美術館に乾杯! 王立サン・フェルナンド美術アカデミー
‘太陽の門’から徒歩3分の王立サン・フェルナンド美術アカデミー
海外で美術館巡りをすると街の様子がよくわかるようになる。観光バスに乗ってその街の名所スポットへ行くのと違って地図を片手に自分の足で目安になる場所を確認しながら進むので建物の位置関係や道路の流れ、街の広さなどが徐々に実感できてくる。すると不安な気持ちがほぐれ街の風景が新鮮に映る。
マドリードの王立サン・フェルナンド美術アカデミーは半円状の広場‘太陽の門(プエルタ・デル・ソル’からすぐ近くのところにあり歩いて3分で着く。ここはダリやピカソも学んだことがある美術学校。訪問するかで背中を強く押してくれたのはゴヤ(1746~1828)。
2階の展示にはリベラやスルバランなどのスペイン絵画も飾ってあるが、見どころはなんといってもゴヤ、事前に作成した必見リストに載せていたのは4点だが、2つのゴヤだけの部屋には全部で13点もあった。大作が多く圧巻!プラドにいるような気分だった。
興味深い絵が‘鰯の埋葬’、これは2月の初旬、マドリードのカーニバルを飾る最後の行事、思い思いの衣装と仮面で扮装した人々が飲めや歌えやの大騒ぎ。白い衣装の女性と一緒に司祭や死神も踊りの輪に加わっている。なにか不気味なところがゴヤらしい。
19世紀の初頭権力の頂点に立っていた宰相ゴドイ、ゴヤは1801年ポルトガルとの戦争(通称、オレンジ戦争)に勝利したゴドイを描いた。縦1.81m、横2.67mの大画面に自信にみちたゴドイの存在感のある姿を見事にとらえている。これまでみた男性の肖像ではベスト5に入る傑作だった。
2点ある自画像のうち‘アトリエの自画像’は‘ラス・メニーナス’のベラスケスをまねたもの。歳は50歳前後で画家として脂ののりきった頃。もうひとつはプラドにも同じような肖像がある69歳の姿。こちらのほうはレンブラントの晩年の自画像を連想させる。
昨年の今頃開催されていたアルチンボルド(1527~1593)の回顧展にうれしい作品が登場した。それは現地ではどういうわけかみれなかった‘春’。このアルチンボルドも美術館の自慢の一枚。
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