美術館に乾杯! 国立ソフィア王妃芸術センター その二
NYのMoMAが近現代アートの傑作をまんべんなく並べているのに対して、ソフィア王妃芸術センターの特徴はスペイン出身の前衛アーチストの作品が多いこと。その中心にいるのがピカソ(1881~1973)、ダリ(1904~1989)、ミロ(1893~1983)のビッグスリー。
シュルレアリスム絵画を象徴するダリ、これまで一点でも多くみたいと思い主要作品のある海外の美術館に足を運んできた。ここ10年のスパンでみると2011年のソフィア王妃芸術センター(2度目)と‘茹でた隠元豆のある柔らかな構造:市民戦争の予感’を所蔵するフィラデルフィア美が忘れられない美術館となった。
ソフィアではダリを25点くらいみた。収穫のひとつがスペイン以外の国の美術館ではなかなかお目にかかれない初期の作品。その中で画集に必ず載っているのが21歳のとき描いた‘窓辺の人物’、顔がみえないモデルは妹のアナ・マリア。この背中ごしの妹の絵はもう1点あった。
ダリの写実の技は群を抜いており、それを200%実感させられたのが2年前のダリ展(国立新美)に出品された‘ラファエロの聖母の最高速度’。聖母の顔はわずかな断片しか描かれてないが仮に全部みせたとしたらダリがラファエロに変身したと思ってしまうほどの出来映えになるだろう。やはりダリの描写力はスゴイ。
ダリお得意のシュールな世界に引きこまれる作品が何点も出てくるが、お気に入りは明るい色彩が印象深く金髪の女性やバッタ、蟻などが不思議なフォルムのなかに同居する‘偉大なる手淫者’とダブルイメージどころか5つも6つも違う場面が重なってみえる‘永遠の謎’。
ソフィアのダリを存分に楽しんだので次の目標はフィゲラスのダリ劇場美。やりくりして行ってみたいのだが、夢が叶うだろうか。
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