美術館に乾杯!イザベラ・スチュワート・ガードナー美 その一
ボストン美の近くにあるイザベラ・スチュワート・ガードナー美(拡大で)
邸宅美術館というとロンドンでは質の高いコレクションで知られているコートールドやウォレスコレクション、そしてパリではモネの作品を集めたマルモッタンなどが思い起こされるが、アメリカにも収集家が暮らしていた邸を美術館にして公開しているところがいくつもある。
そのなかで別格扱いされているのがボストンにあるイザベラ・スチュワート・ガードナー美(1903年創立)、はじめて訪問したのは25年前なので、ボストン美のすぐ近くにあることはわかっているがどういう風に行ったかはまったく覚えていない。
入館して驚いたのは建物がヨーロッパの貴族の館そのものだったこと。中庭や回廊がつくられておりアメリカにいることを忘れるほど邸全体は完璧にヨーロッパ調。これを建てたイザベラ・スチュワート・ガードナー夫人が真似たのはヴェネツィアの建築様式。ヴェネツィアの邸宅のようにするため夫人はイタリアへ出かけ古い石造りの窓枠やバルコニー、敷石などを買いあさったという。根っからのヴェネツィア好き。
この美術館を訪問したころは美術の世界の入り口をぬけて少し進んだほどで、知っている西洋絵画の巨匠も限られておりティツィアーノとティントレットがまだはっきり区別できてなかった。だから、この美術館でもっとも有名なティツィアーノ(1485~1576)の‘エウロパの略奪’に遭遇したことはエポック的な鑑賞になった。
この傑作がどういう経緯でガードナー夫人のものとなったかは美術本によりインプットされているので、とにかく隅から隅までじっくりみた。後にルーベンスの模写にも出会うことになるが、この2つの絵によってこのギリシャ神話にでてくるエウロペの略奪の話が‘ヨーロッパ’の語源だということを知り知識の森がちょっぴり広くなった。これも絵画の力。
ここには古典絵画のいい絵がまだある。ボッティチェリ(1445~1510)の画集に必ず載っている‘聖母子と天使’。ボストンに来た1993年の10年くらい前、フィレンツェのウフィッツイ美でボッティチェリの‘ヴィーナスの誕生’や‘春’と対面したときの感動が蘇った。ボストンにこんないいボッティチェリがあるのだからガードナー夫人は本当にスゴイ目利き。
夫人はサージェント(1856~1925)に肖像を描かせたが8回NGを出し、9回目の作品でようやく満足したという。たしかに穏やかで美しい表情をしている。
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コメント
スゴイですね。名画がいっぱい・・・。
ヨーロッパがいっぱい。
東海岸ボストンには行った事ありません
ので
憧れの地になってます。
ナポリは見ましたので
ボストン見てしね・・・ です。
投稿: Baroque | 2018.06.19 01:16
to Baroqueさん
ボストンはボストン美だけでなくハーバード大の
フォッグ美とイザベラ・スチュワート・ガードナー
美もありますから、アート三昧するのはいいところ
です。ガードナー美は数は多くないですが流石と
いう感じの絵が揃っています。すばらしいです。
またボストンはロブスターが美味しいので何度でも
行きたいです。是非お出かけ下さい。
投稿: いづつや | 2018.06.19 20:29
ザリガニの事でしょうね。伊勢海老の一種。
高級料理ですね。海の幸にまで恵まれてますか✴️
投稿: fzksakura | 2018.06.20 19:13
to Baroqueさん
みのしまったプリプリのロブスターは最高に
美味しいです。日本でロブスターのチェーン店
を見たことがあるのですが、情報が不足してます。
食欲が抑えきれなくなったら真剣に探すつもり
です。
投稿: いづつや | 2018.06.20 23:52