美術館に乾杯! 国立ソフィア王妃芸術センター その一
美術品をみる目的で都市を訪れるとき、そこにある美術館群が古典絵画から印象派、近現代アートまで全部展示していれば理想的。そんな心を躍らせる街は5つある。パリ、NY、ワシントン、ロンドン、そしてマドリード。
団体ツアーでマドリードに出かけるとまずプラドへ行きベラスケスの‘ラス・メニーナス’とゴヤの‘裸のマハ・着衣のマハ’をみてスペイン旅行の土産話のひとつに加える。この街には帰国したら友人に話したくなる有名な絵がもうひとつある。それをみるため現地ガイドさんの後をついて10分くらい歩くと国立ソフィア王妃芸術センターに到着する。
ここで待ち受けているのはあのピカソ(1881~1973)の代表作‘ゲルニカ’、驚かされるのが絵の大きさ、縦は3.5m、横は7.8mもある超ワイド画面、これは実際にこの絵の前に立たないと実感できない。そして、物々しいのが展示の仕方。なんとこの絵は防弾ガラスで覆われている。
白と黒と灰色で描かれているのは悲しみに身をよじる女や怪我の痛みでいなないている馬、悲劇の現場をしっかり目に焼きつけているように思える闘牛、、長く見ていると目に見えないとても重いものに体がつぶされていく感じがしてくる。この絵に遭遇したことは生涯の思い出。
ピカソの作品は彫刻などを含めて20点ほどあるが、目にとまったのは‘ゲルニカ’の習作として描かれた‘泣く女’と20歳のときの作品‘青衣の女’。‘泣く女’はロンドンのテートモダンに同名の絵同様、大きな涙が流れでている。これほど感情表現が上手いと本物の女性がそこにいるような錯覚をおぼえる。
あらためて‘青衣の女’に魅了されるのはつい2ヶ月前コペンハーゲンのニューカールスベア美でまったく同じ調子の‘スペインの女’に遭遇したから。白い顔と口紅の赤が目に焼きついている。ピカソが歳をとってから描いた絵はあまりみる機会がないがここには82歳のときに手がけた‘画家とモデル’がある。
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