美術館に乾杯! ホイットニー美 その六
アメリカの美術館をまわるようになってから関心が高まった画家が何人かいる。デイヴィス(1892~1964)もそのひとり。メトロポリタン、ワシントンナショナルギャラリー、ボストンでいい絵と出会った。絵画の分類でいうと抽象画だが、難しくはなく明るい色彩のためモンドリアンのブギウギ気分を彷彿とさせる。
描いているのは都市の風景が多く、くにゃくにゃ曲がった帯や四角の小片を自由気ままに配置していく画面構成は晩年のマティスの切り紙絵を連想させるし、ユーモアのたっぷり詰まったミロの作品がダブってくる。ホイットニーにある‘オウ!イン・サン・パン’は鑑賞欲をとても刺激する。
フィラデルフィア生まれの彫刻家カルダー(1898~1976)は若い頃パリで活動していたときは‘サーカスのカルダー’と呼ばれ、パリっ子や仲間から注目されていた。‘サーカス’は針金でつくった人形や舞台でサーカスの光景を再現した立体作品。これはこの美術館のお宝のひとつなのでなんとしてもみたい。
ジョージ・シーガル(1924~2000))の作品情報は極めて少なく、この彫刻家が一体何点くらい制作したのかつかめていない。これまでお目にかかったのはMoMAにある‘バス運転手’一点のみ、ホイットニーが所蔵する‘進めー停まれ’は都会に生きる人々が味わう孤独感が感じられ、ホッパーの世界と通底するイメージ。
オルデンバーグ(1929~)のソフト・スカルプチャーは2013年国立新美で開催された‘アメリカン・ポップ・アート展’で数点みた。ビニールを使って日常にあふれるものが馬鹿デカい形をなって目の前に現れるとハッとする。でも、‘ソフト・トイレット’でもそうだが使われているビニールの素材がその違和感をすこしずつほぐしてくれる。そして、好奇心が湧きじっくりみてみようかとなる。
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