美術館に乾杯! MoMA その十三
ルーヴルで大きな絵というとヴェロネーゼの‘カナの婚宴’やダビッドの‘ナポレオンの聖別式’がすぐ思い浮かぶが、アメリカの美術館では抽象表現主義のポロック(1912~1956)を筆頭に現代ア―ティストたちによって大作のイメージがつくられている。
ポロックの‘ワン:ナンバー31、1950’はメトロポリタン蔵の‘秋のリズム’(1950年)とほぼ同じ大きさで縦2.95m、横5.3mの超ビッグサイズ、画面には中心がなく新しい技法であるドロッピングがつくりだす混沌と調和がないまぜになった画風はまさに新しい抽象絵画が誕生した瞬間だった。
ニューマン(1905~1970)の赤一色の大作‘英雄的にして崇高な人’も横5.13mの大きな作品。絵画の色というのは不思議な力をもっている。普段の生活のなかで赤はよく目にするがそれは視野からすぐ消えていくので赤だけが強く印象に残ることはない。ところが、これほどの大画面で赤だけを目にするとこの赤は感情をとても刺激する。そして、アートになる。
ニューマンと同じ時代を生きたロスコ(1903~1970)はMoMAには3点ある。この‘イエローとゴールド’は日本であったMoMA展に出品された。ポンピドーやテートモダンへ行ってもロスコは楽しめるが、やはりアメリカの美術館のほうが数が多い。そのなかで最も心が震えたのはワシントンのフィリップスコレクションが所蔵している3点。次に狙っているのはロサンゼルス近美にある青の作品。これをなんとかしたい。
川村記念美で開眼したステラ(1936~)、いつか大規模な回顧展に遭遇することを夢見ているがまだその気配はない。ストライプの入ったV字を寄せ木細工のようにくっつけた‘インドの女帝’は端正な形からでてくる軽い動きが体をしゃきっとさせる。
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