美術館に乾杯! メトロポリタン美 その十三
アメリカの美術館をまわる楽しみのひとつがアンリ・ルソー(1844~1910)。NYではMET、MoMA、グッゲンハイムへ足を運ぶとそれぞれ2点ずつみられる。METにあるのは‘ライオンの食事’と‘ビセートル近郊ビエーブル河の岸辺、春’、ともに日本にやって来た。
‘ライオンの食事’ではライオンがやっつけた豹を食べている。ルソーのジャングル画に登場する動物たちはライオン、虎、豹、水牛、蛇、猿、鳥。このなかで強いインパクトをもっているのは獰猛なライオンらが襲撃する場面、4年前行われたクリーブランド美展には虎が水牛を襲う作品が出品された。
印象派が展示されている部屋の横にのびている廊下に大変魅了される絵が飾られている。モロー(1826~1898)の‘オイディプスとスフィンクス’。これはMET自慢のお宝絵画、描かれているのは難問をだして何人も餌食にした怪物スフィンクスをオイディプスが難なく退治したというあの有名なギリシャ神話の話。繊細な筆使いで表現されたオイディプスの姿が最高にカッコいい。
スイスのベックリン(1827~1901)はモローと同時代を生きた画家。その代表作‘死の島’は一度見たら忘れられない作品。暗い夜の海を大きな岩でできた島にむかって柩を積んだ一艘の小舟が進んでいる。白い布をまとった人物は一体誰?これを‘怖い絵展’に展示したら大うけしたのに。
オルセーにある農民の絵でイメージがつくられているルパージュ(1848~1884)だが、ここではあのルパージュにこんな絵があったのか、と驚く一枚に出会う。モデルは‘ジャンヌ・ダルク’、これはジャンヌが両親の家の庭で啓示を受けているところ、ジャンヌの後ろをよくみると光のなかに聖ミカエルが浮き上がっている。
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