る。

幽霊みたいな人物がどうもしっくりこないベーコン(1909~1992)だが、ゴッホの絵をモチーフにした連作はとても気になっている。アルルの野原を歩くゴッホの絵は全部で8点あるが、これまでワシントンのフィリップス・コレクションとハーシュホーン、ポンピドーで運よくお目にかかった。ほかの作品は一体どこにあるのだろう?

抽象画全盛のなかで具象画に目を向けさせるためには作家は一ひねりも二ひねりもしないと誰もみてくれない。バゼリッツ(1938~)のアイデアは対象を上下逆転させること。‘オルモの娘Ⅱ’をぐるっと一回転すると自転車に乗った二人の裸の少女が現れる。1960年代末から描き方はノルデや表現主義風にし人物を片っ端から逆さにしていく。この逆さ絵は慣れるとおもしろい。

ほぼ同じ時代を生きたスペインのアロヨ(1937~)とイタリアのアダミ(1935~)。彼らの作品は明快な色彩とグラフィック的な描写がよく似ている。アロヨは1942年ドイツの捕虜収容所から脱出した友人のフランス人画家を正面と後ろからどんと描いている。背広に捕虜の番号札をつけるところはフランコ体制を嫌悪しパリに渡ったアロヨの真骨頂。

アダミの‘レーニンのベスト’は画家のとびぬけた発想から生まれた。写真で見るレーニンはベストをよく身につけていたようで、そのベストが何着も並んでいる。そして、ソ連の話だから赤を基調にしこれに後ろ姿の人物の着た衣服の色を薄い青で合わせる色彩感覚にもハッとさせられる。

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