美術館に乾杯! 国立ソフィア王妃芸術センター その四
スペインはフランスの隣国でピカソやミロ、ダリが新しい絵画を切り開く旗手になったこともあり、キュビスムやシュルレアリスムなどパリを中心起こった絵画運動との結びつきが強い。そのため、ソフィアに飾られた作品をみているとポンピドーセンターにいるような感覚になる。
ピカソのはじめたキュビスムをさらに進化させたのがホアン・グリス(1887~1927)、ここではビッグ3に次ぐスペイン画家として扱わており7点が専用の部屋に展示されていた。これまでグリはポンピドーで少しお目にかかったくらいだからどの作品も新鮮。とくに惹かれたのが‘開かれた窓’、これまでみたなかでは一番いい。
ピカビア(1879~1953)の画風はいろいろ変わる。古典絵画のピエロ・デッラ・フランチェスカを連想させるものがある一方で、ポンピドーの‘ウドニー’のように躍動する抽象画もある。この‘手押し一輪車’は円や直線のシンプルなおもしろさを表現した作品。ピカビアの回顧展に遭遇することを密かに期待しているが、可能性は10%だろう。
レジェ(1881~1955)の絵をみるたびにはじめて訪れたポンピドーで代表作‘余暇’と出会ったときの感動を思い出す。まさに‘最高の瞬間’だった。1924年に描かれた‘壁画’はスッキリすぎるほど整然とした画面構成になっている。彫刻のような人物はでてこず洗練された色合いが使われた水平と垂直の線の帯が印象的。
深海のイメージの強いシュール画をたくさん描いたタンギー(1900~1955)、ソフィアにある‘占いⅠ’は最初期の作品、これは北アフリカの部族の占いから触発されている。こんな絵があったとは!大きな収穫だった。
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