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2018.07.08

美術館に乾杯! プラド美 その十

Img_0004     カラヴァッジョの‘ゴリアテを負かしたダヴィデ’(1600年)

Img     カラッチの‘ヴィーナス、アドニスとキューピッド’(1590年)

Img_0001     レーニの‘アタランテとヒッポメネス’(1612年)

Img_0002     グエルチーノの‘スザンナと長老たち’(1617年)

思い入れが強く一生つきあっていこうと決めている画家だと世界のどの美術館が作品を所蔵しているかはおおよそ頭のなかに入っている。ぞっこん惚れているカラヴァッジョ(1571~1610)の場合、スペインのマドリードに3点ある。

プラドに飾ってあるのが‘ゴリアテを負かしたダヴィデ’、キリストやギリシャ神話などを題材にした宗教画はカラヴァッジョあたりから登場する人物はぐっと身近に感じられるようになり、舞台で演じられる芝居の一場面をみているような感じになってくる。だから、緊張感を強いられたり圧倒されてしまう宗教画をみているというより風俗画をみているのと同じ。

こうして宗教臭さが抜けてくると絵画との距離が一気に縮まり、描かれている出来事の瞬間や人物の内面性に感情移入することも多くなる。そして画家の描き方にも明暗のコントラストを強調したり事件のハイライトを劇的な構図でとらえるといった変化が生まれ、表出する感情をリアルに表現した生々しい人物描写や動きのある画面構成が見る者の心をつかんでいく。

ここにはカラヴァッジョだけでなく、ルネサンス絵画やマニエリスムとは違う新しい絵画に挑戦したアン二―バレ・カラッチ(1560~1607)やレーニ(1575~1642)、グエルチーノ(1591~1666)のとてもいい絵が揃っている。とくに魅せられているのがカラヴァッジョもその実力を高く評価していたカラッチの絵。これまでみたカラッチは多くはないが、そのなかではこれに最も惹かれている。アドニスとヴィーナスが対面する瞬間の構図がじつにいい。

レーニの大作‘アタランテとヒッポメネス’は一度みたら忘れられないほどのインパクトをもっている。ナポリのカポディモンテ美にあるサイズの小さい別ヴァージョンが日本で公開されたが、プラドでは大きな画面なので立ち尽くしてみていた。

西洋美が回顧展を開催してくれたので親近感がぐっと増したグエルチーノ。カラヴァッジョの描き方に影響を受けた‘スザンナと長老たち’にはどうしても体が寄っていく。これが回顧展に出品されたらよかったが、ものごとそううまくはいかない。いい作品にはOKを出したがらないのが美術館の性。

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