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2018.06.09

オスロ国立美(2)

Img     ムンクの‘病める子ども’(1885~86年)

Img_0002     ‘思春期’(1894~95年)

Img_0001     ‘作家ハンス・イエ―ガーの肖像’(1889年)

Img_0003     ‘月光’(1895年)

ムンク(1863~1944)の出世作となったのが‘病める子ども’、画集でこの絵をみるたびに心が締めつけられていたが、本物の前ではもっと辛い感じがした。病床が出てくる作品ですぐ思い浮かぶのはあの天才ピカソが16歳のとき描いた‘科学と慈愛’とムンクのこの絵。

病院はできることなら行きたくない場所だから、こういう光景をみると切なくなる。死が迫っている少女の顔は異様に白くなっており、それをまともにみていられない付添人のうなだれた首が病魔に襲われた患者にいだく深い悲しみを物語っている。

ムンクは小さいときから体が弱かったことや母親が早く亡くなり一歳上の姉ソフィーエも15歳で天国にめされたため、不安に悩まされ死の恐怖が頭からずっと消えなかった。このことがムンクの画風が感情を画面に強くだす表現主義のスタイルに変っていくことに影響している。

大人の体に成長していく少女の心の動揺を絵のモチーフにすることはほかの画家では思いつかない。でも、自分がいつも不安につきまとわれているから少女の心を敏感に読みとることができる。少女の後ろに描かれた大きな黒い影が彼女の内面を反映している。目に焼きついているこの絵を長いことみていた。

大きな収穫のひとつが‘作家ハンス・イェーガーの肖像’、この絵はムンクを特集した美術番組でみて以来とても気になっていた作品。女性の肖像に較べ男性のものへの思い入れは下がるが、この作家の圧倒的な存在感には魅了される。いかにも一癖ありそうな表情をしたイェーガーは前衛的な精神をもったグループのリーダーでムンクは尊敬していた。

ムンクの風景画には満月と海面の反射がよくでてくる。‘月光’でも青い海に白の影が印象的に描かれている。これは永遠の命を表し、月の反射の形は古代エジプトの文字アンク、♀にヒントを得ている。つくづくいいアイデアをもちこんだなと思う。

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