府中市美の春の定番、江戸絵画展!
府中市美で行われている江戸絵画展‘リアル 最大の奇抜’(3/10~5/6)をみてきた。前期をパスし後期(4/10~5/6)に出動したのはお目当ての絵をみるため。作品は通期で119点、出ずっぱりがあるのでその半分よりは多い68点が飾られていた。
圧巻は最後の部屋に登場する円山応挙(1733~1795)と府中市美が数多く所蔵している司馬江漢(1747~1818)。チラシに使われている応挙の‘鯉魚図’(通期展示)が気になってしょうがなかった。これまで応挙の描いた鯉はかなりの数みてきたが、リアルな描写ということではこのアクロバチックに跳びはねる鯉の印象が一番強いかもしれない。こんないい絵がまだあったのか、という感じ。大きな収穫だった。
‘龍虎図’もはじめてみる絵。府中市美はこれまで開催してきた江戸絵画シリーズでサイズはそれほど大きくはない初見の応挙をたくさんみせてくれたが、その大半は個人蔵。だから、学芸員の作品を揃えてくる力は本当にすばらしい。
じつはお楽しみの絵は渡辺崋山(1793~1841)の‘市河米庵像’だった。この絵をみたくて府中まで遠征したといっていい。描かれた人物の顔の横のこぶが目に焼きついているこの肖像画を所蔵しているのは京博。以前よく京都へ行ってたときはいずれ平常展にでてくるだろうと期待していたが、全然姿をみせてくれなかった。
そのうち京都が遠くなるとこの絵のことはだんだん薄れてきていた。
だが、‘待てば海路の日和あり’である。崋山の写実力は尋常ではなくまるで本人と対面しているよう。これで崋山にも済みマークがつけられる。
16点展示された江漢のなかで心を揺すぶるのは‘七里ヶ浜図’と‘馬入川富士遠望図’。西洋画の遠近法を上手く消化し誰もが知っている富士を描くというのは江漢の逞しい画家魂の証。この新しい絵へ挑戦する気持ちが北斎に受け継がれ、傑作‘富嶽三十六景’が生まれた。
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