美術館に乾杯! メトロポリタン美 その八
神話の物語や歴史上の出来事を書物で読むだけでなく映画を楽しんだり絵画をみたりすると、話の理解がさらに進む。西洋絵画と長くつきあっているのでこうした絵画のもっている力を感じさせる作品によく遭遇する。
METにある5点のプッサン(1599~1665)にはそんな物語が主題かと、つい熱心に画面の隅から隅までみてしまうのがある。ひとつはギリシャ神話の盲目のオリオンが登場する‘朝日を捜す盲目のオリオン’、そしてもう1点は緊張感で体がフリーズしそうになる‘サビニの女たちの略奪’。
オリオンは巨人の狩人、恋にからむ災難で盲目にされてしまった。捨てる神あれば拾う神ありで、オリオンは日の出のときに太陽の光をあびれば目が見えるようになるとの神託をえる。その道案内をするのがオリオンの肩に乗っている少年。ギリシャ神話がこういう絵になるとさらに興味が沸いてくる。
サビニ族の未婚の女たちがローマ人に略奪されるという有名な話は歴史の本をひもとくよりプッサンのこの絵をみるといっぺんにわかる。女たちの悲鳴が聞こえてくるよう。プッサンはこういう迫力のある場面を描かせると天下一品!
夜空に輝く星々にはペアになってお互いをまわる連星というのがあるが、画家のなかにも一緒に飾られる画家たちがいる。プッサンとロラン(1604~1682)、ターナーとコンスタブル、ゴッホとゴーギャン、、METにあるロランは2点、‘船団に火を放つトロイアの女たち’と日本にやって来た‘日の出’。
一口に風景画といってもいろいろなタイプがあり、プッサンやロランのものはテーマとなっている物語に思いをはせ同時に背景の風景も楽しめる風景画。‘船団の灯を放つトロイアの女たち’は一度読んだことのあるヴェルギリウスの‘アイネイス’にでてくる話を題材にしたもの。なかなかいい絵でじっとみてしまう。
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