美術館に乾杯! テイト・モダン その十
ポロックの‘サマータイム:ナンバー9A、1948’(部分 1948年)
これまでみたポロック(1912~1956)の作品でもっともグッときているのはメトロポリタンにある‘秋のリズム’とテイトの‘サマータイム’。この2点は横の長さはどちらも5mを超えあまり差はないが、‘サマータイム’の高さは84cmと‘秋のリズム’の半分。
‘サマータイム’で目を惹くのは大勢の人が勢いよく動いているようにみえる太い黒の線。そしてこの黒を活気づけているのが黄色。ほかに赤や青が使われているがこれは脇役といったところ。黄色がこれほど躍動していると抽象絵画が楽しいアートに変わってくる。
ロスコ(1903~1970)の‘シーグラム壁画’を集めたビッグな回顧展が2009年川村記念美で行われた。このときテイトからも2点出品された。画像はそのひとつ。日本でお目にかかったのにどういうわけか、2010年の訪問では期待していたロスコルームは存在せず肩透かしを食った。常設展示はやめたのだろうか。いつか再訪したとき残りの作品がみれるか心配。
ニューマン(1905~1970)の‘アダム 1951-2’はえんじ色の地に映える赤の縦線が美しい。小さいころ運動会のリレーのメンバーに選ばれたときえんじ色の鉢巻きをして頑張ったのでこの配色に心が動く。ニューマンは大きな美術館にはしっかり展示されている。MoMA,MET,ワシントン・ナショナルギャラリー、ポンピドー、テイト、偉大なアーティストである証。
黒の絵画で有名なラインハート(1913~1967)、‘抽象絵画No.5’では正方形のなかをじっとみると黒のトーンを微妙に変えて描かれた十字路がみえてくる。ラインハートは芸術の本格派だから無駄を省き黒一色のシンプルな作品を描いた。これほど静謐なイメージを与える抽象絵画はほかにない。
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