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2018.07.20

美術館に乾杯! ティッセン・ボルネミッサ美 その八

Img_0003     ダリの‘蜜蜂によって引き起こされた夢’(1944年)

Img     デルヴォーの‘洞窟の裸婦’(1936年)

Img_0002     ピカソの‘鏡を持つアルルカン’(1923年)

Img_0001     ドランの‘ウォータールーの橋’(1906年)

ダリ(1904~1989)のシュール画が気になりだし画集を揃えたとき、なんとしてもみたい絵が数点あった。その一枚が長ったらしい名前がついている‘目覚める1秒前にザクロの周りを飛ぶ蜜蜂によって引き起こされた夢’、そのころは所蔵先はスイスの美術館になっていた。。

7年前はじめてテイッセンを訪問した際、最も楽しみにしていたのはカラヴァッジョとこのダリの奇想天外な絵。海にできた岩の上に横たわる裸婦に突進してくるのは2頭の虎。よくみると左の虎はなんと赤い魚の口の中からでてきている。このアイデアに200%KOされた。こんなことをダリはどこから思いついたのだろうか

そして魚の後ろにはザクロがありこの割れ目から魚が飛び出してくる。ザクロー魚ー虎の連鎖の意味はダリにしかわからない、いやダリだってわからないかもしれない。ザクロは裸婦の下にもありその周りを蜜蜂が飛びまわっている。そして、蜜蜂の羽音で裸婦は夢に誘われる。その夢がザクロから魚、魚から虎と変容する不思議な世界。

同じ裸婦でもデルヴォー(1897~1994)の絵では洞窟を舞台にして鏡に映る自分の姿をじっとみている。いつものように目はフランス人形のように大きく、その白い肌が暗闇に浮かび上がる。裸婦をみて心がザワザワしないのはブーシェとデルヴォー、それは目がとてもチャーミングでそこばかりみるから。

新古典主義時代のピカソ(1881~1973)が描いた‘鏡を持つアルルカン’も忘れられない絵。キュビスムの画風が角々した形で構成されとげとげしい印象なのに対し、この頃の絵にみられる人物描写は古典絵画にならってとても穏やかで丸々している。ヴェネツィア派のベリーニにこれとよく似たポーズをとる女性の絵がある。

キュビスムと並んで絵画の革命を色彩の表現によっておこしたフォーヴィスム、その中心メンバーがマティス(1869~1954)とドラン(1880~1975)、ロンドンにあるウォータールー橋を点描風の描いた作品はちょっと離れてみると発光体のように輝いていた。色彩の力をみせつけられる一枚。ドランに乾杯!

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2018.07.19

美術館に乾杯! ティッセン・ボルネミッサ美 その七

Img_0003     ムンクの‘家の前でたたずむ女性’(1888年)

Img   キルヒナーの‘彫刻された椅子に座るフランツィ’(1910年)

Img_0002    ベックマンの‘ピンクのセーターのクアッピ’(1934年)

Img_0001     グロスの‘大都市’(1917年)

北欧旅行から2ヶ月が経ったが、コペンハーゲンとオスロでみたムンク(1863~1944)の余韻がまだ続いている。秋にはムンク展(10/27~1/20 東京都美)があるので今年はムンクのアート話に終始しそう。

ムンクの絵をたくさんみたあとで2年前ティッセンで遭遇した‘家の前でたたずむ女性’を思い出すとつくづくいい絵だなと思う。手を膝において前方をじっとみつめる姿が妙に惹かれる。この絵が描かれた1988年はムンクが25歳のときで、この2年前には亡くなった姉をモデルにした‘病める子ども’を手がけている。ムンクは姉と同様にかがんだ女性の顔を横からとらえている。

この美術館のコレクションは19世紀のドイツで鉄鋼業を営み財をなしたティッセン家のハインリッヒ・ティッセン男爵とその息子が蒐集した絵画がもとになっている。そのため、ドイツの画家の作品が多くある。日本で開催される美術館名品展のうちドイツの美術館の割合は仮に10年スパンでみると1割くらいかもしれない。だから、ここでドイツの画家にお目にかかれるのは大きな収穫。

ドイツ表現主義のキルヒナー(1880~1938)、ベックマン(1884~1950)はともに4点あり、女性の肖像画’彫刻された椅子に座るフランツィ’と‘ピンクのセーターのクアッピ’が強い磁力を放っていた。大きな目と真っ赤な唇が心を揺すぶるフランツィの顔は緑色で塗られてる。これから連想されるのはコペンハーゲンでみたマティスの‘緑の筋のある女性’。表現主義は自由な色使いがあっておもしろい。

一方、手に煙草をもっているクアッピはベックマンの若い妻。こういう手つきで煙草を吸う女性はドイツ映画でよくみた覚えがある。どうでもいいことだが顔をじっとみていると女子ジャンプの高梨沙羅選手がダブってきた。

狂気的でグロテスクな人物描写が頭から離れないグロス(1873~1957)の‘大都会’は思わずのけぞる作品。グロスの持ち色の赤で描かれたこの都市は第一次世界大戦真っ只中のベルリン。未来派を彷彿とさせるスピード感は赤の使用によっていっそう騒々しくなっている。

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2018.07.18

美術館に乾杯! ティッセン・ボルネミッサ美 その六

Img_0001     コールの‘楽園追放’(1828年)

Img     ビーアスタットの‘滝の景観’(1880~87年)

Img_0003     ホッパーの‘ホテルの一室’(1931年)

Img_0002  ホッパーの‘ウェルフリート・マーサ・マッキーン号’(1944年)

ルネッサンス絵画や印象派は西洋美術史のなかではファンの多い絵画なので世界の有名な美術館へ行くとだいたいお目にかかれる。だが、美術館のある国の美術史を飾る絵は当然のこととしてほかの国でみる機会はぐっと減ってくる。

例えば、アメリカの美術館をまわってその雄大な風景画の魅力に開眼したハドソンリバー派、このグループの作品は過去に出かけたヨーロッパの美術館でみたことは一度もなかった。ところが、驚いたことにティッセンには飾ってあった!コール2点、チャーチ3点、ビーアスタット1点。アメリカでだんだん目が慣れているので夢中になってみた。

この美術館で感心するのはミュージアムショップで販売されている作品の絵葉書の多さ。大変魅了されたコール(1801~1848)の‘楽園追放’とビーアスタット(1830~1902)の‘滝の景観’が手に入ったのは幸運だった。スペイン観光にやって来るアメリカ人は大勢いるが、その人たちのニーズをよく踏まえている。なかなかの商売上手。

アメリカ人が大好きなホッパー(1882~1967)、とてもいい絵を3点も所蔵している。シカゴ美でみた大回顧展(2008年)にも出品されていた‘ホテルの一室’は画集に必ず載っている主要作品で美術館自慢の絵のひとつ。そして、立ち尽くしてみていたのが海の明るい青とヨットの白い帆が目に沁みる‘ウェルフリート・マーサ・マッキーン号’。

回顧展で心が晴れ晴れする同じようなヨットの絵を2点みたが、そのときの感動がマドリードで再現された。この海洋画はホッパーのあの孤独感の漂う静かな絵とはちがい底抜けに明るい作品なので目に焼きついている。スペインにある美術館なのにアメリカの美術館にいるような気分にさせてくれる、これが美術館への好感度を上げている理由のひとつかもしれない。

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2018.07.17

美術館に乾杯! ティッセン・ボルネミッサ美 その五

Img_0001     モネの‘チャリング・クロス橋’(1899年)

Img_0002     ドガの‘ある風景の中の競馬’(1894年)

Img_0003     ゴッホの‘オーヴェルのレ・ヴェスノ’(1890年)

Img     ゴーギャンの‘マタ・ムア(むかしむかし)’(1892年)

多くの愛好家がいる印象派は美術館へ出かけるときの大きな楽しみ。それはティッセンでも同じ。アメリカの大きな美術館と較べると作品の数ではかなわないが、強く惹かれる作品が揃っている。数で最も多いのがモネ(1840~1926)、4点あったがそのうち2点は2010年パリのグラン・パレで行われたモネ展にも出品された。

‘チャリング・クロス橋’はモネがロンドンを旅行して描いた連作(36点)の一枚。冬の午後の光景だが、右にかすかにみえる国会議事堂がシルエットで描かれ霞のかかるテムズ川の水面に光がきらきら映る光景が目に焼きついている。

ドガ(1834~1917)は踊り子をモデルにしたものよりカフェにいる冷え切った関係の男女などを描いた風俗画タイプや動きのある競馬のほうに惹かれている。この絵に登場する馬は全部で10頭、これまでみたなかでは最も多い。

ゴッホ(1853~1890)もいいのがある。緑と黄色で画面がおおわれている‘オーヴェルのレ・ヴェスノ’。色彩がとても鮮やかなので思わず足がとまり、うわっと声が出た。こんないいゴッホがあるのだから流石という感じ。ほかに若い頃の暗い横長の絵があった。

ゴッホとくればゴーギャン(1848~1903)、3点みたが‘マタ・ムア(むかしむかし)’がすばらしい。これは2010年秋ロンドンであったゴーギャン展(テートモダン)に出品された。縦長の画面はちょっと前に終了したプーシキン美展に展示された‘孔雀のいる風景’(1892年)がダブってくるが、女性たちを二分する中央の大きな樹の幹が強く印象に残っている。

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2018.07.16

美術館に乾杯! ティッセン・ボルネミッサ美 その四

Img     ハルスの‘風景の中の家族の肖像’(1648年)

Img_0003    ヴァトーの‘満足なピエロ’(1712年)

Img_0002     ゴヤの‘パケーテ親爺’(1820年)

Img_0001     フリードリヒの‘復活祭の朝’(1828~1835年)

西洋美術史に登場する画家が生存した時期を頭のなかに入れるのには時間がかかる。気になる画家については生まれた年や亡くなった年をインプットされていても、作品をみる機会が少ない画家の場合はそのつどメモの助けをかりることになる。

例えば、オランダのハルス(1582~1666)、印象派以前のオランダ出身の画家のなかでレンブラント、フェルメール、ホントホルストとともにお気に入りの画家なのに、いつからいつまで生存したか正確に覚えていない。レンブラントより24年前に生まれている。

ティッセンにあるハルスは家族の肖像を描いた大きな絵。ハルスの絵に登場する人物は笑ったりくだけた表情をしているので肖像画というより風俗画を楽しんでいる感じ。妻に笑顔で話しかけている夫の姿がじつにいい。ついそばにいって会話の内容を聞いてみたくなる。

フランスにはピエロを描く伝統がある。そのはじまりはロココのヴァトー(1684~1721)、これを受け継ぐのがルオーとあのピカソ。この雅宴画ではピエロを挟んで着飾った4人の男女が横に並んで座っている。女性の奏でるギターにあわせてピエロはひょうきんに踊りだすのだろうか。

この美術館のコレクションはドイツ人実業家が蒐集したものなので、プラドとはちがいスペイン絵画は少ない。ベラスケスはなくお目にかかったのはエル・グレコ、リベラ、ゴヤ(1746~1828)だけ。ゴヤは2点みたが、一度みたら忘れられないのが画面いっぱいに盲人を描いた‘パケーテ親爺’。黒い絵に近くゴヤがフランスへ亡命する前に仕上げたもの。

ドイツロマン派のフリードリヒ(1774~1840)はイギリスのターナー(1775~1851)やコンスタブル(1776~1837)とほぼ同じ時代を生きた画家。3人とも風景画を得意としたが、フリードリヒの描く風景はどこか宗教的でロマン派特有の崇高さにつつまれている。この画家の回顧展に遭遇することを密かに願っているが、今のところその気配はない。

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2018.07.15

美術館に乾杯! ティッセン・ボルネミッサ美 その三

Img     カラヴァッジョの‘アレクサンドリアの聖カタリナ’(1598年)

Img_0001     ルーベンスの‘ヴィーナスとキューピッド’(1611年)

Img_0002     レンブラントの‘自画像’(1643年)

Img_0003     ジョルダーノの‘ソロモンの裁判’(1665年)

カラヴァッジョ(1571~1610)の作品を全点コンプリートしようと意気込んでいコアなファンにとってマドリードは訪問が欠かせない街かもしれない。ここに3点ある。先般紹介したプラドの絵、そしてティッセン・ボルネミッサにある‘アレクサンドリアの聖カタリナ’、そして王宮が所蔵する‘サロメ’。

まだ縁がない‘サロメ’の展示情報がしっかり押さえられてないのに対し、‘聖カタリナ’は二度もみてしまった。この絵が飾られている部屋では皆食い入るようにみている。やはり、カラヴァッジョは人気があり明暗のコントラストを強くきかせた画風は多くの人の心をとらえている。

ルーベンス(1577~1640) にはティツィアーノの作品を模したものがいくつかあるが、‘ヴィーナスとキューピッド’もそのひとつ、模写といってもワシントンのナショナルギャラリーにある本画と遜色のない仕上がりなのでルーベンスの作品として存分に楽しめる。ヴィーナスの白い肌を浮き上がらせる衣装の濃い赤が目に焼きつく、

生涯を通して数多く描かれたレンブラント(1606~1669)の自画像、世界中の美術館におさまっている一点々にはそれぞれレンブラントの内面が色濃くでており、圧倒的な存在感がある。この自画像は帽子をかぶり二本の金鎖をつけており、37歳くらいのレンブラント。ヨーロッパやアメリカの人はだいたい実年齢より歳をとっているイメージだが、この顔は30代にはみえない。

ナポリ生まれのジョルダーノ(1634~1705)はこの街で活躍したカラヴァッジェスキのリベラから刺激を受けており、その強い写実主義はこの大作でいかんなく発揮されている。ソロモンの裁判のハイライトを動きのある人物配置と明暗のコントラストでみせる表現力はこの画家が高い画力をそなえていたことを如実に示している。

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2018.07.14

美術館に乾杯! ティッセン・ボルネミッサ美 その二

Img     デューラーの‘博士たちの中のキリスト’(1506年)

Img_0001     ホルバインの‘ヘンリー8世’(1537年)

Img_0003     エル・グレコの‘受胎告知’(1576年)

Img_0002     カナレットの‘ヴェネツィアのサンマルコ広場’(1724年)

ドイツルネサンスのど真ん中にいたデューラー(1471~1528)はヴェネツィアへ行きイタリアで才能を輝かせていたダ・ヴィンチやヴェネツィア派の大親方ベリーニから多くのことを学んだ。天才は天才を知るといわれる通り、デューラーは先達たちの画法を貪欲に吸収し、独自の画風を生み出していく。

‘博士たちの中のキリスト’に登場する博士たちの表情にはダ・ヴィンチから刺激を受けた性格描写がみられ、また女性のような顔だちをした12歳のキリストにはどこかベリーニが描く静かな聖母の雰囲気を感じてしまう。こういう作品をみると絵画の歴史というのは画法の受け渡しによって新しいものが生まれてくることがよくわかる。

フランドル絵画やドイツのデューラーやホルバイン(1497~1543)が心を惹きつけてやまないのは対象の描写がおどろくほど精緻だから。人物であれば髪や肌のリアルな再現、そして金属や衣装の生地などの質感をそのまま感じさせる筆使いはまさに神業的。

ホルバインの‘ヘンリー8世’はじつは縦28cm、横20cmの小さな肖像画。だから、ホルバインに関心がないと見逃してしまう。でも、ホルバインの肖像画に心酔していると画面の大きさは気にならない。顔を画面に目いっぱい接近させると国王の豪華な衣裳が目に焼きつく。半端ではない特技をホルバインは持っていたからこそ、このアクの強い国宝の宮廷画家がつとめられた。

スペインのトレドへやって来る前ヴェネツィアでティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼから色彩表現を学んでいたエル・グレコ(1541~1614)、‘受胎告知’はイタリア時代に描かれたもの。床の奥にのびるモザイク模様は明らかにティントレットの影響。

イタリア観光でフィレンツとともに人気のあるヴェネツィア、この街でいつも大勢の人で賑わっているのがサン・マルコ広場、カナレット(1697~1768)はじつに見事な風景画を残した。ヴェネツィアは2010年に足を運んで以来、ご無沙汰している。旅先の優先順位に変化がなければ、数年後にはビバ!イタリアモードになりそうだが、果たして。

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2018.07.13

美術館に乾杯! ティッセン・ボルネミッサ美 その一

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Img_2     ギルランダイオ‘トルナブオーニの肖像’(1448~1494)

Img_0002    ファン・エイクの‘受胎告知’(1437年)

Img_0004     クリストゥスの‘枯れ木の聖母’(1450年頃)

Img_0003     カルパッチョの‘風景の中の若い騎士’(1510年)

日本の美術館で行われる展覧会のひとつに海外の美術館が所蔵する作品をごそっともってくる美術館名品展がある。定番のように開かれるのがルーヴル、オルセー、プラド、ボストン、エルミタージュ、プーシキンといった世界的に名の知られたブランド美術館。

何度も開催されるこうした美術館がある一方で、何十年に一度そのコレクションが披露されることもある。プラドのすぐ近くにあるティッセン・ボルネミッサ美はまだ作品がスイスの私設美術館にあったころ自慢の絵がやって来たようだ。そのとき(随分前だが)、ダリの有名な魚の口から虎が飛び出してくるシュール画が出品されたらしい。それ以降は2度目の公開には至っていない。

7年前この美術館に足を踏み入れたときは一番のお目当てはダリの絵とカラヴァッジョの‘アレクサンドリアの聖カタリナ’だった。目を奪われる作品はこれくらいかと思っていたが、これが大間違い。古典絵画から印象派、近現代アートまで揃っており、こんないい美術館がマドリードにあったの!という感じ。

ルネサンス絵画で目を楽しませてくれたのはギルランダイオ(1448~1494)の‘トルナブオーニの肖像’。目が点になるのが巻き毛の金髪や身につけている黄橙色の衣装の精緻な描写。あまり大きくない肖像画だが、これほど画力がすごいと横向きの女性に釘づけになる。

同様な緻密さで描かれたファン・エイク(1390~1441)の‘受胎告知’は典型的なだまし絵、まるで彫刻をみているよう。近づくと立体の大天使や聖母マリアの造形ではなく、二次元の画面に描かれた人物画。小品だが、あのファン・エイクを今みているのだ、と夢中になってしまう。

ファン・エイクの技法の継承者のひとりがクリストゥス(1410~1475)、‘枯れ木の聖母’は似たような絵はほかにお目にかかったことがない異色の聖母子像、潅木の輪のなかに聖母子がおり木の枝から垂れ下がる15個のaの文字は‘アヴェ・マリア’の頭文字。

フランドル絵画から大きな影響を受けたヴェネツィア派、その一人カルパッチョ(1460~1526)のとてもいい絵がある。縦2.18m、横1.51mの大作‘風景の中の若い騎士’。アカデミア美でカルパッチョに開眼したので、この絵にも敏感に反応する。

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2018.07.12

美術館に乾杯! プラド美 その十四

Img  ラ・トゥールの‘ハーディガーディを弾く盲人’(1610~30年)

Img_0003     ブーエの‘敗北した時’(1624年)

Img_0002     レンブラントの‘アルテミシア’(1634年)

Img_0001     ティエポロの‘アブラハムのもとに現れた天使たち’(1770年)

美術館へでかけて大きな満足を感じるのは好きな画家の絵が飾ってあるとき。嬉しいことにプラドでは思い入れの強いカラヴァッジョ(1571~1610)とラ・トゥール(1593~1652)に出会える。この二人を楽しめる美術館は3つしかない。ルーヴル、メトロポリタン、そしてプラド。

プラドが所蔵するラ・トゥールは‘ハーディガーディを弾く盲人’と‘手紙を読む聖ヒエロニムス’の2点。手元にいい作品があると回顧展の開催にも積極的になる。2016年の2月から6月にかけてここで超一級のラ・トゥール展が開催され、世界中から主要作品が集結した。画集で魅了された作品がいっぺんにみれたのだからテンションが上がりっぱなしだった。

シモン・ブーエ(1590~1649)はラ・トゥールとほぼ同時代を生きたフランスの画家。‘敗北した時’は時が流れて歳をとるのが嫌いな‘希望’と‘美’の女神が擬人化された‘時’に勝つという話が描かれている。時を演じるのは髭をはやしたサトゥルヌスで砂時計と鎌をもっている。二人の女神は‘私たちにはいつも希望がありはじける若さがあるのだからね、わかったでしょう、時のおじいちゃん’とかなんとか言ってるのだろうか。

オランダでさっそうと登場した天才レンブラント(1606~1669)の絵は豪華な衣裳と宝石を身につけた女性‘アルテミシア’、黒の背景に生感覚で描かれた人物が浮かび上がると思わず画面に惹きこまれる。こうしたかぎりない美につつまれるというよりは堂々とした姿の女性を描かせたらレンブラントの右に出る者はいない。

18世紀に活躍したヴェネツィア出身の画家、ティエポロ(1699~1770)は晩年にマドリードを訪問し、ここで‘アブラハムのもとに現れた天使たち’を描いた。みどころは天から降りてきた中央の天使の上半身が光をうけて輝いているところ。片方の足を上にあげているのでアブラハムもとに今駆けつけてきたという感じ。この動的描写が幻想的な雰囲気を醸し出している。

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2018.07.11

美術館に乾杯! プラド美 その十三

Img_0003     ルーベンスの‘レルマ公騎馬像’(1603年)

Img_0002     ルーベンスの‘愛の園’(1633~34年)

Img      ヴァン・ダイクの‘茨の冠のキリスト’(1618~20年)

Img_0001  ジョルダーノの‘平和のアレゴリーを描くルーベンス’(1660年)

ヨーロッパの美術館をまわるとどこでもルーベンス(1577~1640)にお目にかかる。だから、慣れてくると忙しいから今回はパスということもおこる。でも、ここのルーベンスは数だけでなく完成度の高いものが揃っているからまたみておこうかという美術館もある。ルーヴル、ロンドンのナショナルギャラリー、ミュンヘンのアルテ・ピナコテーク、そしてプラド。

プラドのルーベンスとは深い縁がある。2010年ここを訪れたとき運よく所蔵品によるルーベンス展に遭遇し、なんと89点もみることができた。まだ少しは残っているだろうが主要な作品は全部見せますという感じ。大賑わいだった。やはり、ルーベンスはヨーロッパでは絶大な人気がある。

そのなかで長くみていたのが‘レルマ公騎馬像’、この堂々とした肖像はルーベンスがスペインに滞在したとき描いたもの、レルマ公は政治の実質上のトップだった人物。絵を依頼されたルーベンスは人馬がこちらにむかってくるという大胆なポーズで見事に仕上げた。これを後の画家たちが真似たため騎馬像の新しいタイプになった。

ウィーン美術史美にある‘ウエヌスの祭り’同様、画面に釘づけになるのが‘愛の園’。目を見張らされるのは優雅な女性たちや恋を成就させようと熱い思いを告白する男性貴族の身につけている衣装の鮮やかな色彩、赤、青、金色、、ロココの雅宴画より人物たちを密集させて大きい描かれているので気分も華やぐ。

ヴァン・ダイク(1599~1641)というとかなり脚色して王や貴族の見栄えのする肖像を描いたイメージだが、‘茨の冠のキリスト’は宗教画の傑作。ぱっとみると師であるルーベンスよりカラヴァッジョの描き方のほうを連想する。カラヴァッジョがこれをみたら裸足で逃げるかもしれない。

ナポリ生まれのジョルダーノ(1634~1705)はロンドンのナショナルギャラリーにある‘フィネウスとその一味を石に変えるペルセウス’をみて開眼した。こういう画家の見方を一変させる絵に出会うとそれ以降作品への反応が変わる。プラドにも思わず足がとまる‘平和のアレゴリーを描くルーベンス’がある。

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2018.07.10

美術館に乾杯! プラド美 その十二

Img     デューラーの‘自画像’(1498年)

Img_0001     クラナハの‘聖母子と聖ヨハネと天使’(1536年)

Img_0003     プッサンの‘パルナッソス山’(1631~33年)

Img_0002   ロランの‘聖女パウラの乗船とオスティア港風景’(1640年)

フィレンツェからはじまりヨーロッパ全体に広がったルネサンス、ドイツではデューラー(1471~1528)とクラナハ(1472~1553)がその中心にいた。プラドにあるドイツルネサンスの作品は多くはないが、この二人の絵は見逃せない。

26歳のとき描いたデューラーの自画像。どや顔で貴族になりきっているデューラー、その整った容姿はたしかに現代なら確実に人気の映画スターになれる。群を抜く緻密な描写と誰もが振り返るイケメン、天は二物も三物も与える。はじめてみたとき金髪をリアルに実感させる描き方に200%KOされた。

2年前に大きな回顧展を体験したクラナハ、ドイツ人の好みに合わせて変化を加えた聖母子像やチャーミングな女性の肖像をみてこの画家に対する評価が変わった。どこか親しみのある画風は‘聖母子と聖ヨハネと天使’でも同じ。聖ヨハネが幼子イエスに渡すぶどうは死の予兆を表しているが、この可愛い赤ちゃんをみたらそれを忘れてしまう。

プッサン(1594~1665)とロラン(1600~1682)は本籍地フランス、現住所イタリアの画家で活躍の舞台はローマにあった。西洋美はここ数年バロックに照準を合わせているが、今年は秋にルーベンス展(10/16~1/20)が行われる。

グエルチーノ、カラヴァッジョ、ルーベンスとくればどうしてもプッサン展を期待したくなる。ハードルはとても高いが挑戦してもらいたい。プラドにはプッサンが8点あるが、最も見ごたえがあるのが‘パルナッソス山’、同じ画題をラファエロが描いているが、この絵もすばらしい。

ロランはルーヴルやロンドンのナショナルギャラリーで数多く楽しめるが、プラドも10点所蔵している。歴史や宗教の話を雄大な風景を背景にして描くのがロランがはじめた新機軸の風景画。縦長の画面に描かれているのは聖女パウラの物語。ほかに同じサイズの絵が3点ある。

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2018.07.09

美術館に乾杯! プラド美 その十一

Img_0003     ボスの‘快楽の園’(1503年頃)

Img_0004     ボスの‘干し草車’(1510~15年)

Img     ブリューゲルの‘死の勝利’(1562年頃)

Img_0005   ブリューゲルの‘聖マルティンのワイン祭り’(1560年代中期)

Img_0001       中央上のワイン樽に群がる人々

プラドのお宝中のお宝はどれか、ここを複数回訪問した方ならたぶん同じ絵を口にすると思う。ベラスケスの‘ラス・メニーナス’、ゴヤの‘裸のマハ・着衣のマハ’、そしてボスの‘快楽の園’。

ここ2年、幸運なめぐりあわせでボス(1450~1516)とブリューゲル(1525~1569)との相性がすこぶるいい。2016年5月31日から9月25日までプラドで開催されたボスの大回顧展(60万人をこえる来館者、プラド美の新記録)をみることができ、昨年はロッテルダムのボイマンス美にあるブリューゲルの‘バベルの塔’がやって来てくれた。この二人の絵をコンプリートすることを夢見ているので天にも昇る気分だった。

ボス展で多くの作品にお目にかかれたが、プラドで人気の‘快楽の園’が最高傑作であることを再認識した。16世紀のはじめにこんな怪奇でグロテスクな世界と明るくて甘い香りのする楽園が一緒に描かれた絵画が存在していたとは。

‘快楽の園’も‘干し草車’も世の中を風刺したり警鐘を鳴らす寓意画、人間がいだく欲望や求める快楽はどこまでも膨らんでいくが、その果てに落とし穴があり地獄が待っている。快楽と地獄は表裏一体、これを胸に刻み‘メメントモリ(死を忘れるな)!’今を生きるわれわれにだってこの教えはあてはまる。

5点あるボスに対してブリューゲルは2点、昔からある怖い絵‘死の勝利’と2010年にプラドが発見した‘聖マルティンとワイン祭り’。どちらもボスの強い影響がみられる絵でブリューゲルはボスの弟分のような関係にある。作品の数が少ないボスとブリューゲルを同じ部屋で7点もみられるのだからテンションはぐんとあがる。

西洋美術が好きな人には口ぐせのように‘プラドへ行ってボスとブリューゲルをみたら絵画のイメージが変わるよ、ダ・ヴィンチやラファエロがぶっ飛ぶから!’と言っている。

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2018.07.08

美術館に乾杯! プラド美 その十

Img_0004     カラヴァッジョの‘ゴリアテを負かしたダヴィデ’(1600年)

Img     カラッチの‘ヴィーナス、アドニスとキューピッド’(1590年)

Img_0001     レーニの‘アタランテとヒッポメネス’(1612年)

Img_0002     グエルチーノの‘スザンナと長老たち’(1617年)

思い入れが強く一生つきあっていこうと決めている画家だと世界のどの美術館が作品を所蔵しているかはおおよそ頭のなかに入っている。ぞっこん惚れているカラヴァッジョ(1571~1610)の場合、スペインのマドリードに3点ある。

プラドに飾ってあるのが‘ゴリアテを負かしたダヴィデ’、キリストやギリシャ神話などを題材にした宗教画はカラヴァッジョあたりから登場する人物はぐっと身近に感じられるようになり、舞台で演じられる芝居の一場面をみているような感じになってくる。だから、緊張感を強いられたり圧倒されてしまう宗教画をみているというより風俗画をみているのと同じ。

こうして宗教臭さが抜けてくると絵画との距離が一気に縮まり、描かれている出来事の瞬間や人物の内面性に感情移入することも多くなる。そして画家の描き方にも明暗のコントラストを強調したり事件のハイライトを劇的な構図でとらえるといった変化が生まれ、表出する感情をリアルに表現した生々しい人物描写や動きのある画面構成が見る者の心をつかんでいく。

ここにはカラヴァッジョだけでなく、ルネサンス絵画やマニエリスムとは違う新しい絵画に挑戦したアン二―バレ・カラッチ(1560~1607)やレーニ(1575~1642)、グエルチーノ(1591~1666)のとてもいい絵が揃っている。とくに魅せられているのがカラヴァッジョもその実力を高く評価していたカラッチの絵。これまでみたカラッチは多くはないが、そのなかではこれに最も惹かれている。アドニスとヴィーナスが対面する瞬間の構図がじつにいい。

レーニの大作‘アタランテとヒッポメネス’は一度みたら忘れられないほどのインパクトをもっている。ナポリのカポディモンテ美にあるサイズの小さい別ヴァージョンが日本で公開されたが、プラドでは大きな画面なので立ち尽くしてみていた。

西洋美が回顧展を開催してくれたので親近感がぐっと増したグエルチーノ。カラヴァッジョの描き方に影響を受けた‘スザンナと長老たち’にはどうしても体が寄っていく。これが回顧展に出品されたらよかったが、ものごとそううまくはいかない。いい作品にはOKを出したがらないのが美術館の性。

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2018.07.07

美術館に乾杯! プラド美 その九 

Img     ベリーニの‘二人の聖女にかこまれた聖母子’(1490年)

Img_0001     ティツィアーノの‘ダナエと黄金の雨’(1553年)

Img_0002    ティントレットの‘使徒の足を洗うキリスト’(部分 1547年)

Img_0003     ヴェロネーゼの‘ヴィーナスとアドニス’(1580年)

ヴェネツィアへ団体ツアーで行くとヴェネツィア派の殿堂、アカデミア美の入館は行程には含まれてない。そのため美術好きは自由時間のときここを目指しベリーニ(1431~1516)やティツイアーノ(1489~1576)らの名画を目に焼きつける。ヴェネツィア以外の都市でヴェネツィア派が揃っているのはずばりルーヴルとプラド。

ルーヴルではあの‘モナリザ’が飾ってある部屋にヴェロネーゼ(1528~1588)の超大作‘カナの婚礼’に遭遇する。でも、観光気分の人は‘モナリザ’に頭は占領されているためこの絵の印象は絵の大きさの割には薄いかもしれない。これと同じことがプラドでもいえる。

ベラスケスの‘ラスメニーナス’の磁力が強すぎてヴェネツィア派までみるエネルギーがたぶん残ってない。でも、ここはトータルでみるとルーヴルを上回っており、本家のヴェネツィアの美術館や聖堂と較べ作品の数が少ないが質的に遜色のないものが多くある。だから、これを見逃すのはもったいない。

お気に入りはここにあげた4点。ジョヴァンニ・ベリー二の‘二人の聖女にかこまれた聖母子’はMy‘ベリーニベスト5’に入れている作品。ラファエロの聖母子ほど理想化されてなくちっとおとなしすぎる感じだが、この生感覚の静けさがとても心地いい。

たくさんあるティツィアーノはどれを選ぶかで苦労する。日本にもかなりの数がやって来たが、この‘ダナエと黄金の雨’はまだ貸し出しOKにしてくれない。裸体の輝きとあっと驚くゼウスの変身術によりこれが一番インパクトが強いかもしれない。

ここには最も好きなティントレット(1518~1594)がある。横長の大きな画面が気を惹く‘使徒の足を洗うキリスト’、これは遠近法という技法のもっている効果をあらためて実感させてくれる。左の後ろに消失点をとり奥行きをつくる極端な対角線構図が真にすばらしい。プラドを訪問するたびに感服させられている。

ヴェロネーゼの絵でぐっとくるのはじつはアカデミア美にはなくプラドの‘ヴィーナスとアドニス’がそのなかに入っている。この絵と似た感じですごく魅了されるのがフリックコレクションの‘愛と力’とメトロポリタンの‘愛によって結ばれたマルスとヴィーナス’。そして、数多く揃えているロンドンのナショナルギャラリーのヴェロネーゼも目を楽しませてくれる。

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2018.07.06

美術館に乾杯! プラド美 その八

Img     ウェイデンの‘十字架降下’(1435年)

Img_0002     マセイスの‘エクセ・ホモ(この人を見よ)’(1515年)

Img_0001     コレッジョの‘我に触れるな’(1525年)

Img_0003     パルミジャニーノの‘天使のいる聖家族’(1524年)

絵画や彫刻など西洋の美術との縁が深まると作品そのものの魅力に心を奪われるだけfでなく、宗教画の鑑賞によりをキリストの物語やギリシャ神話の話が立体的な情報として蓄積されていく。お陰でキリスト教徒ではないのに聖書を全部読んだ気になっている。

北方絵画の大画家、ウェイデン(1399~1464)に真に開眼したのはプラドで‘十字架降下’をみたから。これがウェイデンの最高傑作、視線が集中するのは真ん中のキリストではなく、悲しみのあまり気絶した聖母マリアのリアルな描写。母にとってわが子の死ほど辛いことはない。この十字架降下が一番気が重くなる。

‘この人を見よ’はよく描かれる題材、ここではギョッとするほどグロテスクに描かれたユダヤ人や兵士の顔が目に焼きつく。こういう絵をみると宗教上の争いというのは冷酷で狂気じみていることがよくわかる。キリストのなんとも弱々しいこと。

イタリアへは毎年でも出かけるとのが夢であるが、もしそうなったとき行ってみたい街がいっぱいある。そのひとつがパルマ。お目当てはパルマ大聖堂、ここにコレッジョ(1489~1530)が描いたすばらしい天井画があるそうだ。

この天井画の存在をTVの美術番組で知ってから、コレッジョの絵に対する関心が一層増した。プラドにも‘我に触れるな’を描いたとてもいい絵がある。座ったマグダラのマリアと復活したキリストを対角線でむすぶ構図が緊迫した瞬間を演出し、見る者を絵のなかに惹きこむ。

とかく敬遠されがちなマニエリスム、でも同じ年に生まれたパルミジャニーノ(1503~1540)とブロンズィーノ(1503~1572)は別格扱いにして熱心に追っかけている。そのため‘天使のいる聖家族’の主役になっているマリアのつるっとした顔や異様に長い手にもそう違和感を感じない。

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2018.07.05

美術館に乾杯! プラド美 その七

Img     フラ・アンジェリコの‘受胎告知’(1425~28年)

Img_0001 ボッティチェリの‘ナスタジオ・デリ・オネスティの物語’(1483年)

Img_0004     ラファエロの‘魚の聖母’(1513~14年)

Img_0003     メッシーナの‘天使に支えられて死せるキリスト’(1476年)

プラドでベラスケスやゴヤなどのスペイン絵画をたっぷりみると、美術への興味が普通程度の観光客はだいだい満腹になり、あとは集合時間まで広い館内を適当に休みをとりながらみてまわる。

ルネサンスを中心とする古典絵画のところへ行くとダ・ヴィンチはないが見どころの多い作品が目白押し。そのなかで最も心を奪われるのがフラ・アンジェリコ(1395~1455)の‘受胎告知’、フィレンツェにある‘受胎告知’もすばらしいが、これも傑作。画面全体が明るく大天使の羽や赤い衣装の緻密な描写が見事!

ボッティチェリ(1445~1510)の‘ナスタジオ・デリ・オネスティの物語’も強く印象に残る作品。全部で4点で構成されているが、プラドに3点ある。こういう絵は話の内容を知ってないと興味がわかない。主人公のナスタジオ(左の赤いズボンをはいている男性)はひとりの女性に恋するのだが、なかなかいい返事がもらえない。

そこで一計を案じ、男に冷たくすると騎士にずっと追いかけれ犬に噛まれるこの裸の女のようなことになるよと芝居を打つ。そうすると女性はすぐ考えを変え、結婚に同意した。こんな怖い場面をみせられたら、男に気にくわないところは多々あってもOKを出さざるをえない。

ラファエロ(1483~1520)は予想以上に多く5点もある。お気に入りは大作の‘大天使ラファエル、トビアスと聖ヒエロニムスのいる聖家族(魚の聖母)’と‘枢機卿’。ダ・ヴィンチがない分をラファエロがカバーしている感じ。

2年前プラドへ出かけたとき、長くみていたのがメッシーナ(1430~1479)の‘天使に支えられて死せるキリスト’、顔の大きなキリストの後ろで眉毛を八の字にして悲しんでいる天使の表情がなんとも切ない。この天使をみるたびにお父さんやお母さんを小さい頃亡くした人のことを思う。

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2018.07.02

出光美の‘歌仙と古筆’!

Img_0001 ‘佐竹本三十六歌仙絵 柿本人磨’(重文 鎌倉時代 出光美)

Img     ‘佐竹本三十六歌仙絵 山邊赤人’(鎌倉時代)

Img_0003     俵屋宗達の‘歌仙図色紙 大伴家持’(17世紀 出光美)

Img_0004     鈴木其一の‘三十六歌仙図屏風’(部分 1835年)

出光美で行われている‘歌仙と古筆’(6/16~7/22)をみてきた。この展覧会は2006年の‘歌仙の饗宴’を楽しんだのでパスのつもりだったが、みどりがめさんから‘佐竹本’の‘山邊赤人’(個人蔵)が出品されている(7/1まで)ことを教えてもらい30日(土)急遽でかけた。

‘佐竹本三十六歌仙絵’の37点を命があるまで一点でも多くみたいと強く願っている。だが、これまでお目にかかったのはまだ17点。だから、未見の‘山邊赤人’がでているならなんとしてもという気になる。左を向いて座っているいる歌聖の‘柿本人磨’が右に、右向きの‘山邊赤人’が左とペアで展示。よく似た図柄でともに硯箱が描かれている。どうみても2人は別格扱い。

展示の最初にお目当ての作品がでてきたのであとは見覚えのある歌仙図や屏風をさらっとみた。そのなかで足がとまったのが俵屋宗達の‘歌仙図色紙 大伴家持’と2年前の回顧展にでてきた鈴木其一(1796~1858)の‘三十六歌仙図屏風’。

今年が‘人磨影供’がはじまって900年にあたる年というのは展示の内容を企画する学芸員しか思いつかないことだと思うが、2006年にでた‘柿本人磨像’とはちがう絵師が描いたものがでていた。狩野永納、土佐光起、住吉広行、そして出光美定番の岩佐又兵衛。

久しぶりに出光美を訪問したが、やはりこの美術館は根津美同様、ブランド美術館。なかなかみれない作品をもってきてくれるのは本当にありがたい。

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2018.07.01

2018年後半展覧会プレビュー!

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いつものように今年後半出かける可能性の高い展覧会をまとめてみた。
★西洋美術
 モネ展           7/14~9/24     横浜美
 藤田嗣治展         7/31~10/8     東京都美
 ボナール展         9/26~12/7     国立新美
 デュシャンと日本美術    10/2~12/9     東博
 
 フェルメール展       10/5~2/3      上野の森美
 ルーベンス展        10/16~1/20    西洋美
 フィリップスコレクション  10/17~2/11    三菱一号館美
 ムンク展          10/27~1/20    東京都美

★日本美術
 琉球展           7/18~9/2      サントリー美
 醍醐寺展          9/19~11/11    サントリー美
 快慶・定慶展        10/2~12/9     東博
 
 新・桃山の茶陶       10/20~12/16   根津美
 東西数寄者の審美眼     10/20~12/9    五島美
 東山魁夷展         10/24~12/3    国立新美 

(注目の展覧会)
5月オスロ国立美でムンクの‘叫び’に会い、わが家はムンクで盛り上がっている。秋に東京都美にやって来る‘叫び’はムンク美が所蔵するもの。このヴァージョンは美術館では常時展示されていないのでいいめぐり合わせ。今年はこのムンク展をあちこちでPRしている。

上野の森美の‘フェルメール展’には大勢の人が押し寄せそう。今回は時間指定制を導入するらしいが、そろそろ予約がはじまるのだろうか。

日本美術のほうはサントリーの‘琉球展’に念願の龍が描かれた紅型(国宝)が登場する(7/18~7/30の限定展示)。とても楽しみ。

五島美で行われる‘東西好数寄者の審美眼’は関西の逸翁美のコレクションが公開される。このなかに長澤芦雪に犬の絵が入っている。ずっと追っかけていたがようやく会えそう。

    
 


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