納涼アート! 近代日本画
10年くらい前、青森の奥入瀬渓流へ行き生涯の思い出になった。以来、旅好きの人には奥入瀬の魅力を熱く語ってきた。今年のように猛暑が続くと奥入瀬渓流に瞬間移動し一日中いたくなる。
元来山歩きよりは海をみていたい方なのだが、奥入瀬渓流は別扱い。こういう涼しさを200%感じられるところが日本には沢山あるだろうが、日頃の習慣というものに縛られて未だに山に登ってみようという気がおこらない。
昔から多くの画家たちが奥入瀬渓流を描いてきたが、最も魅せられているのが小野竹喬(1889~1979)の絵。ここを訪れるずっと前からこの奥入瀬の絵に心を奪われてきたが、静かな森林のなかを川の水がほどよいリズムで流れていく光景を目の当たりにすると竹喬の絵に前にも増して入りこんでいく。
川合玉堂(1873~1957)の‘清湍釣魚’と川端龍子(1885~1966)の‘保津川下り’も涼しさを運んでくれる一枚。釣りが趣味な人は川釣り派と海釣り派とに分かれるのだろうか。玉堂が釣りを楽しんでいたかは知らないが、川釣りの絵が何点もある。この絵は気持ちがいいほど涼しくなる。
円山応挙にも保津川を描いたすばらしい絵があるが、龍子は観光客を舟に乗せた川下りを高い視点からとらえている。川下りの経験は一度もない。この川下りは今もやっているのだろうか、和歌山県?の瀞峡の川下りは興味があり機会があれば出かけてみたい。
避暑地というとすぐ思い浮かぶのが別荘がごまんとある軽井沢、そして長野県が涼しいところというイメージは実感としてではなく東山魁夷(1908~1999)の風景画によってできあがっている。だから、‘緑響く’のようなひんやりとした空気を感じる作品を夏になるとながめることにしている。
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