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2018.04.08

美術館に乾杯! グッゲンハイム美 その十

Img     セヴェリーノの‘村を走る赤十字の汽車’(1915年)

Img_0001     バッラの‘抽象的速度と音’(1914年)

Img_0002     ブランクーシの‘ミューズ’(1912年)

Img_0003     アルプの‘成長’(1938年)

新年度になると会社では組織を再編成したり人材を揃えて設定した目標に向かって動き出す。こうした気持ちの切り替えは文化活動をする組織てもおこる。例えば、展覧会を企する美術館では展示の仕方や焦点を当てる作家やテーマにも新機軸を導入する動きがでてきたりする。

美術館のなかで働く学芸員の人たちがどんな美術シーンをえがき、どんなムーブメントをおこそうとしているのか外からはうかがい知ることができない。だから、美術館の姿勢がわかるのは1年くらいのスパンで発表される展覧会の計画のみ。

展覧会を楽しむ側からすると希望する画家の回顧展がでてくると最高に嬉しい。昨年、国立新美で展示されたミュシャの連作‘スラブ叙事詩’はまさに天にも昇るような心地だった。こういう場合、学芸員には200%頭が下がるし、その企画力を高く評価したくなる。

夢の展覧会はいくつもある。そのひとつが未来派たちの作品を集めたもの。2013年、MoMAを久しぶりに訪問したとき、嬉しいことに必見リストに載せていたバッラ(1871~1958)やボッチョーニ(1882~1916)、セヴェリーノ(1883~1966)がどどっと展示してあった。一気に未来派万歳!になった。

アメリカでは未来派は人気があるのかもしれない。ワシントンのハーシュホーン美でもバッラの彫刻をみたし、グッゲンハイムにも‘抽象的速度と音’がある。モチーフの連続的な動きや重なりから生まれるスピード感や爆発する都市のエネルギー、その躍動するイメージは濃い色彩の構成により一層強められる。

グッゲンハイムで一番のお気に入りはセヴェリーノの‘村を走る赤十字の汽車’、この絵が描かれたときヨーロッパは第一次世界大戦の真っ最中、兵士を運んだり負傷者を乗せて帰って来る赤十字の汽車が行きかっていた。圧倒されるのは丸い球が流れていくような白煙、これは戦争画でもあるが色彩の強さが戦争の不安や悲しみをかき消している。

ボッチョーニの黄金の抽象彫刻と連動するのがブランクーシの鳥やミューズ、グッゲンハイムには大理石で彫られたミューズがある。手を耳に当てるポーズがなかなかいい。ちょっと冷たい感じのするミューズに対し、アルプ(1887~1966)の‘成長’は赤子がどんどん大きくなっていく姿を連想する。大変惹きつけられる‘動’の彫刻。

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