美術館に乾杯! フォッグ美 その六
ホイッスラーの‘灰色と桃色のハーモニー’(1872~74年)
絵画の大きな楽しみは女性の肖像画をみること。ルネサンスから近現代にいたるまで好きな女性の絵はたくさんある。そして、それをみたときの気分の盛り上がり具合はやはり画家によってちがう。肩の力がほわっとぬけるような女性もいるし、心がザワザワさせてくれる妖艶すぎる裸婦も横たわっている。
サージェント((1856~1925)の肖像画の魅力はほぼ等身大で描かれており、大画面に安定感がもたらされているところ。注文の依頼者にとり妻の肖像画を邸宅に飾ると二人の愛の絆は深まるし、来客者にもつい見せたくなる。サージェントは多少脚色してよくみえるように描いたから社交界では人気があった。
サージェントには肖像画のほかに風景画や風俗画もあり、フォッグが所蔵しているのは‘朝食のテーブル’、こういう食事をする場面を描いたものはちょくちょく出会う。カサットも描いているし、モネやカイユボット、ヴァロットンにもある。
ホイッスラー(1883~1913)もサージェント同様、アメリカの美術館には大きな肖像画が飾ってある。作品が群を抜いて多いのがワシントンのフリーア美、メトロポリタン、フリックコレクションにも目を見張らされるのがある。サージェントとくらべるとパトロンなど男性の肖像画もよく描いている。‘灰色と桃色のハーモニー’に登場するモデルはホイッスラーに絵を習っていた女性。
2008年、シカゴ美で運よく回顧展に遭遇して以来、関心が深まったホッパー(1882~1967)とホーマー(1836~1910)、日本の展覧会でみられる機会はほとんどないからミューズの導きに心から感謝している。‘丘の灯台’はホッパーの代名詞的なモチーフ。長くみていた。
ホーマーは水の動きや海面の波の描写がとくべつ上手い。‘川を下るカヌー’は流れの速い川を下っていくカヌーに後ろからカメラマンと一緒に追っかけているような感じ。無事についていけるだろうか。
| 固定リンク
コメント