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2018.03.14

美術館に乾杯! MoMA その十八

Img_0002     ロングの‘キルケニー・サークル’(1984年)

Img_0003     ティンゲリーの‘ニューヨーク讃歌の断片’(1960年)

Img     ゴーバーの‘無題’(1991年)

Img_0001     ボイスの‘フェルトのスーツ’(1970年)

抽象絵画、現代彫刻、オブジェ、インスタレーションなど現代アートは多様な分野をとりこんで進化を続けているが、視覚体験を増やすにつれア―ティストの表現の狙いが十分につかめなくともそれが好みにフィットするものかそうでないものかはわかってくる。

絵画以外の現代アートでは抽象的な彫刻とみるかオブジェとみるか境がない作品が多い。これは陶芸の世界でも同じでオブジェとして楽しんだほうがいいこともある。イギリスのリチャード・ロング(1945~)の‘キルケニー・サークル’は現代によみがえったストーンサークルのイメージ。円のなかには川の上流に行くとごろごろ転がっているような石がなんら加工されることなく隙間なく置かれている。

これをみるとアートというのはパフォーマンスそのものという気がしないでもない。体育館を借りていろいろ集めてきた石を時間をかけて配置していく。普通の人はこんなことはしないし、表現したことがどう映るかまで想像できない。ア―ティストもできあがった完成形をはじめからイメージしていないだろうが、創作しているとだんだん手ごたえが感じてくる。たしかに、このサークルには古代遺跡の匂いがする。

スイスのア―ティスト、ジャン・ティンゲリー(1925~1991)の作品をはじめてみたのはパリのポンピドーセンター、‘地獄’と名付けられた作品には町の鉄工所に紛れ込んだかのような気分になるほど大きな鉄の輪とかモーターが雑然を置かれていた。おもしろいことにそこになぜか剥製のトナカイの頭が混じりこんでいる。

MoMAが所蔵する‘ニューヨーク讃歌の断片’はそれと較べるとかなりすっきりしており、垂直に立てられた三輪自転車に円の板や小さな缶をくっつけ子どもの玩具のように仕上げている。このオブジェの全体の造形が円を基調にしているので讃歌というほどおおげさではないが大都市NYが噴射するダイナミックなパワーはイメージできる。

ぱっとみてドキッとするのがロバート・ゴーバー(1954~)の作品。このうつぶせになった男性の下半身を暗い所で見たら震えあがる。人を驚かせるのにさらに工夫をくわえ蝋燭を3本ズボンをはいた足の裏に立てている。これに火がつこうものならまさに怪奇ホラーの世界。裸足で逃げなくいては。

ヨーゼフ・ボイス(1921~1986)の‘フェルトのスーツ’は作品の感じ方としてはデュシャンの便器などと同じ。これでアートになるのなら、自分もつくってみようかとつい思ってしまう。でも、これは後知恵。こんなスーツを並べることを考えつくオリジナリティにはとても叶わない。

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